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公開日:2020年12月10日

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花き

家庭菜園の安心安全栽培講座

花きは食するものでなく観賞するものなので、病害虫に犯された商品は売り物になりません。かと言って、病気や害虫の発生が無いわけでもありません(いや、むしろバラやキク等のようにいつも病害虫が発生しているような花きも少なくありません。)。と言うわけで、花き栽培では基本的に無農薬栽培は不可能と言えるでしょう。また、野菜や果樹に比べると農薬使用における制限はあまりありません。このような事情も手伝って、花き栽培では防除の労力は生産者にとって大変なものになっているのです。そこで、消費者に対する安全安心という考えよりも、農薬散布を頻繁に行わなければならない生産者の安全安心を考えて、少しでも農薬散布を減らすことができる方法があるので紹介します。

防虫ネット

施設の開口部にネットを張り害虫の進入を防止します。害虫の大きさによって、目合いを変えるのですが、あまり目合いが小さくなると内部の通風が悪くなります。また、とにかく内部に害虫を入れないこと、病害の防除は普通に行わなければならないことは肝に銘じておきましょう。

表-5 各害虫に対する防虫ネットの侵入抑制効果

目合い マザミウマ類 ハモグリバエ類 アブラムシ類 コナガ ヨトウムシ類
0.8mm
1.0mm
2.0mm × ×
4.0mm × × × ×

○:90%カット △:70%カット ×:10%カット

キクの防虫ネットハウス

黄色蛍光灯

害虫が嫌う黄色の光を発する蛍光灯を設置し、害虫を寄せ付けないことで花きを守ります。タバコガ、ヨトウムシ類のように花きを加害する夜蛾に対して有効で、カーネーションを中心に使用されています。外が暗い間は継続して点灯しなければならないので、キクのような短日植物では、外部に向けて光を照射する等、照明の方法に工夫が必要です。
ちなみに、蛾に有効な照度は1ルクス以上で、40wの蛍光灯を設置するとすれば、10aに8灯が目安となります。

光反射資材

施設の外縁に光反射資材を敷設することで、アザミウマ類が施設へ侵入するのを抑制します。アザミウマ等の害虫が白色光や銀色光を忌避する性質を利用したものです。使用する資材はシルバーマルチよりも光反射シートの方が、効果が高く破れにくいので適します。

天敵農薬

天敵を用いた防除法で、最近注目されています。ただし、特定の害虫しか効果がなく、天敵を放飼すると殺虫剤が使用できなくなるため、使用時期、使用法に注意と工夫をすることが必要です。現在花きに登録がある天敵農薬はバラとカーネーションのハダニに対する「チリカブリダニ」、ポインセチアのコナジラミに対する「オンシツツヤコバチ」、シクラメンのアザミウマに対する「ククメリスカブリダニ」だけですが、野菜では多くの天敵が登録されており、花きについても増加することが考えられます。

以上、農薬散布を行わない害虫対策を述べましたが、施設栽培で厄介な病害のひとつである「灰色かび病」は、換気を頻繁に行い室内の空気を乾燥させることで、発病の抑制が期待できます。このように、日頃の管理によっても、防除回数を少なくすることはできるのです。

 
 
 

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