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公開日:2009年6月12日

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建設工事の請負契約に関するトラブル防止のために

質問内容

建設工事の請負契約に関するトラブル防止のために

回答内容

1 請負契約に関する主な留意事項

(1)発注者の留意事項

  • 信頼できる業者を選ぶ。
    質問や問い合わせに明確な回答がなかったり、契約を急がせたりする業者は注意が必要です。
  • 設計や見積もりの内容を十分確認、納得してから契約する。
    契約内容を十分に確認して、納得してから契約書に押印することが大切です。
    疑問点や不明な点があれば、その都度業者に確認しましょう。
  • 確実な資金計画を立てる。
    借入金の返済計画はもちろん、前金払、中間前金払、部分払、竣工払の時期、金額も確認しましょう。
  • 業者まかせにしない。
    信頼できる工事監理者を置いたり、自分でも現場を見たりすることも重要です。

(2)請負業者の留意事項

  • 契約を急がせない。
    強引な営業活動は、発注者の信頼を損ねる恐れがあります。
  • 契約内容を丁寧に説明する。
    書面をきちんと作成することはもちろん、発注者の質問、問い合わせにもきちんと答えることが大切です。
  • 発注者との長いおつきあいを考える。
    建物を建築して終わりではなく、その後のメンテナンス、アフターサービス等も重要です。

(3)当事者双方の留意事項

  • 書面で契約する。
    民法上、口頭でも契約は成立しますが、建設業法では「書面による契約」が義務付けられています。
    契約書は2部作成し、当事者双方が1部ずつ保管します。
  • 無理な工期の設定はしない。
    欠陥、施工不良が生じる原因になる恐れがあります。
  • 相手方とのやりとりは口頭ではなく書面で残す。
    工事の追加、変更等が生じる場合等、相手方との交渉内容は書面で合意しましょう。
    口頭だけのやりとりでは、後々、水掛け論になる恐れがあります。

(4)トラブルが発生してしまった場合

当事者双方での話し合いによる解決が原則ですが、それで解決できない場合は、民事調停、裁判等の公的機関を利用する方法もあります。なお、建設業法の規定により、建設工事の請負契約に関する紛争の解決を図るため、国土交通省及び各都道府県に「建設工事紛争審査会(以下「審査会」といいます。)」が設置されています。

2 審査会の概要

(1)審査会の目的

工事に雨漏り等の欠陥があるのに施工業者が補修に応じてくれない、発注者(元請業者)が請負代金を支払ってくれないといったトラブルの解決を図るためには、建設工事に関する技術や、法律・商習慣などの専門的な知識が必要になることが少なくありません。
審査会は、こうした建設工事の請負契約に関する紛争について、専門家が公正・中立な立場に立って、迅速かつ簡便な解決を図ることを目的に設置された公的機関です。

(2)審査会の委員

弁護士、一級建築士等の専門家が委員となっており、現在9名の委員が紛争の解決にあたっています。

(3)審査会の取り扱う事件

審査会は、工事の欠陥や請負代金の未払い等のような「建設工事」の「請負契約」に関する紛争のみを取り扱います。
よって、審査会では、不動産(マンション等)の売買に関する紛争、専ら設計に関する紛争、工事に伴う近隣者との紛争、直接契約関係にない元請・孫請間の紛争等は取り扱うことができません。
また、審査会は、建設業者を指導監督したり、技術的な鑑定を行う機関ではありません。

3 審査会での紛争処理の方法

(1)申請の種類

「調停」と「仲裁」の2種類があり、いずれの手続も原則非公開で行われます。当事者双方の主張を聴き、原則として当事者双方から提出された証拠を基に紛争の解決を図りますが、必要があれば現地への立入検査なども行い、事実関係の究明に努めます。
「調停」と「仲裁」の違いをまとめると、次のとおりになります。

【調停】

  • 趣旨:当事者双方の歩み寄りによる解決を目指す。
  • 担当委員:3名
  • 審理回数:3〜5回程度
  • 解決した場合の効力:民法上の和解としての効力(別途公正証書を作成したり、確定判決を得たりしないと強制執行ができない。)
  • 特色:解決の見込みのある限り審理を継続するが、一方又は双方が互いに譲歩せず、容易に妥協点が見出せない場合は打ち切りになる。なお、調停案を示すこともあるが強制力はない。

【仲裁】

  • 趣旨:裁判所に代わって判断を下す。
  • 担当委員:3名
  • 審理回数:必要な回数
  • 解決した場合の効力:裁判所の確定判決と同様の効力(執行決定を得て、強制執行ができる。)
  • 特色:裁判に代わる手続で、一審制である。仲裁判断の内容については、裁判所でも争えない。
  • その他:仲裁合意(注)が必要

(注)「仲裁合意」とは、紛争の解決を第三者(この場合は審査会)へ委ね、裁判所へは提訴しないことを約した当事者の合意を言います。仲裁手続を進めるためには、当事者間にこの合意があることが必要です。なお、仲裁法の施行(平成16年3月1日)後に消費者と事業者との間で締結された仲裁合意については、消費者に解除権が認められています。

(2)審査会の管轄

原則として別添のとおりとなりますが、当事者間に合意があれば、どの審査会にも紛争処理を申請することができます。

(3)申請手数料等

申請には申請手数料が必要です。申請手数料の額は、次のとおり申請の区分に応じ、請求する事項の価額(相手方への請求金額)を基準にして算定されます。
この他、通信運搬費として15,000円が必要です。これは、紛争処理後に精算し、剰余金があればお返しします。

  • 1)調停
    • 100万円まで:20,000円
    • 500万円まで:価額(1万円単位)×40円+16,000円
    • 1億円まで:価額(1万円単位)×25円+23,500円
    • 1億円を超えるとき:価額(1万円単位)×15円+123,500円
  • 2)仲裁
    • 100万円まで:50,000円
    • 500万円まで:価額(1万円単位)×100円+40,000円
    • 1億円まで:価額(1万円単位)×60円+60,000円
    • 1億円を超えるとき:価額(1万円単位)×20円+460,000円

(4)申請に必要な書類

申請書、証拠書類(契約書、契約約款、注文書、請書、領収書、設計図書、建築確認通知書、修繕費用見積書、現場写真等)が必要です。また、添付書類(商業登記簿謄本、委任状、仲裁合意書、管轄合意書)が必要になる場合もあります。
提出部数は5部です。ただし、添付書類は1部で構いません。

4 審査会での紛争の解決事例

  • (1)新築したマイホームに雨漏りなどの欠陥があるとして申請が行われた調停事件について、請負業者が必要な補修を行い、一定期間の保証を行うことで和解が成立しました。
  •  
  • (2)工事残代金の支払いを求めて下請業者から申請が行われた仲裁事件について、元請業者に請求額の6割の金額の支払を命じる仲裁判断が出されました。

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