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公開日:2008年7月8日

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平成20年7月8日 答申第457号(香川県情報公開審査会答申)

平成20年7月8日(答申第457号)

答申

第1 香川県情報公開審査会(以下「審査会」という。)の結論

香川県知事(以下「実施機関」という。)が行った一部公開決定(以下「本件処分」という。)により非公開とした部分のうち、次の部分については、公開すべきである。

  • (a)法人又は事業を営む個人である債権者の名称又は氏名、所在地又は住所、電話番号及び法人にあってはその代表者の職氏名
  • (b)候補者氏名
  • (c)選挙運動用自動車の車種及び自動車登録番号
  • (d)確認番号
  • (e)債権者コード

第2 異議申立てに至る経過

1 行政文書の公開請求

異議申立人は、平成19年11月20日付けで、香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号。以下「条例」という。)第5条の規定により、実施機関に対し、次の内容の行政文書の公開請求を行った。
平成19年4月8日執行の香川県議会議員選挙に関する「香川県議会議員及び香川県知事の選挙における自動車の使用及びポスター作成の公営に関する条例」(平成6年条例第1号。以下「公営条例」という。)に基づく「選挙運動用自動車の使用」に関する請求書の中の請求額5万円以上の請求書及び当該各請求に係る支払いの一切の支出金調書(支払日の分かる会計書類を含む)

2 実施機関の決定

実施機関は、公開請求のあった行政文書として、「平成19年4月8日執行の香川県議会議員選挙に係る請求額5万円以上の請求書及びその添付書類(公営条例に基づく選挙運動用自動車の使用に係るものに限る。)並びに当該請求書に係る執行伺兼支出命令書及び支出命令訂正通知書」(以下「本件行政文書」という。)を特定し、次の部分が条例第7条第1号又は第2号にそれぞれ該当するとして、平成19年12月4日付けで本件処分を行い、異議申立人に通知した。

  • (a)口座情報(金融機関コード、金融機関名、預金種目、口座番号、口座名義)
  • (b)債権者(受領の委任を受けた者を含む。以下同じ。)の氏名又は名称、住所又は所在地、電話番号及び法人にあってはその代表者の職氏名
  • (c)印影
  • (d)候補者氏名
  • (e)選挙運動用自動車の車種及び自動車登録番号
  • (f)確認番号
  • (g)債権者コード

3 異議申立て

異議申立人は、本件処分を不服として平成19年12月9日付けで、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により実施機関に対して異議申立てを行った

第3 異議申立ての内容

1 異議申立ての趣旨

「本件処分を取り消すとの決定を求める」というものである。

2 異議申立ての理由

異議申立書において主張している理由は、おおむね次のとおりである。

  • (1)本件処分は、条例の解釈適用を誤った違法な処分であり、本件処分を取り消し、全部公開をする必要がある。
  • (2)本件処分の通知書に記載の「公開しない理由」は、条例に規定する非公開理由に該当しない。
  • (3)本件処分の通知書に記載の「公開しない理由」には、適法に処分理由が明示されていないので、香川県行政手続条例(平成7年条例第5号)第8条に違反し、本件処分は無効である。

第4 実施機関の説明の要旨

非公開理由等説明書による説明は、おおむね次のとおりである。
条例は、県民の行政文書の公開を請求する権利につき定め、地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的とするものであるが、原則公開の下であっても、行政文書を公開することにより請求者以外の者の権利又は利益が侵害されたり、円滑な行政運営が損なわれるということがあってはならないため、例外として、実施機関が公開することを認めない(条例第9条の規定により、公益上の理由のために裁量的に公開されるときを除く)情報を条例第7条で定めている。このようなことから、本件行政文書の公開・非公開の決定に当たっては、条例第7条各号の該当性について検討し、決定したものである。

  • (1)条例第7条第1号の該当性について
    条例第7条第1号では、個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものを非公開情報と定めている。ただし、本号のただし書に掲げる情報については、非公開情報から除くこととしている。
    本件行政文書のうち、個人の口座情報、債権者(個人)の氏名、住所及び電話番号、個人の印影、候補者氏名、選挙運動用自動車の車種及び自動車登録番号(債権者が個人であるもの)並びに確認番号(以下「第1号該当情報」という。)は、特定の個人(公職の候補者又は債権者)を識別することができる個人に関する情報であるため、これに該当する。
    また、第1号該当情報については、次のとおり本号ただし書のいずれにも該当しない。
    • (a)ただし書アの該当性について
      各候補者の選挙運動費用に関しなされた寄付及びその他の収入並びに支出は、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第192条により公にされているが、同法第197条は、主として選挙運動のために使用される自動車を使用するために要した支出を公表対象から除外している。よって、本件行政文書は、公表対象から除外されている当該支出に関する文書であるため、第1号該当情報を公にする法令若しくは条例の規定又は慣行は存在しないので、ただし書アに該当しない。
    • (b)ただし書イの該当性について
      第1号該当情報を公にすることは、人の生命、健康、生活又は財産を保護するために必要であるとは認められないので、ただし書イに該当しない。
    • (c)ただし書ウの該当性について
      選挙運動は、公務員等の職務の遂行ではないので、ただし書ウに該当しない。
    • (d)ただし書エの該当性について
      「公益上公にすることが必要である情報として実施機関が定める情報」の内容は、条例施行規則第3条で定められているが、第1号該当情報は同条に該当しないので、ただし書エに該当しない。
  • (2)条例第7条第2号の該当性について
    条例第7条第2号では、法人等又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は事業を営む個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものを非公開情報と定めている。ただし、事業活動によって生じ、又は生ずるおそれのある危害から人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報については、非公開情報から除くこととしている。
    本件行政文書のうち、法人又は事業を営む個人の口座情報及び印影(以下「第2号該当情報1」という。)は、当該法人又は事業を営む個人が事業活動を行う上での重要な内部管理に属する情報であり、これらの情報を外部に対して明らかにするかどうかは、本来、当該法人又は事業を営む個人が自らの事業活動とのかかわりの中で自主的に決定すべきことであり、その事業活動にかかわりなく、条例により広く一般に公開することは、当該法人又は事業を営む個人に不利益を与えるおそれがあるので、本号本文に該当する。
    また、法人又は事業を営む個人である債権者の名称又は氏名、所在地又は住所、電話番号、法人にあってはその代表者の職氏名、選挙運動用自動車の車種及び自動車登録番号並びに債権者コード(以下「第2号該当情報2」という。)は、当該法人又は事業を営む個人の名称又は氏名を特定することができ、それらが締結する個々の契約の内容は競争上の地位を確立するために重要な情報であり、本件行政文書の公開部分に私的契約(候補者個人と法人又は事業を営む個人との契約)の内容が含まれていることから、本号本文に該当する。
    なお、人の生命、健康、生活又は財産を保護するために第2号該当情報1及び第2号該当情報2を公にする必要性は認められないので、ただし書には該当しない。

第5 審査会の判断理由

1 判断における基本的な考え方について

条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。
なお、非公開情報の該当性の判断に当たっては、実施機関が主張する非公開理由のうちのいずれかに該当すると判断した情報については、他の非公開理由の該当性についての判断は行わないものである。

2 本件行政文書の内容等について

本件行政文書のうち「請求書及びその添付書類」は、公営条例第4条の規定により、香川県議会議員選挙の候補者が選挙運動用自動車の使用のために結んだ契約に基づき、候補者の契約相手方(債権者)がその費用を知事に請求するために提出したものであり、選挙運動用自動車使用証明書、自動車燃料代確認書及び公費受領の委任状が添付されている。
また、「執行伺兼支出命令書」は、上記請求に対する支払いのために香川県会計規則(昭和39年規則第19号)に基づき作成した会計書類であり、「支出命令訂正通知書」は、口座名義等の相違により支払いができなかった支出命令を訂正するために作成した会計書類である。

3 非公開情報該当性について

  • (1)条例第7条第1号の該当性について
    条例第7条第1号は、個人の尊厳及び基本的人権の尊重の立場から、個人のプライバシーを最大限に保護するために定められたものであるが、プライバシーの具体的な内容が法的にも社会通念上も必ずしも明確ではなく、その内容や範囲は事項ごと、各個人によって異なり得ることから、本条例は、プライバシーであるか否か不明確な情報も含めて、特定の個人が識別され得る情報を包括的に非公開として保護することとした上で、さらに、個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものについても、非公開とすることを定めたものである。
    しかし、これらの個人に関する情報には、個人の権利利益を侵害しないと考えられ非公開とする必要のない情報及び公益上の必要があると認められる情報も含まれているので、これらの情報を本号ただし書で規定し、公開することを定めたものと解される。
    この基本的な考え方に基づき、実施機関が本号に該当するとして非公開とした部分について検討する。
    • (a)個人の印影及び口座情報
      これらの情報は、特定の個人を識別できる情報又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがある情報であると認められるので、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書のいずれにも該当しないと判断される。
    • (b)個人である債権者の氏名、住所及び電話番号
      これらの情報は、特定の個人を識別できる情報であるので、条例第7条第1号本文に該当すると判断される。
      次に、審査会で見分したところ、個人である債権者は、候補者のために選挙運動用自動車を運転した者及びその自動車を候補者に賃貸した者であるので、それぞれについてのただし書の該当性を検討する。
      まず、選挙運動用自動車を運転した者については、香川県議会議員の選挙運動に関してなされた支出は、公職選挙法第189条により、支出を受けた者の氏名又は団体名、住所又は所在地等を選挙運動費用収支報告書に記載し、香川県選挙管理委員会に提出しなければならない。そして、同法第192条により何人もその報告書を閲覧することができるが、同法第197条により選挙運動用自動車を使用するために要した支出は、その報告書の記載対象から除外されているので、選挙運動用自動車を運転した者の氏名、住所及び電話番号を閲覧することはできない。
      よって、選挙運動用自動車を運転した者の氏名、住所及び電話番号は、公にする法令若しくは条例の規定又は慣行はなく、公にすることが予定されている情報であるとは認められないので、ただし書アに該当しないととともに、ただし書イ、ウ及びエにも該当しないと判断される。
      次に、選挙運動用自動車を賃貸した者については、上記のとおり、選挙運動用自動車を使用するために要した支出が、選挙運動費用収支報告書の記載対象から除外されているので、選挙運動用自動車を賃貸した者の氏名、住所及び電話番号を閲覧することはできない。
      また、選挙運動用自動車は、選挙期間中に候補者氏名を掲示し連呼しながら選挙区内を走行しており、自動車登録番号は道路運送車両法(昭和26年法律第185号)第19条により周囲から見やすいように表示しなければならないため、その自動車登録番号を容易に見ることができる状態にあった。しかし、個人情報保護の観点から平成19年11月19日より自動車の登録事項等証明書(所有者等の氏名、住所等が記載されている。)の交付請求をするときは、自動車登録番号のほか車台番号も記載することが必要となったため、本件行政文書の公開請求があった平成19年11月20日以降に自動車登録番号からその自動車の所有者等を調べることは困難である。
      よって、選挙運動用自動車を賃貸した者の氏名、住所及び電話番号も、公にする法令若しくは条例の規定又は慣行はなく、公にすることが予定されている情報であるとは認められないので、ただし書アに該当しないととともに、ただし書イ、ウ及びエにも該当しないと判断される。
    • (c)法人である債権者の代表者の職氏名
      法人である債権者の代表者の職氏名について、条例第7条第1号の該当性を判断する前に、法人の名称についての条例第7条第2号の該当性を検討する。
      実施機関は、法人又は事業を営む個人である債権者の名称又は氏名については、それらが締結する個々の契約の内容が競争上の地位を確立するために重要な情報であり、本件行政文書の公開部分に私的契約(候補者個人と法人又は事業を営む個人との契約)の内容が含まれていることから、条例第7条第2号に該当すると主張している。
      しかし、公営条例により、選挙運動用自動車の使用に関する費用は、候補者が選挙運動用自動車の運送契約若しくは賃貸借契約又は燃料の売買契約を行った債権者に対して、直接県から支払われるものであるが、あくまで候補者が行う公の選挙運動のために支出されるものである。そして、公職選挙法に基づき行われる選挙運動の費用は、透明性を確保することが特に求められることを考慮すると、選挙運動用自動車に関してこのような契約をした法人又は事業を営む個人について、契約内容とともにその名称又は氏名を公にすることにより、その競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとまでは認められない。
      よって、条例第7条第2号に該当しないので、公開すべきであると判断される。
      次に、法人である債権者の代表者の職氏名について、条例第7条第1号の該当性を検討する。
      審査会で見分したところ、本件行政文書に記載されている債権者である法人は、株式会社、有限会社及び特定非営利活動法人(受領の委任を受けた者)であった。まず、株式会社及び有限会社の代表者の職氏名については、商業登記簿に記載されており、商業登記法(昭和38年法律第125号)第10条により、何人も登記簿に記録されている事項を証明した書面の交付を請求することができる。また、特定非営利活動法人の代表者の職氏名については、特定非営利活動促進法(平成10年法律第7号)第29条第2項により、所轄庁は、役員名簿等について閲覧の請求があった場合には閲覧させなければならないこととなっている。
      よって、法人である債権者の代表者の職氏名は、特定の個人を識別できる情報であるため、条例第7条第1号本文に該当するが、当該法人の名称は、上記のとおり公開すべきと判断され、その代表者の職氏名は、法令により公にされている情報であると認められるので、ただし書アに該当し、公開すべきであると判断される。
    • (d)候補者氏名
      実施機関は、候補者氏名については、公職選挙法第197条により選挙運動用自動車を使用するために要した支出が閲覧対象から除外されているため、公にする法令若しくは条例の規定又は慣行は存在しないので、非公開であると主張している。
      しかし、平成19年4月8日執行の香川県議会議員選挙の候補者氏名は、公職選挙法第86条の4第11項に基づき、平成19年3月30日付けの香川県報で各選挙区ごとに告示されており、新聞等によっても広く公表されている。また、選挙期間中には、候補者氏名を掲示した選挙運動用自動車により、候補者氏名を連呼しながら選挙区内を走行するなどの選挙運動が行われている。
      さらに、公営条例に基づき支出される公費は、候補者が選挙運動用自動車に関して契約した者に県から直接支出されるが、あくまで当該候補者のために支出されるものである。そして、公職選挙法に基づき行われる選挙運動の経費は、透明性が確保されることが特に求められることを考慮すると、公費支出の受益者となった候補者の氏名は、非公開にすべき性質のものではなく、公にすることが予定されている情報であると認められる。
      よって、候補者氏名は、特定の個人を識別できる情報であるため、条例第7条第1号本文に該当するが、公にすることが予定されている情報であると認められるので、ただし書アに該当し、公開すべきであると判断される。
    • (e)個人である債権者の選挙運動用自動車の車種及び自動車登録番号
      選挙運動用自動車は、選挙期間中に候補者氏名を掲示し連呼しながら選挙区内を走行しており、自動車登録番号は道路運送車両法第19条により周囲から見やすいように表示しなければならないため、その車種及び自動車登録番号を容易に見ることができる状態にあった。また、自動車登録番号を公開しても、上記(b)のとおりその自動車の所有者等を調べることは困難であるため、これらの情報は、特定の個人が識別できる情報とは認められない。
      よって、これらの情報は、特定の個人が識別できるものではなく、公にしても個人の権利利益を害するおそれがあるとは認められないため、条例第7条第1号に該当しないので、公開すべきであると判断される。
    • (f)確認番号
      確認番号については、各選挙区名の頭文字と届出受理番号からなっており、平成19年3月30日付け香川県報から候補者氏名を識別できる情報であるので、条例第7条第1号本文に該当する。しかし、上記(d)のとおり候補者氏名が、ただし書アに該当し、公開すべきであると判断されることから、候補者氏名と一体的な情報である確認番号を公開しても、候補者氏名が分かるだけであるので、同様にただし書アに該当し、公開すべきであると判断される。
  • (2)条例第7条第2号の該当性について
    条例第7条第2号は、法人等又は事業を営む個人の正当な利益を害することを防止する観点から、その事業活動の自由を保障し、公正な競争秩序を維持するため、公にすることにより、当該法人等又は事業を営む個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれのある情報を非公開とすることとした上で、それらに該当する情報であっても、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報については、公開することを定めたものであると解される。
    この基本的な考え方に基づき、実施機関が本号に該当するとして非公開とした部分について検討する。
    • (a)法人又は事業を営む個人の口座情報及び印影
      口座情報及び印影は、一般的に法人又は事業を営む個人が事業活動を行う上での重要な内部管理に属する情報であり、このような情報を外部に対して明らかにするかどうかは、本来法人又は事業を営む個人が自らの業務の関わりの中で自主的に決定すべきことであり、公開すべき相手方を限定する利益を有しているというべきである。しかしながら、このような情報であっても、当該法人又は事業を営む個人がそのような管理をしていないと認められる場合には、公開されてもその正当な利益を害するものとは認められない。
      本件処分により非公開とされた口座情報及び印影は、当該法人又は事業を営む個人が公営条例第4条に基づき実施機関に提出した請求書等に記載し、押印されているものであり、このような文書の相手先は、実施機関等に限定されていると考えられる。
      また、本件印影は、いずれも当該法人又は事業を営む個人が真正かつ真意に基づいて作成した文書であることを示すものであるとともに、特定の書類に限定して用いられ、当該法人又は事業を営む個人においてむやみに公にしていないものと認められることから、公にした場合には、その各種書類の偽造等に悪用されることなどが考えられる。
      よって、本件口座情報及び印影は、内部管理情報として取り扱われているものと判断され、当該法人又は事業を営む個人の事業活動に関わりなく、本条例により広く一般に公開することは、当該法人又は事業を営む個人の正当な意思、期待に反し、その正当な利益を害すると認められるので、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。
    • (b)法人又は事業を営む個人である債権者の名称又は氏名、所在地又は住所及び電話番号
      上記(1)の(c)のとおり、法人又は事業を営む個人である債権者の名称又は氏名は、条例第7条第2号に該当せず、公開すべきであると判断される。
      よって、その所在地又は住所及び電話番号についても、公開することにより、当該法人又は事業を営む個人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとまでは認められないため、条例第7条第2号に該当しないので、公開すべきであると判断される。
    • (c)法人又は事業を営む個人である債権者の選挙運動用自動車の車種及び自動車登録番号
      選挙運動用自動車は、選挙期間中に候補者氏名を掲示し連呼しながら選挙区内を走行しており、自動車登録番号は道路運送車両法第19条により周囲から見やすいように表示しなければならないため、その車種及び自動車登録番号を容易に見ることができる状態にあった。また、これらの情報を公開しても、その自動車を所有する法人又は事業を営む個人の資産の一部が明らかになるに過ぎず、当該法人又は事業を営む個人の競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるとまでは認められない。
      よって、これらの情報は、条例第7条第2号に該当しないので、公開すべきであると判断される。
    • (d)債権者コード
      債権者コードは、県が頻繁に支払いをする債権者に対して付した数字であり、その数字とともに債権者の名称又は氏名、所在地又は住所及び口座情報をコンピュータに登録しておくことにより、会計書類をコンピュータで作成する際にその数字を入力することによって、これらの情報の入力を省略できるものである。
      審査会で見分したところ、本件行政文書に記載されている債権者コードの債権者は、自動車を賃貸又はその燃料を販売した株式会社又は有限会社であった。また、その債権者コードを基に他の会計書類を公開請求した場合、債権者の名称及び所在地は上記(b)と同様に公開されると考えられるが、口座情報及び印影は上記(a)と同様に非公開になると考えられる。
      よって、債権者コードは、公開しても、上記(a)で非公開と判断された口座情報及び印影を公開することにはならないため、条例第7条第2号に該当しないので、公開すべきであると判断される。

4 第3の2異議申立ての理由のうち、(3)について

条例の解釈、運用に関するものでないので、審査会では判断しないものとする。

よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

第6 審査会の審査経過

当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり審査を行った。

(省略)

401号~450号 451号~500号 501号~

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