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公開日:2010年5月31日

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平成22年5月31日 答申第472号(香川県情報公開審査会答申)

平成22年5月31日(答申第472号)

答申

第1 香川県情報公開審査会(以下「審査会」という。)の結論

香川県知事(以下「実施機関」という。)が行った一部公開決定(以下「本件処分」という。)は、妥当である。

第2 異議申立てに至る経過

1 行政文書の公開請求

異議申立人は、平成21年7月13日付けで、香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号。以下「条例」という。)第5条の規定により、実施機関に対し、次の内容の行政文書の公開請求を行った。

  • (a)宗教法人に関するデーターベースの全部(以下「本件請求1」という。)
  • (b)宗教法人法に規定する法定の提出書類の未提出の宗教法人に対する提出督促に関する文書の起案文書及び督促状控え又は写し(平成15年度以降のものに限る)(以下「本件請求2」という。)

2 実施機関の決定

実施機関は、公開請求のあった行政文書として、本件請求1については、宗教法人データーベース(以下「本件行政文書1」という。)を、本件請求2については、「宗教法人法第25条第4項の規定に基づく事務所備付書類の写しの未提出法人に対する督促書について」の起案文書(平成16年度以降分)(以下「本件行政文書2」という。)を特定し、別表の左欄の「公開しない部分」が右欄の「公開しない理由」に該当するとして、本件処分を行い、平成21年7月27日付けで異議申立人に通知した。

3 異議申立て

異議申立人は、本件処分を不服として、平成21年7月29日付けで、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により、実施機関に対して異議申立てを行った。

第3 異議申立ての内容

1 異議申立ての趣旨

本件処分を取り消すとの決定を求めるというものである。

2 異議申立ての理由

異議申立書において主張している理由は、おおむね次のとおりである。

  • (1)本件処分は、条例の解釈適用を誤った違法な処分であり、本件処分を取り消し、全部公開をすべきである。
  • (2)本件「決定通知書」記載の非公開事由は、条例に規定する非公開事由に該当しない。
  • (3)本件「決定通知書」の非公開事由には、適法に処分理由が明示されていないので、香川県行政手続条例(平成7年条例第5号)第8条の規定に違反し、本件処分は無効である。

第4 実施機関の説明の要旨

非公開理由等説明書による説明は、おおむね次のとおりである。

1 本件行政文書1及び2の内容について

本件行政文書1は、知事を所轄庁とする各宗教法人について、宗教法人法第13条に基づく宗教法人の規則の認証申請書、同法第9条に基づく登記に関する届出、同法第25条第4項に基づき提出される書類などを基に、各宗教法人の名称、主たる事務所の所在地、代表役員の氏名、包括団体の名称、認証番号はもとより、文書や電話による連絡先、会計年度の区分、同法第25条第4項に基づき提出される書類の提出状況、不活動法人であるかどうかなどの情報をデータベースとして一覧表形式で作成し、逐次情報の更新・管理をしているものである。
本件行政文書2は、知事を所轄庁とする各宗教法人のうち、同法第25条第4項の規定により所轄庁へ提出する事務所備付書類の写(役員名簿、財産目録等)が未提出である法人に対して、提出を促すための督促書を送付するに当たっての起案文書である。
また、本件行政文書2は保存期間が各5年であることから、保存年限の経過している平成15年度以前のものは廃棄されており、次に掲げる平成16年度以降のものである。

  • (a)平成20年3月5日付け19総学第50948号の起案文書
  • (b)平成19年2月21日付け18総学第52921号の起案文書
  • (c)平成18年5月26日付け18総学第10796号の起案文書
  • (d)平成17年3月1日付け16総学第60515号の起案文書

2 非公開条項の該当性について

  • (1)条例第7条第1号の該当性について
    条例第7条第1号では、個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものを非公開情報と定めている。ただし、本号のただし書に掲げる情報については、非公開情報から除くこととしている。
    本件行政文書1のうち、「送付先」欄、「郵便番号2」欄、「所在地2」欄、「電話番号」欄の情報については、法人の意向に基づき、文書による連絡のために、「送付先」欄には法人、代表役員、又はそれら以外の宛名を、「郵便番号2」欄及び「所在地2」欄には主たる事務所の所在地、代表役員の住所、又はそれら以外の住所とその郵便番号を管理しているほか、電話による連絡のために「電話番号」欄には、法人、代表役員、又はそれら以外の電話番号を管理しており、公知の事実以外の個人を識別できる情報が含まれている。
    また、本件行政文書2のうち、(a)~(d)中の郵便番号2、所在地2、送付先の情報は、督促書の送付に当たり、文書による連絡のために管理している上記の情報を抽出したものであり、特定の個人が識別される可能性が極めて高いことに加えて、公にすることにより、個人の権利利益を害するおそれがある。
    よって、これらの情報は、条例第7条第1号に規定する非公開情報に該当する。
  • (2)条例第7条第2号の該当性について
    条例第7条第2号では、法人等に関する情報又は事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、公にすることにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものを非公開情報と定めている。ただし、事業活動によって生じ、又は生ずるおそれのある危害から人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報については、非公開情報から除くこととしている。
    本件行政文書1のうち、「送付先」欄、「郵便番号2」欄、「所在地2」欄、「電話番号」欄の情報については、法人の意向に基づき、文書による連絡のために、「送付先」欄には法人、代表役員、又はそれら以外の宛名を、「郵便番号2」欄及び「所在地2」欄には主たる事務所の所在地、代表役員の住所、又はそれら以外の住所とその郵便番号を管理しているほか、電話による連絡のために「電話番号」欄には、法人、代表役員、又はそれら以外の電話番号を管理しており、公知の事実以外の法人の内部管理情報が含まれている。
    また、本件行政文書2のうち、(a)~(d)中の郵便番号2、所在地2、送付先の情報は、督促書の送付に当たり、文書による連絡のために管理している上記の情報を抽出したものであり、当該法人の公知の事実である登記事項以外の内部管理情報が含まれている。
    よって、これらの情報は、公にすることにより、当該法人の権利その他正当な利益を害するおそれがあることから、条例第7条第2号に規定する非公開情報に該当する。
  • (3)条例第7条第4号の該当性について
    条例第7条第4号では、県の機関等が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものを非公開情報と定めている。
    宗務行政の一つに、不活動法人の解散を促進し法人格の悪用を防止する不活動法人対策があるが、どの法人が現在不活動状態にあるかとの情報は、不活動宗教法人の法人格を買収して脱税等に悪用する契機を与えることにもなりかねず、不活動法人対策に支障を来たすおそれがある。このため、宗教法人が活動していることを把握する手段の一つである宗教法人法第25条第4項に基づき提出される書類(役員名簿、財産目録等)の提出状況については、これを公開すればどの法人が現在不活動状態にあるかとの情報を開示する結果となるため、国においても存否を明らかにすることなく開示を拒否することとなっている。
    本件行政文書1のうち、「不活動」欄、「左の認定年度」欄については、公開することにより、正しく不活動宗教法人名を公表することになり、不活動法人対策に支障を来たすおそれがある。また、本件行政文書1の事務所備付書類の写しの提出状況を記載した欄(11~20年度分、チェック11~20)についても、公開することにより、どの宗教法人が不活動宗教法人であるかどうかを特定することになりかねないので、不活動法人対策に支障を来たすおそれがある。
    よって、これらの情報は、公にすることにより、宗務行政の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることから、条例第7条第4号に規定する非公開情報に該当する。
    また、本件行政文書2のうち、(a)~(d)中の宗教法人の認証番号、名称、所在地、代表役員、郵便番号2、所在地2、送付先の情報については、督促書を送付した法人を特定する情報であり、つまりは同法第25条第4項に基づき提出される書類(役員名簿、財産目録等)の提出状況と同じく、公開することにより、どの宗教法人が不活動宗教法人であるかどうかを特定することになりかねないので、不活動法人対策に支障を来たすおそれがある。
    よって、これらの情報は、公にすることにより、宗務行政の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることから、条例第7条第4号に規定する非公開情報に該当する。

第5 審査会の判断理由

1 判断における基本的な考え方について

条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。
なお、非公開情報の該当性の判断に当たっては、実施機関が主張する非公開理由のうちのいずれかに該当すると判断した情報については、他の非公開理由の該当性についての判断は行わないものである。

2 本件行政文書の内容について

本件行政文書1は、県を所轄庁とする宗教法人のデーターベースであり、番号、認証番号、宗派、包括団体、名称、郵便番号、所在地、代表役員、代表役員の郵便番号、代表役員の住所、送付先、郵便番号2、所在地2、電話番号、会計年度、宗教法人法第25条第4項の規定に基づく事務所備付書類の年度ごとの提出日及び提出の有無のチェック、不活動か否か、不活動を認定した年度等を記載する欄がある。
本件行政文書2は、実施機関が同法第25条第4項の規定に基づく事務所備付書類を提出していない宗教法人に対して、督促書等を送付する際の起案文書であり、起案理由、督促書及び催告書の案文、認証番号、宗派、名称、所在地、代表役員、郵便番号2、所在地2、送付先及び当該書類の提出状況等が記載された督促書等送付先の宗教法人一覧表並びに提出書類の様式等が添付されている。

3 非公開条項該当性について

条例第7条第2号は、法人等又は事業を営む個人の正当な利益を害することを防止する観点から、その事業活動の自由を保障し、公正な競争秩序を維持するため、公にすることにより当該法人等又は事業を営む個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれのある情報を非公開とすることとした上で、それらに該当する情報であっても、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報については、公開することを定めたものであると解される。
条例第7条第4号は、県の機関等が行う事務又は事業の目的達成又は適正な執行の確保の観点から、当該事務又は事業に関する情報の中で、当該事務又は事業の性質、目的等からみて、執行前あるいは執行過程で公開することにより、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報については、非公開とすることを定めたものであると解される。
この基本的な考え方に基づき、実施機関が非公開とした部分について検討する。

  • (1)本件行政文書1の「送付先」欄、「郵便番号2」欄、「所在地2」欄及び「電話番号」欄について
    当該非公開部分には、「送付先」欄に宗教法人の名称や個人の氏名、「郵便番号2」欄に郵便番号、「所在地2」欄に所在地又は住所、「電話番号」欄に電話番号が記載されており、これらの情報は、県が所轄する宗教法人の連絡先に関する情報である。
    宗教法人が信者その他の利害関係人等にその連絡先を明らかにするのは当然であるとしても、通常、このような情報は必ずしも一般に公にされているものではなく、宗教法人の管理運営上の内部管理に属する情報であると認められる。
    また、これらの情報には、宗教法人から連絡用に提供された情報が少なからず含まれており、そうした情報については法人登記簿にも記載されていない情報であることから、これを誰に対して、どの範囲で明らかにするのかは、宗教法人が自らの意思で決定すべきことであり、その意思とは関係なくこれらの情報を公にすれば、宗教法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあると認められる。
    よって、これらの情報は、条例第7条第2号に該当すると判断される。
  • (2)本件行政文書1の事務所備付書類の写しの提出状況を記載した欄(11~20年度分、チェック11~20)、「不活動」欄及び「左の認定年度」欄について
    当該非公開部分のうち「不活動」欄には不活動法人であるか否かが、また「左の認定年度」欄には不活動法人であることを認定した年度が記載されており、これらの情報は不活動法人を特定できる情報と認められる。
    また、事務所備付書類の写しの提出状況を記載した欄には、宗教法人法第25条第4項の規定に基づき毎会計年度終了後4月以内に提出される事務所備付書類の写しの提出日及び提出の有無が年度ごとに記載されており、その提出状況から宗教法人の活動状態を把握することが可能になることから、これらの情報は不活動法人の特定に役立つ情報と認められる。
    このような不活動法人の特定につながる情報については、公にすることにより、不活動法人の法人格を買収して悪用する契機を与えることにもなりかねず、不活動法人の解散を推進し、法人格の悪用を防止するといった不活動法人対策に関する事務の適切な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる。
    よって、これらの情報は、条例第7条第4号に該当すると判断される。
  • (3)行政文書2の宗教法人の認証番号、名称、郵便番号、所在地、代表役員、郵便番号2、所在地2、送付先等が記載された部分について
    当該非公開部分には、宗教法人法第25条第4項の規定に基づき提出される事務所備付書類の写しを法定期限までに提出しなかった宗教法人の名称、所在地、代表役員、認証番号、文書の送付先等の情報が記載されており、これらの情報は上記(2)と同様に不活動法人の特定につながる情報と認められる。
    このような情報については、公にすることにより、不活動法人の法人格を買収して悪用する契機を与えることにもなりかねず、不活動法人の解散を推進し、法人格の悪用を防止するといった不活動法人対策に関する事務の適切な遂行に支障を及ぼすおそれがあると認められる。
    よって、これらの情報は、条例第7条第4号に該当すると判断される。

4 第3の2の異議申立ての理由のうち、(3)について

条例の解釈、運用に関するものでないので、審査会では判断しないものとする。

よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

第6 審査会の審査経過

当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり審査を行った。
(省略)

別表 

本件行政文書1
公開しない部分 公開しない理由
「送付先」欄、「郵便番号2」欄、「所在地2」欄、「電話番号」欄 (条例第7条第1号本文該当)
特定の個人が識別され得る個人の情報に該当するため
(条例第7条第2号本文該当)
当該法人の内部管理情報であり、公にすることにより、当該法人の権利その他正当な利益を害するおそれがあるため
事務所備付書類の写しの提出状況を記載した欄(11~20年度分、チェック11~20)、不活動欄、左の認定年度欄 (条例第7条第4号該当)
公にすることにより、宗教法人格の悪用を防止する不活動法人対策など宗務行政の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため
本件行政文書2
公開しない部分 公開しない理由
平成20年3月5日付け19総学第50948号の起案文書中の宗教法人の認証番号、名称、所在地、代表役員、所在地2、送付先が記載された部分 (条例第7条第1号本文該当)
特定の個人が識別され得る個人の情報に該当するため
(条例第7条第2号本文該当)
当該法人の内部管理情報であり、公にすることにより、当該法人の権利その他正当な利益を害するおそれがあるため
(条例第7条第4号該当)
公にすることにより、宗教法人格の悪用を防止する不活動法人対策など宗務行政の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため
平成19年2月21日付け18総学第52921号の起案文書中の宗教法人の認証番号、名称、郵便番号、所在地、代表役員、郵便番号2、所在地2、送付先が記載された部分
平成18年5月26日付け18総学第10796号の起案文書中の宗教法人の認証番号、名称、所在地、代表役員、郵便番号2、所在地2、送付先が記載された部分
平成17年3月1日付け16総学第60515号の起案文書中の宗教法人の認証番号、名称、所在地、代表役員、郵便番号2、所在地2、送付先が記載された部分

401号~450号 451号~500号 501号~

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