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公開日:2012年12月3日

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平成24年12月3日 答申第496号(香川県情報公開審査会答申)

平成24年12月3日(答申第496号)

答申

第1 香川県情報公開審査会(以下「審査会」という。)の結論

香川県知事(以下「実施機関」という。)が行った一部公開決定(以下「本件処分」という。)により非公開とした部分のうち、香川県介護保険審査会会議録(平成21年9月10日平成21年介審第1号)(以下「本件行政文書1」という。)の13頁3行目から4行目及び香川県介護保険審査会会議録(平成22年5月27日平成21年介審11号・12号)(以下「本件行政文書2」という。)の2頁13行目から14行目については、公開すべきである。

第2 異議申立てに至る経過

1 行政文書の公開請求

異議申立人は、平成23年9月7日付けで、香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号。以下「条例」という。)第5条の規定により、実施機関に対し、次の内容の行政文書の公開請求を行った。

  • (1)平成21年9月10日の香川県介護保険審査会の議事録
  • (2)平成22年5月27日の香川県介護保険審査会の議事録
  • (3)合計5名の委員の発言内容と○○氏の発言内容(以下(1)、(2)及び(3)の請求を併せて「本件請求」という。)
  • (4)合計5名の委員の名前(姓名)(以下「本件請求外請求1」という。)
  • (5)合計5名の委員の経歴(以下「本件請求外請求2」という。)
  • (6)平成21年8月6日に、○○氏と保健しの××さん、保健師の△△さんがショートステイ先で聞き取りした記録(県職員3名が質問した詳しい内容とそれに対する回答・介護職員の名前は不要)(以下「本件請求外請求3」という。)

2 実施機関の決定

  • (1)本件請求について
    実施機関は、本件請求に対しては、本件行政文書1及び2(以下「本件行政文書」という。)を特定し、別表の左欄の「公開しない部分」が右欄の「公開しない理由」に該当するとして本件処分を行い、平成23年9月22日付けで異議申立人に通知した。
  • (2)本件請求外請求1について
    実施機関は、公開請求のあった行政文書として、香川県介護保険審査会委員名簿(合議体の構成)(平成21年4月28日現在)及び香川県介護保険審査会委員名簿(合議体の構成)(平成22年4月1日現在)を特定し、公開決定を行い、平成23年9月22日付けで異議申立人に通知した。
  • (3)本件請求外請求2及び3について
    本件請求外請求2に対しては、請求対象となる行政文書が不存在であるとして、本件請求外請求3に対しては、請求対象となる行政文書が存在しているか否か答えるだけで、県が、特定のショートステイを利用している特定個人に関する聞き取り調査を行ったか否かという条例第7条第1号の非公開情報である個人情報を明らかにすることになるので、条例第10条の規定に該当するとして非公開決定を行い、平成23年9月22日付けで異議申立人に通知した。

3 異議申立て

異議申立人は、本件処分及び非公開決定処分を不服として、平成23年11月21日付けで、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により、実施機関に対して、併合して異議申立てを行った。

4 諮問

諮問庁は、併合して提起された異議申立てに対して分離して審理することとし、平成24年1月12日に異議申立人に通知し、本件処分と非公開決定処分に係る異議申立てをそれぞれ諮問した。

第3 異議申立ての内容

1 異議申立ての趣旨

「異議申立てに係る処分を取り消し、対象文書の全部を公開するように求める」というものである。

2 異議申立ての理由

異議申立書において主張している理由は、おおむね次のとおりである。

  • (1)異議申立人が公開を請求している行政文書は、同人が実母の要介護認定処分を不服とし、実母の審査請求代理人として香川県介護保険審査会(以下「介護保険審査会」という。)に対して行った審査請求に関連して、介護保険審査会の事務局である保険者指導グループ(以下「指導グループ」という。)が作成したものであり、指導グループには、公務員として、職務上で知り得た個人情報を漏らしてはならないという守秘義務が課せられているため、指導グループと異議申立人以外の人物が、この対象文書についてその存否を含めて知る由もないはずである。
    故に、異議申立人以外の人物が公開を請求することはあり得ず、実施機関が実母の審査請求代理人として審査請求を行なった異議申立人に対し、対象文書を公開しても、個人(実母)の権利利益を害するおそれは皆無である。
  • (2)県職員3名は、認定調査員テキストの基本的な内容さえ正しく理解できていなかったため、ショートステイ先の介護職員の方々に対し、無茶苦茶な質問しかできず、県職員3名の著しい能力不足のため、事実誤認だらけの情報しか得られなかった。この情報を基にして、介護保険審査会の委員(以下「委員」という。)が審議を行い、誤った裁決結果を出した。
    異議申立人が、県職員3名によって行なわれた実母に関する聞き取り内容を精査し、いかに杜撰な聞き取りであったかを確認することや、介護保険審査会の審議過程における委員達の発言内容と実質的に審議の進行を牛耳っていた○○氏の発言内容を精査することは、実母の審査請求代理人として審査請求を行い、不当な裁決しか得られなかった異議申立人の当然の権利である。
  • (3)指導グループが、異議申立人が求めている対象文書の公開の請求を拒否しているのは、偏に、指導グループの所属担当の職員達の職務遂行能力がいかに劣っているかが、異議申立人によって暴露されるのを隠蔽したいがために他ならない。

3 意見書による主張

意見書による主張は、おおむね次のとおりである。

  • (1)異議申立ての対象となっている行政文書は、全て異議申立人が実母の審査請求代理人として審査請求を行った事柄に関して、指導グループが作成したものであり、その存否を含め、当該文書について認知している者は、同グループと異議申立人しかいないはずである。つまり、当該文書の公開を請求する者は、異議申立人しかいないはずである。
  • (2)条例第7条第1号の該当性について
    個人の氏名及び印影と口頭意見陳述書について、公開する必要はない。
    特定個人を対象とした要支援・要介護認定の審査に関する部分については、特定個人の氏名を公開しなければ、個人を特定できないので当該個人の権利利益を害することはない。
    よって、条例第7条第1号には該当しないと考えられる。
  • (3)条例第7条第4号の該当性について
    個別の委員の発言内容を公開するにあたっては、各委員の氏名を表記する必要は皆無である。例えば、A委員の発言内容、B委員の発言内容、C委員の発言内容という表記にすれば、どの委員の発言内容かという特定ができないはずである。
    平成21年9月25日付けの裁決書は、平成21年8月6日に、○○氏を中心とする指導グループの3名の県職員がショートステイに出向き、聞き取りを行った情報や、平成21年4月20日に自宅で認定調査を行った??市の認定調査員に対して聞き取りをした情報を基に、3名の県職員が裁決書の素案を作成したものであるが、委員は、県職員が収集した情報が事実誤認だらけであることは知る由もなかった。
    よって、5人の委員には、何の責任も問えない状況であった以上、個別の委員の発言内容を公開しても、当事者や第三者からの不当な干渉や圧力を受けるおそれや、審議における委員の自由な議論を妨げる可能性は、皆無である。同様の理由で、介護保険審査会終了後であっても、個別の委員への不当な干渉や圧力が生じ得ないので、以後の委員就任についても支障をきたすおそれもなく、介護保険審査会を開催できなくなるおそれもない。
    よって、条例第7条第4号に該当しないと考えられる。
    上記の理由から、事前に裁決書の素案を作成し、実質的に素案の記載に添うように委員を誘導した介護保険審査会事務局職員(以下「事務局職員」という。)による審議の進行管理に関する部分については、公開しても、個別の委員への不当な干渉や圧力につながるおそれは皆無である。
    よって、各委員の発言内容と同様、条例第7条第4号に該当しないと考えられる。

4 意見陳述による主張

意見陳述による主張は、おおむね次のとおりである。
公開を請求している行政文書については、公開を請求する者は私以外にはあり得ないので、公開を切望する。
そして、その公開された文書をしっかりと精査することにより、いかに、指導グループが認定調査における基本的な内容さえ正しく理解していないかを同グループに認識させ、改善させたい。

第4 実施機関の説明の要旨

非公開理由等説明書による説明は、おおむね次のとおりである。

1 条例第7条第1号の該当性について

条例第7条第1号では、個人に関する情報であって、当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等により特定の個人を識別することができるもの又は特定の個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお、個人の権利利益を害するおそれがあるものを非公開情報と定めている。ただし、本号のただし書きに掲げる情報については、非公開情報から除くこととしている。
本件行政文書のうち、非公開部分(1)個人の氏名及び合議体長個人の印影、(2)口頭意見陳述書及び(3)特定個人を対象とした要支援・要介護認定の審査に関する部分については、特定個人に関する情報で、特定の個人を識別することができるものである。
また、要支援・要介護認定の調査に際しては、個人の「能力」、「介助の方法」、「障害や現象(行動)の有無」という3つの評価軸で、個人の状態や介護の手間を把握するための調査を実施しており、その調査の状況や結果を公開することは、当該個人の介護の状況や、必要性等を明らかにすることになり、当該個人の権利利益を害することになる。

2 条例第7条第4号の該当性について

条例第7条第4号では、県の機関等が行う事務又は事業に関する情報であって、公にすることにより、当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものを非公開情報と定めている。
本件行政文書のうち、本号に該当するものとして、非公開にしたのは、委員が意見を述べている部分及び事務局職員による審議の進行管理に関する部分である。
委員各人が述べた個人の意見については、各委員の識見に基づいて、それぞれの立場や視点から意見を述べたものであり、個別の委員の発言内容を公開すれば、当事者や第三者からの不当な干渉や圧力を受けるおそれや、審議における委員の自由な議論を妨げる可能性がある。また、介護保険審査会終了後であっても、個別の委員への不当な干渉や圧力が生じた場合には、以後の委員就任についても支障をきたし、介護保険審査会を開催できなくなるおそれがある。
よって、条例第7条第4号に該当すると考えられる。
また、事務局職員による審議の進行管理に関する部分については、各委員の発言内容について、適宜、事務局による補足説明等を行った内容であり、各委員の発言内容と密接に関連しているため、この内容を公開することで、個別委員の発言内容が推定されることから、全体として、個別の委員への不当な干渉や圧力につながるおそれがある。
よって、各委員の発言内容と同様、条例第7条第4号に該当すると考えられる。

第5 審査会の判断理由

1 判断における基本的な考え方について

条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。
なお、非公開情報の該当性の判断に当たっては、実施機関が主張する非公開理由のうちのいずれかに該当すると判断した情報については、他の非公開理由の該当性についての判断は行わないものである。

2 本件行政文書の内容について

本件行政文書は、介護保険法(平成9年法律第123号)第184条に基づき設置され、同法第183条第1項の規定による保険給付に関する処分(被保険者証の交付の請求に関する処分及び要介護認定又は要支援認定に関する処分を含む。)又は保険料その他この法律の規定による徴収金に関する処分に対する不服の審査を行っている介護保険審査会において審査を行った際の議事録であり、これには、審査請求代理人の口頭意見陳述書が添付されている。

3 非公開情報該当性について

条例第7条第1号は、個人の尊厳及び基本的人権の尊重の立場から、個人のプライバシーを最大限に保護するために定められたものであるが、プライバシーの具体的な内容が法的にも社会通念上も必ずしも明確ではなく、その内容や範囲は事項ごと、各個人によって異なり得ることから、本条例は、プライバシーであるか否か不明確な情報も含めて、特定の個人が識別され得る情報を包括的に非公開として保護することとした上で、さらに、個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお、個人の権利利益を害するおそれがあるものについても、非公開とすることを定めたものである。
しかし、これらの個人に関する情報には、個人の権利利益を侵害しないと考えられ非公開とする必要のない情報及び公益上の必要があると認められる情報も含まれているので、これらの情報を本号ただし書きで規定し、公開することを定めたものと解される。
条例第7条第4号は、県の機関等が行う事務又は事業の目的達成又は適正な執行の確保の観点から、当該事務又は事業に関する情報の中で、当該事務又は事業の性質、目的等からみて、公開することにより、将来の当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報については、非公開とすることを定めたものであると解される。
この基本的な考え方に基づき、実施機関が非公開とした部分について以下のとおり判断する。

  • (1)「個人の氏名及び印影」、「口頭意見陳述書」について
    異議申立人が公開する必要がないと意見書等で主張しているので判断しない。
  • (2)「特定個人を対象とした要支援・要介護認定の審査に関する部分」について
    本件行政文書には、主に審査請求代理人の口頭意見陳述について委員から審査請求代理人に対して質問、それに対する回答をした部分及び「審査請求内容整理表」に沿って具体的に審議・検討した部分並びにその結果等が記載されている。
    • (a)審査請求代理人の発言部分について
      これは、審査請求代理人の口頭意見陳述について委員から同人に対して質問、それに対する回答をした部分である。これらはいずれも個人に関する情報であって、審査請求代理人の発言については、その記載から直ちに特定の個人を識別することはできないが、同人が特定個人に関連して行った行動やそれに対する考え並びに同人が考える特定個人の症状などについて率直な意見が記載されたものであるので、公にすることにより、なお当該個人の権利利益を害するおそれがあることから、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書きに該当しないと判断される。
    • (b)委員(議長を除く)の発言部分について
      これは、審査請求代理人の口頭意見陳述について委員から同人に対して質問した部分及び介護保険審査請求に対して具体的に審議・検討した部分であり、特定個人の能力や介助の方法などの状態や介護の手間を把握するための調査等を基に各委員がそれぞれの立場や視点から特定個人について要介護状況や必要性について意見を述べたり、処分の妥当性について検討したことが記載されている。
      これらのうち、審査請求代理人の口頭意見陳述に関連して同人に質問した部分については、全体として審査請求代理人及び特定個人についての個人に関する情報であって、その記載から直ちに特定の個人を識別することはできないとしても、公にすることにより、なお当該個人の権利利益を害するおそれがあることから、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書きに該当しないと判断される。
      争点となっている認定調査項目の調査結果について特定個人の具体的な心身の状況等について意見等を記載している部分は、全体として個人に関する情報であって、その記載から直ちに特定の個人を識別することはできないとしても、公にすることにより、なお当該個人の権利利益を害するおそれがあることから、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書きに該当しないと判断される。
      条例第7条第1号本文に該当しないが、審議に関連して発言した部分については、介護保険審査会は、審査請求がなされた場合、各委員がそれぞれの専門的な知識や識見に基づき合議体として議論を尽くし、審査請求の当否について決定を行い、理由を付した裁決書によってその結論を審査請求人に通知するもので、準司法的な機能を有するものであり、その性格上、介護保険審査会の各委員については、より適切かつ公平・中立な判断が強く求められることから審査の過程における各委員に対する不当な干渉や圧力を排除し、自由かつ率直な意見交換が必要であるところ、それが公開されることにより、発言した委員名が明らかにされていることから、外部の利害関係者から何らかの働きかけが行われたり、非難・中傷や個人の責任が問われたりすることなどをおそれて率直に意見を交換することを躊躇するなど、公正かつ円滑な審議に支障を及ぼすおそれがあると認められる。さらに、介護保険審査会は、審査請求に係る処分の被処分者の心身の状態や生活状況など被処分者等のプライバシー一般や人格に深く関わる内容等について発言し、要介護・要支援認定という個人の権利・利益に深く係わることを審議することから、介護保険審査会で発言した内容が公開されるとすると、個別の委員への不当な干渉や圧力のほか、非難・中傷を受けたり、自己の発言が関係者に与える影響や個人の責任を問われることを危惧し、就任を躊躇するなど今後の委員就任について支障を及ぼすおそれがあると認められる。
      よって、条例第7条第4号に該当すると考えられる。
    • (c)議長の発言部分について
      これは、審議する委員として発言した部分と議長として各委員の意見を取りまとめたり議事を進行するための発言等が記載されている。
      これらのうち、議長の議事進行をしているなかで、争点項目を明らかにしている部分については、特定個人の要介護認定の妥当性について審議するなかでどの項目が争点となっているかがわかるもので、特定個人の心身の状態や生活の状況等をうかがわせる情報であり、特定個人にとって重大な情報であるため、このような情報については、広く一般に公開されることを望まないのが通常であると認められる。よって、その記載から直ちに特定の個人を識別することはできないとしても、公にすることにより、なお当該個人の権利利益を害するおそれがあることから、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書きに該当しないと判断される。
      委員の視点から発言した部分及び議長として各委員の意見を取りまとめたり、各争点について検討した結果を発言している部分については、審査請求代理人に対して口頭意見陳述に関連した内容を質問したり、専門的識見を持った委員としてそれぞれの立場や視点から特定個人について要介護状況や必要性等について意見を述べたりしたものであり、全体として審査請求代理人及び特定個人についての個人に関する情報であって、その記載から直ちに特定の個人を識別することはできないとしても、公にすることにより、なお当該個人の権利利益を害するおそれがあることから、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書きに該当しないと判断される。
      条例第7条第1号本文に該当しないが、審議に関連して発言した部分については、介護保険審査会は、審査請求がなされた場合、各委員がそれぞれの専門的な知識や識見に基づき合議体として議論を尽くし、審査請求の当否について決定を行い、理由を付した裁決書によってその結論を審査請求人に通知するもので、準司法的な機能を有するものであり、その性格上、介護保険審査会の各委員については、より適切かつ公平・中立な判断が強く求められることから審査の過程における各委員に対する不当な干渉や圧力を排除し、自由かつ率直な意見交換が必要であるところ、それが公開されることにより、発言した委員名が明らかにされていることから、外部の利害関係者から何らかの働きかけが行われたり、非難・中傷や個人の責任が問われたりすることなどをおそれて率直に意見を交換することを躊躇するなど、公正かつ円滑な審議に支障を及ぼすおそれがあると認められる。さらに、介護保険審査会は、審査請求に係る処分の被処分者の心身の状態や生活状況など被処分者等のプライバシー一般や人格に深く関わる内容等について発言し、要介護・要支援認定という個人の権利・利益に深く係わることを審議することから、介護保険審査会で発言した内容が公開されるとすると、個別の委員への不当な干渉や圧力のほか、非難・中傷を受けたり、自己の発言が関係者に与える影響や個人の責任を問われることを危惧し、就任を躊躇するなど今後の委員就任について支障を及ぼすおそれがあると認められる。
      よって、条例第7条第4号に該当すると考えられる。
    • (d)事務局職員の説明内容及び発言部分について
      これは、議長や各委員の発言内容等について、事務局として補足説明等を行ったり、審議に関連しての発言等が記載されている。
      これらのうち、事務局職員の説明内容のなかで、争点項目を明らかにしている部分については、特定個人の要介護認定の妥当性について審議するなかでどの項目が争点となっているかがわかるもので、特定個人の心身の状態や生活の状況等をうかがわせる情報であり、特定個人にとって重大な情報であるため、このような情報については、広く一般に公開されることを望まないのが通常であると認められる。よって、その記載から直ちに特定の個人を識別することはできないとしても、公にすることにより、なお当該個人の権利利益を害するおそれがあることから、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書きに該当しないと判断される。
      議長や各委員の発言内容等について事務局として補足説明等を行い、特定個人の心身の状況等について発言している部分については、特定個人についての個人に関する情報であって、その記載から直ちに特定の個人を識別することはできないとしても、公にすることにより、なお当該個人の権利利益を害するおそれがあることから、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書きに該当しないと判断される。
      条例第7条第1号本文に該当しないが、議事進行に当たって事務局が説明した部分や議長から事務局に対して争点項目について検討するに当たって認定調査項目に対する選択肢の説明を求められ回答した部分、本介護保険審査案件の法的問題について発言した部分など当該審議に関連して発言した部分については、各委員の発言内容と密接に関連しているため、この内容を公開すると、個別の委員の発言内容が推測されることから、委員に対し、外部の利害関係者から何らかの働きかけが行われたり、非難・中傷や個人の責任が問われたりすることなどをおそれて率直に意見を交換することを躊躇するなど、公正かつ円滑な審議に支障を及ぼすおそれがあると認められる。さらに、介護保険審査会は、審査請求に係る処分の被処分者の心身の状態や生活状況など被処分者等のプライバシー一般や人格に深く関わる内容等について発言し、要介護・要支援認定という個人の権利・利益に深く係わることを審議することから、介護保険審査会で発言した内容が公開されるとすると、個別の委員への不当な干渉や圧力のほか、非難・中傷を受けたり、自己の発言が関係者に与える影響や個人の責任を問われることを危惧し、就任を躊躇するなど今後の委員就任について支障を及ぼすおそれがあると認められる。
      よって、条例第7条第4号に該当すると考えられる。
    • (e)本件行政文書1の13頁の12行目から26行目について
      審査会で見分したところ、特定個人の審議の争点となった項目やその際の決定した内容、それに関連した事項などが記載されていることから、全体として個人に関する情報であって、その記載から直ちに特定の個人を識別することはできないとしても、公にすることにより、なお当該個人の権利利益を害するおそれがあることから、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書きに該当しないと判断される。
    • (f)本件行政文書1の13頁3行目から4行目及び本件行政文書2の2頁13行目から14行目について
      審査会で見分したところ、議長による単なる議事進行であり、非公開情報が含まれていないことから公開すべきである。

4 異議申立人のその他の主張について

異議申立人は、同人以外の人物が公開を請求することはあり得ず、実施機関が、介護保険審査請求人の代理人として審査請求を行った異議申立人に対し、対象文書を公開しても、特定個人の権利利益を害するおそれは皆無であると主張している。
しかしながら、条例による請求は、請求の目的のいかんを問わずいずれの請求権者に対しても等しく認められているものであり、異議申立人が議事録を請求している介護保険審査会の当事者等であるか否かは、条例の公開・非公開の判断に影響を与えるものではないので、異議申立人の当該主張は当たらない。
また、異議申立人は、その他種々の主張をしているが、いずれも当審査会の上記判断を左右するものではない。

よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

第6 審査会の審査経過

(省略)

別表
公開しない部分 公開しない理由
個人の氏名及び印影

口頭意見陳述書
(条例第7条第1号本文該当)
特定の個人を識別することができる情報又は特定の個人を識別できないが、なお個人の権利利益を害するおそれがある情報であるため
特定個人を対象とした要支援・要介護認定の審査に関する部分
  • (条例第7条第1号本文該当)
    特定の個人を識別することができる情報又は特定の個人を識別できないが、なお個人の権利利益を害するおそれがある情報であるため
  • (条例第7条第4号該当)
    各委員の検討状況を詳細に記録した会議録を公開すれば、外部からの圧力や干渉等などによって、各委員の率直な意見交換又は意思決定の中立性が損なわれ、現在及び将来の審査会の運営に支障が生じるおそれがあるため

401号~450号 451号~500号 501号~

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