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公開日:2017年12月26日

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平成29年12月26日 答申第527号(香川県情報公開審査会答申)

平成29年12月26日(答申第527号)

答申

第1 香川県情報公開審査会(以下「審査会」という。)の結論

香川県知事(以下「実施機関」という。)が不存在を理由として行った非公開決定(以下「本件処分」という。)は妥当である。

第2 審査請求に至る経緯

1 行政文書の公開請求

審査請求人は、平成29年1月27日付けで、香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号。以下「条例」という。)第5条の規定により、実施機関に対し、次の内容の公開請求を行った。

平成22~28年度予算で空港振興対策事業のうち、航空会社の運航経費等に対する支援の支出の額が分かる行政文書

2 実施機関の決定

実施機関は、本件請求に対しては、公開請求のあった行政文書が不存在として本件処分を行い、平成29年2月10日付けで審査請求人に通知した。

3 審査請求

審査請求人は、本件処分を不服として、平成29年2月22日付けで、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第2条の規定により実施機関に対して審査請求を行った。

第3 審査請求の内容

1 審査請求の趣旨

「本件処分を取り消すとの裁決を求める。」というものである。

2 審査請求の理由

審査請求書において主張している理由は、次のとおりである。

  • ア 行政文書非公開決定通知書の公開しない理由において記載のあった高松空港振興期成会(以下「期成会」という。)の会長は香川県知事であり、航空会社の運航経費等に対する支援の支出に関する書類の提出を受けていないことが理解できない。提出を受けるべき書類を受けていないことを理由とした非公開決定は納得できない。
  • イ 税金の使い道を公に明らかにすることは行政機関の義務であり、使途不明のままにすることは住民に対するサービスを怠っているとしかいえないから。

3 反論書による主張

概ね次のとおりである。

  • (1)「香川県知事は期成会の会員であるが、期成会は、高松空港における航空路線網の整備拡充並びに他空港との交流の推進を行うことを目的に設立された任意団体であり、実施機関とは別個独立の団体である。また、実施機関は期成会に対し負担金を支出しており、その負担金の使途については、期成会の総会資料を取得し、確認できているため、本件請求に対応する、期成会から航空会社への運航経費等に対する支援の支出に関する文書までは取得していない。」とあるが「文書まで取得していない」のはなぜか、理由を明らかにされたい。
  • (2)「総会資料を取得し、確認している」ことを県民が確認できない、又は「確認している」内容の適切、不適切を判断できないのであれば、県民が税金の使い道を確認できないことになり、県民にとっては使途不明となる。
  • (3)「総会資料により明らかにされており、使途不明という指摘は当たらない」としているが、総会資料を県民が確認できないのであれば、県民にとって使途不明であることにかわりない。誰にとって使途不明に当たらないとしているのか主語を明らかにされたい。
  • (4)「審査請求人に情報提供済み」とあるが、審査請求人の審査内容が十分か不十分か判断できない。支出と収入の合致など会計上の整合性のほかに支出内容が適切かどうかを判断しているのであれば、「平成22~28年度予算で空港振興対策事業のうち、航空会社の運航経費等に対する支援の支出の額」を審査請求人が適切と判断した理由について明らかにされたい。

第4 実施機関の説明の要旨

弁明書による説明は概ね以下のとおりである。

1 処分の理由について

条例第2条第1項の該当性について
条例第2条第1項において「行政文書」とは、「実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び写真並びに電磁的記録であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているもの」と定めている。

  • (a)本件請求に対応する文書が「実施機関の職員が職務上作成」した文書に該当するか否かについて
    本件請求に対応する文書は、期成会の文書である。期成会は、県、県内市町及び民間企業・団体によって構成され、高松空港における航空路線網の整備拡充並びに他空港との交流の推進を行うことを目的に設立された任意団体であり、実施機関とは別個独立の団体である。また、期成会の事務を処理するため、交通政策課航空振興室内に事務局が置かれており、期成会の事務職員は、同時に交通政策課航空振興室の職員でもあり、双方の業務を兼ねて行っている。ただし、期成会の業務と県の本来業務を区別するため、実施機関の職員である交通政策課航空振興室の職員は、職務に専念する義務の免除(以下「職専免」という。)を受け、期成会の職員として事務を行っている。よって、期成会は実施機関とは別の団体であり、実施機関の職員が職専免を受けて期成会の職員として作成した文書は、「実施機関の職員が職務上作成」した文書に該当しない。
  • (b)本件請求に対応する文書が、「実施機関の職員が職務上取得」した文書として存在するか否かについて
    実施機関は期成会に対し負担金を支出しており、その負担金の使途については、期成会の総会資料を取得し、確認できているため、本件請求に対応する、期成会から航空会社への運航経費等に対する支援の支出に関する文書までは取得していない。
  • (c)本件請求に対応する文書が「実施機関が保有している」か否かについて
    期成会は事務執行のため、交通政策課の執務室内の一角について県から行政財産の使用許可を受けており、期成会の文書は、期成会の事務局を担当する交通政策課航空振興室の職員が管理する行政文書とは区別して保管されている。よって、本件請求に対応する期成会の文書は、実施機関の職員が職専免を受けて、期成会の業務として保有しているのであって、「実施機関が保有している」のではない。

2 審査請求の理由アからイに対する反論について

  • ア 「期成会の会長は香川県知事であり、航空会社の運航経費等に対する支援の支出に関する書類の提出を受けていないことが理解できない。提出を受けるべき書類を受けていないことを理由とした非公開決定は納得できない。」との主張について
    香川県知事は期成会の会員であるが、期成会は、高松空港における航空路線網の整備拡充並びに他空港との交流の推進を行うことを目的に設立された任意団体であり、実施機関とは別個独立の団体である。また、実施機関は期成会に対し負担金を支出しており、その負担金の使途については、期成会の総会資料を取得し、確認することができている。よって、実施機関は、本件請求に対応する、期成会から航空会社への運航経費等に対する支援の支出に関する文書までは取得していない。
  • イ 「税金の使い道を公に明らかにすることは行政機関の義務であり、使途不明のままにすることは住民に対するサービスを怠っているとしかいえないから。」との主張について
    実施機関は、会員として税金により期成会への負担金を支出しているが、その使途については総会資料により明らかにされており、使途不明という指摘には当たらない。
    なお、総会資料については、審査請求人に情報提供済みである。

第5 審査会の判断

1 判断における基本的な考え方について

条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。

2 本件請求対象行政文書の存否について

実施機関は、航空会社の運航経費等に対する支援の支出に関する事務は、期成会が行っており、県は、航空会社の運航経費等に対する支援の支出に関する書類を作成したり、提出を受けていないことから、請求に係る行政文書が存在しないとして、本件処分を行っている。
条例第2条第1項は、行政文書の定義について「この条例において「行政文書」とは、実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書、図画及び写真(これらを撮影したマイクロフィルムを含む。以下同じ。)並びに電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。以下同じ。)であって、当該実施機関の職員が組織的に用いるものとして、当該実施機関が保有しているものをいう。」と規定している。
また、同条第2項では、実施機関の定義について「この条例において「実施機関」とは、知事、教育委員会、公安委員会、警察本部長、選挙管理委員会、人事委員会、監査委員、労働委員会、収用委員会、海区漁業調整委員会、内水面漁場管理委員会及び病院事業の管理者をいう。」と規定している。
したがって、期成会の文書が条例による公開請求の対象となる行政文書に当たるというためには、実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した文書であり、かつ、実施機関が保有していることを要するものでなければならない。
まず、期成会が作成し、又は保有している航空会社の運航経費等に対する支援の支出額がわかる文書が条例第2条第1項に該当するか否かについて検討する。
なお、当審査会は行政文書の公開請求に係る実施機関の判断について、行政不服審査法に基づく審査請求がなされた場合において、実施機関の裁決に先立って諮問を受け、実施機関の判断に関して意見を述べるのが責務であることから、当審査会はこの点についての検討を行う。

  • (ア)期成会が作成している文書について
    実施機関は、「本件請求に対応する文書は、期成会の文書である。期成会は、県、県内市町及び民間企業・団体によって構成され、高松空港における航空路線網の整備拡充並びに他空港との交流の推進を行うことを目的に設立された任意団体であり、実施機関とは別個独立の団体である。また、期成会の事務を処理するため、交通政策課航空振興室内に事務局が置かれており、期成会の事務職員は、同時に交通政策課航空振興室の職員でもあり、双方の業務を兼ねて行っている。ただし、期成会の業務と県の本来業務を区別するため、実施機関の職員である交通政策課航空振興室の職員は、「職専免」を受け、期成会の職員として事務を行っている。よって、期成会は実施機関とは別の団体であり、実施機関の職員が職専免を受けて期成会の職員として作成した文書は、「実施機関の職員が職務上作成」した文書に該当しない。」と主張している。
    期成会と実施機関との関係をみてみると、期成会は、任意団体であり、実施機関とは別個の独立した団体であると認められるため条例第2条第2項の実施機関にはあたらない。また、期成会では、当然、関係文書を作成していると考えられるが、実施機関の主張のとおり期成会の事務は実施機関の職員が職専免を受けて期成会の職員として事務を行っているのであるから、その間に作成した文書は、期成会の職員として作成した文書であり、条例第2条第1項の「実施機関の職員が職務上作成した文書」には該当しないと判断される。
  • (イ)期成会が保有している文書について
    実施機関は、「実施機関が保有しているか」という点についても「期成会は事務執行のため、交通政策課の執務室内の一角について行政財産の使用許可を受けており、期成会の文書は、期成会の事務局を担当する交通政策課航空振興室の職員が管理する行政文書とは区別して保管されている。よって、本件請求に対応する期成会の文書は、実施機関の職員が職専免を受けて、期成会の業務として保有しているのであって、「実施機関が保有している」のではない。」と主張している。
    実施機関に確認したところ、期成会の事務局は、県の行政財産である県庁舎の交通政策課航空振興室内の一角に設置され、ここを使用することについて有償で県から行政財産の目的外使用許可を受けて業務を行っていた。そして、使用許可を受けたスペースに期成会の書類が保管されていることから期成会の書類は交通政策課航空振興室の行政文書とは区別して保管されている。よって、期成会の文書は、条例第2条第1項の「実施機関が保有しているもの」には該当しない。
    以上のことから、期成会が作成した文書は、実施機関の職員がその職務上作成し、実施機関が保有する文書とは認められない。

3 本件における対象文書の特定の妥当性について

次に、実施機関が、期成会から対象となる文書を取得しているか否かについて検討する。
審査請求人は、「期成会の会長は香川県知事であり、航空会社の運航経費等に対する支援の支出に関する書類の提出を受けていないことが理解できない。実施機関は、県から期成会へ負担金を支出しているにもかかわらず、その負担金の使途については総会資料を取得し、確認できているとのことだが、各航空会社の運航経費等に対する支援の支出額がわかる文書を県は期成会から取得しなければ、会計上の支出と収入の整合性のほかに負担金の内容の適切、不適切の判断ができないのではないか。県民の税金で県は期成会に負担金を支出するのだから、税金の使途を明らかにする上で、県民が税金の使い道を確認できないことになり、県民にとっては使途不明となる。また、税金の使い道を公に明らかにすることは行政機関の義務であり、使途不明のままにすることは住民に対するサービスを怠っているとしかいえない。」と主張している。
一方、実施機関は、本件処分の理由のひとつとして「県は、期成会から航空会社の運航経費等に対する支援の支出に関する書類の提出を受けていない。」としており、弁明書においても「香川県知事は期成会の会員であるが、期成会は、高松空港における航空路線網の整備拡充並びに他空港との交流の推進を行うことを目的に設立された任意団体であり、実施機関とは別個独立の団体である。また、実施機関は期成会に対し負担金を支出しており、その負担金の使途については、期成会の総会資料を取得し、確認することができている。よって、実施機関は、本件請求に対応する、期成会から航空会社への運航経費等に対する支援の支出に関する文書までは取得していない。」と主張している。
そこで、実施機関から期成会へ支出している負担金及び期成会から提出を受けた総会資料について実施機関に確認したところ、実施機関である県は期成会の正会員であり、高松空港振興期成会負担金及び会費に関する規程に基づき、実施機関が会費にかえて負担するものとして毎年度、実施機関から期成会へ負担金を支出している。実施機関がその支出の際の確認資料として期成会より総会資料を取得しているとのことであった。
また、期成会の総会資料は、今回の情報公開請求書提出直後に、実施機関が審査請求人に、平成28年度期成会総会議案書の一部である平成28年度事業計画(案)及び予算(案)のページの写しを情報提供している。
ただし、総会資料には個別の各航空会社の運航経費等に対する支援の支出額そのものが記載されているのではなく、運航経費等に対する支援以外の支出を含んだ予算額の記載であり、審査請求人が求める個別の各航空会社の運航経費等に対する支援の支出額そのものでなかったことから、審査請求人は反論書で「審査内容が十分か不十分か判断できない。支出と収入の合致など会計上の整合性のほかに支出内容が適切かどうかを判断しているのであれば、「平成22~28年度予算で空港振興対策事業のうち、航空会社の運航経費等に対する支援の支出の額」を適切と判断した理由について明らかにされたい。」と述べている。この点に関して実施機関は「期成会の総会資料を取得し、確認することができている。」と述べている。
以上、総会資料は、期成会が作成し、実施機関が取得した文書であるが、実施機関に確認したところ、総会資料と同じく、実施機関が期成会から取得している文書の中には、航空会社の運航経費等に対する支援の支出の額が分かる文書はないということである。次に実施機関自身が作成した文書について検討する。
実施機関である県は期成会の正会員であり、期成会負担金及び会費に関する規程に基づき、実施機関が会費にかえて負担するものとして毎年度、実施機関から期成会へ負担金を支出している。実施機関に確認したところ、実施機関は期成会への負担金を毎年度予算として計上し、毎年度、年数回に分割して期成会へ支出しているということであり、実施機関における負担金の支出事務に関しては、各航空会社への運航支援額に関する書類は作成していないということである。
また、実施機関は、負担金事務以外の業務に関しても、各航空会社への運航支援額に関する書類は作成していないということである。
このことから実施機関の主張する各航空会社への運航支援額に関する文書は存在しないという事実については、確認できた。
以上のことから、実施機関が作成・取得・保有している事実は認められないと判断する。したがって、実施機関が本件請求に係る行政文書が存在しないとして非公開決定を行ったことは、妥当であると判断される。

4 審査請求人のその他の主張について

審査請求人は、その他種々の主張をしているが、いずれも当審査会の上記判断を左右するものではない。

よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

第6 審査会の審査経過

(省略)

401号~450号 451号~500号 501号~

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