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公開日:2023年2月1日

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腹巻・レッグウォーマー

ヒト×モノ 讃岐デザイン 島の温かさに染まる

香川の魅力

目次

島の温かさに染まる
植松優子×草木染め

小豆島で新月と満月の日に草木染めをするという植松優子さん。
優子さんが染める布は植物の優しさがしみ込み、身に着ける人をほっこりと癒やす。
この冬に出合いたい、温かさの秘密を探る。

「月樹舎(つききしゃ)」と名付けられたアトリエの窓から、船が行き交う瀬戸内海が見える。優子さんはこの海を渡って東京からやってきた。神奈川県で生まれ、大都会で働き、気がつくとひどく体調を崩していたという。その時、救ってくれたのが植物のチカラだった。自分のためにアロマセラピーや漢方薬を学び、漢方養生指導士の資格を取得。薬草を学ぶうち、古くから食べ物と同じくらい、身に着ける衣服にも気を配ることが、体にとって本当の薬であるといわれていることを実感し、自分自身が身に着ける衣類を植物で染めるようになった。

植松優子

 

元気を取り戻すにつれ、自分の好きな植物に囲まれて暮らしたいと生き方をデザインし直すことを決意。すると、昔訪れた香川県が頭に浮かぶ。駅に降り立つと、すぐ近くに港があって島々が目の前に浮かぶ。のんびりとした雰囲気が気に入り移住を決意した。短期間でも住んでみようと小豆島を選んだが、島での暮らしは驚くほど心地よく、気がつくと10年がたつ。

思えば、島の暮らしの全てが草木染めにふさわしいという。小豆島は気候が温暖で自然が豊か、一年を通じて無農薬の草木がふんだんに手に入る。オリーブの有機栽培を手掛けている知人からは、剪定(せんてい)後の枝葉がもらえる。
そうした素材を季節ごとに大鍋に入れ、ゆっくりと煮る。ただ捨てられてしまう草木に新たな役目を与えるように願いながら。すると、草木が本来持っているチカラが布にしみ込んでいく。

気がつけば、満月と新月の日に作業を行っていた。月のチカラ、潮のチカラ、もちろん四季折々の植物のチカラを感じながら。そして、いつしか自分のために作っていたものを島の人々に頼まれて作るようになった。「ここでは、時間に追われるのではなく、するべきことが見えてきます。本当にやりたいことに打ち込むことができます」と優子さんはほほ笑む。だから、愛情を込めて一つ一つを作り上げることができるという。やがて、島の人々に背中を押されながら、ネット販売で全国に発送するようにまでになる。

2022年、島に住む女性3人で「月樹舎」から一冊の絵本を自費出版した。優子さんが文章を担当した本のタイトルは「植物からのメッセージ」。草木染めの品々と同じように植物のチカラが優しく伝わってくる。 

後から島に移り住んだ夫の欣也(きんや)さんは、電気もガスも水道もないロッキー山脈の麓で暮らしたつわもの。リノベーションを得意として島暮らしの可能性を広げる。現在は島にある「小瀬(こせ)の重岩(かさねいわ)」の麓で知人のカカオショップを建設中だ。今、植松さんは夫や仲間たち、島の人たちの優しさの中で暮らしている。この温かさを多くの人に届けたいと、癒やしの逸品を染め上げている。

マフラー

ネットではすぐにSOLD-OUTになってしまうマフラー。藍で染めた海の色。

植物からのメッセージ

2022年6月に自費出版した「植物からのメッセージ」。多くの人に植物の言葉を届けたいので、出版社からの発行を目指している。
 

  

植松優子さん

神奈川県生まれ。1996年から2012年東京でOLをしながらアロマセラピー、漢方、草木染め等の植物の知識を深める。2013年小豆島へ移住し本格的に草木染めを始める。2015年草木染め商品の販売開始。日本全国へ発送。2019年フランス、台湾など海外イベントに出展。

月樹舎

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