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【新しい風】讃岐かがり手まり

讃岐かがり手まりの写真

江戸時代の少女たちに愛されていた「手まり」。
讃岐でも、娘たちの幸せを願い、たくさんの「手まり」が作られてきた。
素朴な技を今に伝える「讃岐かがり手まり」。
海外のお客様にも喜ばれているというその魅力を探る。

 香川県の伝統的工芸品である「讃岐かがり手まり」には、3つの大きな特徴がある。手まりの芯は、昔ながらの「もみ殻」であること。糸は、天然の「草木染」で染め上げること。そして、その美しい糸を用いて「かがり技法」で仕上げること。

 昔ながらのもみ殻で球形の芯を作るのは難しい。簡単に丸くならないもみ殻を丁寧に丸めることで、手作りの愛らしさが生まれる。独特の弾力性と柔らかな手触りを持つ手まり。芯作りから手仕事が始まる。

 「讃岐かがり手まり」のやさしい色合いは、天然の草木染による。気品漂うほのかな色合いを平安時代から日本人は伝えてきた。季節の移ろいの中で出合う自然素材の贈りもの。手品のように、思わぬ素材から魅力の色が生まれる。例えば緑色が欲しいとき、緑の染料を手軽に使ったりはしない。藍染めにザクロなどで黄色を何度も重ねて緑の糸を作り出す。

 そうして染め上げられた糸を独特の幾何学模様にかがる。江戸時代の讃岐では、どんな模様が喜ばれていたのだろうか。

 時の流れに幻となったかがり手まりの技を体系的にまとめ、継承しているのが「讃岐かがり手まり保存会」。その代表で、伝統工芸士の一人である荒木永子さんは伝統の模様をかがり続けてきた。

天然の染材料の写真
天然の染材料

綿の写真

かがり糸の写真
「讃岐かがり手まり」の命ともいえるかがり糸の数々。かつて 讃岐の特産品であった綿から紡いだ木綿糸を自然素材で染め上げたもの。

 その一方、昔は子どもたちの玩具であった手まりをいつまでも身近で親しまれるものにしたいと願い、荒木さんの工夫が始まる。そして、生まれたのが「根付け」や「携帯ストラップ」。小さなまりを美しく仕上げるのはたやすいことではないが、小さくすることで土産物や贈り物として気軽に手に取ってもらえる。そこで、箱に詰め合わせた手まりBOXを考案した。かがり手まりを中心とした「讃岐の手まり箱」、さらには香り立つ「にほひ手まり」。平安時代、貴族が手にした「(まり)」は芯に糸を巻いただけのものであったというが、箱の中には美しい糸で巻かれた小さなまりが並ぶ。この手まりから高貴な香りが立てば、平安の(みやび)がしのばれる。この香りは外から付けたものではなく、芯の中に香りの素材をそのまま入れ込んである。それも妥協のない香りを厳選した。

 あくまでも本物にこだわる「讃岐かがり手まり」。手間暇かけるいとしい手仕事は、幸せ願う手から手へと今日も伝わる。

かがり糸の写真
にほひ手まり

かがり糸の写真
讃岐の手まり箱

香川県県産品振興課
TEL 087-832-3375

讃岐かがり手まりは、栗林公園商工奨励館、県立ミュージアムなどで販売しています。

讃岐かがり手まり保存会
TEL 087-887-4043
http://www.sanuki-araki.jp/hozonkai/
草木染の糸や制作キットの販売のほか、2時間半ほどで手まり作りも体験できます。(受付は2名からで有料、予約制)