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公開日:2020年12月10日

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讃岐国府跡 調査現場から 30

香川県埋蔵文化財センター

興味深い遺物が出土しました 第10弾

土器洗いをしていると、三彩の大椀が出土していたことが明らかになりました。
これまでの調査で、三彩の蓋の出土は判明していましたが、大椀が新たに追加されました。
三彩とは、800度前後の温度で素焼きした器に、緑・白・黄の三色の釉薬を塗り、低火度で再度焼成したものです。
8世紀に唐三彩の影響を受けて生産が始まりますが、その生産地は判明していません。
官衙(役所)や寺院など限られた場所からしか出土せず、国営の工房で厳格に管理された超希少品でした。
県下では櫃石島の大浦浜遺跡から出土していますが(国家主導の海上祭祀遺跡)、それを除くと初めての出土となります。
讃岐国府跡からは、県下の官衙的な遺跡と比較しても圧倒的な量の緑釉陶器(高級食器)が出土していますが、超高級食器である三彩の出土は国府の特異性を示すものとして注目できます。(3月31日)

三彩1
三彩 蓋(左)と大椀 表面(右)

三彩2
三彩 蓋(左)と大椀 裏面(右)

三彩3
大椀の底 高台欠損

興味深い遺物が出土しました 第9弾

補足調査を進めていると、今年度の調査で最も興味深い遺物が出土しました。
出土した場所は、34-3区の南端にある東西方向の掘立柱建物の柱穴です(8世紀代)。
長さ5cmほどの銅製品で、表面に金メッキを施しています。
現時点では龍の頭を表現した銅製品と考えています。
写真の左側が口と考えられ、何かをくわえています。右側に細長く延びる耳があります。
さらに、中央上部には目が立体的に表現されています。
現時点で性格は分かりませんが、調度品の飾りではないかとも考えています。

銅製品1

不明銅製品

銅製品2

龍頭の想定

「讃岐国府を語る 讃岐国府跡第34次調査地・平成28年度開法寺跡調査地発掘調査報告会」が開催されました

坂出市教育委員会と当センター主催の「讃岐国府を語る 讃岐国府跡第34次調査地・平成28年度開法寺跡調査地発掘調査報告会」が3月5日、坂出市民ふれあい会館で開催されました。この報告会は毎年行われ、今年で8回目となります。
元岡山大学文学部教授狩野久先生のご講演「讃岐国府と城山」のあと、当センター松本和彦主任文化財専門員が「第34次調査地 讃岐国府跡発掘調査成果」、坂出市教育委員会宮畑勇希主事が「平成28年度開法寺跡発掘調査成果」を報告しました。
狩野先生のご講演では城山がなぜ日本書紀に記されていないのか、規模から見た城山の重要性等興味深いお話を聞くことができました。参加者の中には県外から狩野先生のご講演を聞きに来られた方もおられ、150人の参加者は最後まで熱心に耳を傾けていました。(3月6日)

狩野先生
狩野先生のご講演

松本講演

当センター松本主任文化財専門員の報告

埋め戻し中

補足調査も一段落し、埋め戻しを開始しました。
遺構面の保護や今後の再調査に際しての目印として砂を薄く敷き詰め、その上を花崗土で埋め戻します。
花崗土には消石灰を混ぜ、土の硬化を図っています。
地権者や耕作者の皆様方から大切な農地をお借りしていますので、発掘調査と同じぐらい慎重かつ丁寧に埋め戻しを行い、旧状に復旧するように努めています。(2月28日)

埋め戻し
埋め戻しの様子

讃岐国府跡調査現場から 29«|»讃岐国府跡調査現場から 31

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