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西側の与島と同じく、採石業が営まれていた小与島は、全島で採石が行われていました。15~16社が操業していた最盛期の島の写真を、小与島の梶(かじ)大明神社のすぐ近くの公民館で見ることができますが、石を切り出す山→切り出した石を運ぶ道→石を船に積み込む港、という道筋がはっきりと見えました。
現在ではその業者の数は1社のみとなり、随分岩に緑が増えましたが、切り出された後の断崖絶壁、その独特の風景は、見る者を圧倒します。
中野 三郎さん
最後の1社として採石業をされてきた中野さん。現在島にお住まいなのは、人間2人(中野さんご夫婦)・犬4匹・猫2匹・鳥たくさん。島の切り立った荒々しい風景とは正反対の、とっても温かい笑顔が素敵な中野さんご夫婦です。
「のんびり過ごそうと思って、そろそろ片づけを始めているんです。今は、採石の仕事もなかなか厳しい。でも、なあんにもせずに生活はできんからなぁ。魚は採ってくるし野菜は作るし、買いに行くのは米くらいなもんです。」
実は意外とにぎやかな小与島。南には行き交いする大きな船のエンジン音、西には瀬戸大橋を走行する車や電車の音、岩場の方に耳を澄ますと犬の鳴き声や鳥のさえずり。心地いい風が通り抜ける木陰で目を閉じると、自分はいったいどこにいるのか、うっかり分からなくなりそうです。
中野さんのご案内で、背丈ほどの草木が生い茂る道なき山を登りました。
見えてきたのは、ユリの仲間で、葉が笹にとっても似ている“ササユリ”。ちなみに香川県の天然記念物に指定されています。
ちょうど見頃に訪れることができ、ラッキーでした!(花が咲いていないと、笹と区別がつかないくらい似通っています)
案内無しでは到底見つけられそうにない場所にあり、中野さんの背中を追っかけ、必死になって写真を撮りました。
しかし残念ながら、最近では数が激減してしまったそうです。
写真は撮(と)っても、盗(と)らないでくださいね。
島の南に、立派な石製の鳥居と社(やしろ)が据えられています。
数年前の台風で傷んでしまったのを期に、少々では傷まない島の産業でもある石を使った丈夫なものに造り替えられたそうです。
すぐ後ろには切り出してきた巨大な石製のテーブルとベンチがあり、夏の夕涼みには最適です。
隣接して、公民館や春祭りの奉納相撲用の土俵もあります。
アクセス:与島対岸の小与島の船着場より徒歩3分
島の北端には、瀬戸大橋開通後にオープンしたホテルが、営業を終了した今は静かに佇(たたず)んでいます。道は草に覆われ大変行きにくい場所ですが、元ホテルの向こう側にはごつごつとした岩場とキラキラと輝く海と雄大な瀬戸大橋を望むビュースポットがあります。夕焼けに彩られたその風景は、息を呑む美しさです。
アクセス:島の北端
梶大明神のすぐ南側に広がり、大型船の航路になっていることもあって、船舶の行き交う様子は見飽きることのない光景です。坂出市の工業地帯や瀬戸大橋、与島の鍋島灯台などが見渡せ、のんびり過ごすにはとっても気持ちのいい場所です。
アクセス:島の南端
小与島春祭り→4月の第2日曜日。梶大明神の横に土俵があり、子どもの相撲の奉納があります。
与島の東隣、与島塩浜港から東約1.5Kmの海上に位置する小与島。このあたりの島々は、石材で発展してきました。小与島もその1つです。
島の歴史は、2万年前の石器が発見されるなど出入りがあったようですが、島への定住は明治以降とされています。
島は花こう岩・閃緑(せんりょく)岩で構成されており、石材採掘が盛んになった大正期から人口が増加しました。主産業は採石業で、最盛期は15~16業者が操業していました。
近年は瀬戸大橋開通に伴い、徐々に船舶を所有する住民が減り、石材の出荷が減り、現在操業しているのは1社のみです。
※定期航路がないため、坂出駅からのアクセスは現地確認となります。
◆2014年(平成26年)4月1日現在の運賃です◆
※時刻表・運賃について、詳しくは各ホームページにてご確認ください。
島内には、歩きやすい道はありません。足腰の強い方、虫など気にならない方、草木にかぶれない方、自然を大事に思う方でも、船の定期便がありませんので、計画を立てて訪れるようにしましょう。
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