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公開日:2020年12月10日

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3竹材の利用と生産

1.竹類の利用用途

竹類の利用用途は、建築資材、竹稈などをはじめ、カゴ類、ざる類、提灯、物干し竿など実用品から工芸品等と多様であります。しかし、最近の国内の需要は、安価な中国製品がとって変わるとともに、代替資材の普及により激減しています。

県内における竹材の需要動向については、竹材の需要と供給調査結果(竹材取扱い店の聞取り調査結果参照、平成15年実施)によれば、竹小舞など素材としての竹材の需要は減少する一方、竹炭、竹酢液、竹チップなど加工品としての利用もまだまだ量的には少ないものの、バイオマスとしての竹の利用も模索されており、今後の用途の拡大が期待されます。

竹類の利用用途

分類

内容

生活用品

カゴ類、ざる類、扇子、うちわ、食器、照明器具、ほうき、額縁、梯子、椅子、物干し竿、和傘、洋傘(地下茎)、箸、串、櫛、提灯、物差し、行李、屏風、ついたて、すだれ

伝統工芸品

茶道具類、竹刀、弓矢、尺八、笙、ひちりき、笛、生け花容器、人形、玩具、家具の外装

建築用品

土壁の壁下地(竹小舞)、壁、天上内装用、垣根、床柱

農機具類

各種支柱、ビニールハウスの柱、海苔竹、漁礁、足場

雑道具類

バレン、毛筆、釣り竿

特殊加工品

竹炭*1)、竹酢液*2)、竹チップ加工品、和紙

その他

生垣、防災用資材

参考文献:竹と暮らし 上田弘一郎著

*1:竹炭の用途:土壌改良材、脱臭剤、濾過材、調湿材等
*2:竹酢液の用途:脱臭・消臭材、土壌改良材、雑草発芽抑制材等

2.竹材・タケノコの生産

我が国の竹材及びタケノコの生産量については、1980年代の生産量に比較して2000年には竹材が約25%、タケノコが約20%といずれも20年間に約1/4~1/5程度に激減しました。

県内における竹材生産量は、1964年の125,000束を最高に、2002年には1,500束と1964年の約1%まで激減し、タケノコ生産量は1988年の13,700トンをピークに2002年には1,200トンと1988年の約9%まで落ち込みました。

このような状況は、代替資材の普及や在来工法住宅の減少あるいは近年の農林業の低迷に伴い、過疎化に伴う労働力不足、担い手の高齢化が進む中、安価な中国産の製品が多く輸入され、価格の下落とともに生産意欲の低下によることが大きいと考えられます。

(*香川県農林水産統計年報)

平成15年に行った、県内の主要な竹材店における竹材の取扱量についてのアンケート調査は、次のとおりであり、取扱量のうち、モウソウチクでおよそ4割、マダケでおよそ1/4が県内産です。なお、女竹については、100%が中国からの輸入です。

また、平成16年に行った、ボランティア団体などが取り扱っている竹細工、竹炭及び竹酢液についてのアンケート調査によると、主にモウソウチクをおよそ8,000本取り扱っています。なお、入手方法としては、大部分は、所有者に対しては無償で、近隣の森林から伐採・搬出しています。

県内竹材店の取扱量(平成15年)

竹の種類

用途

取扱量

うち県内産

モウソウチク

漁罠、牡蠣養殖イカダ

約1,700本

約700本

マダケ

建築、加工用

約5,000束

約1,400束

3.竹炭・竹酢液の生産

竹炭が本格的に焼かれるようになってから、10年を経た程度で、木炭の製造ほど多様な窯も方法も取られていません。竹炭を燃料用とそれ以外の新しい用途に分けると次のとおりです。

1)竹炭

  1. 燃料用竹炭
    木炭と比べて厚さは薄く、堅く焼き上げた竹炭でも火付きは容易ですが、火持ちはよくありません。しかし、発熱量は大きいので、バーベキュー用のような速熱性が必要な場合に適しています。火持ちをよくするためには他の炭と混ぜると効果的です。
  2. 新しい用途の竹炭
    燃料以外の木炭の用途、特に最近注目されている土壌改良剤、調湿、脱臭、入浴、調味などの新用途に竹炭を使うことが最も適していると判断されます。

これらの用途に適する竹炭には、土窯でも黒炭や白炭など、固定炉工業炉など、方式の違い、モウソウチク、マダケ、ハチクなど原料の違いがあり、それぞれ特性が異なっています。

工業的に製造するには、歩留りの関係から、肉厚のモウソウチクが、主に原料として使われています。

2)竹酢液

製炭の際の副産物として得られる竹酢液は多種類の成分の混合物であるがゆえに害虫忌避、殺虫、殺菌作用などの多様な生物活性を有していると言われていますが、中でも特徴があるのが殺菌作用です。

竹粉炭と竹酢液製造プラントを持ち、1日当たり8トンのモウソウチクから1,600キロの竹粉炭と1,200リットルの竹酢液を生産し、飼料などの添加剤として利用されています。

竹材使用量:約900~1,000ton/年

生産量:(竹粉炭)約100ton/年

(竹酢液)約99,000リットル/年

モウソウチクによる竹炭・竹酢液を生産しており、県内は勿論、県外へも出荷している。
炭焼の原料は、窯周辺の竹林の伐採などである。
竹炭の用途は、床下調湿用、料理用のほか土壌改良剤など、竹酢液は入浴剤や洗剤などに利用されています。

4.竹材利用の新たな取り組み

1)竹繊維

現在、竹から取り出した糸状のものを中国からも輸入していますが、これは竹を溶かし、成分のセルロースを取り出し、レーヨン糸(人工ウール)として加工していることから、特に竹でなくても、木質系なら生産可能です。その他に、爆砕等によって得られる竹の繊維を繊維として利用する方法があり、今後、自動車のシート生地、畳の芯材、ベッド等に利用が見込まれますが、竹繊維は糸状のものではなく、固いという特性から綿と混合するなど、研究開発の段階です。

2)竹フローリング

竹を横積層に加工し、フローリングとして利用するもので、肌触りが良く、既に実用化されています。

3)竹パルプ

竹パルプは、繊維の長さが針葉樹と広葉樹の中間のパルプ特性を有し、吸湿性、吸油性に優れています。現在、竹パルプを配合し、はし袋、紙コップや封筒など等に利用されています。

4)植繊材

竹をはじめ未利用木質資源を一次破砕によりチップ化し、さらに植繊機で破砕した植繊材を製造します。この植繊材は農業資材としてのマルチング材、堆肥或は畜舎(養豚)での敷材などとして利用が可能です。

5)地球温暖化防止のためのバイオマスエネルギー

地球温暖化防止のため、石油・石炭などの化石燃料の使用を控え、環境に対する負荷の少ない新エネルギーは、「新エネルギー利用などの促進に関する特別措置法(いわゆる新エネルギー法)」(1997年施行)において、「技術的に実用化段階に達しつつありますが、経済面での制約から普及が十分でないもので、バイオマスなど石油代替エネルギーの導入を図るために特に必要なもの」と定義されています。

バイオマスとは、新エネルギー法施行令で、「動植物に由来する有機物であってエネルギー源として利用できるもの」と定義されており、竹材はこれに該当します。

バイオマスとしての竹の利用は、量的に少なく、販路も不確実であることから、今後の販路の拡大、振興が必要です。新たなバイオマスとしての竹の利用方法としては、火力発電所において木質バイオマス(竹を含む)をチップ化したものを5~10%混燃する技術を試験中です。

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