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かがわの陸産・淡水産貝類

貝類

 貝類は生息環境によって海水中に生息する海産貝類、川や池に生息する淡水産貝類、干潟や河口の海水と淡水の混じる所に生息する汽水産貝類、森や畑付近に生息する陸産貝類に分けられています。香川県では「レッドデータブック」作成にあたり海産貝類以外の全種を対象に調査しました。

 香川県には、現在までに陸産貝類130種、淡水産貝類32種、汽水産貝類15種が見つかっています。

 陸産貝類の場合、県の面積が狭い割に種類数は多いほうです。例えば面積のよく似た大阪府では96種ですから1.3倍にもなります。しかも貝類が多く生息する石灰岩地を欠いている上、貝類の好むブナやケヤキの原生林がほとんど残っていない県としては驚異的な種類数といえます。ただ、産地は少なく生息個体が少ないのも特徴の一つです。移動性に乏しいので分布は地史を反映しており生物地理学の研究材料として欠かせません。

 淡水産貝類は短い河川とため池という不安定な環境で種類数としては豊富とはいえません。

 汽水産貝類についても干潟が少なく河口部などは改修などで環境が悪化、次第に種類数は減少しています。

 陸産貝類というのは「デンデンムシ」あるいは「マイマイ」とか「カタツムリ」といっているもので貝殻をもたないナメクジも含まれていて、全部巻貝(腹足類)です。大きいものでは殻色が濃い褐色のアワマイマイで殻径(貝殻の直径)が60oにもなります。この貝は讃岐山脈や琴平山などに生息していますが、夜行性のため昼間はっていることはほとんどありません。

 よく見かけるのは、ビワやカエデの樹上に着いているセトウチマイマイです。殻径3.5mmぐらいの淡黄褐色で殻に黒いスジ(色帯)のあるものないものなど模様がいろいろあります。小豆島の寒霞渓付近には、ヤハタマイマイという紫がかった褐色で、殻径約50oの大形の貝が生息しています。小豆島が本州と陸続きの時に本州から分布を拡げてきた種といわれており、地元では「カンカケマイマイ」などといって昔から親しまれています。

 以上、3種の大形のマイマイの内、セトウチマイマイを除く2種はレッドデータブックに選定されています。その他、畑などで殻径10oほどの小さな丸い貝を見かけることがあります。ウスカワマイマイといって殻口縁が肥厚しません。陸生ホタルの幼虫の食料になっているようです。コベソマイマイ、シメクチマイマイ、ニッポンマイマイなども里山にも広く生息しています。また、ヤマタニシ、ヤマクルマガイ、アツブタガイ、アズキガイというタニシのようにフタをもった貝もいます。これらは今のところ絶滅の心配はないようです。

アワマイマイ・セトウチマイマイ・ヤハタマイマイ ■セトウチマイマイの拡大写真はこちらから>>>
■ヤハタマイマイの拡大写真はこちらから>>>


イソムラマイマイ

 香川県の固有種としてイソムラマイマイとヤノムシオイガイがあります。イソムラマイマイは褐色で、殻径7oの小さな貝で、殻の表面に毛のようなものが生えています。五剣山で発見され、その後、高松市峰山、屋島、五色台でも見つかっています。産地が少なく、個体数も少ないのでレッドデータブックに選定されています。

■イソムラマイマイの拡大写真はこちらから>>>

 ヤノムシオイガイは殻径4oほどの扁平、淡赤褐色の微小な貝ですが、殻の口の内側にこぶのようなふくらみがあるとても面白い形をしています。仲多度郡の山岳部の限られた所に生息しています。そこは谷あいの小石がざらざらと崩れてくるような不安定な環境です。近年イノシシが増殖し、それが小石の下に生息するミミズを食べるために畑を耕したようになっていて絶滅が心配です。

ヤノムシオイガイ
■ヤノムシオイガイの拡大写真はこちらから>>>
■ヤノムシオイガイの殻口内壁のコブ状隆起の拡大写真はこちらから>>>
オオギセル

  カタツムリの仲間にキセルガイという小川にすむカワニナのような細長い貝がいます。この貝はカワニナと違って左巻きで、殻高(殻の高さ)が40oのオオギセルから殻高10oぐらいのホソヒメギセルまでいろいろな大きさの種類がいます。また、殻色も紫褐色から褐色、白色と殻色も種類によって違います。県には16種が生息、この内ショウドシマギセルが県固有亜種で小豆島、豊島、屋島に分布しています。オオ、ツムガタ、トサシリボソ、ナラビヒダ、モリサキ、ショウドシマ、コシボソ、トサの各キセルガイはレッドデータブックに選定されています。その他、サナギガイ、キバサナゴガイ、スナガイ、ミジンマイマイなど虫メガネで見なければわからないような微小な貝が、小さな無人島などの落ち葉の下に生息しています。

■オオギセルの拡大写真はこちらから>>>

 淡水産貝類ではネジクギに似たカワネジガイが絶滅種として選定されています。昭和26年ごろに高松市一宮町で確認されていますがその後見つかっていません。昔、たくさん生息していたオオタニシやマルタニシも少なくなっています。しかし、少し汚れた水域でも生息できるヒメタニシは健在です。

 池や川に生息していたマシジミも少なくなっています。その代わり外国から入ってきたタイワンシジミ(カネツケシジミともいう)が全国に広がっています。県でも近年、各地にマシジミに代わってタイワンシジミが増えています。
  移入された淡水貝でスクミリンゴガイがあります。「ジャンボタニシ」ともよばれていますが食欲がさかんで稲の苗を食べるため農家の方からは嫌われています。近年、香川県でも高松市を中心に広がっています。

カワネジガイ・スクミリンゴガイ・オオタニシ・マルタニシ
■カワネジガイの拡大写真はこちらから>>>
■スクミリンゴガイの拡大写真はこちらから>>>
■オオタニシ・マルタニシの拡大写真はこちらから>>>

 淡水産の二枚貝では、ドブガイは多くのため池に生息していますが、ふくらみのあるマルドブガイが栗林公園や仏生山あたりの池で見つかっています。この貝は琵琶湖固有種であるため移入されたものと思われます。マツカサガイなどが局限したところで見つかっていますが、以前からそこにいた在来種であるのか、淡水魚飼育のために放流された他県産のものかはわかりません。タナゴの仲間などは二枚貝に卵を産みつける習性をもっており、二枚貝は淡水魚の繁殖には欠かせません。

マルドブガイ・マツカサガイ
■マルドブガイの拡大写真はこちらから>>>
■マツカサガイの拡大写真はこちらから>>>

 汽水産貝類にとって、香川県はきわめてすみにくい環境です。汽水産貝類の中にはアシの生えた河口に生息している種類多いのですが、そのような環境がほとんどありません。干潟も小規模で、大きな川のある県とは比べものにならないくらい貝相は貧弱です。ナギサノシタタリガイ、ムシヤドリカワザンショウガイ、ヨシダカワザンショウガイ、シイノミミガイなどは絶滅が心配されています。

 このように陸域に生息する貝類は、県の面積や河川の大きさの割には豊富といえます。しかし、森林の単純林化・荒廃、池・川の水質の変化、海岸の開発など、貝類にとってすみにくい環境なっています。その上、移入種などによって生息域が狭められたり酸性雨、温暖化などの影響も微妙に関係してきていると思います。環境の変化に敏感な貝類がヒトという動物に警笛を鳴らしてくれているように思えてなりません。

多田 昭
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