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現在地:香川の環境 >みどり・自然 > 「かがわの自然」の物語 >かがわの植生
目次

かがわの植生

写真:社寺林のツブラジイ

 地表面をおおう植物の集団を植生(しょくせい)といいます。ある地域の植生を問題とするときには、どのような種類の植物の集団によっておおわれているかが問題となります。香川県のような西南日本の低地では、人間の影響をまったく受けない自然の植生は、シイやカシ類のような冬でも落葉しない常緑広葉樹の林となります。

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写真:秋に色づくブナ
 けれども、このような自然の植生は、県内では非常にわずかなところでしか見られません。低地のシイやカシ類の林は琴平山藤尾山をはじめとする寺社林に点々と残っています。ブナ林は大滝山の尾根部に残っているほかは、竜王山に数本のブナが残っている程度です。 大川山ではブナ林の代わりにイヌシデ林が成立しています。

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 香川県の植生の配分が、標高の変化にともなって、どのようになっていくかを見てみましょう。もっとも標高の低い平野部では、水田がもっとも多くの割合を占め、市街地がそれに続きます。標高が高くなるにしたがって、水田や市街地の割合は少なくなり、アカマツ林やクヌギ・コナラの二次林が多くなります。讃岐山脈沿いの標高の高いところでは、スギ・ヒノキの植林も増加しますが、その割合は四国のほかの県ほどは多くありません。これらの植生はいずれも人間の影響を受けることによって成立した植生です。

写真:尾根筋のアカマツ林

 市街地が徐々に増えているとはいえ、平野部のかなりの部分が水田を中心とした農耕地で占められています。香川県の総面積に対する耕地面積(直接農作物を植えていない田のあぜなどをふくみます)の割合は、2004年では17.8%ほどで、中国・四国地方でもっとも高い割合となっています。香川県の人口密度が高いといっても、首都圏や大阪に比べれば低く、平野部には昔ながらの田園地帯が広がっています。また、雨が少ない香川県では、平野部を中心に、ため池が多いのも大きな特徴です。県内には14,600余りのため池(1999年現在)があり、全国では兵庫県、広島県についで3番目で、ため池密度は1ku当たり7.8個と、全国一です。その中には、多くの種類の水草が生育しているため池がたくさんあります。ため池によっては、オニバスやガガブタなどのような全国的にも珍しくなった植物の生育するため池もあります。けれども、平野部のため池では水質の悪化のために、水の中で葉を広げる沈水植物は少なくなっています。

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写真:里山の落葉広葉樹林

 平野部に点在するおむすび型の山々や、農耕地に近い低山地には、アカマツ林や落葉広葉樹の二次林が多く見られます。アカマツ林や落葉広葉樹の二次林は、人間がたえず伐採や落ち葉かきなどの手を加えることによって維持されてきた林です。そのような里山の二次林としては、香川県ではアカマツ林が代表的なものでしたが、最近では松くい虫の被害によって、落葉広葉樹の二次林となるところが多くなっています。そこでは、コナラ、アベマキ、クヌギ、ノグルミ、ヤマザクラ、ヤマハゼ、コバノミツバツツジなどの落葉広葉樹のほか、アラカシ、ヒサカキ、ソヨゴ、シャシャンボ、クロバイなどの常緑広葉樹も生育しています。山すその傾斜の緩やかなところでは、果樹園や住宅造成地になった二次林も少なくありませんが、身近な里山の二次林が広く残っていることも香川県の大きな特徴です。
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写真:クスノキ林

 里山に多い落葉広葉樹の二次林は、やがて人間の影響をまったく受けなかったころの自然の植生に帰っていくと考えられます。香川県の低地ではシイやカシ類の多い常緑広葉樹の林に帰っていくと考えられますが、必ずしもそうなっていくとは限らないようです。良く発達した里山の二次林では確かに常緑広葉樹が多くなってきます。けれども、その常緑広葉樹はシイやカシ類ではなく、クスノキやシロダモのように種子が鳥によって散布される樹木が多く見られます。特に、クスノキは成長が早いために、マツクイムシによってクロマツやアカマツが枯れた跡が、クスノキ林となっているところが、目につくようになっています。クスノキは西日本の低地でよく見られますが、日本原産ではなく、古くに中国から持ち込まれ、社寺などに植栽された常緑広葉樹であると考えられています。

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写真:ウバメガシ

 香川県の植生で忘れてはならないのは、島しょ部に多い海岸植生です。高松市周辺では海岸線のほとんどが埋立地となり、自然の海岸は見られませんが、島しょ部では多くの自然の海岸が残っています。自然の砂浜では、ハマゴウ、ハマヒルガオ、ハマエンドウ、ハマビシなど、海岸の崖地では、ツワブキ、ハマナデシコ、ハマナタマメ、アゼトウナなど、海岸に特徴的な植物が見られます。

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写真:イワシデ

 最後に、小豆島寒霞渓の集塊岩地域の植生を、特異な植生としてあげておかなければなりません。集塊岩地域の傾斜の急な崖地では、乾燥によってほかの植物がなかなか生育できないために、ほかの地域には見ることのできない小豆島ならではの貴重な植物が多数出現しています。

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末広 喜代一
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