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目次

かがわの淡水魚

淡水魚

 香川県の河川は、讃岐山脈から北流して瀬戸内海に注ぐ短い河川ばかりです。また、降水量が少ないうえに、山地が浅いことから、川の水量も、大雨の後以外はあまり多くはありません。そこで、人々は昔から大小無数のため池を造り、水を蓄えて大切に使ってきました。このような自然条件は、淡水魚にとっては大変厳しい環境であり、四国4県の中では淡水魚の種類がもっとも少ない県となっています。

 ところが、1974年に香川用水の通水が始まり、吉野川の水が讃岐山脈を貫いたトンネルを通って県内各地の溜池や河川に導入されました。このことによって、細々とした流れではあっても、常時水が流れるようになりました。人の力が香川の水環境を変え、そこに住む淡水魚にとっての環境をも変えていきました。そればかりではなく、香川用水は吉野川に生息している淡水魚も同時に運び、各地の川でこれまで見ることがなかった種類の魚が出現してきました。

 植松ほか(1979)によると、香川用水の通水以前の淡水魚(純淡水魚と両側回遊魚)は39種でした。このうちアマゴ、ワカサギ、オイカワ、タモロコ、ゲンゴロウブナ、カダヤシ、カムルチー、オオクチバス(通称ブラックバス)、ブルーギルの9種は移入された種類で、昔から県内に生息していた淡水魚はわずかに30種とされています。(注1)また、移入されたものの香川県の自然環境に適応できなかった魚に、ニジマス、ソウギョ、ハクレン、カマツカ、ウグイがあげられています。

写真:オイカワ・ブルーギル
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 須永ほか(1989)によると、香川用水の通水によって、ハス、スゴモロコ(コウライモロコ)、カマツカ、ニゴイ、ウグイ、ギギ、ワタカの7種が加わりました。また、新しくヌマチチブ、タイリクバラタナゴの2種の生息が確認されました。

 その後の調査で、タイワンドジョウ、タウナギ、カワアナゴ、ヌマムツの4種の生息が新たに確認され、ヨシノボリはシマヨシノボリ、トウヨシノボリ、クロヨシノボリ、オオヨシノボリ、ルリヨシノボリの5型の生息が確認されたので、今では57種(亜種、型も1種と数える)が生息しています。

写真:オオクチバス

 県内で確認された9種の外来魚は、いずれも外国から直接県内に持ち込まれたものでなく、他府県から間接的に持ち込まれたものです。ニジマス、ブルーギル、オオクチバス、タイワンドジョウ、カムルチーの当初の目的は、食用魚として増殖することでした。また、ソウギョは溜池などの水草を、ハクレンは植物プランクトンを、カダヤシはその名のとおりボウフラを駆除する目的で持ち込まれました。タイリクバラタナゴは、中国から輸入した食用魚に混入して渡来したと考えられています。これらのうち、カルムチーとブルーギル、オオクチバスは、溜池などに定着し、もともといた小魚やエビなどを捕食して、溜池の生態系を破壊していることが大きな問題となっています。

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写真:ニッポンバラタナゴ

 また、県内には、昔からヤリタナゴ、アブラボテ、ニッポンバラタナゴの3種類のタナゴが生息しています。中でも、ニッポンバラタナゴは、香川県の特徴である平野部の多くの溜池とそれにつながる用水路を含めた水環境を代表する淡水魚です。しかし、タナゴの仲間は、近年、とくに減少が著しく、絶滅の危険性が高くなっています。香川県レッドデータブックにおいて絶滅危惧種に指定されました。これらタナゴの仲間は二枚貝に卵を産み付けることが特徴ですが、この産卵床となる二枚貝が、水質の汚濁など水環境の変化によって減少し、その結果としてタナゴの生息できるところも減少しているのです。また、ブルーギルやオオクチバスによる捕食も、タナゴの減少に拍車をかけています。(注2)

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 このほかにも、近年、個体数が減少しているものに、オヤニラミ、カワバタモロコ、カジカ大卵型、アカザ、ナガレホトケドジョウ、ヌマムツなどがあります。メダカやドジョウもその姿を普通に見かけることはできなくなりつつあります。これらの淡水魚は,いずれも香川県レッドデータブックにおいて絶滅危惧種に指定されました。一方で水質汚濁に強いオイカワや外来魚が増えていることは、私たちの人間の生活様式の変化や自然環境の改変と深くかかわっています。

 一見、何の変哲もない淡水魚たちも、注意深く観察してみると、思いがけない美しさや新しい興味を発見することができます。さまざまな淡水魚たちの生息する水環境は、わたしたちにとって望ましいものに違いありません。最近では、全国各地の河川などで淡水魚の生息環境を積極的に保全・創造したり、改善したりする試みも始められています。

大高 裕幸・安芸 昌彦

 注1  昔から県内に生息していた30種の淡水魚とは、アユ、ウナギ、タカハヤ、カワムツ、カワバタモロコ、イトモロコ、ムギツク、モツゴ、コイ、ギンブナ、バラタナゴ(ニッポンバラタナゴ)、ヤリタナゴ、アブラボテ、カネヒラ、ドジョウ、スジシマドジョウ、シマドジョウ、ホトケドジョウ(ナガレホトケドジョウ)、アカザ、ナマズ、メダカ、カジカ(大卵型)、オヤニラミ、ドンコ、ヨシノボリ、カワヨシノボリ、チチブ、ウキゴリ、ビリンゴ、シロウオです。

 注2  特に、ニッポンバラタナゴは近縁亜種の外来魚であるタイリクバラタナゴとの交雑がふつうに行われるため、常に遺伝子的な絶滅の危機をかかえています。


【写真】




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