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つーさん(大学生)の里海まんがづくり体験レポート

里海まんが舞台裏

平成26年8月21日

2014年3月。

香川県から、里海とは何かを伝えるまんが「里海ってなあに?」が発行されました。今回のレポートは、このまんがに作画で関わった、私こと「つーさん」が、完成までの舞台裏を紹介したいと思います!

「里海」という言葉を初めて知ったのは、2013年7月に香川大学のゼミで行われた「かがわ『里海』づくり プレ・里海ワークショップ in 香川大学」でのこと。このワークショップでは、「里海とは何か」から始まり、班に分かれてPRのためのキャッチコピーや、具体的な取り組みとして何ができるかを話し合いました。

里海まんがの案は、その話し合いの中で出たものでした。「小・中学校で里海の勉強ができたら良いのでは」という意見に対して、どうしたら子どもにより興味をもってもらえるだろうかと考えたとき、ぱっと思いついたのが、「まんが形式がいいのではないか」ということ。自分が環境教育を受けてきた中で、まんがやパンフレットから得た知識は頭に入りやすかったな、という実感があったのを思い出しました。そこで、私がデザインや絵に興味があることを、知っていらっしゃった教授が、「人が作るのを待つより、学生でまんがを作成したらいいんじゃない?」と後押ししてくださり、ストーリー担当・作画担当のゼミ生2人で県環境管理課の方と一緒に、まんがを作成することになったのでした。

それが、このまんがができるまでの初めの一歩です。

 

(←最初のラフ)

今回のまんがを描く中でぶつかった大きな壁……。

それは、描き手である私たちが「瀬戸内海の状況を理解しなければならない」ということでした。

 

なんだ、そんなこと当たり前だ!と思われるかもしれません。しかし、これがけっこう、大変だったのです。というのも、瀬戸内海の状況に対しての専門家の意見はさまざま。「綺麗になりすぎたのではないか」という説、「まだまだ水質は改善していない」という説、「赤潮の原因についても、まだわかっていないことが多い」ということ……論文や書籍を読めば読むほど、瀬戸内海の環境を理解しようとすればするほど、その複雑さにびっくりするのでした。県水産課、みどり整備課の方にも加わっていただき、香川大学農学部や工学部の教授、またシンポジウムなどでも水辺の環境関係で活動していらっしゃるNPOの方など、たくさんの方々にご指導とご指摘をいただきながら、少しずつ描き進めていきました。

 

私は、この瀬戸内海が直面している難しい問題を、どうやってわかりやすく描けるか、と頭を抱えながらも、だからこそ同時に、「これは伝えたい!」と思うテーマがありました。

どうしてこんな複雑さが生まれるのか。

それは、これが海だけの問題ではなく、水が山から川を通り、まちを通り、そしてようやく海へたどり着く、「山、川、まち、海」の問題だからこそ、なのです。

「山、川、まち、海」すべてが連関していて、山に住んでいる人もまちに住んでいる人も、海と深い関わりを持っているのだということを一番に伝えたい!と思って、このまんがを描きました。

 

最後に、私がまんがを描く中で強く意識することとなったキーワードを挙げたいと思います。

「共生」。

シンポジウムで、こんな意見がありました。

「私は、山で伐採活動をしているが、そうすると、たまに森や木がかわいそうという人がいて、批判されたりする。だけれどあれは植林だから、切ってやらないと荒れる。影ができて日が入らないので、植物も動物も居場所がなくなるし、土にも栄養がなくなる。土砂崩れで川や海に濁った水が流れたりもする。」

私はこの意見を聞いて、「守る」ということはなんだろう、と思いました。手を加えること自体が人間が上に立つようで嫌だ、という人もいます。しかし私は、「まったく人間から切り離して成立する生態系」があるとする考えならば、そのほうが人間が特別視されているのではないかと思うのです。もう何万年も前から、人間も自然の中で暮らしてきました。そして科学技術の発展で壊してしまった環境がたくさんあります。だからこそ、これからは人間が“ヒト”として、自然の循環システムの一部として、持ちつ持たれつの適正な関わりを持とうとすることが、重要になるのではないかな、と思ったのでした。

それが、これから私たちがつくっていかなければならない「里山」、「里海」の姿なのではないか、と思います。

 

山川里海