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公開日:2024年9月5日

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近代能楽がつむぐ縁(えにし)-松平頼寿と中野武営

香川県初公開の能楽関係作品が必見です!

展示の概要

 江戸時代、幕府の重要な儀式とされた能は、近代に入ると政府高官や実業家、文化人など各界の名士たちの間で盛んになっていきました。高松藩旧臣で、松平家の相談役を務めていた中野武営(たけなか)(1848-1918)も宝生流(ほうしょうりゅう)の謡(うたい)に熱心にとり組んだひとりで、長男の岩太は「素人の宝生九郎」と称され宝生流の名手として名を馳せました。
 高松藩の能は喜多(きた)流でしたが、12代当主松平頼寿(よりなが)(1874-1944)も宝生流の謡と能、葛野(かどの)流の大鼓(おおつづみ)をたしなみました。本展示では、頼寿所用の近代能面などの道具類を紹介するとともに、金沢能楽美術館の協力のもと、中野家伝来の能楽資料を特別公開します。

 

会期 令和6年910日(火曜日)から1027日(日曜日)
開館時間 午前9時から午後5時 *入館は閉館の30分前まで
休館日

月曜日 *月曜日が休日の場合は翌火曜日


<9月休館日>

9月17日(火曜日)、24日(火曜日)、30日(月曜日)

<10月休館日>

10月7日(月曜日)、15日(火曜日)、21日(月曜日)

会場 香川県立ミュージアム(高松市玉藻町5番5号)常設展示室1
展示数 64件145点
観覧料

一般410円、団体(20名以上)330円

  • 高校生以下、65歳以上、障害者手帳をお持ちの方は無料
  • 特別展「美術を探求 ギモンにせまる」開催中(9月14日~11月10日)は特別展観覧券でご覧いただけます。

関連行事

展示内容について担当学芸員がわかりやすくお話しします。

ミュージアムトーク

日時

令和6年922日(日曜日)、1019日(土曜日)

各日午後1時30分から

場所 常設展示室1
参加料

無料

*ただし観覧券が必要

申込 不要

主な展示品

中野随郷(ずいきょう)(武営)購入 宝生流(ほうしょうりゅう)謡本 大正3年(1914)発行 中野家コレクション
中野随郷(武営)購入 宝生流謡本 大正3年(1914)発行 中野家コレクション

箱の蓋うらの墨書(ぼくしょ)により、中野武営が大正4年に購入したことがわかる宝生流の謡本のセットです。

武営は、謡の武士道に通じる精神性や品位を重んじて真摯に鍛錬し、150曲を暗記し無本で謡うことができたといわれています。

各謡本には、長男岩太による仕舞や舞台についての覚書(おぼえがき)が朱筆や墨筆で細かく書き込まれています。

大正12年の関東大震災の火災で家財道具ほか能面や能装束を失う中、岩太が救い出した品のひとつです。

能面標本(のうめんひょうほん) 中村直彦(なかむらなおひこ)作 昭和17年(1942) 中野家コレクション

能面標本 中村直彦作 昭和17年(1942) 蓋表:松野奏風画 中野家コレクション

(蓋表:松野奏風画)

能面標本 中村直彦作 昭和17年(1942) 4段目 中野家コレクション

 (4段目)

東京美術学校出身で、古面修理や新作を手がけていた能面作家の中村直彦(1877~1945)。

明治44年(1911)に発足した直彦の後援会には細川護立(もりたつ)ほか井伊直忠( なおただ)、松平頼和(よりかず)(高松藩10代藩主頼胤(よりたね)7男)の華族や中野岩太が名を連ねました。

この能面標本は岩太の依頼で製作され、6段重の箱に小形の97面が収められています。

裏も作り、目は抜かないが一部に口を彫り抜き、面紐をかけたものもあります。彩色は繊細で髪の乱れ毛に極めて細い描線をみることができます。

能面 獅子口(ししぐち)  甫閑満猶(ほかんみつなお)作 享保9年(1726) 高松松平家歴史資料
能面 獅子口 甫閑満猶作 享保9年(1726) 高松松平家歴史資料  高松松平家12代頼寿は、10代後半の頃に宝生流(ほうしょうりゅう)地謡(じうたい)方の命尾寿六(めいおじゅろく)(1831~1919)について謡を始め、能は後年に17世宗家・宝生九郎重英(しげふさ)(1900~74)に学んで20余番をこなしたそうです。
 頼寿は大名時代から受け継ぐ能面や装束のほかに、新たな道具類も集めていたとみられます。〈石橋(しゃっきょう)〉で獅子の役に用いられる「獅子口」の面(おもて)も新たに収集されたひとつです。大正8年(1919)に売立てられた鳥取藩池田家の旧蔵品です。

 

 

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