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第17回目として、土庄町を訪問し、視察や意見交換を行いました。
【視察先】土庄町植物栽培システム研究所 〜小豆島やさい工房 シーサイドファーム〜
【視察・意見交換先】ボルダリングジム「MINA.UTARI(ミナウタリ)」・小豆島・豊島への移住者・NPO法人 Totie(トティエ)
土庄町植物栽培システム研究所 〜小豆島やさい工房 シーサイドファーム〜は、植物工場をテーマに最適な栽培環境、計測システム、幅広い知見と経験を有する産学官連携のサポート体制を整備した地域産業の研究拠点施設として、平成29年12月に開所されました。
健康・長寿の実現に大きく関連する「食」と「農業」分野において注目されている「植物工場」は、気候変動に影響されず安定して農作物を提供できることから近年、産業化が進んでいますが、経営面で大きな課題を抱えています。土庄町では、地方創生の新たな挑戦として、地域産業の活性化と健康・長寿の実現に取り組む中、世界最高水準の研究開発機関である理化学研究所と連携し、平成27年度から準備を進めてきました。
土庄町の川本農林水産課長、三木農林水産課課長補佐、井藤工場責任者より、事業の概要や工場の稼働状況などについて、ご説明いただきました。
同研究所では、産業化ビジネスモデル構築に向けた実証研究のための植物栽培システムを開発し、生産性と品質を飛躍的に向上させる生育環境の研究や、栽培に最適な環境を維持制御するシステムの整備を行い、主に腎臓病患者向けに需要が高い低カリウムレタスの本格栽培を開始しています。
現在は、生育環境の計測・モニタリングシステムを用い、稼働運営コストにかかる精密な分析研究や、植物の生育に必要なエネルギーについて、植物工場の省電力化、低コスト化技術の研究を行うとともに、販路の確保や低コスト化といった植物工場が抱える課題を整理しながら、ビジネスモデルの構築等の検討を行っているそうです。
また、太陽光を利用した新エネルギー循環システムの開発による植物工場の省電力化、低コスト化技術の研究も進めています。
私から、規模などについて従来の栽培方式との比較や、これまでの植物工場との違いなどをお聞きしたところ、植物工場の生産量を露地栽培とすると約6.5倍の広さが必要であること、CO2を効率的に供給することにより光合成を高めているとのことでした。
県では、新たな香川づくりの指針である「新・せとうち田園都市創造計画」において、「健康長寿の香川をつくる」ことを重点施策の一つに掲げています。同研究所での取り組みは、健康に自立して生活できる期間(健康寿命)を伸ばすとともに、地域再生、地域活性化の大きな柱となり、地方創生につながっていくものと期待しています。
生涯にわたって安心で暮らしやすい環境をつくり、誰もが元気に長生きできる香川をめざすとともに、高齢者の社会参加を促進し、地域活力の向上を図っていきます。
小豆島・豊島は、本県に移住を希望される方が多い地域で、ここ数年、県外からの移住者数が県全体の2割から3割前後を占めています。瀬戸内国際芸術祭で来島されたり、島を中心に移住を考えていた方が実際に訪れて、東京など大都会の生活とは違う生活ができ、大きな災害が少なく、穏やかな瀬戸内海に囲まれていること、親切で温かい島の人たちに多く出会えたことなどから、移住を決められたという方々と意見交換を行いました。
まず、移住者の方が経営されているボルダリングジム MINA.UTARI(ミナウタリ)を見学しました。こちらは小豆島初のボルダリングジムで、東京から移住された渡利ご夫妻により、平成29年5月にオープンしました。店名は、アイヌ語のミナ=笑う、ウタリ=仲間を意味する言葉です。渡利ご夫妻より、ジム内のご案内やご説明をいただきました。初心者から上級者まで楽しめるよう、垂直な壁面や手前にせり出している難しい壁面もあり、利用者のグレードに合わせて登ることができるよう、難易度がカラーテープで表示されていました。オープンして、もうすぐ1年となりますが、現在の会員数は480名とお聞きしました。「ボルダ」は大きな岩のかたまりという意味だそうで、ボルダリングの発祥はアメリカとヨーロッパだそうです。どういう人がボルダリングに向いているのか、お聞きしたところ、体重は軽い方が有利で、筋力があって、身体の柔軟性がある方が良いとのことでした。また、ボルダリングジムの壁の材質について伺うと、決まりはなく、樹脂製が多いものの木製もあるそうです。渡利さんに実演していただき、私も勧められて少しですが登ってみました。教えていただきながら初心者レベルのテープに沿って登ってみましたが、若い人だけではなく、年配の方でも気軽に始めることができるスポーツだと実感しました。ボルダリングは、次回に開催される東京オリンピックから競技種目となり、活躍が期待できる日本人も多く、メディアでも取り上げられているので、岩の資源が豊富な四国の中で、盛んに行われている徳島県や高知県のように、本県でも普及が進むことを願っています。「MINA.UTARI(ミナウタリ)」を見学後、同施設内で、意見交換を行いました。
NPO法人 Totie(トティエ)は、小豆島、豊島の未来を担う人材を確保し、地域活性化や文化・産業の維持に寄与するために設立されたNPO法人です。片山理事長と大塚理事から、同法人の主な事業や今後の課題について、ご説明いただきました。
同法人は、小豆島・豊島において、移住ガイドツアーやイベントへの出展を行う移住促進活動事業、利用希望者や物件所有者からの相談や利用・登録促進などを行う空き家活用事業、シェアハウスの運営や島内イベントの開催、移住者へのフォローなど定住促進に向けた事業などを行っています。
2010年から始まった瀬戸内国際芸術祭や観光PRなどをきっかけに、観光や体験に訪れた人が、島の自然や住んでいる人の人柄の良さに魅せられて何度か訪れるうちに、移住を考える人が増えてきています。土庄町や小豆島町と連携して、今後待ち受ける人口減少による地域の消滅といった最大の危機に向けて、実際に移住された方が定住し、島の財産を守りながら島の未来を担う人材となってくれるよう、日々奔走するとともに県全体のUJIターンの推進にも貢献していきたいということでした。
また、大塚理事は、「移住者にとっては、島は移住先ですが、子どもたちにとっては「ふるさと」であり、将来に向け何ができるか、住民がどうしたら輝けるか、島の良さを生かし地方だからできる互縁社会が続くよう笑顔づくりに邁進したい。」との力強い言葉で締めくくりました。
意見交換会に参加された皆さんからは、次のようなご意見がありました。
などの移住を決めたきっかけ
などの住む家を探したご苦労
などの良い点
などのご意見や想い
などの移住定住に向けたご要望
私からは、所得が減少しても住むコストが大都市とは違うことなど、見せ方も工夫し、移住促進につなげていってはどうかなどの提案や説明をしました。
本県では、「暮らしやすいけん、かがわ県」として、より多くの方に本県への移住に関心を持っていただくとともに、県内定着・Uターン就職促進に向け、新たな手段でのPRや、移住先としての香川の魅力や生活情報、生活スタイルを全国に向け発信しています。また、移住後の相談窓口となる「定住支援サポーター」を設置し、移住者への定住支援を図るとともに、移住者同士の連携を充実させていくため移住者交流会を開催したり、東京事務所やふるさと回帰支援センター、また、大阪事務所や地方版ハローワーク「ワークサポートかがわ」などに移住・交流コーディネーターを配置し、本県へのUJIターンを促進しています。今後も引き続き、県外からの移住者に対しては、市町と連携しながら空き家の改修費用や賃貸住宅家賃への補助、地域資源を活用して起業する方への助成など、移住・定住の促進に努めてまいります。
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