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公開日:2021年10月1日

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挑戦するかがわのものづくり企業(Scerma)

暮らし

目次

 

手袋


初心者からトップアスリートまで、多くの競技者に愛用される、一つ一つ手づくりのグローブ。オリンピックの快挙を支えた香川のものづくり企業を紹介します。

競技者を勝利に導く防御力とフィット感

金メダル獲得を支えた職人技

東京2020オリンピック競技大会で日本初の金メダルに輝いたフェンシング男子エペ団体チーム。彼らの活躍を支えたフェンシング用手袋の工房が、国内トップシェアを誇る手袋のまち、東かがわ市にあります。イタリア語でフェンシングを意味する「スケルマ」の名でオリジナルブランドを展開するのは、細川勝弘さん。妻のかずゑさんとともに、手袋を作り続けてきた熟練の職人です。

地場の手袋企業から1987年に独立したものの、防寒用手袋の製造は季節仕事で、なかなか安定しなかったそう。転機は、娘の夫から「国体に出場するので、フェンシング用手袋を作ってほしい」と依頼があった2005年でした。「何も知らないから、黒い生地で作ったんです」と振り返る勝弘さん。本来は監督やコーチが使う黒い手袋をつけた選手が登場したことは大きな反響を呼び、翌年のインターハイ向けにと地元・香川を含めた4県4高校から依頼が入りました。「会場に見に行ったら、私たちの手袋を使う選手が個人戦・団体戦とも優勝したんですよ。喜ぶ姿が本当にうれしくて。4校とも高い成績を収め、大会が終わるなり電話とファクスが鳴りやまなくなりました」。

ところが半年ほどたって突然注文が途絶え「一過性ならもうやめよう」とも思ったそうですが、地元のフェンシング指導者が「細川さんの手袋は丈夫で1年くらい持つから、もう少し待ってみて」と助言。その言葉通り、再び鳴り始めた電話は、全てリピーターでした。いけるかもしれない、と手応えを感じた瞬間です。現在も圧倒的にリピーターが多く「細川さんの手袋でなくては」という競技者も少なくありません。

作業写真1

一つ一つオーダーで選手の声に応える

国内でフェンシング用手袋を手掛ける大手メーカーはなく、選手たちは海外製の手袋を使っていました。細川さんの手袋は、丁寧な採寸に基づき、一つ一つ細かいリクエストに応えるオーダー品。1日に作れるのは4枚程度です。各地の試合会場に足を運び、選手たちの意見を直接聞いて、納得するまで型紙を改良して作り込みます。

1~2年に1回のペースでマイナーチェンジを重ね、当初からのオリジナルモデルのほかに、より高性能な上位モデルも完成。破れにくく相手の切っ先が滑って、得点を取られにくいナイロン糸の生地と合成皮革をベースに、防弾チョッキにも使われる繊維を縫い込んだり、打撃に耐える吸収剤を仕込んだり、ほつれやすい端はレーザーで焼き切るなどの工夫を凝らしています。縫製や裁ち方も、各選手の動きの癖などを踏まえて細かく調整。重厚な防御力と「つけた瞬間に手になじむ」一体感が特長で、今やジュニアからトップアスリートまで幅広い選手たちに愛用され、海外のメダリストや世界ランキング上位者たちも顧客に名を連ねます。

「どんな手袋が来るのか楽しみ、という選手たちの声がうれしい。作り手として、ワクワクを届けたい。競技の裾野を少しでも広げるお手伝いになれば」と、飾らない人柄がにじむ勝弘さん。「グローブを作り始めて15年目の節目に今回の金メダルの知らせが入って、感無量です。何より、ヨーロッパ勢には勝てないといわれていたエペで日本人がメダルに輝いたことは、次の世代に夢と希望を与えたと思う。偉業を成し遂げてくれました」と熱を込めます。「今使ってくれている子どもたちから、また未来のメダリストが生まれるかもしれませんね」と、明るく語ってくれました。

作業写真2

 

 

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