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公開日:2020年06月26日

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ご提言等の内容(東讃地域の県立高校再編整備(統廃合)計画について)

受付年月日

2020年06月02日

回答年月日

2020年06月15日

テーマ

東讃地域の県立高校再編整備(統廃合)計画について

提言内容

新型コロナウイルス感染症の緊急事態解除に至り、恐る恐るではありますが収束に向け一歩踏み出すことができたのは、知事以下行政の不休の対応と県民の一致した努力の賜物と、感謝と敬意を表す次第です。

今回の緊急事態宣言を受けて、これまでの生活を見直さなければならないと考えたことが2点あります。

一点目は都市部への人口集中です。全国的に見れば、周辺県も含めた東京への一極集中。県内でも、高松市への集中です。大都市に人口を向かわせる主要な産業は卸売業・小売業や情報通信業といったサービス業ですが、次々とクラスターが発生した都市部の方々は、テレワークやリモートワークと呼ばれる働き方を積極的に取り入れ、この難局を乗り越えようとしました。人口減少時代という基本的な流れはありますが、アフターコロナ時代には、集中し過ぎた都市部人口を広く分散させ、国土を有効に使いながら皆で安定した生活を送ることが、国民全員が適切なソーシャルディスタンスを取りながら暮らす手段ではないかと思うのです。

二点目は食料生産、農業の在り方です。グローバル経済社会にあっても、国土を生かして基礎的な食料生産を維持することの重要性です。今回の世界的なパンデミックで、さまざまな物資の流れがまひしました。外食産業や食品製造業などが多用している輸入農産物は影響を受けなかったのでしょうか。食料自給率の目標達成どころか、横ばいからさらに低下を進んでいるわが国で、地方の農村部は耕作地がありながら耕作者がいなくなり過疎を突き進んでいる状況です。潜在的な生産力を持ちながら、それを放棄していく姿を見続けてきました。しかし、今回の生活の見直しを通して、生鮮品といわれる野菜までもが輸入増加基調である食料問題をこのままにしていいのかと強く感じました。農業政策は輸出品目や大規模法人の育成に注力してきましたが、排除してきた多くの家族経営や兼業農家を、再度全国隅々まで配置して国土全体を守りながら一定の食料生産を行い、その地で消費者が利用するような新たな生活を再考する時ではないでしょうか。

このようなことを考えると、新型感染症問題が起きる前に発表された東讃地域の県立高校再編整備計画の骨子は、改めて考え直していただきたいと思います。
まず、さぬき市内の志度高校、石田高校、津田高校の統合です。志度高校、石田高校は既に高松市内からの通学生徒を数多く受け入れています。以前パブリックコメントの回答では、担当課から、同数のさぬき市在住生徒を高松市内の高校が受け入れているとのご指摘がありましたが、このまま若者の減少が続けば将来的に高松市以東の地域を支える人材は、高松市内に暮らす若者から育てなければなりません。高松市内からさぬき市内の高校へ通う高校生こそが、将来高松を出て東讃地域を担う人材になる可能性を秘めているのではないでしょうか。そうなるように政策誘導する必要があると思います。そうでなければ、都市生活しか知らない若者が、全く経験のない農山漁村の担い手にならなければなりません。
従って、高松市北部の生徒が通学可能な志度高校と、高松市南部および三木町の生徒が通学可能な石田高校は、地理的に残すべきです。それに当たっては、卒業後の進路によって返還不要な奨学金を創設するとか、少人数であっても学科存続を認め教育資産を保障するなどの対策が必要かもしれません。また、地域にとっても学校、病院などの存在は定住要件でありますから、高校生が生産年齢になったときにも安心して子育てできる必要条件と考えます。

次に農業を担う若者を育成する石田高校の存続です。県内では農業高校として西讃に笠田高校、中讃に農業経営高校、東讃に石田高校があります。高松東部地域以東で幅広い分野の農業教育を担っているのが石田高校です。これまでのような経済生産を優先した農業教育のみならず、県土全域を守りながら農業活動を行う若者を育てるには、計画にあるようなそれぞれの学科の伝統を生かしながら切磋琢磨できる学校の新設では解決できないように思います。統合計画では学科が縮小し農業教育の専門人材が減少することが予想されるからです。これまでのように農業の幅広い分野を賄える専門高校として、アフターコロナの新たな農業教育を担う教育者を一定数確保する必要があります。そういう学校こそ、高校生にとってもはるばる高松市内から通学する価値があるのではないでしょうか。改編により他学科との交流で活性化が期待できる学校としては、既に市内に高松南高校があると思います。
また、農業高校には学校農場があり、地域と密接な関係を持っています。この地域性は農地という土地に根差したものであり、移転によって簡単に再構築できるものではありません。本来そのことを教えるのが農業教育であり、巣立った若者が各地の土地に根差して農業、生活、集落を支えることこそ、再び求められる使命だと思います。石田高校農場は基盤整備もされず老朽化した畜舎も残るなど他校に比して見劣りするところもありますが、これに手を加え、現在そこで教育に当たられている経験豊かな人材をもって、新たな食糧生産と東讃地域を担う若者の集う場所として再生すべきと考えます。

これまでの好調な経済状況下では人口の都市集中が進み、さぬき市や東かがわ市の人口減少により病院や学校の統廃合が必定のものとされてきました。しかし、今回の新型コロナウイルスによる急激な情勢変化は、決して以前の状況そのままに戻ることを許してはくれません。人や物の移動は、決して際限なくできるものではないことが明らかになりました。政治が後追いすることなく、遠き先のビジョンを持って県民がより豊かに暮らせる香川県に誘導していただけますよう心からお願いいたします。

回答内容

メールを拝見しました。

皆さま方のおかげをもちまして、ひとまず、国内における新型コロナウイルス感染症の感染拡大の大きな波を収束の方向に向かわせることができましたが、この感染症に対しては、今後も、第2波、第3波に備えた長丁場の取組みが必要です。これからも気を緩めることなく、引き続き、全力で取り組み、県民の皆様の安全・安心を確保し、社会経済活動を維持・回復できるよう、万全を期してまいります。

ご提言いただきました東讃地域の県立高校の再編整備につきましては、「魅力あふれる県立高校推進ビジョン」を令和2年3月に教育委員会において策定いたしました。本ビジョンは、県立高校の「現状と課題」を挙げ、今後10年間を見据えて、県立高校で「育成すべき資質・能力」「推進すべき教育活動」など、本県高校教育の一定の方向性を示すことを中心としており、そのために必要な教育環境の整備の一つとして、東讃地域の県立高校の再編整備を挙げています。

ご指摘のとおり、若者の地元定着やUターン促進、また、地域活力の向上といった観点などから、地方創生に果たす高校の役割は大きいと考えております。
そのため、このビジョンにおいては、石田高校、志度高校、津田高校を統合して東讃地域に新しく設置する高校は、3校の伝統を生かした専門学科の学びの充実を図るとともに、さまざまな学科に多様な価値観を持つ生徒が集まる、県内でも有数の高等学校となる予定であることから、このことを積極的に生かした学科横断的な教育活動、地域と連携した探究型の学習を充実させ、主体的な課題の解決、新たな価値の創造ができる生徒を育成したり、部活動の振興を図ったりするなど魅力ある教育活動を展開し、東讃地域の生徒はもちろん、高松地域からも生徒を呼び込める高校にしていくこととしています。

また、食料生産、農業の在り方につきましては、農業は生活の根幹を支える重要産業であり、本県でも基幹産業の一つとして戦略的な農業振興に取り組んでいるところです。教育委員会においても、高校における農業教育では、専門的な農業に関する学びを通して、職業人として豊かな人間性を育むとともに、社会の変化に応じた農業振興や社会貢献に主体的かつ協働的に取り組む人材を育成していくことは重要であると考えているとのことです。

これまで石田高校は、農場での農業実習を中心とした専門教育の充実に努めるとともに、学校が開設する市場での生産品の販売や東かがわ五名地区における棚田の保全活動など、地域に根ざした学校づくりを推進し、地域の農業に従事する有為な人材を輩出してきました。
教育委員会では、東讃地域に新しく設置する高校においては、生徒数が減少していく中でも、新たな農業教育を担う教育者を一定数確保しつつ、石田高校における農業教育のこれまでの学びの伝統を生かしながら、多様な学科の生徒が一つの学校に集まるというメリットを生かし、また、地域の大学や企業、農業法人などとも連携しながら、6次産業化への対応や起業家精神の育成など、新しい農業の在り方も見据えた、地域の農業を支えていく人材を育成していきたいとのことです。

新しい統合高校の具体的な学科・コースの配置や教育内容などにつきましては、生徒の多様なニーズに応じた学びを全県的な視点に立って総合的に保障することを基本に、今後も関係各方面のご意見などを伺いながら、また、今回いただきましたご意見も参考に検討を進めてまいります。

担当課

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