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公開日:2021年10月19日

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香川県個人情報保護条例解釈基準

目次

  • 第1章 総則
  • 第2章 実施機関が取り扱う個人情報の保護
    • 第1節 個人情報の取扱い
    • 第2節 個人情報取扱事務登録簿の作成及び閲覧
    • 第3節 保有個人情報の開示
    • 第4節 保有個人情報の訂正
    • 第5節 保有個人情報の利用停止
    • 第6節 審査請求
    • 第7節 情報の提供等
    • 第8節 苦情処理
    • 第9節 他の制度との調整
  • 第3章 事業者が取り扱う個人情報の保護
  • 第4章 香川県個人情報保護審議会
  • 第5章 雑則
  • 第6章 罰則
  • 附則

第1章 総則

目的

第1条 この条例は、個人情報の適正な取扱いの確保に関する基本的事項を定め、実施機関が保有する保有個人情報の開示、訂正及び利用停止を求める権利を明らかにするとともに、事業者が取り扱う個人情報の保護について定めることにより、個人情報の有用性に配慮しつつ、個人の権利利益を保護することを目的とする。

【趣旨】
本条は、香川県個人情報保護条例(平成16年香川県条例第57号。以下「条例」という。)の目的を明らかにするものであり、条文解釈の指針となるものである。したがって、条例の解釈及び運用は、常に本条に照らしながら行われなければならない。
また、この条例は、個人情報の適正な取扱いを確保する上で、本人に関する情報の流れは可能な限り本人の知り得る状態にあるのが適当であるという基本的立場から、現在、制度化が可能な施策について定めている。したがって、本人が自己の個人情報の流れを承知し、権利利益を不測に侵害されないように解釈及び運用することが必要である。

【解釈・運用】

  1. 「個人情報の適正な取扱いの確保に関する基本的事項を定め」とは、実施機関が取り扱う個人情報について、個人情報の収集から利用・提供、管理、廃棄に至る一連の過程においてその取扱いの適正を期すため、収集の制限、利用又は提供の制限、適正管理、委託に伴う措置などの諸ルールを定めることをいう。
  2. 「開示、訂正及び利用停止を求める権利を明らかにする」とは、実施機関が保有する保有個人情報について、自己を本人とする保有個人情報の開示を請求する権利、開示を受けた保有個人情報の内容が事実でないと思料する場合に訂正(追加又は削除を含む)を請求する権利及び開示を受けた保有個人情報が条例の規定に反して取り扱われていると思料する場合に利用停止(利用の停止、消去又は提供の停止をいう。)を請求する権利を本条例により創設することをいう。
  3. 「事業者が取り扱う個人情報の保護について定める」とは、民間事業者の責務を明らかにすることをいう。
  4. 「個人情報の有用性に配慮」するとは、個人情報は、過剰に保護することが適切なのではなく、適正に利用されることにより、それに応じた利益を個人及び社会全体として享受することができるものであることを明らかにしたものである。
  5. 「個人の権利利益」とは、個人情報の取扱いによって侵害されるおそれのある、例えば私生活をみだりに公開されない権利、個人の秘密が公開されない権利、自己の情報を知る権利、誤った情報、不完全な情報等によって自己に関して誤った判断がなされない利益などの、社会的なもの、精神的なものに限らず広範な分野で保護に値するものすべてを含むものである。

定義

第2条 この条例において「個人情報」とは、個人に関する情報であって、次の各号のいずれかに該当するものをいう。

  • (1)当該情報に含まれる氏名、生年月日その他の記述等(文書、図画若しくは電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。以下同じ。)に記載され、若しくは記録され、又は音声、動作その他の方法を用いて表された一切の事項(個人識別符号(行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第58号)第2条第3項に規定する個人識別符号をいう。以下同じ。)を除く。)をいう。以下同じ。)により特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)
  • (2)個人識別符号が含まれるもの

2 この条例において「実施機関」とは、知事、議会、教育委員会、公安委員会、警察本部長、選挙管理委員会、人事委員会、監査委員、労働委員会、収用委員会、海区漁業調整委員会、内水面漁場管理委員会及び病院事業の管理者をいう。

3 この条例において「職員」とは、地方公務員法(昭和25年法律第261号)第3条第2項に規定する一般職に属する職員及び同条第3項に規定する特別職に属する職員並びに警察法(昭和29年法律第162号)第56条第1項に規定する地方警務官をいう。

4 この条例において「事業者」とは、法人その他の団体(国、地方公共団体、独立行政法人等(独立行政法人等の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第59号)第2条第1項に規定する独立行政法人等をいう。以下同じ。)及び地方独立行政法人(地方独立行政法人法(平成15年法律第118号)第2条第1項に規定する地方独立行政法人をいう。以下同じ。)を除く。以下「法人等」という。)及び事業を営む個人をいう。

5 この条例において「保有個人情報」とは、実施機関の職員(議会にあっては、議会の事務局の職員に限る。以下同じ。)が職務上作成し、又は取得した個人情報であって、当該実施機関の職員が組織的に利用するものとして、当該実施機関が保有しているものをいう。ただし、行政文書等(香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号)第2条第1項に規定する行政文書又は香川県議会情報公開条例(平成12年香川県条例第79号)第2条に規定する公文書をいう。以下同じ。)に記録されているものに限る。

6 この条例において「特定個人情報」とは、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成25年法律第27号。以下「番号利用法」という。)第2条第8項に規定する特定個人情報をいう。

7 この条例において「保有特定個人情報」とは、実施機関の職員が職務上作成し、又は取得した特定個人情報であって、当該実施機関の職員が組織的に利用するものとして、当該実施機関が保有しているものをいう。ただし、行政文書等に記録されているものに限る。

8 この条例において「情報提供等記録」とは、番号利用法第23条第1項及び第2項(これらの規定を番号利用法第26条において準用する場合を含む。第35条において同じ。)に規定する記録に記録された特定個人情報をいう。

9 この条例において個人情報について「本人」とは、個人情報によって識別される特定の個人をいう。

【趣旨】
本条は、条例における基本的用語を定義するものである。

【解釈・運用】
第1項関係

  1. 「個人に関する情報」とは、氏名、住所、生年月日、性別などの基本的な属性を示す事項を始め、個人の発言内容、行動記録など当該個人に関わりのあるすべての情報をいう。生存する個人に限らず、死亡した者(以下、この解釈基準において「死者」という。)に関する情報も含まれる。なお、第1号中「その他の方法を用いて表された一切の事項」には写真を含む。
    実務上、すべての個人の情報について、生存する者に関する情報かどうかを確認することが困難なこと、死者に関する情報であっても適正に管理すべき要請は、生存する者に関する情報と異ならないことから、この条例の対象となる個人情報に含めている。
  2. 「特定の個人を識別することができるもの」に限る趣旨は、「個人に関する情報」のうち特定の個人を識別できる情報は、当該情報と本人との結びつきが明確であり、その取扱いによって本人の権利利益の侵害が及ぶ可能性があることによる。氏名等のようにそれ自体で個人識別性がある情報だけでなく、例えば、個人の身体、財産、行動記録などに関する情報も、氏名等と一体となって特定個人を識別できるのであれば、すべて「個人情報」に当たる。
  3. 「他の情報と照合することができ、それにより特定の個人を識別することができることとなるもの」とは、当該個人に関する情報だけでは特定の個人を識別することはできないが、既に公になっている又は入手可能な他の情報と当該情報とを組み合わせることによって、特定の個人を識別することができることとなる情報をいう。なお、「他の情報と照合することができ」については、民間事業者が保有する個人情報の保護を目的とする保護法と異なり、照合の「容易性」を要件から外している。これは、営業の自由に配慮すべき民間とは異なり、大量の個人情報を保有する実施機関においては、より厳格な個人情報保護が必要と考えられること、及び情報公開条例の個人情報の範囲との整合性を考慮したものである。
  4. 「個人識別符号」とは、特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した文字、番号、記号その他の符号であって、当該特定の個人を識別することができるもの(行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(平成15年法律第58号。以下「行政機関個人情報保護法」という。)第2条第3項第1号)、及び個人に提供される役務の利用若しくは個人に販売される商品の購入に関し割り当てられ、又は個人に発行されるカードその他の書類に記載され、若しくは電磁的方式により記録された文字、番号、記号その他の符号であって、その利用者若しくは購入者又は発行を受ける者ごとに異なるものとなるように割り当てられ、又は記載され、若しくは記録されることにより、特定の利用者若しくは購入者又は発行を受ける者を識別することができるもの(行政機関個人情報保護法第2条第3項第2号)として、行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律施行令(平成15年政令第548号。以下、「行政機関個人情報保護法施行令」という。)で定められたものをいう。行政機関個人情報保護法施行令で規定されている「個人識別符号」に該当するものは、次のとおりである(なお、詳細は、個人情報保護委員会作成の「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」参照)。
    • (1) 特定の個人の身体の一部の特徴を電子計算機の用に供するために変換した符号等
      次に掲げる身体の特徴のいずれかを電子計算機の用に供するために変換した符号等であって、特定の個人を識別するに足りるものとして総務省令で定める基準に適合するもの
      1. 細胞から採取されたデオキシリボ核酸(別名DNA)を構成する塩基の配列
      2. 顔の骨格及び皮膚の色並びに目、鼻、口その他の顔の部位の位置及び形状によって定まる容貌
      3. 虹彩の表面の起伏により形成される線状の模様
      4. 発声の際の声帯の振動、声門の開閉並びに声道の形状及びその変化
      5. 歩行の際の姿勢及び両腕の動作、歩幅その他の歩行の態様
      6. 手のひら又は手の甲若しくは指の皮下の静脈の分岐及び端点によって定まるその静脈の形状
      7. 指紋又は掌紋
      8. 組合せ(1から7までに掲げるものから抽出した特徴情報を、組み合わせ、本人を認証することを目的とした装置やソフトウェアにより、本人を認証することができるようにしたもの)
    • (2) 対象者ごとに異なるものとなるように、個人に発行されるカードや書類等に付される符号等(主なものを抜粋)
      1. 旅券の番号
      2. 基礎年金番号
      3. 運転免許証の番号
      4. 住民票コード
      5. 個人番号
      6. 国民健康保険等の被保険者証の記号、番号及び保険者番号
      7. 後期高齢者医療制度の被保険者証の番号及び保険者番号
      8. 介護保険の被保険者証の番号及び保険者番号
  5. 法人等の役員に関する情報については、法人等に関する情報の一部であると認められることから、旧条例では「個人情報」から除外していた。今般、保護法や行政機関の保有する個人情報の保護に関する法律(以下「行政機関法」という。)において、法人等の情報であると同時に個人情報としての側面も持つという観点から「個人情報」に含まれたことを受け、この条例では対象とすることとした。
  6. 事業を営む個人に関する情報についても、法人等の役員に関する情報と同様、事業に関する情報であると同時に個人情報としての側面を持つことから、個人情報に含まれるものである。

第2項関係
「実施機関」とは、この条例に基づき、個人情報保護の責務を負い、個人情報保護に関する施策を実施する機関のことであり、地方自治法(昭和22年法律第67号)及び地方公営企業法(昭和27年法律第292号)により、独立して事務を管理し、執行する権限を有する機関をいう。

第3項関係
この項目は、罰則規定の対象となる職員の範囲を明確にするため設けたものである。実施機関が取り扱う個人情報の保護を徹底するためには、個人情報を取り扱う可能性があるすべての職員を対象とする必要があるので、特別職か一般職か、常勤か非常勤かを問わず、知事、議会の議員、行政委員会の委員、監査委員及び実施機関の職務上の指揮監督権限に服するすべての職員が含まれる。
議会の議員にあっては、本項の「職員」には該当するが、本条第5項の「実施機関の職員」には含まれない。したがって、第10条(職員の義務)、第63条から第65条(実施機関の職員等の罰則)の規定は適用されない。

第4項関係

  1. 「事業」とは、一定の目的をもって反復継続して遂行される同種の行為の総体を指し、営利、非営利の別を問わない。地方税法(昭和25年法律第226号)第72条の2第8項から第10項までに掲げる事業、農業、林業などの営利行為のほか、一般には営利行為に該当しないような社会福祉事業等も含まれる。
  2. 「法人」とは、営利法人、公益法人等法人格を有するあらゆる団体をいう。
  3. 「その他の団体」とは、自治会、商店会、消費者団体、青年団、PTA等で法人格はないが、団体の規約及び代表者等が定められているものをいう。
  4. 「国、地方公共団体、独立行政法人等及び地方独立行政法人(以下、この解釈基準において「国等」という。)」については、行政機関法等及び各地方公共団体の条例によりその取り扱う個人情報の保護が図られることとなるので、この条例により個人情報の適正な取扱いを求める事業者から除外するものである。

第5項関係

  1. 「実施機関の職員(議会にあっては、議会の事務局の職員に限る。以下同じ。)が職務上作成し、又は取得した」とは、実施機関の職員が、自己の職務の遂行者としての公的立場において作成し、又は取得したことをいう。議会にあっては、事務局の職員に限るので、議員が職務上作成・取得したものは含まないことになる。
    この「職務」には、地方自治法第2条第9項の規定により実施機関が処理することとされている法定受託事務及び同法第180条の2又は第180条の7の規定により、実施機関が委任を受け、又は補助執行している事務を含むものである。
    ただし、次のような事務は含まれない。
    • (1)実施機関の職員が、地方公務員等共済組合法(昭和37年法律第152号)第18条第1項の規定により従事している事務、地方公務員災害補償法(昭和42年法律第121号)第13条第1項の規定により従事している事務等、他の法人の事務に従事している場合における当該事務
    • (2)地方自治法第252条の17の2第1項及び地方教育行政の組織及び運営に関する法律(昭和31年法律第162号)第55条第1項の規定に基づき、知事及び教育委員会の権限に属する事務で、条例の定めるところにより、市町が処理することとされた事務
  2. 「当該実施機関の職員(省略)が組織的に利用するものとして、当該実施機関が保有しているもの」とは、作成又は取得に関与した職員個人の段階のものでなく、組織としての共用文書の実質を備えた状態、すなわち、当該実施機関の組織において業務上必要なものとして利用・保存されている状態のものを意味し、課長・所長等一定の権限を有する者と他の職員が共用し、保有しているものを指している。したがって、職員が自己の執務の便宜のために保有する正式文書と重複する当該文書の写しや職員の個人的な検討段階にとどまる資料等は、これに当たらない。
  3. 「行政文書等」については、香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号)第2条第1項の解釈を参照のこと。

第6項関係
「特定個人情報」とは、個人番号(番号利用法第2条第5項に規定する個人番号をいう。個人番号に対応し、当該個人番号に代わって用いられる番号、記号その他の符号であって、住民票コード以外のものを含む。)をその内容に含む個人情報をいう。
なお、この場合、「特定個人情報」の定義にいう「個人情報」とは、本条第1項に規定する個人情報とは異なり、保護法第2条第1項に規定する個人情報をいい、生存する個人に関する情報に限られ、死者に関する情報は含まれない。

第8項関係
特定個人情報は、国が設置・管理する情報提供ネットワークシステムを使用して情報連携が行われる。情報連携に際し、情報照会者及び情報提供者は、特定個人情報の提供の求め又は提供があったときは、番号利用法第23条第1項に定める各項目を、その者が使用する電子計算機に記録し、政令で定める期間保存することになっている。また、同法同条第2項により、当該提供の求め又は提供の事実が、この条例で定める非開示情報に該当するときは、その旨を同様に記録・保存することとされている。同法同条の規定は、同法第26条により、条例事務(同法第9条第2項に定める事務)に係る提供の求め又は提供に準用されている。

第9項関係
「本人」とは、この条例により権利利益の保護が図られる主体として、氏名、生年月日その他の記述等により、当該個人情報から識別できる個人と同一人であると認定できる者をいう。

実施機関の責務

第3条 実施機関は、この条例の目的を達成するため、個人情報の保護に関して必要な措置を講じなければならない。

【趣旨】
本条は、個人情報保護制度を実施するに当たって、個人情報保有者としての実施機関の責務を定めたものである。

【解釈・運用】
「個人情報の保護に関して必要な措置」とは、この条例に具体的に規定する保護措置に限らず、個人情報を取り扱う事務の見直しや改善のほか、職員の研修、県民や事業者等に対する普及啓発等個人情報の保護に関する必要なすべての措置をいう。

事業者の責務

第4条 事業者は、個人情報の保護の重要性を認識し、事業の実施に伴い個人情報を取り扱うときは、個人の権利利益を侵害することのないよう必要な措置を講ずるとともに、個人情報の保護に関する県の施策に協力しなければならない。

2 県が資本金その他これに準ずるものを出資している法人のうち実施機関が定める法人は、前項の措置を講ずるに当たっては、この条例の規定に基づく県の施策に留意しなければならない。

【趣旨】
本条は、実効性のある個人情報保護を図るためには、大量の個人情報保有者である行政と事業者が協力して対策を講じることが必要であることから、個人情報を取り扱う事業者の責務を定めたものである。
また、県が出資している法人のうち実施機関が定める法人については、個人情報の保護に関する県の施策に留意して、必要な措置を講ずるよう努めなければならないことを定めたものである。

【解釈・運用】
第1項関係

  1. 「事業者」とは、県内に事務所を有する事業者のほか、県内で活動するすべての事業者を指す。
  2. 「個人情報の保護の重要性を認識し」とは、個人情報の保護が社会的ルールとして定着するためには、個人情報を取り扱う機会の多い事業者が個人情報保護の重要性を認識することが大切であるという趣旨である。
  3. 「必要な措置を講ずる」とは、例えば、個人情報の収集、利用及び提供、適正管理等についての基準を定めることや、本人に自己の個人情報の存否、内容等を知るための機会を提供することをいう。
  4. 「県の施策に協力しなければならない」とは、具体的にはこの条例の規定に基づき知事が行う助言・指導等に応じることのほか、県が行う各種の個人情報の保護施策に協力すべき責務があることを定めるものである。

第2項関係

  1. 「県が資本金その他これに準ずるものを出資している法人」は、県と連係を保ち、県行政の補完的な役割を果たしているところであり、そのうち、出資比率が高い法人は、特に県行政と深い関係を有しているため、その保有する個人情報を適正に取り扱うべき社会的な要請も強いものと考えられる。
  2. 「実施機関が定める法人」とは、そのうち、当該法人の資本金又は基本財産(基金を含む。)の額に占める県からの出資又は出捐を受けた額の割合が50%以上で、実施機関が告示したものをいう。
  3. 「留意しなければならない」とは、県の施策に倣い、又は県の施策を参考にすることをいう。 具体的には、独自の内部管理規程を設けたり、個人情報の保護の重要性を職員に認識させるための教育や研修を行ったり、電子計算機処理に当たり、ソフト面、ハード面からの安全対策を講じることなどが考えられる。

県民の責務

第5条 県民は、個人情報の保護の重要性を認識し、自らの個人情報の保護に努めるとともに、他人の個人情報の取扱いに当たっては、他人の権利利益を侵害することのないよう努めなければならない。

【趣旨】
個人情報保護の実を挙げるためには、県民一人ひとりが個人情報保護に関する意識を高めることが必要である。また、前2条とあわせて、実施機関、事業者及び県民一人ひとりが個人情報を適正に取扱うことにより本条例の目的が達成されるものであることから、県民に個人情報保護に関する責務を課するものである。

【解釈・運用】

  1. 「個人情報の保護の重要性を認識し」とは、個人情報の保護が社会的ルールとして定着するためには、事業者に個人情報を提供することとなる県民一人ひとりが、個人情報保護の重要性を認識することが大切であるという趣旨である。
  2. 「自らの個人情報の保護に努めるとともに」とは、県民が、自己の個人情報の不適切な取扱いによって、権利利益の侵害の危険を自ら招くことのないよう、自己に関する個人情報の適正な管理等に努めるべきことをいう。
  3. 「他人の個人情報の取扱いに当たっては、他人の権利利益を侵害することのないよう努めなければならない」とは、県民は、自己の権利利益を侵害される被害者となる場合ばかりでなく、個人情報の取扱いによっては、他人の権利利益を侵害する場合があることを認識して、他人の個人情報の適正な取扱いに努める責務があることを定めるものである。

第2章 実施機関が取り扱う個人情報の保護

第1節 個人情報の取扱い

収集の制限

第6条 実施機関は、個人情報を収集するときは、当該個人情報を取り扱う事務(以下「個人情報取扱事務」という。)の目的を明確にし、当該目的を達成するために必要な範囲内で、適法かつ公正な手段により収集しなければならない。

2 実施機関は、個人情報を収集するときは、本人から収集しなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。

  • (1)本人の同意があるとき。
  • (2)法令又は他の条例(以下「法令等」という。)に定めがあるとき。
  • (3)個人情報が出版、報道等により公にされているとき。
  • (4)人の生命、身体又は財産の保護のために緊急に必要があるとき。
  • (5)次条第二項の規定により他の実施機関から保有個人情報の提供を受けるとき。
  • (6)犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締りその他公共の安全と秩序の維持(以下「犯罪の予防等」という。)を目的として個人情報を収集するとき。
  • (7)前各号に掲げる場合のほか、香川県個人情報保護審議会の意見を聴いた上で、個人情報を本人以外の者から収集することにつき相当の理由がある場合であって、本人の権利利益を不当に侵害するおそれがないと実施機関(議会にあっては、議長。第4項第3号、第7条の2第2項、第9条、第13条(第3項を除く。)、第3節(第14条及び第16条第8号を除く。)、第4節(第28条第1項を除く。)、第5節(第36条第1項及び第38条を除く。)並びに第46条第1項において同じ。)が認めるとき。

3 実施機関は、本人から個人情報を収集するとき(実施機関が公安委員会又は警察本部長の場合にあっては、本人から書面又は電磁的記録(電子的方式、電磁的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録をいう。以下同じ。)に記録された当該本人の個人情報を収集するときに限る。)は、次に掲げる場合を除き、あらかじめ、本人に対し、その個人情報取扱事務の目的を達成するために必要な範囲内で特定した利用の目的(以下「利用目的」という。)を明示しなければならない。

  • (1)人の生命、身体又は財産の保護のために緊急に必要があるとき。
  • (2)利用目的を本人に明示することにより、本人又は第三者の生命、身体、財産その他の権利利益を害するおそれがあるとき。
  • (3)利用目的を本人に明示することにより、県の機関、国の機関、県以外の地方公共団体、独立行政法人等又は地方独立行政法人が行う事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとき。
  • (4)収集の状況からみて利用目的が明らかであると認められるとき。

4 実施機関は、要配慮個人情報(本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴、犯罪により害を被った事実その他本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようにその取扱いに特に配慮を要するものとして実施機関(議会にあっては、議長)が定める記述等が含まれる個人情報をいう。)を収集してはならない。ただし、次の各号のいずれかに該当するときは、この限りでない。

  • (1)法令等に定めがあるとき。
  • (2)犯罪の予防等を目的としてこれらの個人情報を収集するとき。
  • (3)前2号に掲げる場合のほか、香川県個人情報保護審議会の意見を聴いた上で、その個人情報取扱事務の目的を達成するためにこれらの個人情報が必要であって、かつ、欠くことができないと実施機関が認めるとき。

【趣旨】
個人情報の適正な取扱いを確保するためには、個人情報の取扱いが始まる収集の段階から、それが適正に収集されることが必要である。
本条は、実施機関が個人情報を収集する際の取扱いについて定めたもので、収集目的、収集方法、収集先及び収集する情報の内容について、一定の制限を設けたものである。
なお、特定個人情報については、番号利用法第20条の規定(収集等の制限)が適用されることになるので、注意が必要である。

【解釈・運用】
第1項関係

  1. 「収集」とは、実施機関が、当該実施機関以外のものから個人情報を集める意思を持って取得することをいう。取得の形態は問わないものであり、実施機関の職員が職務上聴取する場合も含まれる。個人情報を調査等により能動的に取得する場合のみならず、届出、申請、申告、申込み、検診等により受動的に取得する場合も含まれるものである。
  2. 「目的を明確にし」とは、当初、当該事務を行うために個人情報を収集する実施機関において個人情報取扱事務の目的を明らかにしておくことをいう。この目的は、個人情報取扱事務登録簿(第13条)に記載され、住民の閲覧に供されることとなる。
  3. 「当該目的を達成するために必要な範囲内で」とは、当該事務の目的を達成するために必要かつ最小限の範囲を超えないことをいう。
  4. 「適法」とは、収集手段が、法令等、規則、要綱、要領等、個人情報取扱事務における規範に違反していないことをいう。
  5. 「公正」とは、収集手段が、法秩序一般の理念に適合し、社会通念に照らして正当であると客観的に認められることをいう。

第2項関係

  1. 本項は、個人情報の収集方法について本人からの収集を原則とするとともに、その例外となる場合を規定するものである。本人から直接個人情報を収集することにより、事務の目的、収集する個人情報の内容等が本人に伝わり、本人の承知している範囲内で個人情報が利用されることになるため、権利利益の侵害を防止することができるという趣旨からこの原則を定めたものである。
  2. 「本人から収集」とは、本人から直接収集する場合のほか、申請書、申告書等を郵便又は信書便により、あるいは本人の使者を介して、又は市町、本人の所属団体等を経由して取得する場合を含むものである。なお、本人の意思に基づき本人から提出されたものであれば、密封された学業成績証明書など、本人が記録内容を承知していない場合であっても本人から収集するものに当たる。
  3. ただし、あらゆる場合に個人情報の本人から収集しなければならないと義務付けると、事務の目的を達成することができなくなることがあるので、次のとおり一定の例外を設けている。
    • 第1号関係(本人の同意)
      本人に、事務の目的、収集する個人情報の内容等を告げ、本人以外のものから個人情報を収集することについて同意を得た場合は、権利利益を侵害するおそれがないことから本人収集原則の例外としたものである。
      なお、ただし書各号における優劣はなく、いずれかに該当すれば本人収集原則の例外が適用されるものではあるが、第7条第2項第1号の解釈と同じ理由により、本人の同意を得ることが可能な場合は、できる限り本人の同意を得ることが適当である。これは、本人の個人情報がどの実施機関でどのような目的で利用されているかを本人が了知することにより、本人に関する情報の流れは本人の知り得る状態にあるのが適当であるという、個人情報保護の基本理念に適うと考えられるからである。
      ただし、あらゆる場合に本人同意を義務付けると、いたずらに行政事務の非効率化と煩雑さを増すだけでなく、本人もその都度無用な負担を強いられることになるおそれがあるため、敢えて本人同意の有無を確認する必要がないと実施機関が判断した事務については、第7号に基づき収集しても差し支えない。
      「本人の同意がある」とは、本人の明確な意思が文書、口頭により明確に確認された場合をいい、本人の同意がなければ事務自体が開始しない場合も本人の同意があったものとみなす。ただし、事務の流れ等から本人の同意があると推定できるだけでは、本人の同意のないまま事務手続きが進む場合もあるので、本条第7号が適用される。
    • 第2号関係(法令等の定め)
      法令等に本人以外から収集する規定があるときは、当該法令等の目的達成の必要性から個人情報の収集手段を確保したものであり、本人以外から収集することの妥当性は当該法令等の制定時に判断されていると推測できることから、本人収集の原則の例外としたものである。
      法令等の範囲は、法律及び法律に基づく命令(政令、内閣府令、省令等)並びに条例(これらの委任を受けた規則等を含む。以下同じ。)とする。
      なお、法令等については、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成10年法律第114号)第12条第1項のように医師が感染症の患者を診察した場合に保健所長への届出を義務付けている「義務規定」と、生活保護法(昭和25年法律第144号)第29条のように官公署に調査を嘱託し又は銀行等に報告を求めることができるとする「できる規定」があるが、いずれの場合も本人収集の原則の例外とするものである。なお、「できる規定」は、本人以外の者に対して個人情報の提供を求める根拠になり得るが、個人情報を提供した当該本人以外の者が提供の可否を判断し、提供した責任を負うことになるので、注意が必要である。
    • 第3号関係(公知情報)
      収集しようとする個人情報が出版、報道等により公にされている場合は、誰もが当該個人情報を知り得る状態にあり、個人の権利利益を侵害することが考えられないことから、本人収集の原則の例外としたものである。
      「公にされている」とは、不特定多数の者が知り得る状態にあることをいい、不動産登記簿のように法令等の規定により何人も閲覧できる制度も該当する。ただし、同窓会名簿のように特定の者だけに頒布する目的のために作成されたものは公にされたとはいえず、本号には該当しない。
    • 第4号関係(緊急性)
      「人」とは自然人及び法人をいう。人の生命、身体、財産の保護のために個人情報を収集することが必要であって、本人から収集する時間的余裕がない場合に、本人収集の例外としたものである。
      「緊急」とは、災害などの自然現象、犯罪、紛争、事故など人為的危険等から人の生命、身体、財産を保護するため、本人から直接個人情報を収集する時間的余裕のない場合をいう。
    • 第5号関係(他の実施機関からの収集)
      他の実施機関から個人情報の提供を受けて収集する場合は、個人情報を提供する側で条例第7条第2項各号に基づく提供の可否の判断が行われることから、本人収集の例外としたものである。
    • 第6号関係(犯罪の予防等)
      犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締りその他公共の安全と秩序の維持のために個人情報を収集する場合には、本人から収集していたのでは、事務の目的が達成できないため、本人収集の例外としたものである。
      例えば、犯罪捜査のために実施する情報収集においては、被疑者の逃亡、証拠隠滅等を防止するため、本人に秘匿して行うことが必要不可欠であることから、本人以外からの個人情報の収集を認めなければ、警察業務の遂行上著しい支障が生じることになる。
      「犯罪の予防」とは、刑事犯、行政犯を問わず、犯罪の発生を未然に防止することをいう。
      「犯罪の鎮圧」とは、犯罪が正に発生しようとするのを未然に防止したり、犯罪が発生した後において、その拡大を防止し、又は終息させたりすることをいう。
      「犯罪の捜査、被疑者の逮捕」とは、捜査機関が犯人を発見し、身柄を確保し、また証拠を収集し、保全する活動をいう。
      「交通の取締り」とは、交通法令違反の防止及び捜査や道路における車両、歩行者等の交通の規制、運転免許に関する事務など、交通の安全及び秩序の維持のための道路交通の管理を目的とする活動をいう。
      「その他公共の安全と秩序の維持」とは、犯罪の予防、鎮圧及び捜査、被疑者の逮捕、交通の取締りのほか法令が遵守され、社会生活の安全と平穏が保たれるようにするための活動をいう。
      なお、酩酊者、家出人・迷子その他応急の救護を要する者の保護、犯罪被害者対策、遺失物の発見管理など個人の権利等を保護するための活動、事故・災害時の人命の救助活動も含む。
    • 第7号関係(相当の理由)
      本号は、上記のいずれにも該当しない場合であっても、あらかじめ香川県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)の意見を聴くことを要件として、本人以外から個人情報を取得することが適当な場合について、本人収集の原則の例外として取り扱うことができる場合を規定したものである。
      「相当の理由がある場合」とは、第1号から第6号以外の場合で、例えば、争訟事務など本人から直接個人情報を収集することが期待できない場合、選考、指導又は相談事務など客観的な情報収集を必要とする場合、本人から収集することが可能であるものの、多大な時間と費用を要し事務の円滑な執行に支障が生じる場合等、本人以外のものからの個人情報の収集が客観的にみて合理的な理由があると認められる場合をいう。
      本号に該当するか否かについては、その客観的な判断を得ることが望ましいので審議会の意見を聴くこととしており、改正条例施行時に実施している事務については、事務を類型化して審議会の意見を聴き、答申を得ている。答申の別紙1の表に記載されている事務の類型に該当する個人情報の収集に当たっては、新たな事務が発生しても、審議会の意見を聴いたこととして取り扱って差し支えない。ただし、当該事務の類型に当てはまらない事務が発生した場合には、事前に審議会の意見を聴かなければならない。
      「相当の理由」の存在及び「本人の権利利益を不当に侵害するおそれがない」ことについては、実施機関として個々の事案ごとに認定することが必要である。
      議会については、審議会への諮問に係る部分の規定は適用されない。(第60条の2を参照)
      なお、本号に、実施機関が議会の場合にあってはこの条例で「実施機関」を「議長」と読み替える旨の規定を置いている。

第3項関係

  1. 収集した個人情報は、個人情報取扱事務に利用されることになるから、個人情報を収集する際に本人に利用目的を明示することにより、本人の承知している範囲内で個人情報が利用され、権利利益を侵害されるおそれがないことを本人が確認することができるという趣旨からこの原則を定めたものである。
    本人収集の原則を採用することにより、利用目的が本人に伝わる仕組みになっていたが、本人に関する情報の流れは、本人の知り得る状態にあるのが適当であるという個人情報保護の基本理念をより徹底させるため、本項を設けたものである。したがって、行政機関法のように書面に記録された当該本人の個人情報を取得する場合だけでなく、口頭で収集する場合も本項に含まれる。
    ただし、実施機関が公安委員会又は警察本部長の場合には、書面等で収集する場合に限り、利用目的を明示しなければならないこととする。警察活動では、書面等での収集のほか口頭での収集も多く、例えば、捜査等の関係で本人から口頭により個人情報を収集する場合、その利用目的を逐一本人へ明示することは、そもそも捜査活動の性格上実情にそぐわない。
    また、警察活動では、交番勤務員は巡回連絡、警ら活動等を通じ地域住民との会話の中で、様々な情報を収集しており、場合によっては事件捜査等につながるような情報を収集する場合もあり得る中で、現場での多様な活動について、直ちに本人への利用目的の明示の例外規定に当たるかどうか判断することは困難である。
    このような警察活動の実態などを考慮して、実施機関が公安委員会又は警察本部長の場合は、書面等で個人情報を収集する場合に限って、利用目的を明示しなければならないこととした。
  2. 「利用の目的を明示」するとは、実施機関へ提供する個人情報がどのような個人情報取扱事務の中で、どのような理由、目的及び範囲で利用されるのかなどを、個人情報の収集段階における必要に応じて本人に伝えることである。
    利用目的の明示の方法としては、申請書の様式にあらかじめ記載しておくなどの方法、窓口への掲示や口頭による方法などが考えられるが、本人が利用目的を確認できるよう、適切な方法で行うことが必要である。ただし、以上については、本人に伝わっていれば本項の要件を満たすこととし、本人の了知内容について書面により確認し保有するまでの義務を課すものではない。
  3. ただし、あらゆる場合に個人情報の本人に理由を明示しなければならないと義務付けると、事務の目的を達成することができなくなることがあるので、次のとおり一定の例外を設けている。
    • 第1号関係(緊急性)
      前項第4号関係と同様の趣旨である。
    • 第2号関係(権利利益侵害のおそれ)
      告知していない不治の病気の治療に必要な個人情報を本人から取得するためにその利用目的を本人に明示することにより、病名を本人に推察され、その後の治療に支障が生じるような場合を想定したものである。
    • 第3号関係(行政事務への支障)
      租税の犯則調査を行うに当たってその利用目的を本人に明示することにより、証拠書類の隠滅等により事務の適正な遂行に支障が生じるような場合を想定したものである。
    • 第4号関係(利用目的が明らか)
      本号については、前3号とは異なり、許認可の申請等のように、本人が個人情報取扱事務の内容を承知の上で提出するような場合には、提出した個人情報の利用目的や範囲も本人は承知していると考えられるので、実施機関としては、改めて明示する必要がないことを定めたものである。本人が利用目的を承知していることが社会通念上想定できれば、本号に該当することとするが、本人から利用目的を承知していなかった旨の苦情があったときは、直ちに利用目的を通知することが必要である。
      当該個人情報取扱事務の手引きや募集案内等の作成に当たっては、本項の要件を満たす内容が盛り込まれるように留意することが必要である。

第4項関係

  1. 個人情報の内容によっては、実施機関として基本的に収集すべきでない個人情報や特に慎重な取扱いが要求される個人情報がある。本項は、そのような個人情報を要配慮個人情報として規定したものである。
    要配慮個人情報については、他人が取り扱う場合は、個人の権利利益を侵害するおそれが大きいことから、法令等に収集根拠を求めることができる場合、又は事務執行上やむを得ないものであると認められる場合を除いて、原則としてその収集行為そのものを禁止するものである。
  2. 「要配慮個人情報」とは、本人に対する不当な差別、偏見その他の不利益が生じないようその取扱いに特に配慮を要するものとして次の(1)〜(11)までの記述が含まれる個人情報をいう(なお、詳細は、個人情報保護委員会作成の「個人情報の保護に関する法律についてのガイドライン(通則編)」参照)。
    • (1)人種
      人種、世系又は民族的若しくは種族的出身を広く意味する。なお、単純な国籍や「外国人」という情報は法的地位であり、それだけでは人種には含まない。また、肌の色は、人種を推知させる情報にすぎないため、人種には含まない。
    • (2)信条
      個人の基本的なものの見方、考え方を意味し、思想と信仰の双方を含むものである。
    • (3)社会的身分
      ある個人にその境遇として固着していて、一生の間、自らの力によって容易にそれから脱し得ないような地位を意味し、単なる職業的地位や学歴は含まない。
    • (4)病歴
      病気に罹患した経歴を意味するもので、特定の病歴を示した部分(例:特定の個人ががんに罹患している、統合失調症を患っている等)が該当する。
    • (5)犯罪の経歴
      前科、すなわち有罪の判決を受けこれが確定した事実が該当する。
    • (6)犯罪により害を被った事実
      身体的被害、精神的被害及び金銭的被害の別を問わず、犯罪の被害を受けた事実を意味する。具体的には、刑罰法令に規定される構成要件に該当し得る行為のうち、刑事事件に関する手続に着手されたものが該当する。
    • (7)身体障害、知的障害、精神障害(発達障害を含む。)その他の心身の機能の障害があること。
      行政機関個人情報保護法施行令第4条第1号に該当するものをいう。
      具体的には、次の1から4までに掲げる情報をいう。この他、当該障害があること又は過去にあったことを特定させる情報(例:障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(平成17年法律第123号)に基づく障害福祉サービスを受けていること又は過去に受けていたこと)も該当する。
      1. 「身体障害者福祉法(昭和24年法律第283号)別表に掲げる身体上の障害」があることを特定させる情報
      2. 「知的障害者福祉法(昭和35年法律第37号)にいう知的障害」があることを特定させる情報
      3. 「精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(昭和25年法律第123号)にいう精神障害(発達障害者支援法(平成16年法律第167号)第2条第2項に規定する発達障害を含み、知的障害者福祉法にいう知的障害を除く。)」があることを特定させる情報
      4. 「治療方法が確立していない疾病その他の特殊な疾病であって障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律第4条第1項の政令で定めるものによる障害の程度が同項の厚生労働大臣が定める程度であるもの」があることを特定させる情報
    • (8)本人に対して医師その他医療に関連する職務に従事する者((9)において「医師等」という。)により行われた疾病の予防及び早期発見のための健康診断その他の検査((9)において「健康診断等」という。)の結果
      疾病の予防や早期発見を目的として行われた健康診査、健康診断、特定健康診査、健康測定、ストレスチェック、遺伝子検査(診療の過程で行われたものを除く。)等、受診者本人の健康状態が判明する検査の結果が該当する。
    • (9)健康診断等の結果に基づき、又は疾病、負傷その他の心身の変化を理由として、本人に対して医師等により心身の状態の改善のための指導又は診療若しくは調剤が行われたこと。
      • 「健康診断等の結果に基づき、本人に対して医師等により心身の状態の改善のための指導が行われたこと」とは、健康診断等の結果、特に健康の保持に努める必要がある者に対し、医師又は保健師が行う保健指導等の内容が該当する。具体的な事例としては、労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)に基づき医師又は保健師により行われた保健指導の内容、同法に基づき医師により行われた面接指導の内容、高齢者の医療の確保に関する法律に基づき、医師、保健師、管理栄養士により行われた特定保健指導の内容等が該当する。また、法律に定められた保健指導の内容に限定されるものではなく、保険者や事業主が任意で実施又は助成により受診した保健指導の内容も該当する。なお、保健指導等を受けたという事実も該当する。
      • 「健康診断等の結果に基づき、又は疾病、負傷その他の心身の変化を理由として、本人に対して医師等により診療が行われたこと」とは、病院、診療所、その他の医療を提供する施設において診療の過程で、患者の身体の状況、病状、治療状況等について、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療従事者が知り得た情報全てを指し、例えば診療記録等がこれに該当する。また、病院等を受診したという事実も該当する。
      • 「健康診断等の結果に基づき、又は疾病、負傷その他の心身の変化を理由として、本人に対して医師等により調剤が行われたこと」とは、病院、診療所、薬局、その他の医療を提供する施設において調剤の過程で、患者の身体の状況、病状、治療状況等について、薬剤師(医師又は歯科医師が自己の処方箋により自ら調剤する場合を含む。)が知り得た情報全てを指し、調剤録、薬剤服用歴、お薬手帳に記載された情報等が該当する。また、薬局等で調剤を受けたという事実も該当する。なお、身長、体重、血圧、脈拍、体温等の個人の健康に関する情報を、健康診断、診療等の事業及びそれに関する業務とは関係のない方法により知り得た場合は該当しない。
    • (10)本人を被疑者又は被告人として、逮捕、捜索、差押え、勾留、公訴の提起その他の刑事事件に関する手続が行われたこと。(犯罪の経歴を除く。)
      本人を被疑者又は被告人として刑事事件に関する手続が行われたという事実が該当する。他人を被疑者とする犯罪捜査のために取調べを受けた事実や、証人として尋問を受けた事実に関する情報は、本人を被疑者又は被告人としていないことから、これには該当しない。
    • (11)本人を少年法(昭和23年法律第168号)第3条第1項に規定する少年又はその疑いのある者として、調査、観護の措置、審判、保護処分その他の少年の保護事件に関する手続が行われたこと。
      本人を非行少年又はその疑いのある者として、保護処分等の少年の保護事件に関する手続が行われたという事実が該当する。ただし、あらゆる場合にこれらの個人情報の収集を禁止すると事務の目的を達成することができなくなることがあるので、次のとおり一定の例外を設けているが、本人同意が例外要件に該当しない点に注意を要する。
      • 第1号関係(法令等の定め)
        法令等に要配慮個人情報を収集する規定があるときは、当該法令等の目的達成の必要性から個人情報の収集を定めたものであり、これらの個人情報を収集することの妥当性は当該法令等の制定時に判断されていると推測できることから、原則収集禁止の例外としたものである。
        「義務規定」と「できる規定」の取扱いについては、第2項第2号関係と同様である。
        なお、法令等に収集に関する具体的規定がない場合でも、実施機関として、これらの個人情報を収集せざるを得ない(制度上、実施機関の義務となっている)と解される場合については、審議会の検討の中で、原則として本号を適用して差し支えないという見解が示された。
      • 第2号関係(犯罪の予防等)
        「犯罪の予防等」については、第6条第2項第6号と同様である。
      • 第3号関係(必要不可欠な場合)
        本号は、前2号に該当しない場合であっても、あらかじめ審議会の意見を聴くことを要件として、要配慮個人情報等の収集が必要な場合について、原則収集禁止の例外として取り扱うことができる場合を規定したものである。
        「必要であって、かつ、欠くことができない」とは、法令等の根拠はないものの、当該事務の目的、性格から判断して、これらの個人情報を収集しなければ当該事務の目的を達成することに支障を生じる場合をいう。
        本号に該当するか否かについては、その客観的な判断を行うため審議会の意見を聴くこととしている。改正条例施行時に実施している事務について事務を類型化して審議会の意見を聴いたが、本号に関しては、事務を類型化してあらかじめ審議会の意見を聴いたこととする取扱いは不適当と判断され、個々の事務ごとに検討した結果として答申の別紙2の表に記載された事務については、同表の特定個人情報(思想、信条又は信教に関する個人情報等をいう。)を収集する都度個別諮問をしなくても差し支えないこととされた。
        なお、別紙2に記載されていない事務について、本号に基づき要配慮個人情報等を収集する必要が生じた場合には、事前に審議会の意見を聴かなければならない。
        議会については、審議会への諮問に係る部分の規定は適用されない。(第60条の2を参照)

利用及び提供の制限

第7条 実施機関は、法令等に基づく場合を除き、利用目的以外の目的のために保有個人情報(保有特定個人情報を除く。次項、第8条第1項及び第46条第1項において同じ。)を自ら利用し、又は提供してはならない。
2 前項の規定にかかわらず、実施機関(議会にあっては、議長。第8号において同じ。)は、次の各号のいずれかに該当すると認めるときは、利用目的以外の目的のために保有個人情報を自ら利用し、又は提供することができる。ただし、保有個人情報を利用目的以外の目的のために自ら利用し、又は提供することによって、本人又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りでない。

  • (1)本人の同意があるとき。
  • (2)人の生命、身体又は財産の保護のために緊急に必要があるとき。
  • (3)実施機関がその所掌事務の遂行に必要な限度で保有個人情報を内部で利用する場合であって、当該保有個人情報を利用することについて相当な理由のあるとき。
  • (4)県の機関、国の機関、県以外の地方公共団体、独立行政法人等又は地方独立行政法人に保有個人情報を提供する場合において、保有個人情報の提供を受ける者が、その事務又は業務の遂行に必要な限度で提供に係る個人情報を利用し、かつ、当該個人情報を利用することについて相当な理由のあるとき。
  • (5)専ら統計の作成又は学術研究の目的のために保有個人情報を提供するとき。
  • (6)保有個人情報を提供することが明らかに本人の利益になるとき。
  • (7)犯罪の予防等を目的として第4号に規定する者以外の者に保有個人情報を提供する場合において、保有個人情報を提供することについて特別の理由のあるとき。
  • (8)前各号に掲げる場合のほか、香川県個人情報保護審議会の意見を聴いた上で、保有個人情報を提供することについて特別の理由があると実施機関が認めるとき。

【趣旨】

個人情報の適正な取扱いを確保するためには、できる限り本人が承知している範囲内で個人情報が取り扱われることが必要であり、目的外で利用及び提供されるのは、やむを得ない場合に限られるべきである。
本条は、実施機関が保有個人情報を利用及び提供する際は、個人情報取扱事務の目的の範囲内に限定されるとともに、例外的に個人情報取扱事務の目的を超えて利用及び提供ができる場合について定めたものである。
なお、保有特定個人情報については、第7条の2において利用の制限の特例を定めたこと、また、番号利用法第19条において提供の禁止及びその例外が規定されていることから、本条を適用除外とするものである。

【解釈・運用】

  1. 「利用」とは、個人情報を保有する実施機関の内部において、当該保有個人情報を使用することをいう。したがって、実施機関のある課で使用している保有個人情報を同じ担当が目的外の目的に使用する場合や、同一実施機関内の他課で使用する場合も、「利用」に該当する。
  2. 「提供」とは、個人情報を保有する実施機関が、当該実施機関以外のものに当該保有個人情報を知らせることをいい、知事部局のある課が保有している保有個人情報を他の実施機関、国、民間事業者等に知らせる場合が該当する。
  3. ただし、あらゆる場合に利用目的以外の目的のための利用及び提供を禁止すると、提供の依頼を行った者の事務の目的を達成することを困難にする等のおそれが生じるため、次のとおり一定の例外を設けている。

第1項関係(法令等の定め)
法令等に保有個人情報を利用及び提供しなければならない旨の規定があるときは、当該法令等の目的達成の必要性から個人情報の収集手段を確保したものであり、保有個人情報を利用・提供することの妥当性は当該法令等の制定時に判断されていると推測できることから、提供制限の例外としたものである。
本項は、法令等に基づく場合は、利用目的以外の利用又は提供をし得るとするものであり、本項により利用又は提供を義務付けられるものではない。利用又は提供することの適否については、個々の事案に即して、それぞれの法令等の趣旨に沿って判断する必要がある。
なお、法令等については、民事訴訟法第223条第1項のように裁判所に対して文書の提出を義務付けている「義務規定」と、民事訴訟法第186条のように裁判所が必要な調査を官公署等に嘱託することができるとする「できる規定」があるが、本項は、収集制限規定と異なり、「義務規定」だけを本項に基づく例外とするものである。
その理由は、「できる規定」は、保有個人情報の提供を求める者にとって、本人以外の者に対して個人情報の提供を求める根拠にはなり得るが、本人に権利利益の侵害が生じた場合には、提供した実施機関がその責任を求められることになるからであり、提供するためには、別途提供する根拠が必要である。
したがって、実施機関は、提供先での利用目的や利用範囲の報告を求めて第2項第8号に照らした判断を行うとともに、必要に応じて第8条第1項に基づく措置要求を行うべきである。
なお、文言上は「できる規定」となっていても、提供しないときに懲戒処分の要求ができるなどの規定により提供の確保が図られている場合や刑事訴訟法第197条第2項に基づく捜査関係事項照会のように相手方に回答すべき義務を課すものと解されている場合は、「義務規定」に該当するものである。
第2項第1号関係(本人の同意)
本号は、前条第2項第1号と同様の趣旨であり、利用目的以外の目的のために個人情報を利用し、又は提供をすることについて本人の同意を得た場合は、権利利益を侵害するおそれがないことから、利用・提供制限の例外としたものである。
なお、各号における優劣はなく、いずれかに該当すれば提供制限の例外が適用されるものではあるが、早稲田大学で行われた講演会の出席者名簿を警視庁に提出した事例について、本人の承諾を求めることなく個人情報を警察に開示した行為がプライバシーを侵害し不法行為を構成すると判断されたこと(最判平成15年9月12日)に鑑みて、本人の同意を得ることが可能な場合は、できる限り本人の同意を得ることが適当である。これは、本人の個人情報がどこに提供されたかを本人が了知することにより、本人に関する情報の流れは本人の知り得る状態にあるのが適当であるという、個人情報保護の基本理念に適うと考えられるからである。
ただし、あらゆる場合に本人同意を義務付けると、いたずらに行政事務の非効率化と煩雑さを増すだけでなく、本人もその都度無用な負担を強いられることになるおそれがあるため、敢えて本人同意の有無を確認する必要がないと実施機関が判断した事務については、第8号に照らして判断することになる。
「本人の同意がある」とは、本人の明確な意思が文書、口頭により明確に確認された場合をいう。ただし、事務の流れ等から本人の同意があると推定できるだけでは、本人の同意があるとまではいえないので、第8号が適用される。本人の同意は、実施機関が得ることが原則であるが、提供先が同意書を添付の上提供を求めた場合には、本号を適用することとする。
第2号関係(緊急性)
前条第2項第4号と同様の趣旨である。
第3号関係(相当の理由のあるときの内部利用)
「相当の理由がある場合」とは、本人の負担軽減、事務の効率化等の観点から、利用目的以外の目的のために個人情報を利用することが社会通念上客観的にみて合理的な理由がある場合をいう。
本人から目的外利用の適否についての苦情があったときは、直ちに説明の上本人の同意を得る等の対応が必要である。
第4号関係(相当の理由のあるときの行政機関への提供)
第2条第4項の解説のとおり、「国、地方公共団体、独立行政法人等及び地方独立行政法人」については、行政機関法等及び各地方公共団体の条例によりその取り扱う個人情報の保護が図られることとなるので、提供制限の例外を適用する要件を、前号と同じにしているものである。
第5号関係(統計・学術研究)
本号の場合、一般に特定個人が識別できない形で利用されるため、個人の権利利益を侵害するおそれが少なく、かつ、公益性も高いことから、利用・提供制限の例外としたものである。
ただし、個人識別性を除外して提供しても、提供先の事務に支障を及ぼすおそれがない場合には、個人識別情報を除外した上で提供することが個人情報保護の観点からは望ましい。
第6号関係(本人の利益)
叙勲等の選考のため本人の業績に関する個人情報を提供するとき等、明らかに本人の利益になる場合には本号が適用される。情報公開条例では、第7条第1号において、個人情報を原則非公開としており、本号により提供する場合は、本人又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれについて、特に慎重に判断する必要がある。
本人に提供する場合は、本人にとっては明らかに利益になる場合でも、第三者又は実施機関への影響を検討する必要があるため、原則的に条例第14条による開示請求を受け、同第16条各号該当性の判断を経て開示決定を行うべきである。
第7号関係(犯罪の予防等における特別の理由のあるときの行政機関等以外への提供)
犯罪の予防等を目的として第4号に規定する者以外の者に提供する場合で、提供することについて特別の理由のあるときは、利用目的以外の目的のために提供できるとしたものである。
「犯罪の予防等」とは、第6条第2項第6号と同様の趣旨である。
「特別の理由のある」と言うためには、少なくとも行政機関に提供する場合と同程度の公益性があり、かつ、提供を受ける側が自ら情報を収集することが著しく困難であるか、又は提供を受ける側が緊急を要すること、犯罪の予防等の目的を達成するためには、当該情報の提供を行うことが不可欠であること等が必要である。
第8号関係(特別の理由による提供)
本号は、上記のいずれにも該当しない場合であっても、あらかじめ審議会の意見を聴くことを要件として、特別な理由があると実施機関が認めるときは、提供制限の例外として取り扱うことができる場合を規定したものである。
「特別の理由がある」については、前号の「特別の理由のある」と同様の趣旨であり、少なくとも行政機関に提供する場合と同程度の公益性があり、かつ、当該情報の提供を受けなければ、提供先の業務の目的を達成することが困難であることが必要である。
本号に該当するか否かについては、その客観的な判断を行うため審議会の意見を聴くこととしているが、なお、特別の理由の存在及び本人又は第三者の権利利益を不当に侵害しないことについては、実施機関として個々の事案ごとに認定することが必要である。
議会については、審議会への諮問に係る部分の規定は適用されない。(第60条の2を参照)

保有特定個人情報の利用の制限

第7条の2 実施機関は、利用目的以外の目的のために保有特定個人情報を自ら利用してはならない。
2 前項の規定にかかわらず、実施機関は、人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意があり、又は本人の同意を得ることが困難であると認めるときは、利用目的以外の目的のために保有特定個人情報(情報提供等記録を除く。以下この項において同じ。)を自ら利用することができる。ただし、保有特定個人情報を利用目的以外の目的のために自ら利用することによって、本人又は第三者の権利利益を不当に侵害するおそれがあると認められるときは、この限りでない。

【趣旨】
行政機関法は、法令に基づく場合又は本人の同意がある場合等は、個人情報を利用目的以外の目的のために利用することができることとしているが、番号利用法は、第29条第1項により読み替えて適用される行政機関法第8条において、行政機関の長は、人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意があり、又は本人の同意を得ることが困難である場合を除き、特定個人情報を利用目的以外の目的のために利用してはならないと定めている。
番号利用法第31条(地方公共団体等が保有する特定個人情報の保護)において、地方公共団体は、行政機関等と同様の適用となるよう、必要な措置を講ずるものとされていることから、本条において、その措置を定めるものである。

【解釈・運用】

第1項関係
本項は、保有特定個人情報の利用目的はできる限り特定がされなければならず、保有特定個人情報の利用目的以外の利用を原則として禁止したものである。
第2項関係
本項は、事故で意識不明の状態にある者に対する緊急の治療を行うに当たり、個人番号でその者を特定する場合など、緊急事態における保有特定個人情報の利用を認めるものである。なお、情報提供等記録については、番号利用法第31条第1項により、行政機関法第8条第2項から第4項までの規定(目的外の利用・提供)が適用除外とされている。

保有個人情報の提供を受ける者に対する措置要求等

第8条 実施機関(議会にあっては、議長)は、保有個人情報を実施機関以外の者に提供する場合において必要があると認めるときは、当該保有個人情報の提供を受ける者に対し、提供に係る個人情報について、その利用の目的若しくは方法の制限その他必要な制限を付し、又は安全確保の措置(個人情報の漏えい、滅失及びき損の防止その他の個人情報の適切な管理のために必要な措置をいう。以下同じ。)を講ずることを求めなければならない。
2 実施機関(議会にあっては、議長)は、その使用に係る電子計算機(入出力装置を含む。以下この項において同じ。)と実施機関以外の者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用して保有個人情報を実施機関以外の者に提供しようとするときは、その方法により保有個人情報を提供することにつき相当の理由があり、かつ、安全確保の措置が講じられていなければならない。

【趣旨】
本条第1項は、この条例が実施機関以外のものには直接効力が及ばないことから、実施機関が保有する保有個人情報を実施機関以外のものへ提供する場合に必要な措置について定めたものである。
また、本条第2項は電子計算機を電気通信回線で接続することにより保有個人情報を実施機関以外のものに提供する場合には、大量性、不可視性などの観点から、取り扱われる保有個人情報のより一層の安全対策が必要になる旨を定めたものである。
なお、行政機関の長が保有する特定個人情報については、番号利用法第30条第1項において、行政機関法第9条の規定(保有個人情報の提供を受ける者に対する措置要求)の適用を除外することとしている。番号利用法第32条(地方公共団体等が保有する特定個人情報の保護)において、地方公共団体は、行政機関等と同様の適用となるよう、必要な措置を講ずるものとされていることから、第7条第1項において、本条第1項を適用除外とするものである。

【解釈・運用】
第1項関係

  1. 本項は、利用目的の範囲内であるか範囲外であるかを問わず、実施機関が、実施機関以外の者へ保有個人情報を提供する場合は、当該個人情報の利用の目的若しくは方法その他必要な制限を付すること、又は安全確保の措置を講ずることを求めることにより、提供先における個人情報の適正な取扱いを確保しようとするものである。
  2. 「その他必要な制限」とは、提供する個人情報の取扱者の範囲の制限、利用期間の制限、第三者に対する再提供の禁止、消去・返還等利用後の取扱いの指示などをいう。
  3. 「安全確保の措置」とは、「個人情報の漏えい、滅失及びき損の防止その他の個人情報の適切な管理のために必要な措置」をいい、提供先に求める必要のある措置は、次条第1項に掲げる措置のうち、提供する個人情報の内容又は利用の方法等から勘案して、その適正な取り扱いを確保するのに必要と思われる措置を個別に求めるものとし、具体例としては、次のようなことが挙げられる。
    • 個人情報保護方針が策定されているか
    • 個人情報保護方針や内部規定について、従業員に対する周知・研修が実施されているか
    • 提供先が適用を受ける法令等又は内部規定では、提供された個人情報が安全に取り扱われているか
    • 電子計算機処理上のセキュリティについて、十分に対策が講じられているか

第2項関係

  1. 「その使用に係る電子計算機…と実施機関以外の者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用して保有個人情報を実施機関以外の者に提供しようとするとき」とは、実施機関が管理する電子計算機と相手方の電子計算機や端末等を通信回線で結び、相手方が実施機関の保有する個人情報を必要に応じていつでも入手することが可能な状態にあるものをいう。
  2. 「安全確保の措置」を講じることは、実施機関だけでなく相手方にも求められる。前項関係に掲げるもののほか、特にネットワークやシステム上のセキュリティの面で講じられている措置について、十分に確認することが必要である。

適正管理

第9条 実施機関は、その個人情報取扱事務の目的を達成するために必要な範囲内で、保有個人情報を正確かつ最新な状態に保つよう努めるとともに、安全確保の措置を講じなければならない。
2 実施機関は、保有する必要のなくなった保有個人情報を確実かつ速やかに廃棄し、又は消去しなければならない。ただし、歴史資料として保存されるものについては、この限りでない。

【趣旨】
本条は、実施機関の保有する個人情報の正確性、安全性等を確保するように努めるとともに、保有する個人情報が不要となった場合には速やかに廃棄するなどの措置を講じる義務があることを定めたものである。

【解釈・運用】
第1項関係
「正確かつ最新な状態に保つ」とは、保有個人情報を常に最新の状態に更新し続けることまで義務付けているものではなく、不正確な保有個人情報がそのまま利用されることを防止するため、個人情報取扱事務の目的に応じてその必要な範囲内で正確かつ最新の状態に更新することで足りる。
「安全確保の措置」とは、前条第1項に規定する「個人情報の漏えい、滅失及びき損の防止その他の個人情報の適切な管理のために必要な措置」をいう。
実施機関が保有する保有個人情報に関する安全確保の措置を講じるに当たっては、県が保有する情報資産(紙媒体に記録された保有個人情報も含む。)に関する遵守事項及び判断基準等を明らかにした「香川県情報セキュリティポリシー」に基づいて対策を講じることになる。なお、同セキュリティポリシーの対象とならないシステムで保有する保有個人情報についても、同セキュリティポリシーに準じた対策を講じることが適当である。
第2項関係

  1. 「保有する必要のなくなった」とは、香川県公文書等の管理に関する条例(平成25年香川県条例第5号)に定める行政文書の保存期間が満了した場合など、当該保有個人情報を今後事務の用に供する必要がなくなったことをいう。
  2. 「確実かつ速やかに廃棄し、又は消去」するとは、文書等の場合の焼却・裁断、磁気テープ等の場合の磁気的消去のように、他に漏えいしたり盗用されたりすることのないような確実な方法をとることをいう。
  3. 「歴史資料として保存されるもの」とは、保存期間が満了した行政文書に記録された保有個人情報などで実施機関から文書館等に移管されるものなどをいう。

職員の義務

第10条 実施機関の職員又は実施機関の職員であった者(以下「実施機関の職員等」という。)は、職務上知り得た個人情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用してはならない。

【趣旨】
本条は、個人情報を取り扱う「実施機関の職員」又は「実施機関の職員」であった者に対して、職務上知ることのできた個人情報について適正な取扱いを義務付けることにより、個人の権利利益の侵害を防止しようとするものである。

【解釈・運用】

  1. 「実施機関の職員」については、第2条第3項及び第5項を参照すること。
  2. 「職員であった者」とは、当該職員が退職、失職及び免職により離職した場合だけでなく、当該実施機関以外の機関に出向した場合も含む。
  3. 「職務上知ることができた個人情報」とは、職員が職務の遂行に関して知ることのできた個人情報で、自ら担当する職務に関する個人情報のほか、職務の執行に関連して知ることのできた個人情報を含む。
    地方公務員法第34条の守秘義務の対象は、職務上知り得た秘密であり、実質秘であるとされているのに対し、本条例において守られるべき対象は、職務上知ることのできた個人情報であり、その情報は必ずしも秘密であることを要しない。
  4. 「みだりに他人に知らせ」とは、自己の権限・事務に含まれない場合、あるいは自己の権限・事務に含まれる場合であっても、他人に知らせることに正当な理由があると認められない場合をいう。
  5. 「不当な目的に利用」するとは、自己の利益を図るために利用する場合、あるいは他人の正当な利益や公共の利益に反して個人情報を使用する場合等をいう。

委託に伴う措置等

第11条 実施機関(議会にあっては、議長)は、その個人情報取扱事務の全部又は一部を実施機関以外の者に委託しようとするときは、その委託に係る契約において、その委託を受けた者(以下「受託者」という。)が講ずべき安全確保の措置を明らかにしなければならない。
2 受託者は、その委託を受けた前項に規定する事務を行おうとするときは、あらかじめ、同項に規定する安全確保の措置を講じなければならない。
3 受託者が委託を受けた第一項に規定する事務に従事している者又は従事していた者(以下「受託事務従事者等」という。)は、当該事務に関して知り得た個人情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用してはならない。

【趣旨】
本条は、実施機関が個人情報取扱事務の全部又は一部を実施機関以外の者に委託する場合に、実施機関、受託者及び受託事務従事者等が遵守しなければならない事項について定めたものである。

【解釈・運用】
第1項関係

  1. 本項は、実施機関が個人情報取扱事務の全部又は一部を実施機関以外の者に委託する場合に、その委託に係る契約で、安全確保の措置を規定しなければならない旨を定めたものである。
    「委託」とは、実施機関がその権限に属する事務処理を実施機関以外の者に依頼することをいい、一般に委託契約と呼ばれているもののほか、印刷、筆耕、翻訳等の契約も含む。
    なお、地方自治法第252条の14から第252条の16で規定する事務の委託については、委託を受けた地方公共団体の機関が自己本来の事務と同様に管理し、執行することになることから、本条でいう委託には含まれない。
  2. 委託の実例としては、次のようなものがある。
    • 電算データの入力業務委託
    • 通知書等の封入作業の委託
    • 公金の徴収、収納事務の委託
    • 世論調査、アンケート調査等の委託
    • 講習会・研修会の業務委託
  3. 「安全確保の措置」とは、提供する個人情報の内容又は利用の方法等から勘案して、その適正な取り扱いを確保するために必要と思われる項目を「個人情報取扱特記事項」から必要に応じて適宜追加又は削除して定めたものをいう。
  4. 契約書等の書面を作成しない場合には、個人情報取扱特記事項を受託者に書面で交付すること等により、個人情報の取扱いについて安全確保の措置を講ずるよう指示することが必要である。

第2項関係
本項は、受託者が個人情報を取り扱う事務を行う場合に、契約に基づく安全確保措置を講じる義務があることを定めたものである。
第3項関係

  1. 本項は、委託事務に従事する者が、当該事務を行う上で知り得た個人情報について、適正に取り扱う義務があることを定めたものである。なお、当該事務に従事していた者は、当該事務を行わなくなった後においても同様にその義務を負うこととなる。
  2. 「受託事務従事者等」は、第63条及び第64条に規定する罰則の対象となるため、実施機関は、委託契約の締結に当たっては、受託者の安全確保措置を講じる義務及び受託事務従事者等に罰則規定が適用される可能性について、十分説明することが必要である。

指定管理者に関する措置等

第12条 実施機関は、地方自治法(昭和22年法律第67号)第244条第1項に規定する公の施設の管理の業務であって、その個人情報取扱事務の全部又は一部を含むものを同法第244条の2第3項に規定する指定管理者(以下「指定管理者」という。)に行わせようとするときは、その指定に係る協定等において、当該指定管理者が講ずべき安全確保の措置を明らかにしなければならない。2 前項に規定する業務を行う指定管理者は、当該業務を行おうとするときは、あらかじめ、同項に規定する安全確保の措置を講じなければならない。3 指定管理者が行う第1項に規定する業務に従事している者又は従事していた者(以下「指定管理業務従事者等」という。)は、当該業務に関して知り得た個人情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に利用してはならない。

【趣旨】
本条は、実施機関が個人情報取扱事務の全部又は一部を含む公の施設の管理業務を指定管理者に行わせようとする場合に、実施機関、指定管理者及び指定管理業務従事者等が遵守しなければならない事項について定めたものである。

【解釈・運用】
第1項関係

  1. 本項は、指定管理者が行う公の施設の管理業務に個人情報の取扱いが含まれる場合に、指定管理者の指定の細目的事項である協定等で、安全確保の措置を規定しなければならない旨を定めたものである。
  2. 「安全確保の措置」とは、提供する個人情報の内容又は利用の方法等から勘案して、その適正な取り扱いを確保するために必要と思われる項目を「個人情報取扱特記事項」から必要に応じて適宜追加又は削除して定めたものをいう。
  3. 協定書等の書面を作成しない場合には、個人情報取扱特記事項を指定管理者に書面で交付し、個人情報の取扱いについて安全確保の措置を講ずるよう指示することが必要である。
  4. 新たに指定管理者を指定することにより、これまで実施機関が取り扱ってきた個人情報を当該指定管理者に引き継ぐことになるが、指定管理者は内容の正確性・最新性の確保、安全確保措置等に配慮する必要がある。また、指定管理者が取り扱う、この個人情報は、実施機関の保有個人情報に当たるため、管理委託制度の受託者(指定管理者制度の導入前の管理者)と同様に、指定管理者自らの判断により情報の開示等を行うことはできない。

第2項関係
本項は、指定管理者が公の施設の管理業務を行う場合に、協定等に基づく安全確保措置を講じる義務があることを定めたものである。
第3項関係

  1. 本項は、指定管理者が行う公の施設の管理業務に従事する者が、当該業務上知り得た個人情報について、適正に取り扱う義務があることを定めたものである。なお、その業務に従事していた者は、業務を行わなくなった後においても同様にその義務を負うこととなる。
  2. 「指定管理業務事者等」は、第63条及び第64条に規定する罰則の対象となるため、実施機関は、協定等の締結に当たっては、指定管理者の安全確保措置を講じる義務及び指定管理業務従事者等に罰則規定が適用される可能性について、十分に説明することが必要である。
  3. なお、施設の管理業務を行う指定管理者が自ら作成又は取得した個人情報は、実施機関の保有する保有個人情報には当たらないため、第63条及び第64条の適用はないが、事業者として保護法又は条例の規定は適用される。

第2節 個人情報取扱事務登録簿の作成及び閲覧

第13条 実施機関は、その個人情報取扱事務であって、氏名、生年月日その他の記述等又は個人識別符号により特定の保有個人情報を検索することができる行政文書等を利用するものについて、個人情報取扱事務登録簿(以下「登録簿」という。)を作成し、一般の閲覧に供しなければならない。
2 実施機関は、前項に規定する個人情報取扱事務を開始しようとするときは、あらかじめ、当該個人情報取扱事務について、次に掲げる事項を登録簿に登録しなければならない。登録した事項を変更しようとするときも、同様とする。

  • (1)個人情報取扱事務の名称
  • (2)個人情報取扱事務を所管する組織の名称
  • (3)個人情報取扱事務の目的及び根拠
  • (4)個人情報の記録項目
  • (5)個人情報の対象者の範囲
  • (6)登録年月日
  • (7)前各号に掲げるもののほか、実施機関が定める事項

3 前2項の規定は、次に掲げる個人情報取扱事務については、適用しない。

  • (1)国の安全その他の国の重大な利益に関する個人情報取扱事務
  • (2)犯罪の捜査に関する個人情報取扱事務
  • (3)実施機関の職員等に係る人事、給与、福利厚生等に関する個人情報取扱事務

4 実施機関が公安委員会又は警察本部長の場合にあっては、第1項及び第2項の規定にかかわらず、個人情報取扱事務について、第2項第1号から第5号まで及び第7号に掲げる事項の一部を登録簿に登録し、又は登録簿を作成することにより、当該個人情報取扱事務の性質上、当該個人情報取扱事務の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあると認めるときは、当該個人情報取扱事務について、同項第1号から第5号まで及び第7号に掲げる事項の一部を登録簿に登録せず、又は登録簿を作成しないことができる。
5 実施機関は、第2項の規定による登録に係る個人情報取扱事務を廃止したときは、遅滞なく、登録簿から当該個人情報取扱事務に係る登録を抹消しなければならない。

【趣旨】
本条は、実施機関が個人情報を取り扱うときは、あらかじめ当該事務の名称、事務を所管する組織の名称、事務の目的及び根拠等を明らかにした登録簿を作成し、閲覧に供することにより、住民が自己に関する個人情報の所在や内容を確認することができるようにしなければならないことを定めたものである。

【解釈・運用】
第1項関係

  1. 本項により作成を要する事務は、氏名、生年月日その他の記述等又は個人識別符号を手掛かりとして、特定の保有個人情報を検索することができるような形の行政文書を利用する事務である。
  2. 「検索することができる」とは、特定の保有個人情報を容易に検索することができるよう体系的に構成されており、目次、索引その他検索を容易にするための手段を備えるものをいう。
    検索できない場合としては、次のようなものが考えられる。
    • (1)起案文書中にたまたま存在する個人情報で集約できないもの
    • (2)ある特定個人に係る相談記録に記載されている第三者の個人情報
  3. 登録簿とは、香川県個人情報保護条例施行規則(平成17年香川県規則第14号。以下「規則」という。)第3条に規定する個人情報事務取扱登録簿(第1号様式)をいう。
  4. 「一般の閲覧に供しなければならない」とは、登録簿を実施機関の窓口に備え置き、利用者が自由に閲覧し得る状態にしておくことを実施機関に義務づけたものである。
  5. 登録簿に登載するものは、具体的には、次に掲げる行政文書を使用する事務などが考えられる。
    • (1)個人情報が記録されている名簿、台帳、一覧表、リストその他これらに類する行政文書(必ずしも個人の氏名、識別番号等を中心に作成されたもの限らず、文書のいずれかの欄に個人情報が記録されているもので、当該保有個人情報の検索が可能なものを含む。)
    • (2)カルテ、相談カード等個人の識別項目等によって検索できるように一定の書式に保有個人情報が記録されている行政文書
    • (3)個人情報が記録されている申請書、届出書その他これらに類する行政文書
    • (4)個人を検索することを前提にインデックスをつけるなどして事実上検索可能となっている行政文書

第2項関係

  1. 本項は、実施機関の個人情報取扱事務の登録簿への登録義務及び登録時期について定めたものである。登録簿の作成は、香川県個人情報保護事務取扱要綱等による。
  2. 「あらかじめ」とは、登録簿への登録は、個人情報取扱事務の開始前に行うことをいう。また、事務の内容を変更するときは、変更する事務の取扱いに先立って登録簿を変更することが必要である。
    登録が必要な項目は、実施機関が個人情報取扱事務の遂行に必要であるとして、法令等や要綱などで明らかにしているものを挙げることとし、実施機関が能動的に収集していない項目や事務の遂行に伴い偶然収集することとなった項目を想定してあらかじめ登録する必要なない。
  3. 各号関係
    • 第1号関係「個人情報取扱事務の名称」とは、個人情報取扱事務の内容が具体的に明らかになるような名称をいう。
    • 第2号関係
      「個人情報取扱事務を所管する組織の名称」とは、個人情報取扱事務を担当する主務課所の名称をいう。登録簿では「登録課」と「保有課」に分類して記入することになる。
    • 第3号関係
      「個人情報取扱事務の目的及び根拠」とは、個人情報取扱事務の目的が具体的に明らかになるような目的及び個人情報取扱事務の根拠となる法令等、規則、細則、規程、要綱、要領などをいう。
    • 第4号関係
      「個人情報の記録項目」とは、氏名、住所、健康・病歴、家族状況、学歴、資産・収入、宗教等個人情報取扱事務において取り扱う主な個人情報の内容をいう。
    • 第5号関係
      「個人情報の対象者の範囲」とは、個人情報取扱事務において取り扱う個人情報の対象者の範囲をいい、具体的には、申請者、届出者、納税義務者、受験者等のような個人の類型をいう。
    • 第7号関係
      「実施機関が定める事項」とは、個人情報取扱事務登録簿に定める事項とする。

第3項関係

  1. 本項は、個人情報取扱事務の登録を要しない事務について規定するものである。
  2. 「国の安全」とは、国家の構成要素である国土、国民及び統治体制が害されることなく平和で平穏な状態に保たれていること、すなわち、国としての基本的な秩序が維持されている状態をいう。
  3. 「その他の国の重大な利益」とは、国の安全に匹敵するような国の重大な利益をいい、具体的には、公共の安全や社会的な利益のうち、公安や治安に係る重要なもの、無差別大量殺人行為を行った団体等の規制、テロ等の人の生命、身体、財産等への不法な侵害への対応などが考えられる。
  4. 「犯罪の捜査」とは、捜査機関が犯罪があると思料するときに、公訴の提起などのために犯人及び証拠を発見・収集・保全することをいう。
  5. 「人事、給与、福利厚生等」の実施機関の内部管理のための個人情報については、実施機関の職員はその情報の所在や内容を把握していることから登録しないこととするものである。

第4項関係

  1. 本項は、公安委員会及び警察本部長が所掌する事務の特殊性に配慮し、一定の場合には、個人情報取扱事務登録簿の登録事項の一部を登録せず、又は登録簿を作成しないことができることとしたものである。
  2. 「当該個人情報取扱事務の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあると認めるとき」とは、登録簿を作成・公表することにより、個別具体的な事務の存在ないし取り扱う個人情報の具体的な内容等を明らかにすることとなり、適正な事務又は事業の遂行に支障を及ぼすような場合であり、判断を行う実施機関の恣意的な判断に委ねる趣旨ではなく、本要件に該当するか否かを客観的に判断する必要がある。

第5項関係

  1. 本項は、実施機関が登録簿に登録した個人情報取扱事務を廃止したときの登録の抹消について義務付けたものである。
  2. 「個人情報取扱事務を廃止したとき」とは、法令等の廃止により個人情報取扱事務が廃止されたときでなく、香川県公文書等の管理に関する条例(平成25年香川県条例第5号)の定めるところにより、行政文書の保存期間が満了し、当該行政文書を廃棄したときや、市町への事務の移管等により実施機関において個人情報を保有しなくなった段階をいう。

第3節 個人情報の開示

開示請求権

第14条 何人も、実施機関に対し、当該実施機関の保有する自己を本人とする保有個人情報の開示の請求(以下「開示請求」という。)をすることができる。
2 未成年者又は成年被後見人の法定代理人(保有特定個人情報にあっては、未成年者若しくは成年被後見人の法定代理人又は本人の委任による代理人)(以下「代理人」という。)は、本人に代わって開示請求をすることができる。
3 死亡した者を本人とする保有個人情報については、その死亡の当時における次に掲げる者(以下「遺族」という。)に限り、実施機関に対し、当該保有個人情報の開示請求をすることができる。

  • (1)当該死亡した者の配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)及び二親等内の血族
  • (2)当該死亡した者の三親等内の親族(前号に掲げる者がいない場合に限る。)

【趣旨】
本条は、何人に対しても、行政文書に記録されている自己を本人とする保有個人情報について、開示の請求をする権利を認めるとともに、未成年者、成年被後見人の法定代理人及び一定の範囲の遺族について開示請求権を認めることを定めたものである。
なお、保有特定個人情報については、番号利用法第30条第1項により読み替えて適用される行政機関法第12条第2項において、本人の委任による代理人が本人に代わって、行政機関の長に対し、開示請求をすることを認めることとしている。番号利用法第32条(地方公共団体等が保有する特定個人情報の保護)において、地方公共団体は、行政機関等と同様の適用となるよう、必要な措置を講ずるものとされていることから、本条において、その措置を定めるものである。

【解釈・運用】

第1項関係

  1. 本項は、何人も、実施機関の保有する自己を本人とする保有個人情報の開示の請求をする権利を有することを定めるものである。
  2. 「何人も」とは、県民に限らず、外国人を含むすべての自然人をいう。
  3. 本条に基づく開示請求の対象となるのは、「保有個人情報」である。したがって、実施機関が保有していても、行政文書に記録されていない個人情報については、開示請求の対象ではない。保有個人情報の定義は、第2条第5項の解釈を参照のこと。
  4. 「自己を本人とする保有個人情報」とは、自己がその情報の本人となっている保有個人情報をいう。自己と自己以外の者に関する情報が、内容において不可分の状態で記録されている場合(加害者と被害者の個人情報が記録されている事故報告書等)など、自己と自己以外の者の情報が一体となって保有個人情報を形成している場合は、自己以外の者の情報も含めて当該情報全体が「自己を本人とする保有個人情報」となる。
  5. 開示の請求をすることができる対象は、「自己を本人とする保有個人情報」に限られており、それ以外の保有個人情報については、第2項及び第3項に規定する場合を除いては、たとえ配偶者、家族等の保有個人情報であっても開示請求の対象とはならない。ただし、死者の情報については、相続等により当該遺族自身の情報でもあると考えられる場合には、当該遺族は、自己の保有個人情報として開示の請求をすることができる。

第2項関係

  1. 本項は、保有個人情報の本人に対してしか開示請求権を認めないと、未成年者又は成年被後見人の場合には、却って本人の権利利益を侵害することになりかねないため、未成年者又は成年被後見人の法定代理人に限り、本人の保有個人情報に対して開示請求をすることができることを定めるものである。したがって、開示を受けた自己の保有個人情報の持つ意味や内容を理解できる意思能力を有する未成年者の場合は、当該未成年者からの開示請求を禁止する必要はなく、むしろ本人から開示請求する方が望ましい場合もある。
    なお、保有特定個人情報については、情報提供ネットワークシステムの導入に伴い不正な情報提供等がなされる懸念があり得ることから、開示請求、訂正請求及び利用停止請求といった本人参加の権利の実質的な保障が重要となる。このため、国においては、これらの権利が容易に行使できるよう、情報提供等記録開示システムを整備して情報提供等の記録の開示等を容易に行えるようにするとともに、インターネット接続が困難で、かつ書面請求も困難な者についても容易に開示請求権等を行使できるよう、任意代理を認めることとしている。また、個人番号が利用される社会保障・税分野の手続は、専門家である税理士や社労士などの代理人に手続を委任するニーズが高いことから、開示請求等についても税理士などの任意代理人を認めることが国民の利便性向上に資するものである。そこで、本項において任意代理を認めるものである。
  2. 保有個人情報(保有特定個人情報を除く。)の開示請求について、任意代理を認めていない理由は、本人が請求し得る限り、一般に任意代理を認める実益に乏しいためである。また、成り済ましの防止や本人の権利利益保護の観点から、あまり広く代理請求を認めるのが好ましくないこともその理由である。
  3. 「法定代理人」とは、民法上の法定代理人をいい、未成年者の場合は第一次的には親権者(民法第818条等)、第二次的には未成年後見人(民法第839条)であり、成年被後見人の場合は成年後見人(民法第843条)をいう。
  4. 実施機関は、代理人による請求があったときは、請求者が真正な代理人であることを確認するとともに、本人と代理人との権利利益が相反する場合は、請求の内容を個別に判断し、場合によっては第16条第1号該当性を判断することによって、本人の権利利益を保護するなど慎重な取扱いに努めることが必要である。
  5. 代理人が開示請求権を行使することのできる場合は、本人が開示請求権を行使していない場合に限るものではなく、本人が既に開示請求をしている場合などにおいても、代理人が重複して開示請求を行うことを妨げない。

第3項関係

  1. 本項は、死者の個人情報が遺族自身の個人情報とみなすことが不可能な場合であっても、遺族の権利利益の保護の観点から、一定の遺族に対して、死者の個人情報に対する開示請求権を認めるものである。
  2. 本人が死亡している場合は、保有個人情報を遺族に提供しても、本人の権利利益を侵害するおそれは乏しいと思われることから、死者の個人情報を条例の対象外とし、実施機関の任意の情報提供に委ねることも考えられるが、その場合には、同様の事案に対して異なる結果が生じるおそれがあるため、開示請求の対象とし、第16条各号該当性を判断した上で開示することとしたものである。
  3. 開示請求権を認める範囲を一定の遺族ではなく、特段の遺族(例:死者の個人情報が遺族自身の個人情報とみなせるほど密接な関係があるときには、当該遺族は、第1項に基づく開示請求ができる)とした場合は、実施機関は、特段の関係を認める判断基準をあらかじめ想定しておく必要が生じ、当該遺族は、特段の関係があることを実施機関に立証する必要が生じることとなる。開示請求権を原則本人に限っているのは、個人情報保護制度が個人の権利利益の保護を目的としているためなので、ここでは実施機関の保有する死者の保有個人情報の適正管理を図り、さらに遺族の権利利益の保護を図る観点から、特段の事情を判断することなく、一定の遺族に対して死者の個人情報に対する開示請求権を認めることとしたものである。
  4. 本項で認めている遺族の範囲は、第一次的には遺族のうち縁故関係が深く死者の個人情報を知ることに正当な利益を有すると認められる「配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)及び二親等内の血族」に認め、これらの者がいないときに限って、第二次的に「当該死亡した者の三親等内の親族」と定めている。

開示請求の手続

第15条 開示請求をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した書面(以下「開示請求書」という。)を実施機関に提出しなければならない。

  • (1)開示請求をしようとする者の氏名及び住所
  • (2)開示請求に係る保有個人情報が記録されている行政文書等の名称その他の開示請求に係る保有個人情報を特定するに足りる事項
  • (3)前2号に掲げるもののほか、実施機関が定める事項

2 開示請求をしようとする者は、開示請求書を提出する際に、自己が当該開示請求に係る保有個人情報の本人若しくはその代理人又は遺族であることを証明するために必要な書類として実施機関が定めるものを実施機関に提出し、又は提示しなければならない。
3 実施機関は、開示請求書に形式上の不備があると認めるときは、開示請求をした者(以下「開示請求者」という。)に対し、相当の期間を定めて、その補正を求めることができる。この場合において、実施機関は、開示請求者に対し、補正の参考となる情報を提供するよう努めなければならない。

【趣旨】
本条は、保有個人情報の開示請求に関する具体的な手続等について定めたものであり、開示請求の方法、開示請求の際に行う本人等の確認及び開示請求書に形式上の不備があると認められる場合の補正手続等について明らかにしている。

【解釈・運用】
第1項関係

  1. 開示請求は、権利の行使であり、開示又は不開示という行政処分の前提となる手続であることから、事実関係を明確にしておく必要があるので、書面を提出しなければならないと定めている(ただし、第27条第1項に定める「開示請求及び開示の特例」の場合を除く。)。この場合の書面は、規則第4条に定める保有個人情報開示請求書(第2号様式)によるものとする。
  2. 「開示請求をしようとする者」とは、実際に請求行為を行おうとする者をいい、代理人による請求の場合は当該代理人を、遺族による請求の場合は当該遺族を指すものである。
  3. 各号関係
    • 第1号関係
      氏名及び住所の記載により、開示請求人を特定するものである。また、実施機関が開示請求人に連絡をとるのに必要な事項として、電話番号の記載を求めるものである。
    • 第2号関係
      「保有個人情報を特定するに足りる事項」とは、開示請求に係る保有個人情報が記録されている行政文書のうちの当該個人情報に係る部分を特定するために必要な事項をいう。保有個人情報の特定が可能であれば、行政文書の名称が正式の名称である必要はない。
      本号の特定は、実施機関の合理的努力により検索ができる程度に特定されていることが必要である。
    • 第3号関係
      「前2号に掲げるもののほか、実施機関が定める事項」とは、次の事項である。
      • (1)開示の方法の区分
      • (2)開示請求をしようとする者が本人以外の場合は、請求者の区分並びに本人の氏名及び住所

なお、開示請求に当たり、請求の理由、利用目的を示す必要はないこととされているため、請求に係る保有個人情報を特定するためなど開示請求に当たって開示請求者の便宜を図る目的以外の目的で請求理由等を尋ねることは、開示請求制度の必要の範囲を超えた個人情報の収集となる。また、開示請求者の便宜を図る目的で尋ねる場合であっても、回答するか否かは開示請求者の任意であることを明示する必要がある。

第2項関係

  1. 本項は、開示請求をしようとする者が、本人等であることを確認するための方法を規定するものである。
  2. 本人であることの証明のため請求者に提示を義務づけている書類は、規則第5条で定めており、具体的には個人情報保護事務取扱要綱に掲げているが、例示すると次のとおりである。
    ・マイナンバーカード・運転免許証・旅券・在留カード・特別永住者証明書・健康保険、国民健康保険又は船員保険の被保険者証
  3. 代理人又は遺族による請求の場合は、前記2の書類により個人情報の開示請求をしようとする者の確認を行う。
    さらに、請求に係る個人情報の本人が未成年者若しくは成年被後見人又は死者であること及び開示請求をしようとする者が、その法定代理人又は遺族であることを書類により確認する。当該書類を例示すると、次のとおりである。
    ・戸籍謄本(抄本)・住民票の写し・健康保険、国民健康保険、船員保険等の被保険者証・共済組合員証
    また、特定個人情報の開示請求をしようとする者が、本人の委任による代理人であることを請求に係る特定個人情報の本人の印鑑登録証明書を添付した委任状その他代理人の資格を証明する書類により確認する。

第3項関係

  1. 「開示請求書に形式上の不備があると認めるとき」とは、記載すべきとされている事項を記載していない場合や、「保有個人情報を特定するに足りる事項」の記載に不備があり開示請求に係る保有個人情報を特定することができない場合等をいう。
  2. 「相当の期間」とは、当該補正をするのに社会通念上必要とされる期間をいい、個々の事案によって判断しなければならない。

保有個人情報の開示義務

第16条 実施機関は、開示請求があったときは、開示請求に係る保有個人情報に次の各号に掲げる情報(以下「不開示情報」という。)のいずれかが含まれている場合を除き、開示請求者に対し、当該保有個人情報を開示しなければならない。

【趣旨】
本条は、適法な開示請求があった場合は、開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が含まれているときを除き、実施機関は、請求者に対し、当該保有個人情報を開示する義務を負うとの原則開示の基本的枠組みを明らかにしたものである。
したがって、本条各号に掲げる不開示情報に該当するかどうかは、原則開示の精神に立って判断するものである。
なお、この条例及び解釈基準において、開示請求者以外の個人又は法人等を「第三者」という(第64条を除く。)。

【解釈・運用】
本条では、実施機関は、開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が含まれている場合を除き、当該保有個人情報を開示しなければならないことを定めている。また、本条の不開示情報の規定に該当する場合は、特に必要があると実施機関が判断し、第18条の規定により裁量的に開示するときを除き、実施機関が当該情報を開示することは認められないものである。

第16条第1号関係(本人の生命等を害するおそれがある情報)

(1)遺族以外の開示請求者(第14条第2項の規定により代理人が本人に代わって開示請求をする場合にあっては、当該本人をいう。)の生命、健康、生活又は財産を害するおそれがある情報

【趣旨】
本号は、本人の生命、健康、生活又は財産を保護する観点から、本人に関する保有個人情報を開示することにより、本人の生命、健康、生活又は財産を害するおそれがある場合には、本人に関する保有個人情報であっても、本人又は代理人に開示しないことについて定めたものである。

【解釈・運用】

  1. 本人である開示請求者に対して、当該本人に関する保有個人情報を開示する場合には、開示することにより、通常本人の権利利益を侵害するおそれはないと考えられる。しかし、カルテを開示する場合のように、患者の精神状態や病状等により、開示することが病状等の悪化をもたらすことが予見されるときもあり、このような場合には本号が適用されるものである。
  2. 法定代理人である開示請求者に対して、本人に関する保有個人情報を開示する場合には、開示することにより、未成年者又は成年被後見人である当該本人の権利利益を侵害するおそれの有無についての検討が必要である。例えば、児童虐待の場合で、虐待の当事者である親権者から、当該児童の心情を記録した文書に対する開示請求があったようなときは、当該親権者と本人との利益が相反しているものとして本号が適用されるものである。
    本人の委任による代理人が、保有特定個人情報の開示請求をする場合についても、同様の検討が必要である。
  3. 本号が適用される局面は、開示することが深刻な問題を引き起こす可能性がある場合であり、事案に即して慎重に判断する必要がある。
  4. 遺族である開示請求者に対して、死者を本人とする保有個人情報を開示する場合には、死者が権利利益の帰属主体になり得ないこと(名誉棄損の場合を除く)から、本号の適用を除外しているものである。

第16条第2号関係(本人以外の個人に関する情報)

(2)開示請求者(第14条第2項の規定により代理人が本人に代わって開示請求をする場合にあっては当該本人を、同条第3項の規定により遺族が開示請求をする場合にあっては当該開示請求に係る死亡した者をいう。次号、次条第2項及び第24条第1項において同じ。)以外の個人に関する情報(事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く。)であって、開示することにより、当該個人の権利利益を害するおそれがあるもの。ただし、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報を除く。

【趣旨】
本号は、本人以外の個人の権利利益を保護する観点から、開示請求に係る保有個人情報の中に本人以外の個人に関する情報が含まれている場合において、当該本人以外の個人に関する情報を開示請求者に開示することにより、当該本人以外の個人の権利利益が侵害されるおそれがある場合には、当該本人以外の個人に関する保有個人情報を開示しないことを定めたものである。

【解釈・運用】

  1. 「開示請求者以外の個人」とは、開示請求に係る保有個人情報の中に含まれる開示請求者以外の個人をいう。
    「個人に関する情報」とは、個人識別情報により個人を特定できるものだけでなく、個人識別情報がないため個人を特定できないものを含む。行政機関法は、いわゆる「個人識別型」を採用しており、(1)個人を特定できる「本人以外の個人に関する情報」を不開示とした上で、(2)個人を特定できない「本人以外の個人に関する情報」については、権利利益を侵害するおそれがある場合に限り不開示とされている。条例は、いわゆる「プライバシー型」を採用しており、いずれの場合においても、権利利益を侵害するおそれのある場合のみ不開示情報に該当するものである。したがって、個人識別情報の含まれない未発表の論文や反省文など、開示することにより本人以外の個人の権利利益を侵害するおそれのある場合は、本号により不開示となるものである。
    「事業を営む個人の当該事業に関する情報を除く」としている理由は、個人に関する情報であっても、次号で規定する法人等に関する情報と同様の要件により不開示情報該当性を判断するのが適当であるからである。
    不動産登記簿の謄本のように法令等の規定により、又は表彰受賞者名簿のように慣行として開示請求者が知ることができる個人情報については、開示することにより権利利益を侵害するおそれが乏しいため、本号における不開示情報には該当しないものである。
  2. 代理人又は遺族が開示請求をする場合には、請求に係る保有個人情報の本人以外の個人の権利利益を侵害するおそれについて判断することになる。
  3. 本号は、開示することにより開示請求者が得る利益と開示により侵害される本人以外の個人の権利利益を調整する観点から規定するものであり、ただし書きに規定する「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報」を開示する必要性が、不開示とすることにより保護される本人以外の個人の権利利益を上回るときは、当該情報を開示しなければならないことを定めたものである。
    なお、本号ただし書きにより開示しようとするときは、第24条第2項の規定に基づき当該本人以外の個人に対して意見書を提出する機会を与えなければならない。

第16条第3号(事業者に関する情報)

(3)法人等に関する情報又は開示請求者以外の事業を営む個人の当該事業に関する情報であって、次に掲げるもの。ただし、事業活動によって生じ、又は生ずるおそれのある危害から人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報を除く。

  • ア 開示することにより、当該法人等又は当該個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるもの
  • イ 県の機関の要請を受けて、法人等又は個人から、開示しないとの条件で任意に提供された情報であって、法人等又は個人における通例として開示しないこととされているものその他の当該条件を付することが当該情報の性質、当時の状況等に照らして合理的であると認められるもの

【趣旨】
本号は、法人等又は事業を営む個人の正当な利益を保護する観点から、開示請求に係る保有個人情報の中に、法人等又は事業を営む個人の当該事業に関する情報が含まれる場合において、当該事業に関する情報を開示請求者に開示をすることにより、当該法人等又は事業を営む個人の正当な利益が侵害されるおそれがある場合には、当該保有個人情報を開示しないことを定めたものである。

【解釈・運用】

  1. 「法人等」とは、第2条第4項の「法人等」と同義であり、法人その他の団体(国等を除く。)をいう。社団法人や財団法人だけでなく、任意団体も含まれる。
    「事業を営む個人の当該事業に関する情報」については、事業に関する情報として判断すべきであるので、第3号に該当するものである。
  2. 「権利、競争上の地位その他正当な利益」とは、次のようなものをいう。
    • (1)「権利」とは、宗教法人の信教の自由、学校法人の学問の自由、財産権等、法的保護に値する一切の権利を含む。
    • (2)「競争上の地位」とは、事業者における公正な競争関係における地位を指す。
    • (3)「その他正当な利益」とは、生産技術上、販売上のノウハウ、名誉、信用、社会的評価等事業者の正当な事業活動が損なわれると認められるものをいう。
  3. 「害するおそれ」とは、事業者の事業活動に何らかの不利益が生じる可能性があるというだけでは足りず、当該事業者の権利、競争上の地位その他正当な利益が具体的に侵害されると認められることが必要である。
  4. 本号は、開示することにより開示請求者が得る利益と開示により侵害される事業者の正当な利益を調整する観点から規定するものであり、ただし書きに規定する「人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、開示することが必要であると認められる情報」を開示する必要性が、不開示とすることにより保護される事業者の正当な利益を上回るときは、当該情報を開示しなければならない。
    なお、本号ただし書きにより開示しようとするときは、第24条第2項の規定に基づき当該事業者に対して意見書を提出する機会を与えなければならない。
  5. 開示しないとの条件の下に事業者から任意に提供された情報については、当該条件が合理的なものと認められる限り、不開示情報として保護するものであり、情報提供者の信頼と期待を基本的に保護しようとするものである。合理性の判断については、情報の性質に応じ、当該情報の提供当時の事情及びその後の変化も考慮するものである。

第16条第4号(審議、検討等に関する情報)

(4)県の機関、国の機関、県以外の地方公共団体、独立行政法人等及び地方独立行政法人の内部又は相互間における審議、検討又は協議に関する情報であって、開示することにより、率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ、不当に県民の間に混乱を生じさせるおそれ又は特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれがあるもの

【趣旨】
本号は、県の機関、国の機関等における内部的な審議、検討又は協議が公正かつ円滑に行われることを確保する観点から、開示することにより、外部からの圧力や干渉等の影響を受けるおそれ等のある審議、検討等に関する情報について、開示しないことを定めたものである。

【解釈・運用】

  1. 「県の機関」とは、県の執行機関、議会及びこれらの補助機関のほか執行機関の附属機関を含む。
  2. 「国の機関」とは、国会、大臣等及びそれらの附属機関並びに審議会等国のすべての機関をいう。「県以外の地方公共団体」についても同様である。
  3. 県又は国等における最終的な意思決定は、内部的な審議、検討又は関係機関などとの協議を経て行われることが通常であることから、これらの、いわば検討段階における各種資料については、保有個人情報であるといっても、開示されることにより、県民に誤解と混乱を与えたり、会議等で自由な意見の表明と情報の交換が妨げられたり、又は内部的な検討のための必要な資料が得られなくなるなど、事務の執行に支障を及ぼすおそれがあると認められるものについては、開示をしないことを定めるものである。
  4. 「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれ」とは、開示することにより、外部からの圧力や干渉等の影響を受けるおそれ等のことをいう。
  5. 「不当に県民の間に混乱を生じさせるおそれ」とは、未成熟な情報や事実関係の確認が不十分な情報などを開示することにより、誤解や憶測を招くおそれ等のことをいう。
  6. 「特定の者に不当に利益を与え若しくは不利益を及ぼすおそれ」とは、尚早な時期に、あるいは事実関係の確認が不十分なままで情報を開示することにより、不正な投機を助長するおそれ等のことをいう。
  7. 「不当に」とは、本号に該当する情報を開示する必要性を考慮してもなお、適正な意思決定の確保等への支障が看過し得ない程度のものであることを意味する。不当か否かは、開示することによる利益と不開示にすることによる利益を比較衡量した上で判断される。
  8. 意思決定が行われた後は、一般的には、本号の適用はなくなるものと考えられるが、当該意思決定が全体として一つの政策決定の構成要素であったり、当該意思決定を前提として次の意思決定が行われるような場合には、本号に該当するかどうか検討する必要がある。
    また、意思決定が行われた後においても、当該審議、検討等に関する情報が開示されると、将来予定されている同種の審議、検討等に意思決定等に不当な影響を与えるおそれがあれば、本号に該当するものである。

第16条第5号(事務又は事業に関する情報)

(5)県の機関、国の機関、県以外の地方公共団体、独立行政法人等又は地方独立行政法人が行う事務又は事業に関する情報であって、開示することにより、次に掲げるおそれその他当該事務又は事業の性質上、当該事務又は事業の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあるもの

  • ア 監査、検査、取締り、試験又は租税の賦課若しくは徴収に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれ又は違法若しくは不当な行為を容易にし、若しくはその発見を困難にするおそれ
  • イ 契約、交渉又は争訟に係る事務に関し、県、国、県以外の地方公共団体、独立行政法人等又は地方独立行政法人の財産上の利益又は当事者としての地位を不当に害するおそれ
  • ウ 調査研究に係る事務に関し、その公正かつ能率的な遂行を不当に阻害するおそれ
  • エ 人事管理に係る事務に関し、公正かつ円滑な人事の確保に支障を及ぼすおそれ
  • オ 県若しくは県以外の地方公共団体が経営する企業、独立行政法人等又は地方独立行政法人に係る事業に関し、その経営上の正当な利益を害するおそれ

【趣旨】
本号は、県の機関、国の機関等が行う事務又は事業の目的達成又は適正な執行の確保の観点から、執行前あるいは執行過程で開示することにより、当該事務又は事業の性質、目的等から判断して当該事務又は事業の適正な執行に支障を及ぼすおそれがある場合には、当該保有個人情報を開示しないことを定めたものである。

【解釈・運用】

  1. 「県の機関」、「国の機関」については、前号の解釈を参照のこと。
  2. 「事務又は事業に関する情報」とは、当該事務又は事業に直接関わる情報だけでなく、当該事務又は事業の実施に影響を与える関連情報を含むものである。
  3. 「次に掲げるおそれ」とは、開示することにより、適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると考えられる典型的な支障を挙げたものであるが、「支障」の程度は名目的なものでは足らず実質的なものが要求される。また、「おそれ」の程度も可能性があるというだけでは足らず、現実化する可能性を具体的に説明できることが必要である。
    「おそれ」の具体例としては、開示することによって、直接的に事務の目的に沿った成果が得られなくなる場合、事務を実施する意味そのものが喪失してしまうことに繋がる場合、経費が著しく増大し、又は実施の時期が大幅に遅れるなど、事務の執行が阻害され、行政が著しく混乱し、公正若しくは円滑な事務の執行に著しい支障を及ぼす場合が挙げられる。
  4. 「ア」から「オ」に列記された事務又は事業は、実施機関に共通的に見られる事務又は事業であって、開示することにより、その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報を含むことが容易に想定されるものを例示的に掲げたものであり、その他すべての個別の事務又は事業が本号の対象となる。

第16条第6号(個人の評価等情報)

(6)個人の評価、診断、選考、相談等の事務に関する情報であって、開示することにより、当該事務又は将来の同種の事務の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあるもの

【趣旨】
本号は、個人の評価、診断、選考、相談等(以下、「個人の評価等」という。)の事務の適正な執行を確保する観点から、当該事務に関する保有個人情報を開示することにより、当該又は将来における同種の事務の適正な執行に著しい支障が生ずるおそれがある場合には、当該保有個人情報を開示しないことを定めたものである。

【解釈・運用】

  1. 「評価」とは、各種の試験、検査、資格、功績など、個人の能力、知識、性格、適性等について調査、観察等を行い、その結果を評定した記録をいう。
  2. 「診断」とは、疾病、健康状態等について、専門的見地から行った判定等の記録をいう。
  3. 「選考」とは、個人の能力、知識、性格、適性等の調査、観察等に基づいて、特定の職業、地位等に就く適任者の選定等を行った記録をいう。
  4. 「相談」とは、生活、健康等に関しての照会を受け、それに対して行った対処方法、回答等の記録をいう。
  5. 「等の事務」とは、例えば学力、能力、技術等の向上又は健康状態若しくは生活状態の改善のために行った教育や指示の記録などをいう。
  6. 「当該事務又は将来の同種の事務」とは、保有個人情報の本人に関する評価等の事務、本人に対して当該評価等に引き続き行われる評価等を伴う事務及び今後、反復継続して行われる本人以外の者に対する同種の事務をいう。
  7. 「著しい支障を及ぼすおそれ」とは、評価等を行うという事務の性質上、保有個人情報を開示することにより、次のようなおそれが生じる場合をいう。
    • (1)評価等の内容を本人が知ることにより、当該本人等の誤解や不信感、無用の反発を招く等により当事者間の信頼関係を損なうおそれ
    • (2)開示をすることを前提に個人の評価等が行われ、画一的な個人の評価等がなされることにより、事務の形骸化を招いたり、事務の持つ本来の目的が失われるおそれ
  8. 評価等情報であって、評価者の観察力、洞察力、理解力等の主観的要素に左右され得るものについては本号に該当するが、主に客観的事実のみが記載されているもの等評価者の主観的要素が入る余地が比較的少ないものについては、本号には該当しない。
  9. 個人の評価等は、実施機関が直接行ったものに限るものではなく、外部機関に依頼したような評価等を含む。

第16条第7号(犯罪捜査等情報)

(7)開示することにより、犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持に支障を及ぼすおそれがあると実施機関が認めることにつき相当の理由がある情報

【趣旨】
本号は、公共の安全と秩序を維持する観点から、刑事法の執行を中心とした犯罪の予防又は犯罪の捜査などに支障を及ぼすおそれがあると実施機関の長が認めることにつき相当の理由がある情報について、開示をしないことを定めたものである。

【解釈・運用】

  1. 「犯罪の予防、鎮圧又は捜査、公訴の維持、刑の執行その他の公共の安全と秩序の維持」とは、刑事法の執行を中心としたものを意味し、刑事訴訟法だけでなく、特別法により臨検、捜索、差押え、告発等が規定され、犯罪の予防・捜査とも関連し、刑事司法手続に準ずるものと考えられる犯則事件の調査、独占禁止法違反の調査等や、犯罪の予防・捜査に密接に関連する破壊的団体の規制、暴力団員による不当な行為の防止、つきまとい等の規制、強制退去手続に関する情報も含まれる。
  2. 「実施機関が認めることにつき相当の理由がある」とは、本号の内容がその性質上、開示・不開示の判断を行うに当たり、犯罪等に関する将来予測としての専門的・技術的判断を要することなどの特殊性が認められることから、司法審査の場においては、裁判所は、本号に規定する情報に該当するかどうかについての実施機関の第一次的な判断を尊重し、その判断が合理性を持つ判断として許容される限度内のものであるか否かを審理・判断することが適当であるということを意味するものである。

第16条第8号(法令秘情報)

(8)法令等の定めるところ又は実施機関(議会を除く。)が法律上従う義務を有する各大臣その他国の機関の指示により、本人若しくはその代理人又は遺族に開示することができない情報

【趣旨】
本号は、法令等の定めるところ又は実施機関(議会を除く。)が法律上従う義務を有する各大臣その他国の機関の指示により、公にすることができないとされている保有個人情報について、開示しないことを確認的に定めたものである。

【解釈・運用】

  1. 「法律上従う義務を有する各大臣その他国の機関の指示」とは、地方自治法第245条第1号に規定する、普通地方公共団体に対する国の指示その他これに類する行為をいう。
    なお、本号が対象としている指示は、法律上にその指示の根拠が示されているものであるため、本号に該当するか否かは、当該事務の根拠法令等に照らして個別具体的に判断する必要がある。
  2. 「開示することができない情報」とは、明文の規定で開示することが禁じられている情報のほか、法令等の趣旨、目的からみて開示することができないと明らかに判断され得る情報を含む。
  3. 法令等で開示が禁止されている場合であっても、それが第三者に対して個人情報を保護する趣旨であり、本人に開示することまでも禁止しているものではないときは、本号の適用がないものである。

第16条第9号(議会の会派等の活動情報)

(9)議会の会派又は議員の活動に関する情報であって、開示することにより、当該活動に支障を及ぼすおそれがあるもの

【趣旨】
本号は、議会の会派又は議員の活動に関する情報であって、開示することにより、当該活動に支障を及ぼすおそれがあるものについては、不開示とすることを定めたものである。

【解釈・運用】

  1. 「会派」とは、香川県議会会議規則(昭和31年香川県議会規則第1号)第18条の規定により議長に届け出たものをいう。
  2. 「活動に支障を及ぼすおそれがあるもの」に該当するかどうかを判断するに当たっては、「支障」の程度は名目的なものでは足りず実質的なものが要求され、「おそれ」の程度も単なる確率的な可能性では十分とはいえない。

第16条第10号(警察職員の氏名情報)

(10)警察職員が従事する事務又は事業の遂行に係る情報に含まれる警察職員の氏名であって、開示することにより、その氏名の開示に係る警察職員が従事する事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものとして実施機関が定めるもの

【趣旨】
本号は、警察職員が従事する事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすことのないよう、実施機関が定める警察職員の氏名を開示しないことを定めたものである。

【解釈・運用】

  1. 「警察職員が従事する事務又は事業の遂行に係る情報」とは、警察職員が、その職務として従事する事務又は事業の遂行に関する情報である。
  2. 「実施機関が定めるもの」とは、その氏名を開示すると、当該職員が従事する事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものと実施機関が認めて規則等により定める警察職員をいう。

一部開示

第17条 実施機関は、開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が含まれている場合において、不開示情報に該当する部分を容易に区分して除くことができるときは、開示請求者に対し、当該部分を除いた部分につき開示しなければならない。
2 開示請求に係る保有個人情報に前条第2号の情報(開示請求者以外の特定の個人を識別することができるものに限る。)が含まれている場合において、当該情報のうち、氏名、生年月日その他の開示請求者以外の特定の個人を識別することができることとなる記述等及び個人識別符号の部分を除くことにより、開示しても、開示請求者以外の個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるときは、当該部分を除いた部分は、同号の情報に含まれないものとみなして、前項の規定を適用する。

【趣旨】
本条第1項は、開示請求に係る保有個人情報の一部に不開示情報が含まれている場合における開示の義務の内容及びその要件を明らかにするものである。
本条第2項は、開示請求に係る保有個人情報に不開示情報に該当する開示請求者以外の個人情報が含まれている場合に、当該情報のうち個人識別性のある部分を除くことにより行う一部開示について定めたものである。

【解釈】
第1項関係

  1. 「容易に区分して除くことができる」とは、開示請求に係る保有個人情報に含まれた不開示情報とそれ以外の部分を区分し、両者を物理的に分離するに当たって、過度の費用と時間等を要しないことをいう。「区分」とは、不開示情報に該当する部分とそれ以外の部分とを概念上区分けすることを意味し、「除く」とは、不開示情報に該当する部分を、当該部分の内容が分からないように黒塗りにより加工することにより、情報の内容を消滅させることをいう。
  2. 録音テープやビデオテープに記録された保有個人情報については、例えば、映像中に開示請求者以外の者が映っている場合があり得るので、不開示情報を容易に区分して除くことができる範囲で、開示すべき部分を決定することになる。
  3. 電磁的記録に記録された保有個人情報については、あらかじめ不開示情報に該当する部分を黒くマスキングした上で紙に出力するか、又は紙に出力した上で、不開示情報を区分して除いて開示することになる。あらかじめ不開示情報を消去して出力することは、出力した部分に不開示情報が含まれていることが開示請求者に伝わらないので適当ではない。
  4. なお、不開示情報を区分して除いた部分に有意の情報が記録されていない場合は、全体が不開示情報と考えることになる。

第2項関係

  1. 「特定の個人を識別することができることとなる記述等及び個人識別符号の部分を除くことにより、開示しても、開示請求者以外の個人の権利利益が害されるおそれがないと認められるとき」とは、開示請求者である本人以外の個人に関する情報から個人識別情報を除くことにより、当該本人以外の個人を特定することが不可能となる結果、当該本人以外の個人の権利利益を侵害するおそれがなくなる場合をいう。
  2. 本来、個人に関する情報は、個人識別情報と当該個人の属性情報からなる「ひとまとまり」の情報の集合物として考えるべきであり、本人以外の個人に関する情報が含まれる開示請求者の保有個人情報を開示することにより、当該本人以外の個人の権利利益を害するおそれがある場合は、当該本人以外の個人に関する情報は全体として前条第2号により不開示情報に該当することとなる。
  3. しかし、個人識別情報を除くことにより、本人以外の個人の権利利益を侵害するおそれがなくなった場合にまで、これを不開示情報とすることは適当ではない。そこで、「当該部分を除いた部分は、同号の情報に含まれないものとみなして」として前条第2号とは異なる区分の仕方を定め、個人識別情報を除いた本人以外の個人に関する情報も前条第2号に該当するものではあるが、当該本人以外の個人の権利利益を害するおそれがないときに限り、前条第2号には該当しないとみなすことにより、一部開示を行うこととしたものである。

裁量的開示

第18条 実施機関は、開示請求に係る保有個人情報に不開示情報(第16条第8号の情報を除く。)が含まれている場合であっても、個人の権利利益を保護するため特に必要があると認めるときは、開示請求者に対し、当該保有個人情報を開示することができる。

【趣旨】
本条は、開示請求に係る保有個人情報に不開示情報が含まれている場合であっても、個人の権利利益を保護するため特に必要があると認めるときは、実施機関の高度の行政的判断により、当該保有個人情報を開示できる場合があることについて定めたものである。

【解釈・運用】

  1. 第16条各号においても、当該規定により保護する利益と当該情報を開示することによる利益との比較衡量が行われる場合があるが、第16条各号により不開示となる場合であっても、なお個別具体的な事情によっては、開示することによる利益の方が不開示とする利益に優る可能性も否定できない。本条は、そのような場合に、実施機関の高度な行政的判断により、裁量的に開示を行う余地を残したものである。
  2. 「個人の権利利益を保護するため特に必要があると認めるとき」とは、例えば報復人事のように恣意的な勤務評定が行われたことが明らかな場合、開示請求の対象となる保有個人情報は第16条第5号又は第6号の不開示情報に該当するが、本条を適用して開示することが可能である。
  3. 本条により、開示請求者以外の個人に関する情報についても裁量的開示が可能であるが、この場合には、個人の人格的な権利利益を侵害しないよう格別に慎重な配慮が必要である。
  4. 第16条第8号の情報(法令秘)については、法令等によって開示が禁止されている情報であり、この条例による開示の余地がないことから、裁量的開示の対象から除外したものである。

保有個人情報の存否に関する情報

第19条 開示請求に対し、当該開示請求に係る保有個人情報が存在しているか否かを答えるだけで、不開示情報を開示することとなるときは、実施機関は、当該保有個人情報の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否することができる。

【趣旨】
本条は、開示請求に係る保有個人情報が存在するか否かを明らかにするだけで、第16条の不開示情報を開示することとなる場合には、保有個人情報の存否を明らかにしないでその請求を拒否することができることを定めたものである。

【解釈・運用】

  1. 開示請求があった場合、原則的には、保有個人情報が存在すれば、当該保有個人情報が記録されている行政文書を明示した上で、開示又は不開示の決定を行い、対象となる保有個人情報が存在していなければ、不存在である旨を示して、不開示決定を行う。しかし、保有個人情報が存在しているか否かを答えるだけで不開示情報を開示することとなる場合もあり、この場合には、保有個人情報の存否を明らかにしないで開示請求を拒否できることとしている。例えば、容疑者に関する捜査事項照会書について、照会対象者である本人から開示請求があった場合に、第16条第7号を適用して不開示決定をすることにより、本人に対して捜査が行われていることが伝わってしまうことになる。このような場合には、本条を適用して、保有個人情報の存在を明らかにしないで開示請求を拒否することになる。
  2. 存否を明らかにしないで拒否することが必要な類型の情報については、常に存否を明らかにしないで拒否することが必要であり、保有個人情報が存在しない場合に不存在による不開示決定をしていたのでは、拒否処分の場合に保有個人情報の存在が推察されてしまうことになるので注意が必要である。
  3. 本条が適用されるべき情報としては、捜査事項照会書、表彰者候補者名簿に対する開示請求が想定される。

開示請求に対する措置

第20条 実施機関は、開示請求に係る保有個人情報の全部又は一部を開示するときは、その旨の決定をし、開示請求者に対し、その旨及び開示の実施に関し実施機関が定める事項を書面により通知しなければならない。
2 実施機関は、開示請求に係る保有個人情報の全部を開示しないとき(前条の規定により開示請求を拒否するとき、及び開示請求に係る保有個人情報を保有していないときを含む。)は、開示をしない旨の決定をし、開示請求者に対し、その旨を書面により通知しなければならない。

【趣旨】
本条は、保有個人情報の開示請求に対する実施機関の応答義務及び応答の形式等について定めたものである。

【解釈・運用】
第1項関係

  1. 本項は、開示請求に係る保有個人情報の全部又は一部を開示するときのことを定めており、保有個人情報の全部を開示する旨の決定は、規則第6条第1項第1号に定める保有個人情報開示決定通知書(第3号様式)により、一部を開示する旨の決定は、同項第2号に定める保有個人情報一部開示決定通知書(第4号様式)により行うものである。
  2. 「開示の実施に関し実施機関が定める事項」とは、各様式で定める開示する保有個人情報の内容、開示の日時及び場所等である。
  3. 一部を開示する旨の決定をするときは、開示しない部分については開示請求を拒否することとなるので、理由の提示並びに審査請求及び訴訟ができる旨の教示が必要である。

第2項関係

1 本項は、開示請求に係る保有個人情報を開示しないときの事を定めており、当該決定は、規則題6条第2項に定める保有個人情報不快示決定通知書(第5号様式)により行うものである。
2 「開示をしない旨の決定」には、次のものが含まれる。

  • (1)開示請求に係る保有個人情報の全部が第16条のいずれかに該当することとして不開示決定をするとき
  • (2)開示請求に係る保有個人情報が前条に該当することとして、当該保有個人情報の存否を明らかにしないで、当該開示請求を拒否するとき
  • (3)開示請求に係る保有個人情報が存在しないため、不存在である旨の決定をするとき
  • (4)条例上明文の定めはないが、開示請求に係る保有個人情報を特定することができないときであって補正にも応じないときや、権利濫用に関する一般法理が適用される場合。なお、この場合には、個別の事案に即し、特に慎重に判断することが必要である。

3 請求権のない者からの請求、必要事項の未記載等形式的要件を備えていないもので補正に応じない場合等については、開示請求を却下することとする。

開示決定等の期限

第21条 前条各項の決定(以下「開示決定等」という。)は、開示請求書が提出された日から起算して15日以内にしなければならない。ただし、第15条第3項の規定により補正を求めた場合にあっては、当該補正に要した日数は、当該期間に算入しない。
2 前項の規定にかかわらず、実施機関は、事務処理上の困難その他正当な理由があるときは、同項に規定する期間を開示請求書が提出された日から起算して60日以内に限り延長することができる。この場合において、実施機関は、開示請求者に対し、遅滞なく、延長後の期間の満了日及び延長の理由を書面により通知しなければならない。

【趣旨】
本条は、開示決定等の原則的な期限と正当な理由があるときの延長期限及び延長の方法について定めたものである。

【解釈・運用】
第1項関係

  1. 「開示請求書が提出された日」とは、開示請求書が実施機関に物理的に到着し、了知可能な状態に置かれた日をいう。
  2. 「請求書が提出された日から起算して15日以内」とは、初日を算入して15日目が期間満了日となることをいう。ただし、最後の日が休日(香川県の休日を定める条例(平成元年香川県条例第1号)第1条に規定する日をいう。以下同じ。)に当たるときは、その直後の休日でない日をもって満了日とする。
  3. 「補正に要した日数」とは、実施機関が第15条第3項の規定により補正を求めてから、補正をした開示請求書が実施機関に提出されるまでの期間をいう。したがって、補正を求めるまでの期間は期間計算に含まれるものである。

第2項関係

  1. 「事務処理上の困難その他正当な理由」とは、次のような場合をいう。
    • (1)開示請求のあった保有個人情報の内容が複雑であるため、又はその種類が多岐にわたるため、期間内に決定することが困難である場合
    • (2)開示請求のあった保有個人情報に第三者に関する情報が記録されており、当該第三者の意見を聴取する必要があるため、期間内に決定することが困難である場合
    • (3)複数の実施機関又は事務担当課等に関係する保有個人情報が開示請求の対象とされており、その実施機関等の意見を聴取する必要があるため、期間内に決定することが困難である場合
    • (4)天災等の発生、突発的な業務の増大、その他緊急を要する業務の処理のため、期間内に決定することが困難である場合
    • (5)年末年始など公務を行わない期間が含まれる場合
  2. 「60日以内に限り延長することができる」とは、事務処理上の困難その他正当な理由により、15日以内に開示決定等をすることができない場合であっても(第22条に掲げる場合を除く。)、開示請求があった日から起算して60日以内に開示決定等をしなければならないという趣旨であり、補正に要した日数も期間計算に含まれる。
  3. 本項に規定する書面による通知は、規則第7条に定める保有個人情報開示決定等期間延長通知書(規則第6号様式)により行うものとする。

開示決定等の期限の特例

第22条 開示請求に係る保有個人情報が著しく大量であるため、開示請求書が提出された日から起算して60日以内にそのすべてについて開示決定等をすることにより事務の遂行に著しい支障が生ずるおそれがある場合には、前条の規定にかかわらず、実施機関は、開示請求に係る保有個人情報のうちの相当の部分につき当該期間内に開示決定等をし、残りの保有個人情報については、相当の期間内に開示決定等をすれば足りる。この場合において、実施機関は、同条第1項に規定する期間内に、開示請求者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。

  • (1)この条の規定を適用する旨及びその理由
  • (2)残りの保有個人情報について開示決定等をする期限

【趣旨】
本条は、開示請求に係る保有個人情報が著しく大量であって、そのすべてについて前条の定める期限内に開示決定等をすることにより事務の遂行に著しい支障が生ずることを避けるため、開示決定等の期限の特例について定めたものである。

【解釈・運用】

  1. 「開示請求に係る保有個人情報が著しく大量」とは、開示請求に係る対象が広範囲な場合で、それらの開示請求に係る保有個人情報が記録されている行政文書が著しく多いことをいう。
  2. 「事務の遂行に著しい支障が生ずるおそれ」とは、開示決定等を60日以内に処理しようとした場合、当該開示事務以外の行政事務の遂行が著しく停滞するような支障が生じるおそれのことをいう。
  3. 「当該期間」とは、前条第2項に規定する決定延長期間である60日をいい、「同条第1項に規定する期間」とは、前条第1項に規定する決定期間である15日をいう。
  4. 「相当の部分」とは、開示請求に係る保有個人情報について、実施機関が60日以内に誠実に努力して処理することができる部分をいう。「相当の期間」とは、残りの保有個人情報について、実施機関が処理するために必要な合理的期間をいうが、保有個人情報の量と実施機関(担当課等)の事務体制、他の請求事案の処理に要する事務量その他の状況等を考慮した上で判断されるものである。
    なお、この場合に、実施機関は、ある程度のまとまりの部分ごとに、早く審査の終了したものから順次開示決定等を行うことが望ましい。
  5. 本条に規定する書面による通知は、規則第8条に定める保有個人情報開示決定等期間特例延長通知書(規則第7号様式)により行うものとする。

事案の移送

第23条 実施機関は、開示請求に係る保有個人情報(情報提供等記録を除く。第34条第1項及び第5節において同じ。)が他の実施機関から提供されたものであるとき、その他他の実施機関において開示決定等をすることにつき正当な理由があるときは、当該他の実施機関と協議の上、当該他の実施機関に対し、事案を移送することができる。この場合において、移送をした実施機関は、開示請求者に対し、事案を移送した旨を書面により通知しなければならない。
2 前項の規定により事案が移送されたときは、移送を受けた実施機関において、当該開示請求についての開示決定等をしなければならない。この場合において、移送をした実施機関が移送前にした行為は、移送を受けた実施機関がしたものとみなす。
3 前項の場合において、移送を受けた実施機関が第20条第1項の決定(以下「開示決定」という。)をしたときは、当該実施機関は、開示の実施をしなければならない。この場合において、移送をした実施機関は、当該開示の実施に必要な協力をしなければならない。

【趣旨】
本条は、開示請求を受けた実施機関が、当該事案を他の実施機関等に移送する場合の要件、手続及び効果について定めたものである。

【解釈・運用】
第1項関係

  1. 「正当な理由があるとき」とは、開示請求に係る保有個人情報が他の実施機関の事務と重要な関連を有する情報に係るものであり、当該他の実施機関の方が開示の是非を適切に判断し得ると考えられる場合等をいう。
  2. 「当該他の実施機関と協議の上」とは、協議が整った場合という意味であり、協議が不調に終わった場合には移送は認められず、開示請求を受けた実施機関が開示決定等を行わなければならない。
  3. 本項に規定する書面による通知は、規則第9条に定める保有個人情報開示請求事案移送通知書(規則第8号様式)により行うものとする。
  4. 情報提供等記録については、番号利用法第31条第1項により、行政機関法第21条(開示請求に係る移送)及び第33条(訂正請求に係る移送)の規定が適用除外とされている。

第2項関係
「移送をした実施機関が移送前にした行為」とは、この条例の規定によるすべての行為を含んでいるため、開示決定等の期限は移送をした実施機関に請求書が提出された日から起算することとなる。
第3項関係

  1. 事案の移送を受けた実施機関が開示請求に係る保有個人情報の全部又は一部を開示する決定を行ったときは、自らの責任において、開示の実施をしなければならないことを定めたものである。
  2. 「移送をした実施機関は、当該開示の実施に必要な協力をしなければならない」とは、移送を受けた実施機関が当該開示請求に係る保有個人情報を保有していない場合等を想定し、移送をした実施機関が、開示に必要な協力をしなければならないことを定めたものである。

第三者に対する意見書提出の機会の付与等

第24条 開示請求に係る保有個人情報に開示請求者以外の個人又は法人等(第64条を除き、以下「第三者」という。)に関する情報が含まれているときは、実施機関は、開示決定等をするに当たって、当該情報に係る第三者に対し、当該第三者に関する情報の内容その他実施機関が定める事項を通知して、意見書を提出する機会を与えることができる。
2 実施機関は、次の各号のいずれかに該当するときは、開示決定に先立ち、当該第三者に対し、開示請求に係る当該第三者に関する情報の内容その他実施機関が定める事項を書面により通知して、意見書を提出する機会を与えなければならない。ただし、当該第三者の所在が判明しない場合は、この限りでない。

  • (1)第三者に関する情報が含まれている保有個人情報を開示しようとする場合であって、当該第三者に関する情報が第16条第2号ただし書又は同条第3号ただし書に規定する情報に該当すると認められるとき。
  • (2)第三者に関する情報が含まれている保有個人情報を第18条の規定により開示しようとするとき。

3 実施機関は、前2項の規定により意見書の提出の機会を与えられた第三者が当該第三者に関する情報の開示に反対の意思を表示した意見書を提出した場合において、開示決定をするときは、開示決定の日と開示を実施する日との間に少なくとも2週間を置かなければならない。この場合において、実施機関は、開示決定後直ちに、当該意見書(以下「反対意見書」という。)を提出した第三者に対し、開示決定をした旨及びその理由並びに開示を実施する日を書面により通知しなければならない。

【趣旨】
本条は、開示請求に係る保有個人情報に第三者に関する情報が含まれているときに、当該第三者に対して意見書提出の機会を付与すること、及び開示決定を行う場合に、当該第三者が開示決定を争う機会を保障するための措置について定めたものである。
なお、第3項は、第43条において準用されている。

【解釈】
第1項関係

  1. 「開示請求者以外の個人又は法人等」とは、国、地方公共団体、独立行政法人等、地方独立行政法人は含まれないが、これらからの事前の意見聴取の必要性自体を否定しているわけではなく、個々の事例においては、実施機関の判断により事前の意見聴取を行うことは差し支えない。
  2. 「意見書を提出する機会を与えることができる」とは、本項の規定による意見聴取が実施機関に義務付けられたものではなく、任意的なものであることを示している。
    なお、この意見聴取は、第三者に関する情報が含まれている保有個人情報の開示・不開示の判断の参考とするためのものであり、第三者に開示・不開示についての同意権を与えるものではない。
  3. 第1項及び第2項に規定する書面による通知等は、規則第10条第1項並びに同条第2項に定める保有個人情報の開示に係る意見照会書(規則第9号様式又は規則第10号様式)及び同条第3項に定める保有個人情報の開示に係る意見書(規則第11号様式)により行うものとする。

第2項関係
「書面により通知して、意見書を提出する機会を与えなければならない」とは、第三者に関する情報が含まれている開示請求者の保有個人情報を第16条第2号ただし書き、同条第3号ただし書又は第18条の規定により開示しようとするときは、当該第三者の権利利益を保護する観点から、事前の意見聴取を行うことを実施機関に義務付けているものである。
なお、この意見聴取が、第三者に開示・不開示についての同意権を与えるものではないことは、前項と同様である。
第3項関係

  1. 「開示決定をするときは、開示決定の日と開示を実施する日との間に少なくとも2週間を置かなければならない」とは、当該第三者から反対意見書が提出されたにもかかわらず開示する場合には、その正当な権利利益を保護するため、当該第三者が審査請求等を行えるようにするため、開示の決定と開示の実施との間に少なくとも2週間を置くことを明らかにしたものである。
    なお、「少なくとも2週間」とは、当該第三者が審査請求等を行えるようにするための期間について、請求者の迅速な開示への期待を斟酌して定めたものである。
  2. 本項に規定する書面による通知は、規則第10条第4項に定める保有個人情報開示通知書(規則第12号様式)により行うものとする。

開示の実施

第25条 実施機関は、開示決定をしたときは、速やかに、開示請求者に対し、当該開示決定に係る保有個人情報を開示しなければならない。
2 保有個人情報の開示は、当該保有個人情報が、文書、図画若しくは写真又はこれらを撮影したマイクロフィルム(以下「文書等」という。)に記録されているときは閲覧又は写しの交付により、電磁的記録に記録されているときはその種別、情報化の進展状況等を勘案して実施機関が定める方法により行う。ただし、閲覧の方法による保有個人情報の開示にあっては、実施機関は、当該保有個人情報が記録されている文書等の保存に支障を生ずるおそれがあると認めるとき、その他正当な理由があるときは、その写しにより、これを行うことができる。
3 実施機関は、前項の規定に基づく電磁的記録についての開示の方法に関する定めを一般の閲覧に供しなければならない。
4 第15条第2項の規定は、第1項の規定により開示を受ける者について準用する。

【趣旨】
本条は、開示決定をしたときにおける開示の実施手続及び方法について定めたものである。
また、保有個人情報の開示は、原則として保有個人情報が記録されている行政文書の原本により行うが、例外的に当該行政文書の写しにより開示ができる場合について明らかにしたものである。

【解釈・運用】
第1項関係

  1. 「開示請求者に対し」開示をするとは、開示請求書を提出した者に対して開示をすることをいい、代理人による開示請求の場合は、当該代理人に対して開示をすることとなる。
    開示請求権は開示請求者に対してのみ認められた権利であることから、開示の実施は、当該開示請求者に対してのみ行うものである。
  2. 開示請求者から補助者等の同席を求める申出がある場合には、これを拒むものではないが、開示した内容が同席した補助者等に伝わることにより開示請求者の権利利益が侵害された場合の責任は、開示請求者が負うものであることを周知することが必要である。
  3. 開示の実施は、規則第11条第1項により実施機関が指定する日時及び場所において行うものとする。

第2項関係

  1. 「文書、図画若しくは写真又はこれらを撮影したマイクロフィルム」という視覚によってその内容を確認できるものに記録されている場合には、当該文書等そのものを見せる「閲覧」と、その写しを作成して交付する「写しの交付」を開示の方法としたものである。閲覧又は写しの交付の具体的手順については、個人情報保護事務取扱要綱等の定めによることとする。
  2. 「文書等の保存に支障を生ずるおそれ」とは、文書等の形状や経年のため、開示することにより文書等が破壊され又は汚損されるおそれがあるとき等をいう。
  3. 「その他正当な理由があるとき」とは、保有個人情報の一部開示を行うとき、文書等が常時使用するものであるため開示することにより日常の業務に支障を生ずるとき等をいう。

第4項関係
本項は、保有個人情報が第三者に開示されることを防ぐため、第15条第2項に規定する本人確認を、開示を実施する際にも行うことを定めたものである。

費用の負担

第26条 前条第2項の規定により写しの交付を受ける者は、当該写しの作成及び交付に要する費用を負担しなければならない。

【趣旨】
本条は、開示請求者が写しの交付を受ける場合に、写しの作成及び交付に要する費用を開示請求者の負担とすることを定めたものである。

【解釈・運用】

  1. 開示請求者は、前条第2項の規定による写しの交付を受けようとする場合においては、写しの作成に要する費用として規則第12条第1項に基づく別紙2に定める額を負担しなければならないものである。
  2. 写しの作成等に要する費用の徴収については、規則第12条第2項により前納とされている。

開示請求及び開示の特例

第27条 実施機関があらかじめ定めた保有個人情報の開示請求は、第15条第1項の規定にかかわらず、口頭により行うことができる。この場合において、同条第2項の規定は、当該開示請求をしようとする者について準用する。
2 実施機関は、前項の規定により開示請求があったときは、直ちに、当該開示請求をした者に対し、当該開示請求に係る保有個人情報を開示しなければならない。この場合において、当該保有個人情報の開示は、実施機関が定める方法により行うものとする。

【趣旨】
本条は、その内容が定型的であらかじめ開示に関する判断を一律に行うことができ、また、一度に多くの開示請求が見込まれるものについては、請求者の負担軽減を図るとともに事務の効率的な運用を図るため、口頭による開示請求ができることを定めたものである。

【解釈・運用】
第1項関係

  1. 「実施機関があらかじめ定めた保有個人情報」とは、保有個人情報の内容及び範囲、保有個人情報の開示に対する需要の高さ、実務上の対応の可能性、開示に対する即時性等を勘案して実施機関が定めた保有個人情報をいう。
    なお、実施機関があらかじめ定めた保有個人情報の内容及び口頭により開示請求することができる期間及び場所については、規則第13条第1項により香川県報で告示するものである。
  2. 「口頭により行う」とは、第15条第1項に定める開示請求書を提出することなく、同項各号に定める項目を口頭により実施機関に申し出ることにより、開示請求をすることをいう。
  3. 本項は、第14条第1項の規定による開示請求を妨げるものではない。

第2項関係

  1. 本項は、開示する旨の判断が行われ、告示されている保有個人情報について口頭による開示請求を認めているものであることから、実施機関は、改めて開示するかどうかの判断を行うことなく、開示しなければならないことを定めている。
  2. 「実施機関が定める方法」は、規則第13条第2項により「閲覧」とされている。

第4節 保有個人情報の訂正

訂正請求権

第28条 何人も、第25条第1項又は前条第2項の規定により開示を受けた自己又は死亡した者を本人とする保有個人情報の内容が事実でないと思料するときは、当該保有個人情報を保有する実施機関に対し、当該保有個人情報の訂正(追加又は削除を含む。以下同じ。)の請求(以下「訂正請求」という。)をすることができる。ただし、死亡した者を本人とする保有個人情報の訂正請求は、当該保有個人情報の開示を受けた遺族に限り、これをすることができる。
2 第14条第2項の規定は、前項の規定による自己を本人とする保有個人情報の訂正請求について準用する。
3 訂正請求は、保有個人情報の開示を受けた日から起算して90日以内にしなければならない。

【趣旨】
本条は、実施機関から開示を受けた保有個人情報に事実の誤りがあると思料するときは、その訂正の請求をする権利を認めるとともに、未成年者、成年被後見人の法定代理人及び一定の範囲の遺族に限って訂正請求権を認めることを定めるものである。
なお、保有特定個人情報については、開示請求の場合と同様に、本人の委任による代理人が本人に代わって訂正請求をすることを認めるものである。

【解釈・運用】
第1項関係

  1. 「第25条第1項又は前条第2項の規定により開示を受けた自己又は死亡した者を本人とする保有個人情報」とは、訂正請求の対象となる保有個人情報が、この条例の規定により開示を受けた自己を本人とする保有個人情報に限られるという趣旨である。したがって、たまたま何らかの方法により実施機関が保有する自己に関する保有個人情報に事実の誤りがあることを知った場合においても、この条例に基づき開示を受けた後、本条の規定による訂正請求をしなければならない。
    なお、第46条第5項の規定により開示を受けた保有個人情報については、第25条第1項又は前条第2項の規定により開示を受けたものとみなされ、改めてこの条例に基づく開示請求を行う必要はないものである。
  2. 開示を受けることを前提としたのは、訂正請求に対する訂正決定等が行政争訟の対象となることから、対象となる保有個人情報の範囲を明確にすることにより制度の円滑かつ安定的な運営を図るとともに、手続上の一貫性を確保するためである。
  3. 「内容が事実でない」とは、氏名、住所、性別、生年月日、年齢、学歴、家族構成等の客観的な正誤の判断になじむ事項に誤りがあることをいう。
    したがって、評価、診断、選考等の客観的な正誤の判断になじまない事項については、訂正請求の対象とはならないものである。
  4. 訂正には、追加又は削除を含む。具体的には、情報の誤りを正しくすること、情報が古くなって事実と異なる場合にそれを新しくすること、情報が不完全である場合に不足している情報を加えること、情報が不要になった場合にそれを除くことをいう。
  5. 実施機関は、第9条第1項の規定により保有個人情報を正確かつ最新の状態に保つよう努めなければならないことから、実施機関が個々の保有個人情報取扱事務の実施に当たって事実に誤りを確認した場合には、自主的に訂正をすることが必要である。
  6. 死者の保有個人情報については、当該保有個人情報の開示を受けた遺族に限り、訂正請求権を認めるものである。

第2項関係

  1. 本項は、開示請求の場合と同様に、代理人が本人の保有個人情報の訂正請求ができることを定めたものである。
  2. 代理人は、本人に代わって開示請求をした場合のほか、本人が開示請求をした場合であっても、本項により訂正請求ができるものである。

第3項関係
本項は、訂正請求は、保有個人情報の開示を受けた日から起算して90日以内にしなければならない旨を定めたものである。これは、時間の経過とともに、開示を受けた保有個人情報の内容が、開示時点の内容と異なっている場合等があることを考慮したものである。なお、本項は、90日を経過した後に保有個人情報の内容が事実でないと考えるに至った場合に、再度開示を受けた上で訂正請求することを妨げる趣旨ではない。

訂正請求の手続

第29条 訂正請求をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した書面(以下「訂正請求書」という。)を実施機関に提出しなければならない。

  • (1)訂正請求をしようとする者の氏名及び住所
  • (2)訂正請求に係る保有個人情報を特定するに足りる事項
  • (3)訂正請求の趣旨及び理由
  • (4)前3号に掲げるもののほか、実施機関が定める事項

2 訂正請求をしようとする者は、実施機関に対し、訂正を求める内容が事実に合致することを証明する資料を提出し、又は提示しなければならない。
3 第15条第2項の規定は訂正請求をしようとする者について、同条第3項の規定は訂正請求書の提出を受けた実施機関について準用する。

【趣旨】
本条は、保有個人情報の訂正請求に関する具体的な手続等について定めたものであり、訂正請求の方法、訂正請求の際に行う本人等の確認及び訂正請求書に形式上の不備があると認められる場合の補正手続等について明らかにしている。

【解釈・運用】
第1項関係

  1. 訂正請求は、権利の行使であり、訂正又は不訂正という行政処分の前提となる手続であることから、事実関係を明確にしておく必要があるので、書面を提出しなければならないと定めている。この場合の書面は、規則第14条に定める保有個人情報訂正請求書(第13号様式)によるものとする。
  2. 「訂正請求をしようとする者」とは、実際に請求行為を行おうとする者をいい、代理人による請求の場合は当該代理人を、遺族による請求の場合は当該遺族を指すものである。
  3. 「保有個人情報を特定するに足りる事項」とは、開示を受けた保有個人情報が記載されている文書等の特定及びそれらのうち訂正を求める個人情報に係る部分を特定するために必要な事項のほか、いつ、どこで開示を受けたかが分かるものも含むものである。

第2項関係

  1. 本項は、訂正請求をしようとする者に、訂正を求める内容が事実に合致することを証明する書類の提出又は提示を義務付けたものである。
  2. 「訂正を求める内容」とは、訂正を求める個所をどのように訂正すべきかについての内容をいう。
  3. 「証明する資料」は、訂正を求める内容が事実に合致することの確信を実施機関に抱かせる程度に証明できる書類、物品などをいう。したがって、実施機関が訂正をするかどうかの決定を行うに際して、当該資料のみでは、その内容が不十分で、訂正が必要であると認めることができないときは、訂正しない旨の決定をすることになる。なお、この場合においても、実施機関が第9条第1項に基づき、自ら調査を行い、保有個人情報の適正管理に努めることを妨げるものではない。

第3項関係
本項は、開示請求と同様の趣旨から、請求者が本人、代理人又は遺族であることの確認及び補正に関する手続について定めたものである。

保有個人情報の訂正義務

第30条 実施機関は、訂正請求があった場合において、当該訂正請求に理由があると認めるときは、当該訂正請求に係る保有個人情報の利用目的の達成に必要な範囲内で、当該保有個人情報の訂正をしなければならない。

【趣旨】
本条は、訂正請求に理由があると認めるときは、実施機関は、利用目的の達成に必要な範囲内で、当該保有個人情報の訂正をしなければならないと定め、訂正請求に対して実施機関が訂正義務を負うことを明らかにしている。

【解釈・運用】

  1. 「理由があると認める」とは、実施機関による調査の結果、請求どおり保有個人情報の内容が事実でないことが判明したことをいう。
  2. 訂正請求制度は、条例第9条第1項に実施機関の努力義務として定めている正確性の確保を受けて、本人が関与し得る制度として設けるものであり、本条は、利用目的の達成に必要な範囲内での訂正を義務付けるものである。
    利用目的に照らして訂正の必要がない場合は、訂正する義務はなく、訂正請求に理由があるかどうか判断するための調査も、利用目的の達成に必要な範囲で行えばよい。
  3. 実施機関が訂正を行うのは、実施機関に訂正権限があるものに限られる。他の実施機関、国等又は第三者から提供を受けた個人情報についても、事実関係が明らかになれば、訂正をすることは可能である。しかし、診断書や成績証明書など実施機関において訂正することが実質的に不可能な文書等については、訂正請求者が発行元に文書等を訂正してもらった後、再提出を求めることとなる。
  4. 実施機関は、明確な根拠に基づいて訂正する必要があるので、適切な調査を行った結果、事実関係が明らかにならなかった場合には、訂正をすることはできない。ただし、当該保有個人情報を利用する場合において、事実関係が明らかでない旨が分かるよう適切な措置を講じておくことが必要である。
  5. 訂正の具体的な方法は、実施機関が個人情報の内容を記録媒体に応じて、合理的と認める方法で行うことになり、具体例としては、次のような方法が考えられる。
    • (1)誤っていた個人情報を完全に消去し、新たに記載する方法
    • (2)誤っていた個人情報の上に二本線を引き、余白部分に朱書き等で新たに記載する方法
    • (3)別紙において個人情報が誤っていた旨及び正確な内容を記載して添付する方法

訂正請求に対する措置

第31条 実施機関は、訂正請求に係る保有個人情報の訂正をするときは、その旨の決定をし、訂正請求をした者(以下「訂正請求者」という。)に対し、その旨を書面により通知しなければならない。
2 実施機関は、訂正請求に係る保有個人情報の訂正をしないときは、その旨の決定をし、訂正請求者に対し、その旨を書面により通知しなければならない。

【趣旨】
本条は、実施機関が、訂正請求に対して、保有個人情報の訂正をする又は訂正をしない旨の決定をし、訂正請求者に通知しなければならないことを定めたものである。

【解釈・運用】
第1項関係
本項は、訂正請求に係る保有個人情報を訂正するときのことを定めており、当該決定は、規則第15条第1項に定める保有個人情報訂正決定通知書(規則第14号様式)により行うものである。
第2項関係

  1. 本項は、訂正請求に係る保有個人情報を訂正しないときのことを定めており、当該決定は、規則第15条第2項に定める保有個人情報不訂正決定通知書(規則第15号様式)により行うものである。
  2. 次に掲げる場合には、訂正をしない旨の決定をすることとなる。
    • (1)訂正請求に理由があると認められないとき
    • (2)訂正することが、利用目的の範囲を超えるとき
    • (3)調査の結果、事実関係が明らかにならなかったとき
    • (4)調査の結果判明した事実が、請求時点において実際に記録されていた内容とも、請求の内容とも異なるとき。なお、この場合においては、必要に応じて職権で訂正が行われるべきである。
  3. 請求に係る保有個人情報の内容のうち、一部を訂正する決定をする場合、条例では一部訂正決定という区分を設けていないため、訂正しない旨の決定をすることとする。その理由は、訂正をしない部分についての理由の提示並びに審査請求及び訴訟ができる旨の教示が必要となることからである。

訂正決定等の期限

第32条 前条各項の決定(以下「訂正決定等」という。)は、訂正請求書が提出された日から起算して30日以内にしなければならない。ただし、第29条第3項において準用する第15条第3項の規定により補正を求めた場合にあっては、当該補正に要した日数は、当該期間に算入しない。
2 前項の規定にかかわらず、実施機関は、事務処理上の困難その他正当な理由があるときは、同項に規定する期間を訂正請求書が提出された日から起算して60日以内に限り延長することができる。この場合において、実施機関は、訂正請求者に対し、遅滞なく、延長後の期間の満了日及び延長の理由を書面により通知しなければならない。

【趣旨】
本条は、訂正決定等の原則的な期限と正当な理由があるときの延長期限及び延長の方法について定めたものである。

【解釈・運用】
第1項関係

  1. 「訂正請求書が提出された日」とは、訂正請求書が実施機関に物理的に到着し、了知可能な状態に置かれた日をいう。
  2. 「請求書が提出された日から起算して30日以内」とは、初日を算入して30日目が期間満了日となることをいう。ただし、最後の日が休日(香川県の休日を定める条例(平成元年香川県条例第1号)第1条に規定する日をいう。以下同じ。)に当たるときは、その直後の休日でない日をもって満了日とする。
  3. 訂正請求にあっては、実施機関は、訂正を求められた内容が事実に合致するか否かについて必要な調査を行わなければならないため、期間を「30日以内」としたものである。
  4. 「補正に要した日数」とは、実施機関が第29条第3項において準用する第15条第3項の規定により補正を求めてから、補正をした訂正請求書が実施機関に提出されるまでの期間をいう。したがって、補正を求めるまでの期間は期間計算に含まれるものである。

第2項関係

  1. 「事務処理上の困難その他正当な理由」とは、次のような場合をいう。
    • (1)訂正請求のあった保有個人情報の内容が複雑であるため、又はその種類が多岐にわたるため、事実関係の確認のための調査に時間を要し、期間内に決定することが困難である場合
    • (2)天災等の発生、突発的な業務の増大、その他緊急を要する業務の処理のため、期間内に決定することが困難である場合
    • (3)年末年始など公務を行わない期間が含まれる場合
  2. 「60日以内に限り延長することができる」とは、事務処理上の困難その他正当な理由により、30日以内に訂正決定等をすることができない場合であっても(第33条に掲げる場合を除く。)、訂正請求があった日から起算して60日以内に訂正決定等をしなければならないという趣旨であり、補正に要した日数も期間計算に含まれる。
  3. 本項に規定する書面による通知は、規則第16条に定める保有個人情報訂正決定等期間延長通知書(規則第16号様式)により行うものとする。

訂正決定等の期限の特例

第33条 実施機関は、訂正決定等に特に長期間を要すると認めるときは、前条の規定にかかわらず、相当の期間内に訂正決定等をすれば足りる。この場合において、実施機関は、同条第1項に規定する期間内に、訂正請求者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。

  • (1)この条の規定を適用する旨及びその理由
  • (2)訂正決定等をする期限

【趣旨】
本条は、保有個人情報の訂正決定等をするために特に長期間を要すると認めるときの訂正決定等の期限の特例について定めたものである。

【解釈・運用】

  1. 訂正請求の事案によっては、事実関係の確認のための調査や、訂正を行うか否かの判断を行うに当たって期間を要するとの理由から、前条第2項に定める期間内に訂正決定等を行うことが困難な場合も想定される。
    このため、実施機関は、訂正決定等に特に長期間を要すると認めるときは、相当の期間内に訂正決定等をすれば足りることとしたものであるが、調査・判断等の困難性を考慮しつつ適切な期間を設定することが必要であり、請求者の権利利益保護の観点から、不当に長い期間を設定することは適当ではない。
  2. 本条に規定する書面による通知は、規則第17条に定める保有個人情報訂正決定等期間特例延長通知書(規則第17号様式)により行うものとする。

事案の移送

第34条 実施機関は、訂正請求に係る保有個人情報が第23条第3項の規定に基づく開示に係るものであるとき、その他他の実施機関において訂正決定等をすることにつき正当な理由があるときは、当該他の実施機関と協議の上、当該他の実施機関に対し、事案を移送することができる。この場合において、移送をした実施機関は、訂正請求者に対し、事案を移送した旨を書面により通知しなければならない。
2 前項の規定により事案が移送されたときは、移送を受けた実施機関において、当該訂正請求についての訂正決定等をしなければならない。この場合において、移送をした実施機関が移送前にした行為は、移送を受けた実施機関がしたものとみなす。
3 前項の場合において、移送を受けた実施機関が第31条第1項の決定(以下「訂正決定」という。)をしたときは、移送をした実施機関は、当該訂正決定に基づき訂正の実施をしなければならない。

【趣旨】
本条は、訂正請求を受けた実施機関が、当該事案を他の実施機関等に移送する場合の要件、手続及び効果について定めたものである。

【解釈・運用】

  1. 「正当な理由があるとき」とは、訂正請求に係る保有個人情報の重要な部分が他の実施機関の事務・事業に係るものであって、訂正するか否かの判断を当該他の実施機関に委ねた方が適当な場合等をいう。
  2. 「当該他の実施機関と協議の上」とは、協議が整った場合という意味であり、協議が不調に終わった場合には移送は認められず、開示請求を受けた実施機関が訂正決定等を行わなければならない。
  3. 本項に規定する書面による通知は、規則第18条に定める保有個人情報開示請求事案移送通知書(規則第18号様式)により行うものとする。

第2項関係
「移送をした実施機関が移送前にした行為」とは、この条例の規定によるすべての行為を含んでいるため、訂正決定等の期限は移送をした実施機関に請求書が提出された日から起算することとなる。
第3項関係
訂正請求の場合、移送を受けた実施機関が訂正決定等を行うことになるが、訂正の実施は訂正請求に係る保有個人情報について行うので、移送した実施機関が当該訂正決定に基づき訂正の実施をしなければならないとしたものである。

保有個人情報の提供先等への通知

第35条 実施機関は、訂正決定に基づく保有個人情報の訂正の実施をした場合において、必要があると認めるときは、当該保有個人情報の提供先(情報提供等記録にあっては、総務大臣及び番号利用法第19条第8号に規定する情報照会者若しくは情報提供者又は同条第9号に規定する条例事務関係情報照会者若しくは条例事務関係情報提供者(当該訂正に係る番号利用法第23条第1項及び第2項に規定する記録に記録された者であって、当該実施機関以外のものに限る。))に対し、遅滞なく、その旨を書面により通知するものとする。

【趣旨】
本条は、実施機関が訂正決定に基づく訂正の実施をした場合、必要があると認めるときは、当該保有個人情報の提供先に対し、遅滞なく、その旨を書面により通知することを定めたものである。

【解釈・運用】

  1. 本条は、訂正の実施をした実施機関が、当該保有個人情報を第三者等に提供しており、その提供先において誤った個人情報が利用されることが予見される場合には、当該提供先に対し訂正の実施をした旨を通知するものである。
  2. 「必要があると認めるとき」とは、提供に係る保有個人情報の内容や提供先における利用目的を勘案して個別に判断されることになる。
  3. 提供元に対して通知する必要がある場合には、むしろ前条により提供元に事案の移送を行うと思われる。また、移送をしない場合でも、訂正の実施をした実施機関は、提供元の利用状況について把握すべき立場にないことから、あえて通知すべきこととはしていないものである。
  4. 情報提供等記録については、誰かに提供するものではないが、訂正した場合は、同じ情報提供等記録を保有する者(総務大臣、当該実施機関以外の情報照会者若しくは情報提供者又は条例事務関係情報照会者若しくは条例事務関係情報提供者)に通知することとしたものである。

第5節 保有個人情報の利用停止

利用停止請求権

第36条 何人も、第25条第1項又は第27条第2項の規定により開示を受けた自己又は死亡した者を本人とする保有個人情報が次の各号のいずれかに該当すると思料するときは、当該保有個人情報を保有する実施機関に対し、当該各号に定める措置を請求することができる。ただし、死亡した者を本人とする保有個人情報の利用の停止、消去又は提供の停止(以下「利用停止」という。)の請求は、当該保有個人情報の開示を受けた遺族に限り、これをすることができる。

  • (1)次のいずれかに該当するとき 当該保有個人情報の利用の停止又は消去
    • ア 第6条(第3項を除く。)の規定に違反して収集されたものであるとき。
    • イ 第7条又は第7条の2の規定に違反して利用されているとき。
    • ウ 番号利用法第20条の規定に違反して収集され、又は保管されているとき。
    • エ 番号利用法第29条の規定に違反して作成された特定個人情報ファイル(番号利用法第2条第9項に規定する特定個人情報ファイルをいう。以下同じ。)に記録されているとき。
  • (2)第7条若しくは第8条第2項又は番号利用法第19条の規定に違反して提供されているとき 当該保有個人情報の提供の停止

2 第14条第2項の規定は、前項の規定による自己を本人とする保有個人情報の利用停止の請求(以下「利用停止請求」という。)について準用する。
3 利用停止請求は、保有個人情報の開示を受けた日から起算して90日以内にしなければならない。

【趣旨】
本条は、実施機関における個人情報の適正な取扱いを確保する観点から、開示を受けた保有個人情報について、不適正に取り扱われていると思料するときは、当該保有個人情報の利用停止を請求する権利を認めるとともに、未成年者、成年被後見人の法定代理人及び一定の範囲の遺族に限って利用停止請求権を認めることを定めたものである。
なお、保有特定個人情報については、開示請求の場合と同様に、本人の委任による代理人が本人に代わって利用停止請求をすることを認めるものである。
また、保有特定個人情報については、番号利用法第30条第1項により読み替えて適用される行政機関法第36条第1項において、行政機関の長に対し、利用停止を請求することができる事由が追加されている。番号利用法第32条(地方公共団体等が保有する特定個人情報の保護)において、地方公共団体は、行政機関等と同様の適用となるよう、必要な措置を講ずるものとされていることから、本条において、その措置を定めるものである。

【解釈・運用】
第1項関係

  1. 「第25条第1項又は第27条第2項の規定により開示を受けた自己又は死亡した者を本人とする保有個人情報」とは、利用停止請求の対象となる保有個人情報が、この条例の規定により開示を受けた自己を本人とする保有個人情報に限られるという趣旨である。したがって、たまたま何らかの方法により実施機関が個人情報を保有していることを知った場合でも、この条例に基づく開示を受けて、実施機関が保有個人情報を保有している事実を確認した後、本条の規定による利用停止請求をしなければならない。
    なお、第46条第5項の規定により開示を受けた保有個人情報については、第25条第1項又は第27条第2項の規定により開示を受けたものとみなされ、改めてこの条例に基づく開示請求を行う必要はないものである。
  2. 開示を受けることを前提としたのは、利用停止請求に対する利用停止決定等が行政争訟の対象となることから、対象となる保有個人情報の範囲を明確にすることにより制度の円滑かつ安定的な運営を図るとともに、手続上の一貫性を確保するためである。
  3. 本項は、実施機関における個人情報の適正な取扱いを確保する趣旨で設けられたものであることから、利用停止を請求することができる範囲を次のような場合に限定している。
    • (1)個人情報取扱事務の目的を明確にすることなく個人情報を収集した場合
    • (2)個人情報取扱事務の目的の達成に必要な範囲を超えて個人情報を収集した場合
    • (3)違法又は不正な手段により個人情報を収集した場合
    • (4)第6条第2項ただし書のいずれに該当しないにもかかわらず、個人情報を本人以外から収集した場合
    • (5)第6条第4項ただし書のいずれに該当しないにもかかわらず、思想、信条又は信教に関する個人情報等を収集した場合
    • (6)第7条の規定に違反して、利用目的以外の目的のために保有個人情報を利用又は提供した場合
    • (7)第7条の2の規定に違反して、利用目的以外の目的のために保有特定個人情報を利用した場合
    • (8)番号利用法第20条の規定に違反して特定個人情報を収集し、又は保管している場合
    • (9)番号利用法第29条の規定に違反して特定個人情報ファイルを作成した場合
    • (10)相当の理由がなく、又は安全確保の措置が講じられていないにもかかわらず、実施機関が、その使用に係る電子計算機と実施機関以外の者の使用に係る電子計算機とを電気通信回線で接続した電子情報処理組織を使用して保有個人情報を実施機関以外の者に提供したとき
    • (11)番号利用法第19条の規定に違反して特定個人情報を提供した場合
  4. 「利用の停止」とは、利用の全面的な停止だけではなく、一部停止を含む。
  5. 「消去」とは、当該保有個人情報の全部又は一部を記録媒体から消し去ることをいう。保有個人情報を匿名化することもこれに含まれる。
  6. 「提供の停止」とは、今後の提供行為を停止することをいい、既に提供した保有個人情報の回収を請求することまでは含まない。
  7. 死者の保有個人情報については、当該保有個人情報の開示を受けた遺族に限り、利用停止請求権を認めるものである。

第2項関係

  1. 本項は、開示請求の場合と同様に、代理人が本人の保有個人情報の利用停止請求ができることを定めたものである。
  2. 代理人は、本人に代わって開示請求をした場合のほか、本人が開示請求をした場合であっても、本項により利用停止請求ができるものである。

第3項関係
本項は、利用停止請求は、保有個人情報の開示を受けた日から起算して90日以内にしなければならない旨を定めたものである。これは、時間の経過とともに、開示を受けた保有個人情報の内容が、開示時点の内容と異なっている場合等があることを考慮したものである。なお、本項は、90日を経過した後に保有個人情報の取扱いが不適切であると考えるに至った場合に、再度開示を受けた上で利用停止請求することを妨げる趣旨ではない。

利用停止請求の手続

第37条 利用停止請求をしようとする者は、次に掲げる事項を記載した書面(以下「利用停止請求書」という。)を実施機関に提出しなければならない。

  • (1)利用停止請求をしようとする者の氏名及び住所
  • (2)利用停止請求に係る保有個人情報を特定するに足りる事項
  • (3)利用停止請求の趣旨及び理由
  • (4)前3号に掲げるもののほか、実施機関が定める事項

2 第15条第2項の規定は利用停止請求をしようとする者について、同条第3項の規定は利用停止請求書の提出を受けた実施機関について準用する。

【趣旨】
本条は、保有個人情報の利用停止請求に関する具体的な手続等について定めたものであり、利用停止請求の方法、利用停止請求の際に行う本人等の確認及び利用停止請求書に形式上の不備があると認められる場合の補正手続等について明らかにしている。

【解釈・運用】
第1項関係

  1. 利用停止請求は、権利の行使であり、利用停止又は利用不停止という行政処分の前提となる手続であることから、事実関係を明確にしておく必要があるので、書面を提出しなければならないと定めている。この場合の書面は、規則第20条に定める保有個人情報利用停止請求書(第20号様式)によるものとする。
  2. 「利用停止請求をしようとする者」とは、実際に請求行為を行おうとする者をいい、代理人による請求の場合は当該代理人を、遺族による請求の場合は当該遺族を指すものである。
  3. 「保有個人情報を特定するに足りる事項」とは、開示を受けた保有個人情報が記載されている文書等の特定及びそれらのうち利用停止を求める個人情報に係る部分を特定するために必要な事項のほか、いつ、どこで開示を受けたかが分かるものも含むものである。
  4. 「趣旨及び理由」とは、保有個人情報に対して求める措置の内容、及び実施機関がそのような措置を取るべきと思料する根拠をいい、請求を受けた実施機関において事実関係を確認するために必要な調査を実施することができる程度の事実が明確かつ具体的に記載されている必要がある。

第2項関係
本項は、開示請求と同様の趣旨から、請求者が本人、代理人又は遺族であることの確認及び補正に関する手続について定めたものである。

保有個人情報の利用停止義務

第38条 実施機関(議会にあっては、議長)は、利用停止請求があった場合において、当該利用停止請求に理由があると認めるときは、当該実施機関における個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な限度で、当該利用停止請求に係る保有個人情報の利用停止をしなければならない。ただし、当該保有個人情報の利用停止をすることにより、当該保有個人情報に係る個人情報取扱事務の性質上、当該個人情報取扱事務の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあると認められるときは、この限りでない。

【趣旨】
本条は、利用停止請求に理由があると認めるときは、実施機関は、個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な限度で、当該保有個人情報の利用停止をしなければならないと定め、利用停止請求に対して実施機関が利用停止義務を負うことを明らかにしている。

【解釈・運用】

  1. 「理由があると認める」とは、実施機関による調査の結果、請求どおり保有個人情報が不適正に取り扱われていた事実が判明したことをいう。
  2. 実施機関が行う利用停止は、「個人情報の適正な取扱いを確保するために必要な限度」で行えばよく、例えば、条例に反する不適正な利用が行われていたことを理由として保有個人情報の消去を求められた場合、消去することにより本来の利用目的が達成できなくなるときは、当該目的外利用を停止すれば足りる。
  3. 利用停止を行う範囲は、第36条の利用停止請求の内容と同じであるが、保有個人情報の提供の停止をする場合は、利用停止請求者の権利利益を保護する観点から、提供先の理解を得ながら提供した保有個人情報の回収を行うことが必要である。
  4. 「個人情報取扱事務の適正な遂行に著しい支障を及ぼすおそれがあると認められるときは、この限りでない」とは、利用停止請求に理由があることが判明した場合であっても、利用停止を行うことにより保護される本人の権利利益と損なわれる公共の利益との比較衡量を行った結果、後者が優るような場合にまで利用停止を認めるのは適当ではないことを定めたものである。

利用停止請求に対する措置

第39条 実施機関は、利用停止請求に係る保有個人情報の利用停止をするときは、その旨の決定をし、利用停止請求をした者(以下「利用停止請求者」という。)に対し、その旨を書面により通知しなければならない。
2 実施機関は、利用停止請求に係る保有個人情報の利用停止をしないときは、その旨の決定をし、利用停止請求者に対し、その旨を書面により通知しなければならない。

【趣旨】
本条は、実施機関が、利用停止請求に対して、保有個人情報の利用停止をする又は利用停止をしない旨の決定をし、利用停止請求者に通知しなければならないことを定めたものである。

【解釈・運用】
第1項関係
本項は、利用停止請求に係る保有個人情報の利用停止をするときのことを定めており、当該決定は、規則第21条第1項に定める保有個人情報利用停止決定通知書(規則第21号様式)により行うものである。

第2項関係

  1. 本項は、利用停止請求に係る保有個人情報の利用停止をしないときのことを定めており、当該決定は、規則第21条第2項に定める保有個人情報利用不停止決定通知書(規則第22号様式)により行うものである。
  2. 次に掲げる場合には、利用停止をしない旨の決定をすることとなる。
    • (1)利用停止請求に理由があると認められないとき
    • (2)利用停止することが、利用目的の範囲を超えるとき
    • (3)調査の結果、事実関係が明らかにならなかったとき
    • (4)調査の結果、利用停止をすることにより、利用停止を求められた個人情報取扱事務の適正な執行に著しい支障を及ぼすおそれがあることが判明したとき
  3. 保有個人情報の消去を求められ、調査の結果、利用の停止を行う場合のように、利用停止請求者に求められた内容と異なる決定を行う場合であって、当該決定に伴う措置を講ずることにより個人情報の取扱いの違法性が消滅するときは、利用を停止する旨の決定を行うこととする。
  4. 保有個人情報の利用停止を求められた場合であって、求められた措置の一部分について利用停止決定を行うときは、条例では一部利用停止決定という区分を設けていないため、利用停止をしない旨の決定をすることとする。その理由は、利用停止をしない部分についての理由の提示並びに審査請求及び訴訟ができる旨の教示が必要となることからである。

利用停止決定等の期限

第40条 前条各項の決定(以下「利用停止決定等」という。)は、利用停止請求書が提出された日から起算して30日以内にしなければならない。ただし、第37条第2項において準用する第15条第3項の規定により補正を求めた場合にあっては、当該補正に要した日数は、当該期間に算入しない。
2 前項の規定にかかわらず、実施機関は、事務処理上の困難その他正当な理由があるときは、同項に規定する期間を利用停止請求書が提出された日から起算して60日以内に限り延長することができる。この場合において、実施機関は、利用停止請求者に対し、遅滞なく、延長後の期間の満了日及び延長の理由を書面により通知しなければならない。

【趣旨】
本条は、利用停止決定等の原則的な期限と正当な理由があるときの延長期限及び延長の方法について定めたものである。

【解釈】

  1. 「利用停止請求書が提出された日」とは、利用停止請求書が実施機関に物理的に到着し、了知可能な状態に置かれた日をいう。
  2. 「請求書が提出された日から起算して30日以内」とは、初日を算入して30日目が期間満了日となることをいう。ただし、最後の日が休日(香川県の休日を定める条例(平成元年香川県条例第1号)第1条に規定する日をいう。以下同じ。)に当たるときは、その直後の休日でない日をもって満了日とする。
  3. 利用停止請求にあっては、実施機関は、利用停止を求められた個人情報の取扱いが不適法なものであったか否かについて必要な調査を行わなければならないため、期間を「30日以内」としたものである。
  4. 「補正に要した日数」とは、実施機関が第37条第2項において準用する第15条第3項の規定により補正を求めてから、補正をした利用停止請求書が実施機関に提出されるまでの期間をいう。したがって、補正を求めるまでの期間は期間計算に含まれるものである。

第2項関係

  1. 「事務処理上の困難その他正当な理由」とは、次のような場合をいう。
    • (1)利用停止請求のあった保有個人情報の取扱いについて、事実関係の確認のための調査に時間を要し、期間内に決定することが困難である場合
    • (2)天災等の発生、突発的な業務の増大、その他緊急を要する業務の処理のため、期間内に決定することが困難である場合
    • (3)年末年始など公務を行わない期間が含まれる場合
  2. 「60日以内に限り延長することができる」とは、事務処理上の困難その他正当な理由により、30日以内に利用停止決定等をすることができない場合であっても(第41条に掲げる場合を除く。)、利用停止請求があった日から起算して60日以内に利用停止決定等をしなければならないという趣旨であり、補正に要した日数も期間計算に含まれる。
  3. 本項に規定する書面による通知は、規則第22条に定める保有個人情報利用停止決定等期間延長通知書(規則第23号様式)により行うものとする。

利用停止決定等の期限の特例

第41条 実施機関は、利用停止決定等に特に長期間を要すると認めるときは、前条の規定にかかわらず、相当の期間内に利用停止決定等をすれば足りる。この場合において、実施機関は、同条第1項に規定する期間内に、利用停止請求者に対し、次に掲げる事項を書面により通知しなければならない。

  • (1)この条の規定を適用する旨及びその理由
  • (2)利用停止決定等をする期限

【趣旨】
本条は、保有個人情報の利用停止決定等をするために特に長期間を要すると認めるときの利用停止決定等の期限の特例について定めたものである。

【解釈・運用】

  1. 利用停止請求の事案によっては、事実関係の確認のための調査や、利用停止を行うか否かの判断を行うに当たって期間を要するとの理由から、前条第2項に定める期間内に利用停止決定等を行うことが困難な場合も想定される。
    このため、実施機関は、利用停止決定等に特に長期間を要すると認めるときは、相当の期間内に利用停止決定等をすれば足りることとしたものであるが、調査・判断等の困難性を考慮しつつ適切な期間を設定することが必要であり、請求者の権利利益保護の観点から、不当に長い期間を設定することは適当ではない。
  2. 本条に規定する書面による通知は、規則第23条に定める保有個人情報利用停止決定等期間特例延長通知書(規則第24号様式)により行うものとする。

第6節 審査請求

審理員による審理手続に関する規定の適用除外

第41条の2 開示決定等、訂正決定等、利用停止決定等又は開示請求、訂正請求若しくは利用停止請求に係る不作為に係る審査請求については、行政不服審査法(平成26年法律第68号)第9条第1項の規定は、適用しない。

【趣旨】
本条は、行政不服審査法第9条第1項ただし書に基づき、審理員による審理手続に関する規定を適用除外とする特別の定めを設けるものである。

【解釈・運用】

  1. 行政不服審査法第9条は、審理の公正性・透明性を高めることにより、審査請求人の手続的権利を保障するとともに、行政の自己反省機能を高め、国民の権利利益の救済及び行政の適正な運営を確保するとの同法の目的を達成するため、処分に関する手続に関与していない等一定の要件を満たす審理員が同法第2章第3節に規定する審査請求の審理を行うことを規定するものである。
  2. また、同条第1項ただし書において、条例に基づく処分については、条例で特別の定めを設け、審理員を指名しないとすることができることとしている。これは、条例に基づく処分に対する審査請求の審理について、優れた識見を有する委員等で構成される合議体により、公正かつ慎重に判断されることが制度上担保されている場合、それらの手続により、すでに裁決の客観性・公正性が確保されており、審理員を指名してこれによる審理手続を行わせる必要はないと考えられるからである。
  3. 本県では、これまで、開示決定等、訂正決定等又は利用停止決定等について不服申立てがあったときは、当該不服申立てに対する裁決又は決定をすべき実施機関は、香川県個人情報保護審議会に諮問しなければならないとされており、同審議会は、個人情報保護制度について学識経験を有する外部委員で構成され、インカメラ審理等による調査権限を背景として、客観的で公正な実質的審理を行っており、新たに審理員制度を導入する必要性は低いと考えられることから、審理員による審理手続に関する規定を適用除外とする規定を置くものである。
  4. なお、行政機関法においては、行政不服審査法第9条のほかに、第2章第3節に規定する審理手続全体を適用除外としているが、条例に基づく処分について条例で行政不服審査法第9条第1項の「特別の定め」を設ける場合については、同条第3項の規定により、同項(別表第1)において読み替える第2章第3節の規定が適用されることになる。

審議会への諮問

第42条 開示決定等、訂正決定等、利用停止決定等又は開示請求、訂正請求若しくは利用停止請求に係る不作為について審査請求があったときは、当該審査請求に対する裁決をすべき実施機関は、次の各号のいずれかに該当する場合を除き、香川県個人情報保護審議会に諮問しなければならない。

  • (1)審査請求が不適法であり、却下する場合
  • (2)裁決で、審査請求の全部を認容し、当該審査請求に係る保有個人情報の全部を開示することとする場合(当該保有個人情報の開示について反対意見書が提出されている場合を除く。)
  • (3)裁決で、審査請求の全部を認容し、当該審査請求に係る保有個人情報の訂正をすることとする場合
  • (4)裁決で、審査請求の全部を認容し、当該審査請求に係る保有個人情報の利用停止をすることとする場合

2 前項の規定による諮問は、行政不服審査法第9条第3項において読み替えて適用する同法第29条第2項の弁明書の写しを添えてしなければならない。
3 第1項の規定により諮問をした実施機関(以下「諮問庁」という。)は、次に掲げる者に対し、諮問をした旨を通知しなければならない。

  • (1)審査請求人及び参加人(行政不服審査法第13条第4項に規定する参加人をいう。以下同じ。)
  • (2)開示請求者、訂正請求者又は利用停止請求者(これらの者が審査請求人又は参加人である場合を除く。)
  • (3)当該審査請求に係る保有個人情報の開示について反対意見書を提出した第三者(当該第三者が審査請求人又は参加人である場合を除く。)

【趣旨】

  1. 本条第1項は、開示決定等、訂正決定等、利用停止決定等又は開示請求、訂正請求若しくは利用停止請求に係る不作為について審査請求があったときは、原則として、香川県個人情報保護審議会の審査を経て、裁決を行わなければならないこと、及び例外的に諮問を要しない場合について定めたものである。
  2. 本条第2項は、弁明書の写しを諮問時の添付書類として義務付けるものである。
  3. 本条第3項は、香川県個人情報保護審議会に諮問した旨を審査請求人等の関係者に通知することを諮問庁に義務付けるものである。
  4. 議会にあっては、本条の規定は適用されない。(第60条の2参照)

【解釈・運用】
第1項関係

  1. 「審査請求が不適法であり、却下する場合」とは、行政不服審査法第45条第1項又は第49条第1項に基づき却下する場合であり、法定の審査請求期間経過後になされたとき、審査請求適格のない者からの審査請求であるときその他当該審査請求が不適法であることを理由に却下する場合などをいう。
  2. 審査庁が、裁決で、審査請求の全部を認容し、当該審査請求に係る保有個人情報の開示、訂正又は利用停止を行うときは、当事者間における争いが存在しなくなることから、審議会で両当事者の主張を検討する実益もなくなるため、諮問する必要はないとしたものである。
  3. 第2号で「当該保有個人情報の開示について反対意見書が提出されている場合を除く」とは、利害関係が相反する者が存在する場合に、裁決で、審査請求の全部を認容し、当該審査請求に係る保有個人情報の全部を開示することとすると、その裁決の不当性を争うためには取消訴訟の提起が必要であるが、第三者機関である審議会に対して諮問する制度を設けた趣旨から、このような争いのある事案については、審議会の諮問を経ることが適当であることを意味するものである。

第2項関係
条例に基づく処分について条例で行政不服審査法第9条第1項の「特別の定め」を設ける場合については、同条第3項において読み替える第2章第3節の審理手続に関する規定が適用され、同法第24条の規定により審理手続を経ないで却下する場合を除き、「審査庁は、審査庁が処分庁等以外である場合にあっては、相当の期間を定めて、処分庁等に対し、弁明書の提出を求め、審査庁が処分庁等である場合にあっては、相当の期間内に、弁明書を作成するもの」とされ(同法第9条第3項において読み替えて適用される第29条第2項)、この弁明書は審査請求人及び参加人に送付されることとなる(同条第5項)。そのため、審議会における調査審議においても、これを処分庁等の主張書面として活用することが効率的であると考えられることから、諮問の際に弁明書の写しの添付を義務付けるものである。

第3項関係

  1. 通知すべき相手方の範囲は、審査請求手続に関与している審査請求人及び参加人のほか、参加人となり得ることが明らかな利害関係者(開示請求者、訂正請求者又は利用停止請求者及び反対意見書を提出した第三者)である。
  2. 「審査請求人」とは、開示決定等、訂正決定等、利用停止決定等又は開示請求、訂正請求若しくは利用停止請求に係る不作為について審査請求をした者をいう。審査請求人には、開示請求者への開示決定に対して自己に関わる情報が記録されていることを理由に審査請求をした第三者が含まれることに留意する必要がある。
  3. 「参加人」とは、行政不服審査法第9条第3項において読み替えて適用される第13条第1項又は第2項の規定に基づき、審査庁の許可を得て、又は審査庁の求めに応じ、当該審査請求手続に参加人として参加した者をいう。
  4. 本項第2号は、第三者から審査請求があった場合を想定したものである。開示請求者、訂正請求者又は利用停止請求者が既に参加人として参加している場合は、第1号により通知されることになるが、まだ参加していない場合に、参加の機会を与えることを目的とするものである。
  5. 本項第3号は、審査請求に係る保有個人情報の開示について反対意見書を提出した第三者に参加人として参加する機会を与えることを目的とするものである。
    なお、例えば、実施機関が第三者に意見書提出の機会を与えることなく当該第三者に関する情報を不開示とする決定を行った場合のように、開示に反対の意思を有するが反対意見書を提出する機会が与えられなかった第三者が存在することも考えられるが、審査庁が当該第三者の存在を把握しているときは、当該第三者に参加人として参加する機会を与えることが適当であると考えられる。
  6. 本項に規定する通知は、香川県個人情報保護審議会諮問通知書(香川県個人情報保護事務取扱要綱第6号様式)により行うものとする。

第三者からの審査請求を棄却する場合等における手続

第43条 第24条第3項の規定は、次の各号のいずれかに該当する裁決をする場合について準用する。

  • (1)開示決定に対する第三者からの審査請求を却下し、又は棄却する裁決
  • (2)審査請求に係る開示決定等(開示請求に係る保有個人情報の全部を開示する旨の決定を除く。)を変更し、当該審査請求に係る保有個人情報を開示する旨の裁決(第三者である参加人が当該第三者に関する情報の開示に反対の意思を表示している場合に限る。)

【趣旨】
本条は、第三者に関する情報が記録されている保有個人情報の開示決定に対し、当該第三者からの審査請求を却下し、又は棄却する場合及び開示請求者からの審査請求を受けて第三者の意に反して開示すべき旨の裁決を行う場合に、当該第三者が訴訟を提起する機会を確保するための期間を設けるために必要な手続等を定めたものである。

【解釈・運用】

  1. 処分の取消しの審査請求は、違法又は不当な行政処分により直接に自己の権利利益を侵害された者が行うことができるとされており、不開示決定を受けた開示請求者に限らず、開示決定に係る保有個人情報に自己の情報が含まれている第三者であって、当該情報が開示されることにより、自らの権利利益が害されることとなる者も行うことができる。
  2. 第24条第3項の規定を準用するとは、本条の各号に該当する裁決を行った場合、実施機関は、当該裁決の日と開示を実施する日の間に少なくとも2週間を置かなければならないこと、また、当該裁決後直ちに、当該第三者に対し、当該裁決をした旨及びその理由並びに開示を実施する日を書面により通知しなければならないことをいう。
  3. 第1号では、開示決定に係る保有個人情報に自己の情報が含まれている第三者からの審査請求を却下し、又は棄却する場合には、開示請求者に第三者の情報が開示されてしまうこととなり、その正当な権利利益を保護するため、当該第三者が取消訴訟の提起を行えるよう、裁決の日と開示の実施日との間に少なくとも2週間を置くことを明らかにしたものである。
  4. 第2号では、一部開示決定又は開示しない旨の決定に対して審査請求がなされ、その請求を認容して開示する旨の裁決をするときも、前号と同様、裁決の日と開示の実施日との間に少なくとも2週間を置くことを明らかにしたものである。

第7節 情報の提供等

第44条 実施機関(議会にあっては、議長)は、開示請求、訂正請求又は利用停止請求(以下「開示請求等」という。)をしようとする者がそれぞれ容易かつ的確に開示請求等をすることができるよう、当該実施機関が保有する保有個人情報の特定に資する情報の提供その他開示請求等をしようとする者の利便を考慮した適切な措置を講ずるものとする。

【趣旨】
本条は、開示請求等をしようとする者の利便を考慮した適切な措置を講ずることを実施機関の責務として定めたものである。

【解釈・運用】

  1. 「実施機関が保有する保有個人情報の特定に資する情報の提供」とは、次に掲げるような行政文書を検索するための資料等を作成し、一般の利用に供することをいう。
    • (1)登録簿
    • (2)簿冊管理簿
    • (3)文書分類表
  2. 「その他開示請求等をしようとする者の利便を考慮した適切な措置」とは、各種の情報媒体等を用いた保有個人情報の開示請求、訂正請求及び利用停止請求制度の周知や説明、窓口等における開示請求等の方法や開示請求等事務の流れに関する情報提供等をいう。

第8節 苦情処理

第45条 実施機関(議会にあっては、議長)は、当該実施機関における個人情報の取扱いに関する苦情を適切かつ迅速に処理するものとする。
2 実施機関は、前項に規定する苦情の処理を行うため必要があると認めるときは、香川県個人情報保護審議会の意見を聴くことができる。

【趣旨】
本条は、個人情報の取扱いに関する苦情の申出に対して、実施機関が適切かつ迅速にその処理に努めなければならないこと及び、必要があると認めるときには審議会の意見を聴くことができることを定めたものである。

【解釈・運用】

  1. 個人情報の取扱いに関するさまざまな苦情については、訴訟等により解決するよりも、実施機関の自主性に基づき誠実かつ迅速に対応することが、県民に対する信頼を確保するためにも重要である。
  2. 「実施機関における個人情報の取扱いに関する苦情」とは、その取扱い全般にわたる苦情をいい、また、その申出者にも制限はない。
  3. 苦情の申出の方法は、書面でも口頭でもよく、その形式は問わないものである。なお、当該苦情に対する実施機関の対応については、苦情申出者の期待と実施機関の対応可能性との間に大きな隔たりがみられないよう十分な説明を行うことが必要である。次に掲げるような場合は、書面による苦情申出書を作成することが適当である。
    • (1)苦情の内容に実施機関の先入観が含まれないことが適当と認められるとき
    • (2)適正な取扱いを確保するため審議会の意見を聴く必要があると認められるとき
    • (3)苦情申出者が書面の提出を希望するとき
  4. 苦情の多くは、実施機関における個人情報の日常的な処理、利用等との関連において発生するものであるから、当該実施機関の責任において適切かつ迅速な処理に努めることが必要である。
  5. 議会にあっては、本条第2項の規定は適用されない。(第60条の2を参照)

第9節 他の制度との調整

第46条 実施機関は、他の法令等の規定により、開示請求者に対し開示請求に係る保有個人情報が第25条第2項本文に規定する方法と同一の方法で開示することとされている場合(開示の期間が定められている場合にあっては、当該期間内に限る。)には、同項本文の規定にかかわらず、当該保有個人情報については、当該同一の方法による開示を行わない。ただし、当該他の法令等の規定に一定の場合には開示をしない旨の定めがあるときは、この限りでない。
2 他の法令等の規定に定める開示の方法が縦覧であるときは、当該縦覧を第25条第2項本文の閲覧とみなして、前項の規定を適用する。
3 第2章第4節の規定は、他の法令等の規定により、訂正請求をすることができる保有個人情報については、適用しない。
4 第2章第5節の規定は、他の法令等の規定により、利用停止請求をすることができる保有個人情報については、適用しない。
5 他の法令等の規定により、自己又は死亡した者を本人とする保有個人情報の開示を受けた場合であって、当該法令等に当該保有個人情報の訂正請求又は利用停止請求に係る定めがないときにおける第28条第1項又は第36条第1項の規定の適用については、当該保有個人情報は、第25条第1項又は第27条第2項の規定により開示を受けたものとみなす。

【趣旨】
本条は、保有個人情報の開示等を定める他の法令等との調整について定めたものである。
なお、行政機関の長が保有する特定個人情報については、番号利用法第30条第1項において、行政機関法第25条の規定(他の法令による開示の実施との調整)の適用を除外し、他の法令の規定に基づき開示することとされている場合であっても、開示の実施の調整は行わないこととしている。番号利用法第32条(地方公共団体等が保有する特定個人情報の保護)において、地方公共団体は、行政機関等と同様の適用となるよう、必要な措置を講ずるものとされていることから、第7条第1項において、本条第1項を適用除外とするものである。

【解釈・運用】
第1項関係

  1. 他の法令等において開示請求者に対する特定の保有個人情報の開示規定(一定の場合に開示をしない旨の定めがないものに限る。)があり、その開示の方法が第25条第2項本文に規定する方法と同一である場合には、条例に基づく開示を重ねて認める必要性がないことから、当該同一の方法による開示を行わないこととするものである。
    なお、保有特定個人情報については、番号利用法附則第6条第4項において、情報提供等記録開示システムを利用した開示の仕組みを予定しており、同システムでは請求の方法も開示の方法も電磁的方法であり、かつ開示までに要する時間も極めて短時間となることを想定している。そのため他の法令による開示よりも、同システムでの開示の方が利便性が高いものと考えられることなどから、本項を適用除外とするものである。
  2. 「同一の方法による開示を行わない」とは、例えば、他の法令等において閲覧の方法による開示が規定されている場合、条例では閲覧の方法による開示は行わないが、写しの交付による開示は可能である。したがって、他の法令等の規定の有無にかかわらず、条例に基づく保有個人情報の開示請求は可能であり、開示請求があった場合には、実施機関は、開示決定等をしなければならない。
  3. 「他の法令等の規定に一定の場合には開示をしない旨の定めがあるときは、この限りでない」とは、一定の場合に開示をしない旨の定めがあるときは、条例に基づき開示請求した場合の開示の範囲と必ずしも同一にはならないことから、本項の調整規定の対象としないものである。

第2項関係
「縦覧」は、条例第25条第2項本文において、開示の方法として規定されてはいないが、個々人に保有個人情報の内容が明らかとなるように示し、見せるものであり、閲覧と同視される開示の形態であることから、他の法令の規定に定める開示の方法が縦覧であるときは、条例第25条第2項本文の閲覧とみなして、閲覧の方法による開示は行わないこととするものである。

第3項関係
保有個人情報の訂正について、他の法令等の規定により特別の手続きが定められているときは、当該手続により同様の目的を達成することができるので、その法令等の定めるところによることとしたものである。

第4項関係
保有個人情報の利用停止について、他の法令等の規定により特別の手続きが定められているときは、当該手続により同様の目的を達成することができるので、その法令等の定めるところによることとしたものである。

第5項関係

  1. 本項は、他の法令等の規定により開示請求を行い、閲覧等の方法によって開示を受け、当該法令等に訂正請求又は利用停止請求に関する定めがない場合は、この条例によって開示を受けたものとみなし、訂正請求又は利用停止請求ができることを規定するものである。
  2. 訂正請求及び利用停止請求では、その決定等が行政争訟の対象となることから、対象となる保有個人情報の範囲を明確にするため、開示を受けることを前提としている。よって、対象となる保有個人情報の範囲が明確であれば、条例に基づく開示に限る必要はないものである。

第3章 事業者が取り扱う個人情報の保護

個人情報取扱指針の作成及び公表

第47条 削除

特定事業者の義務

第48条 削除

助言又は指導

第49条 削除

説明又は資料の提出の要求

第50条 削除

勧告

第51条 削除

公表

第52条 削除

報道機関等に対する適用除外

第53条 削除

苦情の処理のあっせん等

第54条 知事は、個人情報の取扱いに関し事業者と本人との間に生じた苦情が適切かつ迅速に処理されるようにするため、苦情の処理のあっせんその他必要な措置を講ずるものとする。
2 知事は、必要があると認めるときは、事業者その他の関係者に対し、当該苦情の処理に関し必要な事項について聴取することができる。

【趣旨】
本条は、特定事業者の保有する個人情報の取扱いに関して苦情の相談があった場合に、知事は、苦情の処理のあっせんその他必要な措置を講ずることを明らかにするものである。

【解釈・運用】
第1項関係

  1. 本項は、保護法第13条に定められた地方公共団体の努力義務について明文で定めたものである。
  2. 本項の対象となる事業者は、第2条第4項に規定する事業者である。
  3. 本項の対象となる苦情申出者は、本人に限らない。また、本人確認も行わない。
  4. 苦情の相談の方法は書面でも口頭でもよく、その形式は問わないが、書面による申出をするよう申出者に協力を求め、やむを得ず口頭での申出となる場合は、内容を聞き取った後読み聞かせるなど、内容の確認を行うこととする。
  5. たらい回しにより苦情申出者を混乱させることを防ぐため、苦情の申出を受け付けた課所が第一次的窓口となって対応することとし、その後の行政指導の必要性その他合理的理由がある場合に、事務を移送することとする。この場合において、移送する課所は、苦情申出者に対し、その旨を連絡しなければならない。
  6. 「苦情の処理のあっせん」とは、実施機関に寄せられた苦情を関連事業者、認定個人情報保護団体、消費生活センターその他の関連機関に提供し、その処理を促すことをいうものであり、当該苦情を直接処理することまでを含まない。
  7. 「その他必要な措置」とは、助言、指導、苦情処理についての情報提供等をいう。

第2項関係

  1. 苦情の処理のあっせん等を行うためには、事業者その他の関係者から個人情報取扱いの事情等を聴くことが必要な場合がある。また、苦情の対象となる事業者においても、保護法に基づき個人情報を保護する責務を有するため、そのことを理由として苦情申出者に関する情報の提供を拒むことが予想される。そこで、知事が必要と認めるときは、当該事業者に対して必要な事項を聴取することができる旨の規定を定めたものである。
  2. 本項は、知事に対して聴取する権限を認めたものであるが、当該事業者に対して回答義務を課したものではない。したがって、当該事業者は、保護法に即して知事に回答するか否かを判断することとなる。

国又は地方公共団体との協力

第55条 知事は、事業者が行う個人情報の取扱いに関し個人の権利利益の保護を図るため必要があると認めるときは、国若しくは他の地方公共団体に協力を求め、又はこれらの協力の求めに応ずるものとする。

【趣旨】
本条は、条例の効力には地域的な限界があることから、県域を越えて活動する事業者の個人情報の取扱いに関し、個人の権利利益を保護するために、国又は他の地方公共団体と協調することを規定するものである。

【解釈・運用】
「協力を求め・・・に応ずる」内容としては、事業者団体又は事業者に関する調査や不適正行為の是正の勧告、あるいは個人情報の保護に関する情報の交換、提供などが考えられる。

第4章 香川県個人情報保護審議会

個人情報保護審議会

第56条 この条例の規定による諮問に応じて審議を行うため、香川県個人情報保護審議会(以下「審議会」という。)を置く。
2 審議会は、前項の審議を行うほか、個人情報の保護に関する制度の運営及び改善並びに番号利用法第28条第1項に規定する評価書に記載された特定個人情報ファイルの取扱いについて、知事又は実施機関に意見を述べることができる。
3 審議会は、委員5人以内で組織する。
4 委員は、学識経験のある者のうちから、知事が委嘱する。
5 委員の任期は、2年とする。ただし、補欠の委員の任期は、前任者の残任期間とする。
6 委員は、再任されることができる。
7 審議会に、専門の事項を審議するため必要があるときは、専門委員を置くことができる。
8 専門委員は、当該専門の事項に関し学識経験のある者のうちから、知事が委嘱する。
9 専門委員は、当該専門の事項に関する審議が終了したときは、解嘱されるものとする。
10 審議会は、その定めるところにより、部会を置くことができる。
11 委員及び専門委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。

【趣旨】
本条は、この制度の運用及び改善について知事の諮問機関としての香川県個人情報保護審議会の設置等について定めたものである。
なお、この条例で定めるもののほか、住民基本台帳法に基づく本人確認情報に関する条例(平成14年香川県条例第49号)第8条において、住民基本台帳法(昭和42年法律第81号)第30条の40第1項に規定する本人確認情報の保護に関する審議会を香川県個人情報保護審議会とすると規定されており、本人確認情報の保護に関する事項について知事に意見を述べることとなる。
議会については、本章の規定は適用されない。(第60条の2を参照)

【解釈・運用】
香川県個人情報保護審議会の権能は次のとおりである。
第1項関係

  • (1)実施機関が、条例第6条第2項第7号又は同条第4項第3号の規定に基づき個人情報を収集しようとする場合に、当該実施機関に対して意見を述べること。
  • (2)実施機関が、条例第7条第2項第8号の規定に基づき保有個人情報を提供しようとする場合に、当該実施機関に対して意見を述べること。
  • (3)開示決定等、訂正決定等、利用停止決定等又は開示請求、訂正請求若しくは利用停止請求に係る不作為に対する審査請求があったときに、第42条第1項の規定に基づき意見を述べること。
  • (4)実施機関が当該実施機関の個人情報の取扱いに関する苦情の処理を行う場合において、第45条第2項の規定に基づき意見を述べること。

第2項関係
第1項関係の(1)から(4)のほか、この条例の運営及び改善並びに番号利用法第28条第1項に規定する評価書に記載された特定個人情報ファイルの取扱いについて意見を述べること。

第7項関係
本項は、専門の事項を審議するために、当該専門分野に精通した委員を置く必要がある場合には、委員とは別に専門委員を置くことができることを定めたものである。

第11項関係

  1. 「職務上知り得た秘密を漏らしてはならない」とは、附属機関である審議会の委員及び専門委員には、地方公務員法第34条の適用がないことから、この条例において守秘義務を課すものである。
  2. 「職務上知り得た秘密」とは、保有個人情報に係る秘密に限らず、事業者に関する秘密又は行政情報に関する秘密も含むものである。

審議会の調査権限

第57条 審議会は、必要があると認めるときは、諮問庁に対し、開示決定等、訂正決定等又は利用停止決定等に係る保有個人情報の提示を求めることができる。この場合においては、何人も、審議会に対し、その提示された保有個人情報の開示を求めることができない。
2 諮問庁は、審議会から前項の規定による求めがあったときは、これを拒んではならない。
3 審議会は、必要があると認めるときは、諮問庁に対し、開示決定等、訂正決定等又は利用停止決定等に係る保有個人情報に含まれている情報の内容を審議会の指定する方法により分類し、又は整理した資料を作成し、審議会に提出するよう求めることができる。
4 第1項及び前項に定めるもののほか、審議会は、審査請求に係る事件に関し、審査請求人、参加人又は諮問庁(以下「審査請求人等」という。)に意見書又は資料の提出を求めること、適当と認める者にその知っている事実を陳述させ又は鑑定を求めることその他必要な調査をすることができる。
5 前各項に定めるもののほか、審議会は、必要があると認めるときは、実施機関の職員その他関係者に対し、出席を求めて意見を聴き、又は資料の提出を求めることができる。

【趣旨】
本条は、審議会の調査権限について定めたものである。

【解釈・運用】
第1項関係

  1. 本項は、審議会において的確かつ迅速に判断が行われるようにするためには、審議会の委員が審査請求に係る保有個人情報を実際に見分して、開示決定等、訂正決定等又は利用停止決定等が適正であるか否かを審議すること(いわゆるインカメラ審理)が重要であることから、審議会は、必要があると認めるときは、諮問庁に対し、開示決定等、訂正決定等又は利用停止決定等に係る保有個人情報の提示を求めることができることを明らかにしたものである。
  2. 「必要があると認めるとき」とは、当該保有個人情報の性質及び当該事件の内容等を考慮し、審議会が当該保有個人情報を実際に見分しないことにより生ずる適切な判断の困難性等の不利益と、当該保有個人情報を審議会に提示することにより生ずる行政上の支障等の不利益とを比較衡量した結果、なお提示が必要と認められる場合をいう。
    通常の場合には、審議会は当該保有個人情報を直接見分した上で判断することとなるが、諮問庁から保有個人情報の性質上、特別の配慮を払う必要がある旨の申し出があった場合は、審議会は諮問庁の意見を聴いた上で、当該保有個人情報の提示を求める必要性について判断することとなる。

第2項関係
諮問庁は、審議会から開示決定等、訂正決定等又は利用停止決定等に係る保有個人情報の提示を求められた場合、これを拒否することができないことを明らかにしたものである。

第3項関係

  1. 本項は、審議会の審議に際し、特に、保有個人情報の量が多く、複数の不開示情報の規定が複雑に関係するような事案にあっては、事案の概要と争点を明確にし、不開示とすることの適否を迅速かつ適正に判断するために、開示決定等、訂正決定等又は利用停止決定等に係る保有個人情報の不開示部分とその理由とを一定の方式で分類・整理した書類(いわゆるヴォーン・インデックス)を諮問庁に作成させることができることを明らかにしたものである。
  2. 「審議会の指定する方法」とは、当該保有個人情報の性質及び当該事件の内容等を勘案して審議会が指定するものであり、一定の決まった方式等を定めるものではない。

第4項関係

  1. 本項は、審議会が、その調査審議に必要な情報を十分に入手できるよう、インカメラ審理やヴォ―ン・インデックス提出要求のほか、審査請求人等に意見書や資料の提出を求めること、適当と認める者に陳述や意見書等の鑑定を求めることなどの調査ができることを定めたものである。
  2. 「適当と認める者」とは、行政不服審査法第34条の「参考人」に相当するものであり、当該事案の直接の利害関係人以外の者をいう。
  3. 「その知っている事実」とは、「適当と認める者」が自ら直接見聞した事実であって、その者の持つ意見ではない。
  4. 「鑑定」とは、特別の学識経験によってのみ知り得る法則その他の専門的知識等、あるいは事案にその法則を当てはめて得た結論をいう。
    なお、審議会は、提出された意見書又は資料について鑑定を求める場合には、提出した審査請求人等の考え方を正確に把握するため、原則として、その意見を聴くべきであると考えられる。
    また、審査請求人等が提出又は提示した意見書又は資料の情報、行った説明の内容について、審査請求人等から、特別の配慮を払う必要がある性質の情報が含まれていることを理由として、委員以外の者に知らせることが適当でない旨の意見があったときは、審議会は、当該意見に従う必要がないことが明らかである場合を除き、それらの情報や説明内容が委員以外の者の知るところとならないよう対応すべきである。
  5. 「その他必要な調査」とは、審議会が適正な判断を行うために必要と認めた調査であり、実地調査等が考えられる。
  6. 行政不服審査法第34条と異なり、参考人の意見陳述や鑑定を行うことについて、審査請求人等が審議会に対して申し立てることはできない。ただし、諮問庁は、必要と認めるときは、同法第9条第3項において読み替えて適用する第34条に基づき自ら当該調査を行った上、その調査結果を審議会に提出することが可能であり、また、審査請求人及び参加人は、審査庁に対して、当該調査の申立てを行うことができる。

第5項関係
本項は、審議会が、その調査審議に必要な情報を十分に入手できるよう、当事者以外の者に対して、審議の参考となる資料の提出要求等をすることができることを定めたものである。

意見の陳述

第57条の2 審議会は、審査請求人等から申立てがあったときは、当該審査請求人等に口頭で意見を述べる機会を与えなければならない。ただし、審議会が、その必要がないと認めるときは、この限りでない。
2 前項本文の場合においては、審査請求人又は参加人は、審議会の許可を得て、補佐人とともに出頭することができる。

【趣旨】
本条は、審議会における審査請求人等の口頭による意見陳述について定めるものである。

【解釈・運用】
第1項関係

  1. 本項は、書面審理を原則としながらも、適正な判断を行うための資料が審議会に十分に集まるようにするとともに、審査請求人等に必要な主張立証の機会を与えるようにするため、審査請求人等が審議会に対して口頭による意見陳述の機会を求めることができることを定めたものである。
    行政不服審査法第31条と異なり、審査請求人・参加人のみならず、諮問庁にも意見陳述の機会を与えることとしている。
  2. 「審議会が、その必要がないと認めるとき」とは、審査請求人等の意見を全面的に認めるときや、同一の保有個人情報の開示・不開示の判断の先例が確立しているときなどであって、事件の迅速な解決と審議会全体の調査審議の効率性の確保の観点から、改めて審査請求人等の意見を聴く必要はないと審議会が認める場合をいう。
  3. 本項の規定は、行政不服審査法第9条第3項において読み替えて適用する第31条の規定による口頭意見陳述とは別に、審査請求人等に対し、審議会に対して口頭で意見を述べる機会を付与するものである。

第2項関係

  1. 「補佐人」とは、行政不服審査法第31条第3項に規定する「補佐人」と同義であり、自然科学的・人文科学的な専門知識をもって審査請求人又は参加人を援助することができる第三者である。補佐人は、事実上の陳述に限らず、法律上の陳述もすることができるが、その立場は、審査請求人又は参加人と共に出頭している場合において、審査請求人又は参加人を補佐して発言することができるにとどまる。
  2. 「審議会の許可」については、審議会の判断に任せられるが、審査請求人又は参加人の精神的・肉体的状況から判断して審理の進行上必要と認められる場合には、許可されることになる。
  3. 諮問庁については、そもそも、口頭意見陳述その他の行為を当該諮問庁の職員に行わせることができるので、補佐人に関する規定を設けていない。
  4. 口頭により意見等を述べる際の陳述者の数については、香川県個人情報保護審議会運営要領第6条により定められている。

意見書等の提出

第57条の3 審査請求人等は、審議会に対し、意見書又は資料を提出することができる。ただし、審議会が意見書又は資料を提出すべき相当の期間を定めたときは、その期間内にこれを提出しなければならない。

【趣旨】
本条は、審査請求人等が審議会に対して意見書又は資料を提出することができることを定めたものである。

【解釈・運用】

  1. 本条は、第57条の2と同様、適正な判断を行うための資料が審議会に十分に集まるようにするとともに、審査請求人等に必要な主張・立証の機会を与えるため、審査請求人等が審議会に対して意見書又は資料を提出することができることを定めたものである。
  2. 「意見書」とは、事件についての審査請求人等の意見を記録した文書をいい、「資料」とは、口頭意見陳述又は意見書の内容を裏付ける文書その他の物をいう。
  3. 意見書又は資料の提出時期については、いつ提出してもよいということでは調査審議が遅れることになりかねないため、行政不服審査法と同様に、調査審議の遅延防止の観点から、審議会が意見書等の提出期限を定めたときには、その期限内に提出しなければならないとしている。当該期限を過ぎてから提出された意見書又は資料については、審議会は、その受け取りを拒否することができる。
  4. 「相当の期間」とは、意見書等を提出するために社会通念上必要と考えられる期間である。

委員による調査手続

第57条の4 審議会は、必要があると認めるときは、その指名する委員に、第57条第1項の規定により提示された保有個人情報を閲覧させ、同条第4項の規定による調査をさせ、又は第57条の2第1項本文の規定による審査請求人等の意見の陳述を聴かせることができる。

【趣旨】
本条は、審議会の指名する委員に、必要な調査、意見陳述の聴取等をさせることができることを定めたものである。

【解釈・運用】

  1. 審議会の調査権限は第57条で規定されているが、すべての調査を合議体である審議会の会議において行うのは非効率であり、審査の迅速性確保のためには、事件の審議にあたる委員に必要な調査を行わせた上で、その調査結果や入手した資料を基に会議で審議を行うことが適切な場合がある。このため、本条では、審議会が必要があると認めるときは、審議会の指名する委員に調査を行わせることができることとしている。どのような場合が「必要があると認めるとき」に当たるかについては、個々の事案に応じて、審議会が判断することになるが、例えば、審査請求人等が身体的理由等により審議会へ出席できない場合等が想定される。
  2. 「第57条第1項の規定により提示された保有個人情報を閲覧させ」とは、諮問庁が提示する保有個人情報について、審議会を構成する委員全員が揃わなくても、一部の委員だけで見ることができることを意味する。特に、保有個人情報の見分は、諮問庁が不開示情報と判断した情報を直接見分できる重要な権限であり、本条は、委員にこれを行わせる場合の根拠を明確にしたものである。
    なお、第57条第1項の規定による保有個人情報の提示の求め及び同条第3項の規定による資料の作成・提出の求めは、審議会として行うものであり、委員が行うことはできない。
  3. 「同条第4項の規定による調査」とは、例えば、審査請求人等に対して意見書又は資料の提出を求めること、参考人から意見聴取を行うことなどがある。
  4. 「第57条の2第1項本文の規定による審査請求人等の意見の陳述を聴かせる」とは、審査請求人等の口頭意見陳述は、本来、事件の調査審議を担当する審議会に対して行われるものであるが、審議会の事務負担の軽減を図るため、一部の委員に当該意見陳述を聴取させ、その内容を審議会に持ち帰って、調査審議の判断材料とすることを許容するものである。
  5. 指名された委員が本条に規定する調査を行った場合は、その内容について、審議会に速やかに報告しなければならない。(香川県個人情報保護審議会運営要領第7条)
  6. 審議会に提出された意見書又は資料の検討や、答申原案の作成等の内部行為は、当然、単独の委員に行わせることができる。
    一方、審査請求人等の権利行使を制限する決定(口頭意見陳述の申立ての拒否(第57条の2第1項ただし書)、補佐人の出頭の拒否(第57条の2第2項)、提出資料の閲覧請求の拒否(第57条の5第2項))、答申の決定等は、審議会でしか行えない。

提出資料の写しの送付等

第57条の5 審議会は、第57条第3項若しくは第4項又は第57条の3の規定による意見書又は資料の提出があったときは、当該意見書又は資料の写し(電磁的記録(電子計算機による情報処理の用に供されるものに限る。以下この項及び次項において同じ。)にあっては、当該電磁的記録に記録された事項を記載した書面)を当該意見書又は資料を提出した審査請求人等以外の審査請求人等に送付するものとする。ただし、第三者の利益を害するおそれがあると認められるとき、その他正当な理由があるときは、この限りでない。
2 審査請求人等は、審議会に対し、審議会に提出された意見書又は資料の閲覧(電磁的記録にあっては、記録された事項を審議会が定める方法により表示したものの閲覧)を求めることができる。この場合において、審議会は、第三者の利益を害するおそれがあると認めるとき、その他正当な理由があるときでなければ、その閲覧を拒むことができない。
3 審議会は、第1項の規定による送付をし、又は前項の規定による閲覧をさせようとするときは、当該送付又は閲覧に係る意見書又は資料を提出した審査請求人等の意見を聴かなければならない。ただし、審議会が、その必要がないと認めるときは、この限りでない。
4 審議会は、第2項の規定による閲覧について、日時及び場所を指定することができる。

【趣旨】

  1. 本条は、審査請求人等が相手方の主張を知って反論を尽くすことができるようにするため、審議会は、提出された意見書又は資料の写し等を当該意見書又は資料を提出した審査請求人等以外の審査請求人等に送付すること、また、審査請求人等が審議会に対し、提出された意見書又は資料の閲覧を求めることができることを定めたものである。
  2. 本条は、審査請求人等が十分な主張立証をすることができるようにするための規定であるので、審議会は、原則として、提出された意見書又は資料の写し等を当該意見書又は資料を提出した審査請求人等以外の審査請求人等に送付するとともに、閲覧の求めがあったときは、原則として当該意見書又は資料を閲覧に供しなければならないこととしている。しかしながら、第1項の規定による送付をし、又は第2項の規定による閲覧に供することにより、第三者の利益を害するおそれがあると認めるとき、その他正当な理由があるときは、審議会は、写し等の送付を行わない、又は閲覧を拒否するものである。

【解釈・運用】
第1項関係

  1. 「電磁的記録(電子計算機による情報処理の用に供されるものに限る。以下この項及び次項において同じ。)にあっては、当該電磁的記録に記録された事項を記載した書面」とは、電磁的記録を当該電磁的記録に応じた所定のアプリケーションを用いて用紙に出力したものをいう。
  2. 「第三者」については、第24条を参照のこと。
    意見書又は資料に第三者の情報が含まれていても、送付を行うことにより当該第三者の利益を害するおそれはないと判断される場合があり得るが、この場合には、送付に先立ち、当該第三者に意見書提出の機会を与えるなど、第24条に準じた運用を行うかどうか検討することが適当である。
  3. 「その他正当な理由があるとき」としては、当該意見書又は資料に不開示情報(送付先が審査請求人等に限定されていることから、審査請求人の個人名等必ずしも不開示にする必要のないものもあり、第16条の不開示情報の範囲と完全には一致しない。)に該当する情報が記録されていると認められる場合などが考えられる。
    また、本項に基づく送付は、意見陳述や意見書作成等に資するものであるが、調査審議がほぼ終結した段階で意見陳述や意見書の提出がなされて最初から議論をやり直すことは、審議会の業務運営に支障をきたし、他の事件にも影響を及ぼすおそれがある。したがって、調査審議の終結段階に至った場合には、「正当な理由があるとき」に当たるとして本項による送付を行わないことができると考えられる。
    特に、本条例においては、通常の処分に係る手続と異なり、保有個人情報の開示・不開示が問題となっていることから、本項による送付を行うことにより、不開示情報が開示されることとならないように留意する必要がある。このため、審議会は、送付を行う場合は、第3項の規定により、原則として、当該送付に係る意見書又は資料を提出した審査請求人等の意見を聴き、送付を行わない合理的な理由があれば(意見書又は資料の存否を答えること自体が不開示情報を明らかにすることとなる場合を含む。)、当該送付を行わないこととなる。
    なお、開示請求者の利益を害するおそれがあると認められる場合は、「その他正当な理由があるとき」に当たる。

第2項関係

  1. 「審議会に提出された意見書又は資料」とは、第57条第3項の規定により審議会が諮問庁に作成及び提出を求めた資料、同条第4項の規定により審議会が審査請求人等に提出を求めた意見書又は資料及び第57条の3の規定により審査請求人等が提出した意見書又は資料をいう。
    なお、仮に開示決定等、訂正決定等又は利用停止決定等に係る保有個人情報が提出されていても、当該保有個人情報はその開示の是非が争われているのであり、審議会の調査審議手続において当該保有個人情報の閲覧を求めることは当然できない。
  2. 「電磁的記録にあっては、記録された事項を審議会が定める方法により表示したものの閲覧」については、その具体的な方法は審議会の裁量に委ねられることとなるが、例えば、電磁的記録を当該電磁的記録に応じた所定のアプリケーションを用いて用紙に出力したものを閲覧させることが想定される。
  3. 本項の閲覧は、審議会の調査審議手続における主張立証の便宜のために認められているものであるから、審議会の答申後は、閲覧を求めることはできない。
  4. 「第三者」及び「その他正当な理由があるとき」については、第1項関係の解釈と同様の趣旨である。

第3項関係

  1. 第1項の規定による送付や第2項の規定による閲覧は、審査請求人等が十分な主張立証をすることができるようにするために重要な手続である。しかしながら、審議会に提出された意見書又は資料の中には、第三者の利益を害するおそれがある内容が含まれているなどのため、送付をすることや閲覧をさせることができないものがあり得る。したがって、送付をしない、又は閲覧を拒む正当な理由があるか否かについて、審議会が適切に判断することができるようにするため、当該送付又は閲覧に係る意見書又は資料を提出した審査請求人等の意見を聴くこととしている。
  2. 「第1項の規定による送付をし、又は前項の規定による閲覧をさせようとするとき」とは、審議会が、第1項の規定による送付をし、又は第2項の規定による閲覧を認めようとするときを意味する。
    したがって、審議会が、正当な理由があると認め、送付をしない、又は閲覧を拒もうとするときは、意見を聴くことを要しない。
  3. 「当該送付又は閲覧に係る意見書又は資料」とは、送付であれば、送付される写し又は書面の基となった意見書又は資料であり、閲覧であれば、閲覧に供される意見書又は資料である。
  4. 「提出した審査請求人等の意見を聴かなければならない」とは、審議会は、当該意見書又は資料を提出した審査請求人等に対し、写し等の送付又は閲覧の求めに対する判断について、意見を聴かなければならないこととしたものである。
    この意見の聴取は、あくまで、送付をしない、又は閲覧を拒む正当な理由があるか否かについて、審議会が適切に判断できるようにするために行うものであり、審議会は、写し等の送付又は閲覧の求めに対する判断に際し、提出した審査請求人等の意見に拘束されるものではない。
  5. 「ただし、審議会が、その必要がないと認めるときは、この限りでない」とは、送付をしない、又は閲覧を拒む正当な理由がないことが明らかである場合など、意見を聴くまでもなく、写し等の送付又は閲覧の求めに対する判断が可能であり、審議会がその必要がないと認めるときは、意見を聴かなくてもよいこととしたものである。

第4項関係
審議会は、第2項の規定により意見書又は資料を閲覧に供するときは、事件の調査審議に支障が生じないよう、その日時及び場所を指定することができる。ただし、審査請求人等が十分な主張・立証をすることができるようにするという本条の趣旨を損なわない範囲において指定しなければならない。

審議手続の非公開

第58条 審議会の行う審議の手続は、審議会が公開することを相当と認めるときを除き、公開しない。

【趣旨】
本条は、審議会の行う審議の手続については、原則として公開しないことを定めたものである。

【解釈・運用】

  1. 審議会の行う審議の手続は、開示決定等、訂正決定等又は利用停止決定等が適正であるか否かの審議がその中心的役割となるため、公開で行うことにより、開示請求等を行った個人の権利利益を著しく侵害するおそれがあることから、原則非公開で行うことを定めたものである。
  2. 審議会の役割には、個人情報取扱指針の作成に関する審議やこの条例の運営及び改善に関する審議が含まれており、そのような場合はむしろ公開で行うことが望ましい。このため、「審議会が公開することを相当と認めるとき」には、公開で行うことができるものである。
  3. 審議会は、「審議会等の会議の公開に関する指針」の対象となる審議会等に該当するため、審議会を公開で行うときは、この指針に基づき報道機関への資料提供、傍聴の定めその他の必要な措置を講じなければならない。

答申書の送付等

第58条の2 審議会は、諮問に対する答申をしたときは、答申書の写しを審査請求人及び参加人に送付するとともに、答申の内容を公表するものとする。

【趣旨】
本条は、審議会が諮問庁に答申をしたときには、審査請求人及び参加人に答申書の写しを送付するとともに、答申の内容を一般に公表することを定めたものである。

【解釈・運用】
審査請求人及び参加人は事件の関係者であることに加え、答申書は裁決に不服があるときに訴訟を行う際の資料としても必要であると考えられることから、両者に答申書の写しを送付することとしている。審議会は、答申を行った場合は直ちに送付することが適当である。なお、答申は諮問庁に対してなされるものであり、答申書は当然に諮問庁に送付される。
また、説明責任の観点から、審議会の答申は、一般に公表しなければならないものとしている。ただし、答申書には、氏名等、一般に公表することが適当ではない部分が含まれている場合があるので、当該部分を除いた答申の内容を公表することとしている。

委任

第59条 第56条から前条までに定めるもののほか、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定める。

【趣旨】
本条は、審議会の組織及び運営に関し必要な事項は、規則で定めることを規定したものである。

【解釈・運用】
本条に基づく規則は、香川県個人情報保護審議会規則(平成11年香川県規則第1号)であり、会議の招集及び議事等について定めている。

第5章 雑則

適用除外

第60条 この条例の規定は、次に掲げる個人情報については、適用しない。

  • (1)統計法(平成19年法律第53号)第2条第6項に規定する基幹統計調査及び同条第7項に規定する一般統計調査に係る調査票情報(同条第11項に規定する調査票情報をいう。以下同じ。)に含まれる個人情報
  • (2)統計法第2条第8項に規定する事業所母集団データベースに含まれる個人情報
  • (3)統計法第24条第1項又は第25条の規定により総務大臣に届け出られた統計調査に係る調査票情報に含まれる個人情報
  • (4)統計法第29条第1項の規定により他の行政機関から提供を受けた行政記録情報に含まれる個人情報

2 第2章第3節から第7節までの規定は、次に掲げる個人情報又は保有個人情報については、適用しない。

  • (1)刑事訴訟法(昭和23年法律第131号)第53条の2第2項に規定する訴訟に関する書類及び押収物に記録されている個人情報
  • (2)漁業法(昭和24年法律第267号)第20条第1項に規定する漁獲割当管理原簿又は同法第117条第1項に規定する免許漁業原簿に記録されている保有個人情報
  • (3)刑事事件若しくは少年の保護事件に係る裁判、検察官、検察事務官若しくは司法警察職員が行う処分、刑若しくは保護処分の執行、更生緊急保護又は恩赦に係る保有個人情報(当該裁判、処分若しくは執行を受けた者、更生緊急保護の申出をした者又は恩赦の上申があった者に係るものに限る。)

【趣旨】
本条は、他の法令等との調整を図るため、本条例の全部又は一部を適用しない場合について規定するものである。

【解釈・運用】
第1項関係

  1. 本項は、統計法に基づく統計調査等により集められた個人情報については、統計法において、公表の際に、結果表から個々の申告内容を判読できなくするなどにより秘密の保護が図られるとともに、統計調査の目的以外の目的のための利用及び提供の禁止や情報の取扱従事者に対して厳しい守秘義務が課せられる等、個人情報の保護が規定されていることから、この条例を適用しないこととするものである。
  2. 「統計法(平成19年法律第53号)第2条第6項に規定する基幹統計調査」とは、統計法第2条第4項に規定する基幹統計(国勢統計、国民経済計算及び国の行政機関が作成する統計のうち、総務大臣が指定し、その旨を告示した統計)の作成を目的とする統計調査をいう。
  3. 「統計法第2条第7項に規定する一般統計調査」とは、国の行政機関が行う統計調査のうち、基幹統計調査以外の統計調査をいう。
  4. 「統計法第2条第8項に規定する事業所母集団データベース」とは、事業所に関する情報の集合物であって、それらの情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいう。
  5. 「統計法第24条第1項の規定により総務大臣に届け出られた統計調査」とは、地方公共団体の長その他の執行機関が行う統計調査で、あらかじめ総務大臣に届け出なければならないものをいう。
  6. 「統計法第25条の規定により総務大臣に届け出られた統計調査」とは、独立行政法人等が行う統計調査で、あらかじめ総務大臣に届け出なければならないものをいう。
  7. 「調査票情報」とは、統計調査によって集められた情報のうち、文書、図面又は電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られた記録をいう。)に記録されているものをいう。
  8. 「行政記録情報」とは、国の行政機関の職員が職務上作成し、又は取得した情報であって、当該行政機関の職員が組織的に利用するものとして、当該行政機関が保有しているもののうち、行政文書(行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成11年法律第42号)第2条第2項に規定する行政文書をいう。)に記録されているもの(基幹統計調査及び一般統計調査に係る調査票情報、事業所母集団データベースに記録されている情報並びに匿名データを除く。)をいう。

第2項関係

  • 第1号関係
    1. 刑事訴訟法における訴訟に関する記録については、独自の完結した体系的な開示等の制度があり、行政機関法における開示・訂正・利用停止の規定の適用が除外されている。本条例においても、同様の理由により開示等に関する規定の適用を除外するものである。
    2. 「訴訟に関する書類」とは、被疑事件又は被告事件に関して作成し、又は取得された書類をいい、訴訟記録、不起訴記録、公判不提出記録等を含む。
  • 第3号関係
    3号に規定する保有個人情報は、個人の前科、逮捕歴等を示す情報を含んでいる。本人の前科等を当該本人に開示すること自体は、本人の権利利益を侵害するものではない。しかし、これらを開示請求の対象とすると、雇用主が、採用予定者の前科の有無やその内容をチェックする目的で、当該採用予定者本人に開示請求を強要する等の弊害が予想される。また、このような保有個人情報が記録されている訴訟関係記録に関して、刑事訴訟法や刑事確定訴訟記録法等において、独自の制度が設けられている。したがって、開示請求等の対象から除外するものである。

議会についての審議会への諮問等の特則

第60条の2 議会については、第6条第2項第7号及び第4項第3号並びに第7条第2項第8号(これらの規定中香川県個人情報保護審議会に係る部分に限る。)、第42条、第45条第2項並びに第4章の規定は、適用しない。ただし、議長が別に定めるところにより必要な措置を講ずるものとする。

【趣旨】
本条は、議会については、香川県個人情報保護審議会に関する規定及び同審議会への諮問の規定は適用せず、別途、議長が定めるところにより必要な措置を講じることを規定するものである。

【解釈・運用】

  1. 収集の制限に関する第6条第2項第6号及び第4項第2号並びに利用・提供の制限に関する第7条第2項第7号の場合において、議会については、「香川県個人情報保護審議会の意見を聴いた上で」とする規定は適用しない。
  2. 開示決定等、訂正決定等、利用停止決定等又は開示請求、訂正請求若しくは利用停止請求に係る不作為について審査請求があった場合の審議会への諮問に関する規定(第42条)は、議会については適用しない。
  3. 苦情処理を行うために必要があると認めるときに、審議会の意見を聴くことができる旨の規定(第45条第2項)は、議会については適用しない。また、審議会に関する規定(第4章)についても、適用しない。

施行状況の公表

第61条 知事は、毎年1回、この条例の規定による個人情報の保護に関する状況(議会におけるものを除く。)を取りまとめ、これを公表するものとする。
2 議長は、毎年1回、この条例の規定による個人情報の保護に関する状況を公表するものとする。

【趣旨】
本条は、個人情報の保護に対する県民等の理解と関心を高め、個人情報保護制度の適正な運営を確保するため、知事及び議長が、毎年、この条例の施行状況を公表することを規定するものである。

【解釈・運用】

  1. 公表事項は、次のようなものが考えられる。
    • (1)個人情報取扱事務の登録の件数
    • (2)開示請求、訂正請求及び利用停止請求の件数及びその処理状況
    • (3)審査請求の件数及びその処理状況
    • (4)その他必要な事項
  2. 公表の方法は、知事及び議長がそれぞれ行うものとする(規則第26条、香川県個人情報保護条例施行規程(平成17年香川県議会告示第2号)第23条)。

委任

第62条 この条例に定めるもののほか、この条例の施行に関し必要な事項は、実施機関が取り扱う個人情報の保護に関する事項にあっては実施機関(議会にあっては、議長)が、事業者が取り扱う個人情報の保護に関する事項にあっては知事が定める。

【趣旨】
この条例を施行するに際して必要な事項を、各実施機関又は知事がそれぞれ規則等により定めることとするものである。

【解釈・運用】

  1. 「この条例の施行に関し必要な事項」とは、登録簿、開示請求書、開示決定通知書の様式等を定めることその他この条例を施行するのに必要な手続的、細目的事項をいう。
  2. この条例において、実施機関が他の実施機関を指揮監督する関係にはないことから、この条例に基づく事務の執行について必要な事項は、各実施機関が定めることとするものである。
  3. 事業者が取り扱う個人情報の保護対策は、この条例において知事の権限とされていること(第3章 事業者が取り扱う個人情報の保護)から、必要な事項は、知事が定めることとするものである。

第6章 罰則

第63条 実施機関の職員等、受託事務従事者等又は指定管理業務従事者等が、正当な理由がないのに、個人の秘密に属する事項が記録された個人情報ファイル(保有個人情報を含む情報の集合物であって、個人情報取扱事務の目的を達成するために特定の保有個人情報を電子計算機を用いて検索することができるように体系的に構成したものをいい、その全部又は一部を複製し、又は加工したものを含む。)を提供したときは、2年以下の懲役又は100万円以下の罰金に処する。

【趣旨】
本条は、実施機関の職員等が、正当な理由がないのに、個人の秘密に属する事項が記録された電子計算機処理に係る個人情報ファイルを提供することを処罰することを定めたものである。

【解釈・運用】

  1. 本条は、個人の秘密に属する事項が記録された電子計算機処理に係る個人情報ファイルを提供した(電子計算機処理可能な形で個人の秘密を漏らした)者に対して、一般的な守秘義務違反の罪(地方公務員法第34条等)に加重して罰則を科すものである。
  2. 「職員」には、第2条第3項により一般職に属する職員だけでなく特別職に属する職員も含むため、審議会等の委員その他の非常勤職員や臨時職員も含まれる。(「実施機関の職員等」「受託事務従事者等」「指定管理業務従事者等」については、第10条、第11条及び第12条を参照)
  3. 実施機関の保有する個人情報ファイルの要保護性は、委託事務又は指定管理業務においても変わらないため、受託事務従事者等及び指定管理業務従事者等も本条の対象としたところである。
  4. 「個人の秘密」とは、個人に関する一般に知られていない事実であって、他に知られていないことについて相当の利益を有するもの、すなわち、非公知性及び秘匿の必要性の二つの要素を具備しているものをいう。
  5. 「提供」とは、個人情報ファイルを第三者が利用できる状態に置く行為をいい、次のような行為が該当する。
    • (1)ネットワークを通じた提供や、光ディスク等の記録媒体による提供
    • (2)パスワード等を第三者に渡して個人情報ファイルを管理するシステムを直接操作させること
    • (3)稼動中のシステムを意図的に放置して、他人の操作に任せるなど事実上第三者が利用できる状態に置くこと

第64条 前条に規定する者が、その業務に関して知り得た保有個人情報を自己若しくは第三者の不正な利益を図る目的で提供し、又は盗用したときは、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

【趣旨】
本条は、実施機関の職員等が、保有個人情報を自己若しくは第三者の利益を図る目的で提供し、又は盗用することを処罰することを定めたものである。

【解釈・運用】

  1. 「その業務に関して知り得た保有個人情報」とは、前条と異なり、個人の秘密に関わらないもの及び電子計算機処理されていないものを含む。また、散在情報も含まれることになる。
  2. 「不正な利益を図る目的で提供し、又は盗用したとき」とは、本条の対象となる個人情報の範囲が広いことから、提供行為のうち、当罰性の高い行為に限定したものである。「盗用」とは、自己又は第三者の利益のために不法に利用することをいい、提供と異なり、保有個人情報の内容が、記録媒体の移転等により伝達されることを要件としていない。
  3. 本条の罪の典型例は、実施機関の職員が、許認可等に係る個人の氏名、住所、電話番号等の情報が記載された名簿を、名簿業者に売却した場合である。

第65条 実施機関の職員がその職権を濫用して、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書等又は電磁的記録を収集したときは、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

【趣旨】
本条は、実施機関の職員がその職権を濫用し、専らその職務の用以外の用に供する目的で個人の秘密に属する事項が記録された文書等を収集することを処罰することを定めたものである。

【解釈・運用】

  1. 本条は、職権の濫用を要件としていることから、実施機関の職員だけを対象としており、職員であった者、受託事務従事者等及び指定管理業務従事者等は、本条の対象とはならない。
  2. 「職権」とは、実施機関の職員である公務員が職務上有する一般的職務権限をいう。
  3. 「収集」とは、文書等又は電磁的記録を、集める意思をもって、進んで集め取る行為をいう。文書等を自己の所持に移すことが必要であり、単に読み又は見ることを含まない。
  4. 本条の罪の典型例は、職員が個人的興味を満たす目的で、自己の職務を装って、他人の健康診断結果を入手するような場合である。

第66条 第56条第11項の規定に違反して秘密を漏らした者は、1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

【趣旨】
本条は、第56条第11項の守秘義務規定に違反した審議会委員に対する罰則について定めたものである。

【解釈・運用】
附属機関である審議会の委員は特別職であるため、地方公務員法による守秘義務を課されない。このため、第56条第11項において委員の守秘義務について規定しているが、本条は、この守秘義務を担保するため、違反した場合の罰則を規定したものである。

67条 第63条から前条までの規定は、県の区域外においてこれらの条の罪を犯した者にも適用する。

【趣旨】
本条は、第63条から前条までに規定する罰則については、県の区域外において実行された場合でも、適用されることを定めたものである。

【解釈・運用】
第63条から前条までに規定する罰則は、属人的効力として、県の区域外で実行された行為にも及ぶと考えられる。しかし、受託事務従事者等及び指定管理業務従事者等を条例の罰則の対象としており、特に「従事していた者」が県の区域外で行った行為も対象になることを明確にする必要があることから、条例の規定が県の区域外にも及ぶことを明文で定めたものである。

第68条 偽りその他不正の手段により、第25条第1項又は第27条第2項の規定による保有個人情報の開示を受けた者は、5万円以下の過料に処する。

【趣旨】
本条は、開示請求権の適正な行使を担保するため、偽りその他不正の手段により保有個人情報の開示を受けた者に対し、過料を科することとするものである。

【解釈・運用】

  1. 「偽りその他不正の手段」とは、保有個人情報の開示を受ける手段で真実でない又は不正なものをいい、例えば、他人の身分証明書等の使用により、他人に成り済まして、他人の情報の開示を受けることをいう。
  2. 本条は、保有個人情報の開示に当たって、適正な権利行使を担保することを保護法益としている。なお、保有個人情報の中には個人の秘密に係らないものもあることから、刑罰でなく秩序罰である過料としたものである。

附則

(施行期日)
1 この条例は、平成17年4月1日から施行する。ただし、第47条、次項、附則第3項及び附則第9項の規定は、公布の日から施行する。

(審議会の意見の聴取の特例)
2 実施機関は、この条例の施行の日(以下「施行日」という。)前においても、次に掲げる場合には、改正前の香川県個人情報保護条例(以下「旧条例」という。)第38条第1項の規定により置かれた香川県個人情報保護審議会(以下「旧審議会」という。)の意見を聴くことができる。

  • (1)改正後の香川県個人情報保護条例(以下「新条例」という。)第6条第2項第6号に規定する本人以外の者からの個人情報の収集についての認定をしようとするとき。
  • (2)新条例第6条第4項第2号に規定する特定個人情報の収集についての認定をしようとするとき。
  • (3)新条例第7条第2項第7号に規定する保有個人情報の提供についての認定をしようとするとき。

3 新条例第47条の規定の施行の日から施行日の前日までの間における同条第1項の規定の適用については、同項中「香川県個人情報保護審議会」とあるのは、「香川県個人情報保護条例(平成11年香川県条例第1号)第38条第1項に規定する香川県個人情報保護審議会」とする。

(処分、手続等に関する経過措置)
4 この条例の施行の際現にされている旧条例第13条の規定による開示の請求は新条例第14条の規定による開示の請求と、旧条例第21条の規定による訂正の請求は新条例第28条の規定による訂正の請求とみなす。

5 この条例の施行の際現にされている旧条例第二十五条に規定する不服申立ては、新条例第四十二条に規定する不服申立てとみなす。

6 この条例の施行の際現にされている旧条例第26条の規定による是正の申出については、なお従前の例による。この場合において、旧条例第28条中「香川県個人情報保護審議会」とあるのは、「香川県個人情報保護条例(平成16年香川県条例第57号)第56条第1項に規定する香川県個人情報保護審議会」とする。

7 前3項に規定するもののほか、施行日前に旧条例の規定によりした処分、手続その他の行為は、新条例の相当の規定によってした処分、手続その他の行為とみなす。

(審議会に関する経過措置)

8 旧審議会は、新条例第56条第1項の規定により置かれた審議会となり、同一性をもって存続するものとする。

9 施行日の前日において旧審議会の委員である者の任期は、旧条例第38条第5項の規定にかかわらず、その日に満了する。

10 旧審議会の委員又は専門委員であった者については、新条例第56条第11項の規定を適用する。

(香川県情報公開条例の一部改正)

11 香川県情報公開条例の一部を次のように改正する。 第28条第2項中「(香川県個人情報保護条例(平成11年香川県条例第1号)を除く。以下この項において同じ。)」を削る。

(住民基本台帳法に基づく本人確認情報に関する条例の一部改正)

12 住民基本台帳法に基づく本人確認情報に関する条例(平成14年香川県条例第49号)の一部を次のように改正する。
第2条中「香川県個人情報保護条例(平成11年香川県条例第1号)第38条第1項」を「香川県個人情報保護条例(平成16年香川県条例第57号)第56条第1項」に改める。

【趣旨】
この条例の施行期日及びこの条例の施行に伴う所要の経過措置について定めたものである。

【解釈・運用】
第1〜3項関係
施行期日は、保護法及び行政機関法の全面施行に合わせたものである。ただし、審議会に意見を聴く必要のある項目については、施行前に行う必要があることから、公布日から施行することとしたものである。

第4〜7項関係
旧条例の規定に基づいて行われた開示請求等や実施機関が行った処分等は、新条例の規定に基づく請求等や処分等とみなして同一に取り扱うこととしたものである。

第8項関係
旧条例の規定に基づいて設置された審議会と新条例の規定に基づいて設置された審議会は、同一性をもって存続することを定めたものである。

第9項関係
旧条例の規定に基づいて委嘱された委員の任期は、旧条例の廃止とともに満了することとしたものである。

第10項関係
旧審議会委員又は専門委員であった者についても、平成17年4月1日以降は新条例第56条第11項の規定が適用されることを定めたものである。よって、この規定に違反した者については第66条が適用されることになる。

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