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【特集2】かがわの技 大芝居を支える技 江戸の舞台を現在に見せる 旧金毘羅大芝居「金丸座」

特集

〔対談〕香川県知事 浜田恵造 × 四国こんぴら歌舞伎大芝居推進協議会 会長 小野正人

大芝居を支える技
江戸の舞台を現在(いま)に見せる

知事  旧金毘羅大芝居「金丸座」は、現存する日本最古の芝居小屋といわれていますが、この建物を残したことはもちろん、この舞台で今なお歌舞伎を上演するというのは素晴らしいことです。その陰には、地元琴平町の商工会青年部のご尽力があると伺いました。


香川県知事
浜田 恵造

会長  「四国こんぴら歌舞伎大芝居」は、昭和60年に第1回公演が行われましたが、最初は予算も限られていました。そこで、当時の商工会青年部が、舞台の裏方を買って出ました。

知事  実際に、この舞台の仕掛けを人の手で動かすのは、大変なことではありませんか。

会長  セリ・すっぽん・回り舞台・明り窓など、人の手による仕掛けがいろいろありますが、一番苦労したのは重い衣装を着けた役者さんを上げ下ろしするセリ・すっぽんのタイミング。両側に分かれて持ち上下させますので、左右の動きが合わないとバランスを崩します。私は第2回公演から裏方のお手伝いをしていますが、第1回公演直前の稽古でうまくいかず、中村吉右衛門丈からお叱りを受けたことがあったそうです。これは大変なことを引き受けたと、青年部のメンバーは萎縮(いしゅく)してしまったのですが、後で真相を聞いた吉右衛門丈から、「ボランティアの方だという事情を知らず、怒鳴ったりして申し訳なかった」という言葉をいただき、心一つに本番を迎えたというエピソードもあります。 

知事  公演前の舞台は、実際に使える状態にあったのでしょうか。

会長  昭和47年から復元が始まり昭和51年に完成しましたが、幸いにも江戸時代の仕掛けやその痕跡が残っていたので、そのままに使える状態に復元できたと聞いています。実際の公演で使うには、不安もあったかと思いますが、そこは江戸時代の名工が造ったもの、素材もしっかりしています。

知事  建物を残したということ自体が、素晴らしい技ですね。それにしても、舞台の使い方の技は、伝わっていたのでしょうか。

会長  その技は伝わっていませんでした。まして歌舞伎とは縁遠い世界に居ましたのでこれで良いのだろうかと、手探りでやっているうちにより良い技を見い出してきました。

知事  この公演には、江戸情緒たっぷりの木戸芸者やお茶子さんなど、多くの方が関わっていますね。

会長  お茶子さんもボランティアですが、全国で希望する登録者が130人を超えたと聞いています。また、商工会青年部のメンバーが数年前から江戸時代にまねて「木戸芸者」なるものに(ふん)するようになりましたが、今春は、町内の3小学校から、「ちびっ子木戸芸者」としてお手伝いいただく予定で、町を挙げておもてなしの体制が整ったところです。

知事  今年の春も「四国こんぴら歌舞伎大芝居」が金丸座で開催されますが、華やかな舞台を楽しんでいただくのはもちろん、こうして懸命に舞台を支える人々にも拍手を送っていただければ、訪れる楽しみも増えることと思います。また、日本最古の芝居小屋には、建築物としての技も至る所に見ることができます。国の重要文化財である金丸座を、開催中以外は舞台から奈落まで見学できるので、ぜひ足を運んでいただきたいと願っています。


四国こんぴら歌舞伎
大芝居推進協議会
会長 小野正人