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【特集2】かがわの技

特集

〔対談〕

知事  江戸時代から続く香川のうちわづくりにデザインという新風を吹き込んだのが、香川県デザイン協会が取り組んでいる「FUNFAN展」で、第1回から松永先生にご参加をお願いしていると伺っております。

松永  第1回からの参加で、「FUNFAN展」自体は今年で6回目になるんですね。これまで国内外のクリエーティブな企画にいろいろとお誘いを受けてきましたが、地方主体で中規模の企画が、これほど長く続いているのは、ほかに見当たらないと思います。まずはスタッフの方々に敬意を表します。まさに継続は力なりですね。

知事  その歩みを振り返れば、2007年には海外22カ国、80人のデザイナーが加わり、「世界に愛の風を・・」をテーマに展開され、2008年には、北海道洞爺湖サミットに合わせて、サミット参加8カ国の著名デザイナーによる環境をテーマにしたうちわの作成が行われ、国内外で展示会が開催されたと伺いました。

松永  洞爺湖サミットのポスターを手掛け、フランスで大きな賞をいただきました。その時のデザインの部分が2008年のうちわのデザインにつながっています。ポスターには、定型の俳句や和歌を詠むように、一定サイズの紙の中に大きな宇宙を表現出来るダイナミズムと面白さがあります。ところが、うちわには風を送るという機能まで付いているんですよね。(笑)さらに、肩をはらない素朴なデザインも楽しめる。

知事  うちわのデザインは自由度が高く、Tシャツのように、普段着のデザインを楽しめると思います。広告そのものというデザインもできれば、黒田清輝の「湖畔」に描かれたうちわのように、さりげない美しさもあります。それが、丸亀うちわの魅力のように思えます。

松永  おっしゃる通りで、谷崎潤一郎の「陰翳礼讃(いんえいらいさん)」じゃありませんが、日本人が本来持っている精神文化を伝えるものとしても、伝統工芸品そのものとしても、とてもポピュラーな魅力を持っていると思います。

知事  丸亀うちわは、香川県の大切な国の伝統的工芸品ですが、重要な地場産品でもあり、丸亀うちわの生産量は全国の90%を担っています。Tシャツは自由にさまざまにデザインされ、世界各地にあります。うちわも世界に向けて発信したいですね。

松永  香川県から、日本のあらゆるメッセージを世界に伝えるためにも、丸亀うちわは大いなる可能性を秘めています。小さな“うちわ”が大きなメディアになりうるのがすごいのです。何よりも、うちわはエコのシンボルだと思います。かつて、ある国が経済的に豊かな時、最新科学ばかりに偏重せず、最も自然な“風力”を大々的に取り入れました。現在では、どの国の追随も許さないほどの大成功を収め、さらに美しいランドスケープさえも獲得しました。
 私にはその“風力”と丸亀の“うちわ”はイメージとしてつながっているんです。
 東日本大震災後の今、「FUNFAN展」に参加し続け、「人力による超科学」を応援し続けたいと思っています。

知事  節電の夏となる今年は、エコにつながる丸亀うちわが見直され、さらに重要な役目を担うことになるのではと考えています。さまざまな可能性を秘めた丸亀うちわを今後ともよろしくお願いいたします。

グラフィックデザイナー
松永 真

1940年東京に生まれる。1964年に東京芸術大学美術学部デザイン科を卒業。資生堂宣伝部を経て、1971年松永真デザイン事務所を設立。1988年以降、ワルシャワ、ユーゴスラビア、ニューヨーク、ベルギー、スロベニア、ハンブルグ、二ュルンベルグなどで大規模な個展を展開する。1997年、セゾン美術館にて『松永真のデザイン展ー日常性の美学ー』、2010年、銀座和光並木ホールにて『松永真のCokiCokiフリークス展』を開催。フランスのタバコ『ジタン』のパッケージデザイン国際コンペにて優勝。これまでに手掛けた仕事には『ニューズ』、『カンチュウハイ』、『ブレンディ』、『スコッティ』などのパッケージデザインや、『西友』、『リーガロイヤルホテル』、『ISSEY MIYAKE』、『カルビー』、『ベネッセ』のCI計画、『PEACE’86』のポスター、フランス革命200周年記念の人権ポスター、汎太平洋デザイン会議の公式ポスター、『HIROSHI MA APPEALS 2007』のポスターなどがある。
〈主な受賞歴〉
1987年毎日デザイン賞、1988年 ワルシャワ国際ポスタービエンナーレ金賞・名誉賞、1991年芸術選奨文部大臣新人賞、1992年日本宣伝賞・山名賞、1996年グッド・デザイン賞功労賞、2005年紫綬褒章、2006年亀倉雄策賞、2007年ADC会員賞など多数。


毎回、テーマを決めて世界のデザイナーが うちわをデザインする「FUNFAN展」。