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【特集2】かがわの技

 全国生産量のおよそ9割を占めるという香川県の丸亀うちわ。

 その起源には、3つのルーツがあるという。1つは、こんぴらさんの土産物として、マークを全国各地に広げた「渋うちわ」。江戸時代の寛永10年(1633年)に、金毘羅大権現の別当、金光院(こんこういん)の住職が考案したものと伝わる。マダケを素材とした“男竹丸柄(おだけまるえ)”で、柿シブを塗って作り上げた丈夫なものであった。

 2つ目は、京極丸亀藩時代の天明年間(1781年〜1788年)に、武士の内職として奨励され、製作の中心が“男竹丸柄”から“女竹丸柄(めだけまるえ)”のうちわへと次第に移っていった。

 3つ目は、明治に作り始めたという“男竹平柄(おだけひらえ)”のうちわ。現在「丸亀うちわ」といえば、この「平柄うちわ」が一般的である。

 時代とともに、暮らしになじむ美しさを追求してきた「丸亀うちわ」。1本のうちわができるまで、その工程は47にものぼるという。その中でも、息を飲むのが、一つの竹の素材から、幾本もの繊細な竹の骨が生み出されていく「(わき)」の工程。それにより、「穂」と呼ばれる美しいうちわの骨が完成する。この骨を作る職人は、特別に「骨師(ほねし)」と呼ばれる。その、「骨師」の手元には、独特な道具があった。

 その「竹骨製作用具」や骨組みに紙を貼る「貼用具」などは、これまでのうちわ作りの歴史を伝える貴重なもの。2011年3月、明治から昭和中ごろまでの「丸亀うちわの製作用具及び製品」487点が、国の登録有形民俗文化財に登録された。香川県では初の登録有形民俗文化財である。こうした道具は、丸亀城内にある「丸亀市立資料館」や「うちわの港ミュージアム」に大切に保管されてきた。その一部は今も常設展示されている。

 「丸亀うちわ」は、人の手が生み出す素晴らしい技に支えられてきた。

丸亀市立資料館
丸亀市の考古・歴史・民俗資料を収集、展示する資料館。
丸亀藩京極家ゆかりの歴史資料を主に収蔵。
▽所在地 :
丸亀市一番丁(城内)
▽アクセス :
JR丸亀駅下車、南へ徒歩約10分
▽入館料 :
無料
▽開館時間 :
9:30〜16:30
▽休館日 :
月曜日、祝日、平成23年12月10日〜1月3日
▽電話 :
0877-22-5366

うちわの港ミュージアム
うちわ作りの実演コーナーがあり、 時間によりうちわ作り体験もできる(5名以上は要予約)。
▽所在地 :
丸亀市港町307-15
▽アクセス :
JR丸亀駅下車、北へ徒歩約15分
▽入館料 :
無料(体験料500円)
▽開館時間 :
9:30〜17:00
(入館は16:30まで)
▽休館日 :
月曜日(祝日の場合は翌日)・年末年始(12月28日〜1月4日)
▽電話 :
0877-24-7055

問い合わせ :
丸亀市教育委員会教育部総務課
文化財保護担当
(丸亀市立資料館内)
▽電話 :
0877-22-6278

糸車

竹骨製作用具の一つで、編み用具・付(つけ)用具の一種。鎌竹を通した後は、糸で骨を編み、形を整える。その骨を編む糸を取るための道具。

切込機(きりこみき)

竹骨製作用具の一つで、割(わき)用具の一種。台木に竹をはさみ、穂を細かく割く用具。これで切り込みを入れ、繊細な竹の骨が出来上がる。

たたき鎌とたたき槌(づち)

貼(はり)用具の一つで、縁(ふち)切り用具の一種。うちわの種類に応じた形のものを当て、余分な部分を切り取る用具。これにより、うちわの形が決まる。写真は、たたき鎌の「三味(しゃみ)形(右)」と「万月(まんげつ)形(中央)」、たたき鎌をたたくための「たたき槌(左)」。

寸棒(すんぼう)

編み用具・付(つけ)用具の一種。これで、糸で編んだ骨を整えていく。

ロクロ

竹骨製作用具の一つで、穴あけ用具の一種。うちわの柄に鎌竹(かまたけ)を通す穴を開ける道具。鎌竹とは、うちわの下のラインとなる曲線を描く竹。

柄削り用具

竹骨製作用具の一つ。柄を削ったり、種類によりいろいろな加工を施す用具。 先が丸い「柄鉋(えかんな)」は、柄の裏を削る。先がギザギザになった「柄鉋」は、柄の表に模様を入れるもの。

筋入機(すじいれき)

貼(はり)用具の一つで、筋いれ用具の一種。骨目を表すために、しごいて骨筋をたてる用具。紙を押さえると、竹の骨が浮き立ってくる。

歴史を語るうちわ

写真左から、柄に模様が入った「平柄小割京丸(ひらえこわりきょうまる)」。男竹を使った「丸柄丸金特大(まるえまるきんとくだい)」。女竹を使った「丸柄小万月(まるえこまんげつ)」。京丸は京都の芸舞子さんが名前を入れてよく配るうちわの形。万月は、お祭りのうちわなどでよく見る形。