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【特集2】かがわの技

知事  世界的にも高い評価をいただきました昨年開催の「瀬戸内国際芸術祭2010」。その舞台である豊島(てしま)の「島キッチン」では、お力をいただき本当にありがとうございました。

山口  香川県さんとのお付き合いも10年になりますが、芸術祭の前年、男木島と女木島に参りました。高松から船に乗ってわずかですが、島に渡ると高松のにぎやかさとは全く違うものがあります。こういう島で、島民の方と何か一緒にできないかと考えました。そこで、瀬戸内国際芸術祭のお話があり、豊島の「島キッチン」に関わらせていただくことになりました。

知事  瀬戸内国際芸術祭は会期後も主要な作品や施設を継続展示し、「ART(アート) SETOUCHI(せとうち)」としてさまざまな活動を行っています。「島キッチン」も週末にはオープンしていますね。この古民家を改修したレストランは、建物と食で人々をつなぐというプロジェクトそのものが安部良氏のアート作品。地元の食材を使った料理を楽しめる場所で、引き続き山口総料理長が豊島の旬の食材を生かしたメニューなどアドバイスくださっているとのこと、本当にありがたいと思っています。

山口  お客様には、島に来てほっとしていただくというくつろいだ感覚をぜひとも味わって帰っていただきたい。ですから、ベースはあくまでお母さんたちの手料理。そこに私どもの発想を少し加えさせていただきました。

知事  「島キッチン」のみならず、山口総料理長には以前から香川県の食材を使っていただいておりますが、そのきっかけは小豆島のオリーブであったとか。

山口  12年も前になるのですが、新郎様が群馬県、新婦様が香川県というお二人にちなんだご披露宴のメニューを考えることになりました。私は群馬県出身で、正直香川県に何があるのか当時は全く分かりませんでした。そこで、香川県庁に電話をし、小豆島のオリーブを紹介いただき、日本でも上質のオリーブオイルを作っているというのを初めて知りました。それが、香川県との出合いです。

知事  それ以来、香川の食材をふんだんに使ってくださっているのですね。今年度、香川県が官民一体で取り組んでいる「さぬきうまいもん祭り」。先日の東京での記者発表会でも、“オリーブハマチ”と“オリーブ牛”とオリーブオイルの和のフレンチという絶品料理をご提供いただきました。おかげで、この時にお招きした取材陣の皆さんに大絶賛をいただき、県産食材のイメージアップはもちろん、香川県が「うどん県」に改名するというインターネットを使った県のピーアールも大成功を収めました。

山口  私どものお店では、6割から7割、香川県産の食材を使っております。ハマチに関しては、昨年、すでに“オリーブハマチ”を使わせていただきましたが、5年ほど前から“なおしまハマチ”を使っています。それから“ひけた鰤”、これを香川ブランドハマチ3兄弟として売り出していると伺いました。毎年ハマチを使っているので分かるのですが、年々質が上がっています。

知事  その通りです。その上質な素材が山口総料理長の手に掛かると、さらに輝くばかりの料理になる。そのアレンジぶりに地元は目を見張っています。毎年、丸ノ内ホテルさんで「香川県フェア」を開催いただいておりますが、今年も12月から来年の1月にかけて実施されますね。

山口  今回は、やはりオリーブを餌とした“オリーブハマチ”、“オリーブ牛”、さらに香川県の良いオリーブオイルに出合えましたので、この3点を入れてメニューをご用意しようと考えています。「香川県フェア」という名前を使わせていただく以上は、前菜からデザートまで香川県の食材を必ず一つは入れて、ご提供させていただきたい。さらに「東京ジョンブル」では、若い作家の進出が目覚ましい“香川漆器”とのコラボで、お客様に楽しんでいただきます。来年で3度目になりますが、香川県産を使ったスイーツフェアも行います。そのスイーツを丸ノ内ホテル内の「ポム・ダダン」でも香川漆器でお出しします。スイーツ用のナイフやフォークも、生産者の方にお頼みして香川漆器オリジナルで作っていただきました。これは、外国のお客様が非常に喜んでくださいます。

知事  香川のものを本当に素晴らしい形で使っていただき、心から感謝いたします。“オリーブ牛”や“オリーブハマチ”に加え、冬は、ミカンやイチゴ、キウイ、レタスにブロッコリー、金時ニンジンなど、香川自慢の果物や野菜がさらにおいしい季節です。ぜひ、これからも香川の食材をよろしくお願いいたします。

山口仁八郎
(やまぐちじんはちろう)
1964年群馬県生まれ。
数々のレストランで経験を積み、1997年より丸ノ内ホテルに入社。
〔1999年〕
「東京ジョンブル」料理長。
〔2004年〕
8月に丸ノ内ホテル総料理長に就任。
〔2010年〕
瀬戸内国際芸術祭「島キッチン」への特別協力。


丸ノ内ホテルの場所には、かつて旧国鉄ビルがあった。対談を行った部屋は、駅の監視塔があった所で、復元工事が行われている赤煉瓦の駅舎(2012年6月一部開業予定)を眺めることができる。