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公開日:2020年12月10日

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海ごみとは

かつて、「多島美」、「白砂青松」、「豊饒の海」などの言葉で形容されるほど、美しく豊かな海であった瀬戸内海は、高度経済成長以降のライフスタイルの変化に伴う大量生産、大量消費・大量廃棄により、現在、海ごみという深刻な環境問題に直面しています。

海ごみの多くは、ペットボトルやビニール袋、弁当ガラなどのプラスチック類、空き缶、空き瓶などの陸上生活由来の人工ごみであり、これらは、不法投棄や河川からの流入により、海岸・海面・海底に漂着・漂流・堆積し、その状態から海岸漂着物、漂流ごみ、海底堆積ごみに分類されます。

このうち海底堆積ごみは、瀬戸内海に13,000トン以上も堆積していると推定されており、漁業操業に支障をきたし、生態系にも悪影響を及ぼしています。

海底堆積ごみ回収・処理の問題点

多くの問題をかかえる海底堆積ごみですが、現状では回収・処理が進んでおらず、その原因としては以下の3点が挙げられます。

  1. 排出者の特定が困難
    ごみ処理の責任は本来排出者にありますが、海ごみについては排出者の特定が困難であり、その処理責任者が特定できません。
  2. 回収が困難
    海底にあるため、回収手段が限られており(底びき網漁業等による回収)、被害を直接受ける漁業者が一部自主的に回収しているのが現状です。
  3. 回収後の処理が困難
    回収してきたペットボトルやビニール等の海底堆積ごみの処理は、付着した塩分等の理由により、リサイクルができないなどの問題があります。

海底堆積ごみの実態に関する調査研究

平成21年に、国は「海岸漂着物処理推進法」を制定し、地域グリーンニューディール基金により、海岸漂着物等の回収処理等に対する自治体等への財政的措置を講じました。本県水産課においても、当該基金を活用し、平成22年~平成23年度で県下6漁協において、「海岸漂着物等の発生抑制に係る海底ごみ対策事業」を実施し、海底ごみ調査研究・普及啓発を行いました。

「海岸漂着物等の発生抑制に係る海底ごみ対策事業」成果パンフレット

香川県での取り組み

上記調査の結果を受けて本県では、平成24年度に、漁場環境の改善を図るため、漁業者団体、市町、県が協働して、漁場堆積ごみの回収処理や、その状況の把握、一般県民への周知などの活動を行う「三者協働海底ごみ回収・処理事業」、及び漁場堆積ごみにより環境が悪化した海域において、回収処理を行う市町などに対して補助をする「漁場堆積ごみ調査・回収モデル事業」を実施しました。

現在本県では、海底堆積ごみ対策として下記の取り組みが行われています。

  1. 海ごみ対策推進事業
    平成25年度より、通常操業で回収される海底堆積ごみについて、漁業者・市町・県の協働による回収・処理システムを実施しています。(環境森林部環境管理課所管)
    参考URL:香川県環境森林部環境管理課HP香川県の海ごみ対策
    https://www.pref.kagawa.lg.jp/kankyo/mizukankyo/satoumi/umigomi/index.htm
  2. 海底堆積ごみ回収事業
    平成21年に制定された「海岸漂着物処理推進法」では、海岸漂着物等については、海岸管理者が回収処理するということが明記されましたが、漂流ごみ、海底堆積ごみについては明確な処理責任は未だ国から示されていません。
    県では、被害を最も受けている漁業者、そして瀬戸内海の漁場環境保全のため、平成25年度より、幼稚魚の育成場として重要な浅海域で、かつ通常の漁業操業で海底堆積ごみの回収が困難な海域において、海底堆積ごみの現状把握や回収・処理に取組む市町などに対して補助を行う「海底堆積ゴミ回収事業」を実施しています。
  3. 水産多面的機能発揮対策事業
    水産業や漁村は、食糧を供給する役割の他にも、沿岸域の自然環境を守る役割や海の安全・安心を提供する役割など、多面的な機能を持っています。
    しかしながら、近年、漁村の人口減少や高齢化等に伴って、その機能が失われつつあります。
    そこで、水産業と漁村のもつ多面的機能を発揮するため、国(水産庁)からの交付金を活用した様々な活動が、漁業者等で構成される活動組織によって行われています。海ごみ回収・処理についても本事業の対象であり、本県では4つの活動組織が令和3年度~令和7年度の5年間継続して活動を行います。
活動組織と活動内容一覧
活動組織 活動内容
引田地区水産多面的機能発揮対策グループ 漂流、漂着物、堆積物処理
鴨庄漁協活動組織 漂流、漂着物、堆積物処理
観音寺漁協活動組織 漂流、堆積物処理
伊吹水産多面的活動組織 漂流、漂着物、堆積物処理

県民の皆様へのお願い

瀬戸内海は閉鎖的な海ですので、ごみを捨てれば誰かが回収しない限り、そのまま海の中を滞留します。そのため、海ごみの発生抑制が重要です。美しい瀬戸内海を未来へ繋げていくため、以下のことに是非ご協力ください。

海ごみの発生を抑制するには

  • ごみをポイ捨てしないでください
  • 落ちているごみを見つけたら、ごみ箱に入れてください
  • 不法投棄はやめましょう

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