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香川の魅力
目次
冬なお暖かい気候に恵まれた香川県は、良質なヒノキの産地でもある。
雨が少ないこの地では、長い時間を掛けてゆっくりと成長するため、年輪の幅が均一で密な木が育つ。
ゆがみが少なく加工しやすい材木としてはもちろん、その端材や間伐材にも命を与えた人がいる。
建築業に携わる夫の仕事を手伝っていた青木さんは、現場から出る端材に「もったいない」という気持ちを抱く。これを生かしたいという思いで、2009年、子どもたちを対象とした木工教室を開いた。教えるために学びたいと、高等技術学校や県外の木工教室にまで足を運び、1 級家具製作技能士や職業訓練指導員の資格を取得した。さらに、現在は木育インストラクターとしても活躍中だ。
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木工教室は癒楽木で開催するほか、学校や公民館などに出張し、月に2回は高松市丸亀町商店街にある「讃岐おもちゃ美術館」でも開催している。 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
木について深く学ぶようになって分かったのが森の危機的状況。そこで、森を守るために間伐材を使うようになった。「私の活動は森とまちを結ぶこと。間伐材を使うことで、森の手入れの大切さや、山が荒れると災害につながることもお話しします」と青木さん。幼稚園や学校に出向くときにも切り株を持参し、木の命について気付きを促す。
実際に作り始めると、木はそれぞれに個性があって一筋縄ではいかない。くぎが曲がっても失敗ではない。くぎ抜きを使う体験ができることを、むしろラッキーと語りかける。木工をしながら、親子の会話も生まれ、世代を超えた学びもある。面と向かっての相談ではなく横並びの対話で、青木さんの木工教室には、温かいひだまりのような時間が過ぎていく。
木工教室に来られなくても、そんな温かさを知ってほしいと生まれたのが、誰でも簡単に作ることができる県産の間伐ヒノキを使った木工キット「hinokit(ヒノキット)」。例えば、香川県の名品名所が満載の「さぬきのあいうえお積木」は、青木さんが一つ一つ香川に思いを寄せて何を描くかを考えた。
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一つ一つ角を削る作業を通して、会話やふるさとへの愛情があふれてくる「さぬきのあいうえお積木」。 |
また、「さぬきの組木パズルシリーズ」は、地元の伝説をモチーフにデザインした組み木のおもちゃ。どちらも紙やすりがセットされていて、これで角を削ることでヒノキの香りに包まれながら完成する。作りながら、遊びながら、香川県にまつわる会話と香りが、豊かな時間をもたらしてくれる。「さぬきの組木パズルシリーズ」は、香川県の優れた産品を見いだす「かがわ県産品コンクール」で令和6 年度の優秀賞を受賞した。
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親から子へと伝えていきたい讃岐の伝説をモチーフにした「さぬきの組木パズルシリーズ」。ヒノキの優しい肌触りを感じながら色を塗れば、世界に一つの作品になる。 |
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hinokitには、クリスマスツリー、羽子板やこま、おひなさま、こいのぼりといった季節ものや、愉快な音が出る楽器シリーズもある。 |
「ヒノキは、『日の木』と呼ばれるほど元気を与えてくれる木。神社仏閣などで「神聖な木」として使われ、香りに代表される癒しのパワーを持つ木」と青木さんは語る。その力で人々を癒やし、不登校や引きこもりの支援活動にも力を入れ、香川県を元気にしたいという。
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「癒楽木」は、リラックス効果があるとされる「1/f(エフぶんのいち)ゆらぎ」に由来する。癒し効果のある木を使ったものづくりをゆったり楽しんでほしいとの思いを込めて、夫が名付け節子さんに贈った店名だ。 |
温暖な香川県のヒノキを使って、香川が大好きな青木さんが創り出す温かい時間。香川県だからこそ生まれる積み木や組み木のおもちゃたち。温かい思いが手から手へ、そして心から心へと小枝を揺らす風のように広がってゆく。
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癒楽木
香川県に本格的な木工を学べる教室をと、2 0 0 9 年に木工教室癒楽木を設立。伝統的な本格木工から、気軽にできるDIY木工、木育木工など、木を使ったものづくりの楽しさをたくさんの人に伝えたいと活動中。 1級家具製作技能士、職業訓練指導員、木育インストラクター、DIYアドバイザー、整理収納アドバイザーの肩書を持つ。 |
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癒楽木 香川県高松市春日町1568-3 TEL 090-9773-1243
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