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香川の魅力
目次
コンパクトな県土に平坦地が多い香川県。
昔から自転車を愛好する人は少なくない。
そんな香川県には、「讃岐ならではのコシのある走り」を実現した自転車、ブランド名“Tyrell(タイレル)”がある。
“Tyrell”を世に送り出したのは、香川県さぬき市で生まれ育ち、津田の海辺を自転車で通学していたという廣瀬将人さん。文人墨客(ぶんじんぼっかく)に白砂青松(はくしゃせいしょう)とうたわれた「津田の松原」は、廣瀬さんの原風景。潮風に吹かれながら、松原の中を走る心地よさが身に染みていた。
そんなふるさとを後にして関東の大学に進学し、東京の都市計画コンサルタント会社に就職。しかし、ふと気付けば、心地よい風を感じられなくなっていたという。
都会での暮らしに限界を感じ香川県に帰郷。緑の山並み、穏やかな田園風景、瀬戸の潮風、自転車で走り抜ける全てが心地よかった。いつからか、自転車を人生の友と考えるようになる。そして、実家の納屋で自らが設計したミニベロを組み立てるようになった。
VELO(ベロ)はフランス語で自転車、つまりミニベロとは小さな自転車のこと。香川県は日本一面積が小さな県。市街地や田舎道で、小回りが利くミニベロは、この地によく似合う。
しかし、三角形を基本とした従来のフレームでは、車輪が小さなミニベロに剛性の弱さや不安定性を与えてしまう。そこで、幾度もの試作の末にXの形をした「スラントデザイン」を生み出した。このシンプルで美しいフレームにより、驚くほど滑らかな走りと、安定した操作性を実現したのだ。
2004年にアイヴエモーションを設立。社名には、こだわりのものづくりを通して、お客さまに深い感動を与えたいとの思いが込められている。
2007年には小さな工場を借り、Tyrellの看板を掲げた。ここでは「スラントデザイン」だからこそ実現した初の折り畳みモデルを生み、創業10周年を記念してオールチタン素材のフォールディングバイク(折り畳み自転車)を発売し、大きな反響を呼ぶ。
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車体の剛性や軽量を保ちながら折り畳むことができるフォールディングタイプ。 |
そして2015年、フレームのみならず全パーツを一から製造するという夢をかなえるため、念願の自社工場、“タイレルファクトリー”を完成させた。
ここで生まれたのが、まさに「Made in 讃岐」の究極の一台、フォールディングバイク「FCX」。例えば、フレームサイズは体に合わせて3種から、カラーは230色から選べるなど、細やかなオーダーにより、フレーム・フォークとも香川県の自社工場で生産する完全受注生産。
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走る・曲がる・止まるの基本性能を美しくデザインしたFCX。 |
自転車と対話する楽しさを追求したオリジナルフレームのしなりが、乗り手との一体感を生むという。生みの親である廣瀬さんはこれを「讃岐ならではのコシのある走り」と表現する。もちろん讃岐うどんのコシとのどごしの滑らかさに重ね、しなやかに安定した、滑らかな走りを表現したものだ。
そのモデルカラーも、瀬戸内海を表現する「匠(たくみ)瀬戸内ブルー」と、ガラス張りの赤灯台、通称・せとしるべをイメージした「せとしるべルビーレッド」。
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世界有数の美しい灯台として人々に愛される「せとしるべ」をモチーフにした「せとしるべルビーレッド」のFCX。 |
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「Made in 讃岐」のもう一つのモデルカラー「匠瀬戸内ブルー」のフレーム。 |
香川県で生まれた自転車は、讃岐路のサイクリングに最適だ。街に里に海辺に岬に、走りたい風景があふれている。
なかでも島々での走りはさらに魅力的で、交通問題、環境問題などさまざまな問題解決にもつながる。
都市計画にも精通した廣瀬さんは、香川県を自転車の聖地にしたいと願っている。
自社工場内では、研究や丁寧な手仕事が行われている。
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有限会社アイヴエモーション 1963年 さぬき市寒川町生まれ ◎資格 ◎執筆 |
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有限会社 アイヴエモーション
香川県さぬき市寒川町神前1430-1
TEL 0879-49-1613
https://www.tyrellbike.com/
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工場内の商談兼展示コーナー。FCXをはじめチタンフレームのPK1、最軽量のミニベロCS1、FXシリーズの最上位モデルFSXなど製品の数々が並ぶ。 |
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