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公開日:2020年12月10日

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『香川県ナラ枯れ防除対策方針(改訂版)』

はじめに

「ナラ枯れ」(ブナ科樹木萎凋病)とは、ナラ類やシイ・カシ類の樹木を枯らす病原菌(ナラ菌(学名:Raffaelea quercivora))と、この病原菌を媒介する昆虫、カシノナガキクイムシ(以下、「カシナガ」という。)による樹木の伝染病である。カシナガは、森林病害虫等防除法(昭和25年法律第53号)で法定害虫に指定されており、県及び市町はカシナガを駆除し、そのまん延を防止するため、連携して防除を行うことが必要である。
本方針は、それぞれの防除実施主体が「ナラ枯れ」に対する効果的、効率的な防除対策を講じるための基本的な考え方を定めるものとする。

防除対策方針

防除対策方針の基本

本県に広がる広葉樹林は、放置された旧薪炭林及び松くい虫被害の跡地に成立したクヌギ・コナラ等を主体とした落葉広葉樹林等の二次林で構成されているところが多い。現在、合計面積は約5万ヘクタールと本県の民有林面積約7万9千ヘクタールの約6割となっており、その※1齢級構成は8齢級以上の森林が面積にして9割以上と高齢級化が著しい。(参考 図1参照)

「ナラ枯れ」は、クヌギやコナラ等を主体とした落葉広葉樹の二次林、特に高齢級化した大径木ほど被害を受けやすいが、※2被害木が全て※3枯死木となるのではなく、樹種によってはウバメガシのように枯死しにくい場合もある。また、「ナラ枯れ」は、毎年、被害地域を外周に拡大させるとともに、未被害地にも飛び火的な被害を発生させることが特徴であることから、本県の森林資源の現状から判断すると、被害の拡大を防止することは難しい。

しかしながら、「ナラ枯れ」を放置した場合、急速な被害の拡大が、森林の持つ多面的機能の確保に影響が及ぶとともに、危険木となって、枯れ枝の落下、倒木による人的被害や住宅や道路・電線等のライフラインへの被害(二次的被害)が発生するおそれがあることから、被害状況に応じた適切な防除対策を行うことが必要である。

このため、本方針の防除対策の目的を次のとおり定めるものとする。

被害状況に応じた対策の実施

「ナラ枯れ」被害の急速な拡大と増加を防止するとともに、森林の持つ多面的機能の確保に努める。

二次的被害の防止

「ナラ枯れ」による二次的被害の発生を防止し、県民生活の安心安全を確保する。

具体的な防除対策

被害状況に応じた対策の実施

令和元年に被害の発生が確認されてから被害地域は拡大を続けており、すでに県内全域に及びつつある状況であるが、未被害地域への拡大防止や被害量の増大を抑えるため、被害状況に応じて重点的に取り組む地域を検討し、駆除等の対策を行う。

 

被害拡大防止のための防除対策

未被害地域や保全する※4コナラ・カシ等の森林等との境界周辺(被害先端地域)においては、急速な被害の拡大を防止するため、優先的に枯死木の駆除を実施することが望ましい。被害木のうち、※5穿入生存木については、二次的被害の原因とならない限り、原則として駆除は行わないが、樹液の流出量が少なく、大量の木くずを出している場合は、可能であれば翌年の感染源とならないように駆除を行う。

未被害地域では、被害先端地域に近接した地域での監視を重点的に行い、被害が発生した場合には、被害地に準じた駆除を実施する。また、飛び火的な被害が発生した場合には、急速な被害の拡大を防止するため、枯死木及び周辺の穿入生存木も含めた集中的な防除を行う。

被害状況の把握

通常、「ナラ枯れ」被害は発生から4~5年で被害がピークに達し、その後、被害が収束していくことが知られているが、収束するまで状況確認を行い、必要に応じて防除を継続する。

なお、長期的に見れば、未被害木や穿入生存木が、その後の成長により被害を受けやすくなる可能性があるので、被害が目立たなくなってからも状況確認を継続するものとする。

「保全するコナラ・カシ等の森林等」における防除対策

「ナラ枯れ」の被害を受けることにより、次のような状況が危惧されるコナラ・カシ等の森林又は樹林・樹木については、保全する森林等として県と市町で情報共有を行う。

  1. 天然記念物等の重要な樹木及びそれらと一体として管理された森林、又は、地域の貴重な樹林・樹木で、その生態系・樹勢等に著しい影響を受けるおそれのあるもの
  2. 森林公園や景勝地等不特定多数の県民等が利用する森林で、その景観が著しく損なわれるおそれのある森林
  3. 土砂流出防止等の森林の持つ災害防止機能が著しく失われるおそれがある森林

また、被害拡大期間における定期的な監視を行うとともに、特に被害の予防、駆除が必要な森林等については、次の防除対策を実施する。

  1. 未被害木には、単木的な予防的防除(樹幹注入、ビニール被覆、予防伐採等)を実施する。
  2. 枯死木については駆除(伐倒くん蒸・立木くん蒸等)を実施する。
  3. 穿入生存木については、駆除を行うか、翌年の感染源とならないようにビニール被覆を実施する。
  4. 集団枯死等で森林の土砂流出防止機能等が低下するおそれのある場合は、広葉樹等の植栽等により森林の機能回復を図る。

なお、「保全するコナラ・カシ等の森林等」の周辺の森林においては、「保全するコナラ・カシ等の森林」への被害拡大を抑制するため、積極的に枯死木・被害木の駆除(伐倒くん蒸・立木くん蒸等)に努める。

ナラ枯れに強い森林の育成

コナラ・カシ等の大径木、高齢級の森林については、ナラ枯れの被害を受ける前に予防伐採や利活用を目的とした更新伐を図るほか、被害木も含めた小面積の皆伐を行い、萌芽更新(必要があれば広葉樹等を植栽)により、健全な森林への若返りを図る。

二次的被害の防止

被害地域の拡大に伴い、住宅や公園、公共施設、道路、電線等の周辺で「ナラ枯れ」による被害木が発生し、倒木や枝の落下などによる人的被害やライフラインへの二次的被害が発生するおそれがあると認められる場合には、次のような対策を行う。

被害状況の把握

ナラ枯れ被害の発生地域やその周辺の施設などで重点的な見回り等を行う。また、施設管理者等へナラ枯れ被害木の危険性を周知し、ナラ枯れ被害の拡大期間には積極的な情報収集を行う。

危険木の速やかな除去

人的被害や住宅や道路・電線等のライフラインへ二次的被害を発生させるおそれがある場合には、安全確保を最優先として、危険木の除去(伐倒残置)を実施する。

注意喚起

特に被害地域の周辺で被害発生が懸念される場所や被害が発生している場所では、通行人や施設利用者等に注意喚起に努める。

防除のための体制づくり

情報収集と情報共有

県は、国、関係市町及び森林組合等と連携し、県内の被害状況の情報収集・早期発見を行うとともに、共同して調査を行い、効果的で効率的な防除対策の検討及び地域住民に対するナラ枯れに対する正しい知識・情報の普及啓発を行う。また、重要なライフラインの管理者に必要な情報を提供する。

監視体制の強化

市町は、ナラ枯れ被害が発生した場合には、速やかに被害の実態の把握に努め、県に報告するものとする。特に、未被害地域へ、保全するコナラ・カシ等の森林等、二次的被害の可能性が高い区域については重点的に監視する。

被害木の移動等

県は、被害木の移動による被害拡大を防ぐため、原則として、ナラ枯れ被害を受けて伐採された枯死木・被害木の未被害地域への移動を行わないよう、森林所有者、林業関係者並びに地域住民等に周知する(参考2)。

伐採された枯死木・被害木の移動をする場合は、11月から翌年3月までに、薪等に割材し、乾燥させた後に行うものとする。

防除対策指針の見直し

本方針は、県内の被害状況、新たな防除技術の開発等に応じ、必要があれば見直すものとする。

適用時期

この方針は、令和2年12月1日から適用する。
令和8年8月26日改正

用語の定義

※1.齢級
樹木の年齢を林齢と言うが、齢級は林齢を5年ごとに区切って呼ぶ用語。
1齢級は1~5年生、2齢級は6~10年生となる。
※2.被害木
カシナガの加害を受けて、穿入孔から木くずを出している状態のコナラやシイ・カシ類の樹木
※3.枯死木
カシナガの加害を受けて、穿入孔から大量の木くずを出しており、既に葉が枯れている状態のコナラやシイ・カシ類の樹木(被害木に含まれる)
※4.コナラ・カシ等の森林
コナラやクヌギ・アベマキ、アラカシを中心とする広葉樹林の二次林及び社叢等のシイ・カシ林等、その他ナラ枯れ被害を受けるブナ科の樹木がまとまって生育する森林をいう。なお、これまでナラ枯れの被害を受けることが確認されている樹種は次のとおりである(下線は、県内で自生が確認されているもの。マテバシイは街路樹や公園木として生育)。

樹種

コナラ属

クヌギアベマキカシワコナラナラガシワウバメガシアカガシツクバネガシイチイガシアラカシシラカシウラジロガシミズナラ

クリ属

クリ

シイ属

スダジイツブラジイ

マテバシイ属

マテバシイ、シリブカガシ

※5.穿入生存木
カシナガの加害によって、穿入孔から木くずを出しているが、葉が枯れていないか、一部の葉が枯れるにとどまっており、枯死までには至っていない状態のコナラやシイ・カシ類の樹木
※6.被害拡大期間
カシナガが例年羽化する期間で、その前後の余裕期間を加えた6月から10月をいう。

 

参考1

図1香川県における広葉樹林の齢級別面積

広葉樹齢級別面積

 

図2地域区分のイメージと具体的な防除方法

地域区分のイメージ

地域区分 防除対策の考え方 具体的な防除方法
駆除 予防
被害地域
  • 被害先端地域での優先的な枯死木の駆除
  • 継続的な監視(被害収束後も状況確認)
  • (二次的被害の防止)
  • ○伐倒くん蒸
  • ○立木くん蒸
  • ◎伐倒残置
  • ◎ビニール被覆
  • ◎予防伐採
  • ◎ビニール被覆
未被害地域
  • 被害先端地域の近接地域での重点的な監視
  • 枯死木及び感染源となる穿入生存木の駆除
  • 飛び火的な被害に対する集中的な防除
  • (二次的被害の防止)
  • ◎伐倒くん蒸
  • ◎立木くん蒸
  • ◎伐倒残置
  • ◎ビニール被覆
  • ◎予防伐採
  • ◎ビニール被覆

保全するコナラ・カシ等の森林

  • 被害拡大期間における定期的な監視
  • 予防と駆除によるカシナガの生息密度低下
  • 広葉樹等の植栽等による森林の機能回復
  • (二次的被害の防止)
  • ◎伐倒くん蒸
  • ○立木くん蒸
  • ○伐倒残置
  • ◎ビニール被覆
  • ◎樹幹注入
  • ◎ビニール被覆
  • ○予防伐採
  •  

※具体的な防除方法の◎は、優先的に実施する防除方法

参考2

ナラ枯れ被害を広げないための被害材についての配慮事項

被害材を利用する場合の3つの原則

  1. 被害材を「被害地域」から「未被害地域」に移動させないこと。
  2. 被害材と未被害材を混在させないこと。
  3. 被害材を薪利用する場合は、カシナガが成熟する3月までに割材を終えておくこと。
    ※薪として移動させる場合は、カシナガの活動する「被害拡大期間」の後とすること。

被害木を伐採する場合の3つの原則

  1. 「被害拡大期間」にコナラやシイ・カシ類の未被害木の伐採を行わないこと。
    ※カシナガを誘引し、周辺に被害を広げるおそれがあるため(駆除目的と危険回避の場合を除く)。
  2. 被害木を伐採し、そのまま残置する場合には、被害材を長さ50cmに玉切りし、現地に地伏せしておくこと。
    ※材の乾燥を促進し、カシナガの生息密度を減らすため。
  3. 被害木を伐採した後の根株については、カシナガの密度が高い部分であることから、原則として、地際から10cm以下となるように処理しておくこと。
    ※根株は被害木の中で最もカシナガの生息密度が高い部分であるため。

伐根除去

 

カシノナガキクイムシの生活環

薪生産サイクル

 

連絡先・問合せ先(香川県)

機関名 所在地及び電話番号
環境森林部森林・林業政策課 〒760-8570高松市番町四丁目1番10号
TEL:087(832)3458
森林センター 〒769-0317仲多度郡まんのう町新目823番地
TEL:0877(77)2515
小豆総合事務所環境森林課 〒761-4121小豆郡土庄町渕崎甲2079-5
TEL:0879(62)5650
東部林業事務所 〒761-0446高松市東植田町1210-3
TEL:087(849)0444
西部林業事務所 〒766-0021仲多度郡まんのう町四條1192番地1
TEL:0877(73)2347

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