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公開日:2020年12月10日

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糖尿病とはどんな病気?

糖尿病は、血糖値が高い状態が続く病気です。

ご飯やパン、果物などの炭水化物を食べると胃や小腸で消化・吸収され、ブドウ糖となって血液中に入ります。
血液中のブドウ糖の量(血糖値)が高くなるとすい臓から分泌されるインスリンの働きによってエネルギーに変わり、血糖値はちょうど良い範囲(約70~120mg/dl)にコントロールされます。
肥満、食べすぎや飲みすぎ、運動不足等によりインスリンの分泌や働きに障害が起こると糖尿病を発症します。
高血糖が続くと、全身の血管が痛めつけられ、さまざまな合併症を引き起こします。

糖尿病の症状

初期は、血糖値が高い状態(高血糖)が持続するだけなので、痛くもかゆくもありません。
しかし、持続的に高血糖が続くと、血管は確実に傷つきます。
そのまま、進行すると、様々な自覚症状が表れます。

  1. 多尿(尿に糖が出るときに水分も一緒に出るため多尿となる)
  2. のどが渇く(多尿のため脱水状態となる)
  3. 多飲(のどが渇くため、水分をたくさんとる)
  4. 疲れやすい

糖尿病の症状イラスト

糖尿病の診断

糖尿病の診断は「血糖値(血液検査)」「ヘモグロビンA1c(血液検査)」「尿糖検査(尿検査)」「自覚症状の有無」などで判定されます。
ヘモグロビンA1cは、1~2ヶ月前の血糖の状態がわかる検査です。
検査前に食事をとっていても、ヘモグロビンA1cの値には影響しませんので、いつでも検査が出来ます。

糖尿病の判定基準

糖尿病の判定基準値
糖尿病型 (1)空腹時血糖値
(空腹時に採血した血糖値)
126mg/dL以上
(2)ブドウ糖負荷後2時間値 200mg/dL
(3)随時血糖値
(食後に採血した血糖値)
200mg/dL
(4)ヘモグロビンA1c 6.5%以上
境界型 (1)空腹時血糖値
(空腹時に採血した血糖値)
110~125mg/dL

(1)~(4)のうち2つ以上があてはまる場合、糖尿病と診断されます。
境界型は糖尿病予備群です。

採血の様子

糖尿病の種類と原因

糖尿病にはいろいろな種類があります。

糖尿病の原因による分類

1型糖尿病 子どもや若い人に多く発症する。
膵臓でインスリンを作りだせず、欠乏するために起こる。
ウイルス感染や免疫の異常により起こる。
2型糖尿病 肥満や運動不足、ストレスによってインスリンの働きが低下したり、分泌量が減少して発症する。
糖尿病全体の約90%が2型糖尿病である。
その他の糖尿病 膵臓のはたらきや、インスリンの作用に関係する遺伝子異常にもとづくものや、他の疾患(膵臓・肝疾患・感染症など)によって引き起こされる。
妊娠糖尿病 妊娠中に発症したか、あるいは妊娠中に初めて発見された糖尿病。

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糖尿病はなぜこわい?

初期は、自覚症状がほとんどありません。

しかし、高血糖が続くと全身の血管を傷つけるため、治療をせずに放置すると、気づいたときにはかなり進行し、恐ろしい合併症を引き起こします。

合併症

太い血管が傷ついた場合

動脈硬化が早く進みます。血管壁がもろくなり、血液中のコレステロールが血管壁に入り込んで、内腔が狭くなります。

血管の変化その結果、心臓や脳、足などの太い血管が障害されます。
⇒「心筋梗塞」「脳卒中」「閉塞性動脈硬化症」などを引き起こします。

細い血管が傷ついた場合

腎臓や眼の網膜にある細い血管が障害されます。早期には自覚症状が無く、突然発症することもあります。
これらは、糖尿病三大合併症といわれています。
糖尿病三大合併症⇒「糖尿病神経障害」「糖尿病網膜症」「糖尿病腎症」

糖尿病網膜症とは

眼の網膜には、細い血管が集まっています。高血糖により傷ついた血管が詰まったり破れたりして出血すると視力が落ち、失明することもあります。
成人の失明の原因の1位が糖尿病です。
糖尿病と診断された人は、年に1度は、定期的な眼科の検査が必要です。
糖尿病網膜症には3段階に分かれます。

  • (1)単純網膜症
    網膜の細い血管の一部に小さな瘤ができ、破裂すると点状の小出血が起こります。自覚症状はありません。血糖コントロールをよくすると改善します。網膜症は、この段階でくいとめることが大切です。
  • (2)増殖前網膜症
    網膜の血流が悪くなり、血液のとだえた血管からは血液成分がにじみ出し、視力の低下を感じることがあります。血糖コントロールだけでの改善は難しく、レーザー光線で、詰まった血管や出血した部分の網膜を焼いて進行をくい止めることが必要です。
  • (3)増殖網膜症
    (2)増殖前網膜症が進行すると血流が悪くなり、酸素が十分に届かない部分で新しい血管が作られます。この血管はとてももろく、ちょっとした刺激で破れて出血します。新しい血管が作られるときに網膜の内側に「増殖膜」という薄い膜ができ、この膜が網膜を引っ張ると「網膜はく離」が起こります。こうなると、視力が低下し、失明に進行することがあります。治療は手術が必要です。

糖尿病腎症とは

腎臓は血液をろ過して、老廃物や余分な水分を取り除き、尿を作ります。
血液をろ過するのが「糸球体」で左右の腎臓に100万個ずつあります。
正常な糸球体では、たん白質や赤血球、白血球などはろ過せず水や老廃物だけを通過させます。
しかし、高血糖が続くと糸球体の血管が厚く硬くなり、血液をろ過する腎臓の機能が低下して、たん白質がもれ出します。
三大合併症のなかでは、一番遅く現れます。
治療には「透析療法」が必要になります。
尿中に出るたん白質の量や腎機能の程度などで第1期~第5期に分かれます。
また、糖尿病腎症を起こすと血圧が上がります。血圧が上がると腎症が進行するため、厳重な血圧のコントロールが重要です。

糖尿病腎症のステージ別治療法
病期 進行の程度 治療
たん白尿 腎臓(糸球体)の働き
第1期 なし 正常 血糖コントロール
第2期 微量アルブミン尿 正常 厳格な血糖コントロール
血圧のコントロール
第3期 持続性のたん白尿 ほぼ正常~低下 厳格な血糖コントロール
血圧のコントロール
たん白の制限
第4期 持続性のたん白尿 著しく低下 厳格な血糖コントロール
低たん白食
透析療法導入
第5期 透析治療中 透析、腎臓移植

日本糖尿病学会「糖尿病治療の手びき」から引用

糖尿病神経障害とは

高血糖の状態が続くと、インスリンの働きが悪くなりブドウ糖がうまく利用されず、別の物質(ポリオール)に変えられ、神経にたまります。
神経の周りの血管も障害されるため、神経伝達の働きが弱まります。糖尿病神経障害には2種類あります。

  • (1)末梢神経障害
    痛みを感じる「感覚神経」や手足を動かす「運動神経」の障害が起こります。
    症状は「しびれ」から始まることが多く「足の裏の違和感」「軽い痛み」「こむら返り」などが起こります。たいてい、神経線維の長い足の症状から始まることが多いです。また、左右両方に起こります。
    進行すると感覚がマヒして「靴ずれ」「うおのめ」など小さなキズでも気づかないため、手当てが遅れます。
    放置しておくと、足の潰瘍や細胞が腐敗する「壊疽」が起こり、足の切断が必要になる場合もあります。
    末梢神経障害は、初期では、血糖のコントロールをよくすることで症状が改善します。
  • (2)自律神経障害
    自律神経は、自分の意思とは関係なく動いている神経です。心臓や血圧の調整、胃腸や排尿を調節しています。
    自律神経が障害されると「胃のもたれ」「がんこな便秘」「下痢」「立ちくらみ」「勃起障害(ED)」が起こることもあります。
    胃腸の働きや心臓の働きに影響するので、血糖コントロールが困難になる、「不整脈」を引き起こすこともあります。
    自律神経障害も初期では、血糖コントロールをよくすると改善します。

その他

高血糖の状態が続くと、白血球が働きにくくなるため、体の免疫力が低下します。細菌の養分となる糖分が多いため、感染症にかかりやすく、治りにくいという状態になります。

  • 気管支炎・肺炎
  • 水虫、たこ、うおのめ
  • 胆のう炎・腸炎
  • カンジダ外陰炎
  • 膀胱炎・腎盂腎炎
  • 歯周病

重症の感染症では、インスリンが極端に不足して高血糖になり、意識を失う「糖尿病昏睡」を起こすことがあります。前ぶれの症状として「激しいのどの渇き」「多尿」「つよいだるさ」「「嘔吐、腹痛」があります。これらの症状が急速に現れたら、すぐに医療機関を受診してください。

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糖尿病の治療方法

治療法には、食事療法・運動療法・薬物療法があります。

これらを組み合わせて担当医の指導のもと治療方針を決めます。

  • 食事療法
    規則正しくバランスのよい食事が基本になります。
    目標の摂取カロリーを超えない範囲で多くの食材を食べるようにします。
  • 運動療法
    血糖値を下げたりインスリンの働きをよくするなど、運動療法は多くの効果が得られます。
    毎日できる範囲で、継続することが重要です。
  • 薬物療法
    食事療法と運動療法を行っても、血糖コントロールが難しい場合は、薬物療法が必要になります。

食事・運動・服用のイラスト

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あなたは大丈夫?

糖尿病は、毎日の生活習慣と遺伝的な体質が影響します。

糖尿病の初期は自覚症状がほとんどないため、早期に発見・予防するためにも、健康診断を受けることが大切です。

ご存知ですか。「特定健診・特定保健指導」

糖尿病を起こしやすい生活習慣は、高血圧や脂質異常症(高脂血症)も起こしやすいといわれています。
「特定健診・特定保健指導」は、さまざまな生活習慣病にかかわりの深い『メタボリックシンドローム』をチェックし、生活習慣病の発症を防ぐことをねらいとした健診です。
生活習慣病のリスクのある人には、専門家による保健指導が行われます。
40歳~74歳までの医療保険(国民健康保険、協会けんぽ、健康保険組合、共済組合、船員保険等)に加入している男女(本人・被扶養者)が対象です。
1万円程度の健診が、低額(無料~1000円程度)で受けられます。
お手元に受診券が届きましたら、毎年、忘れずに受診しましょう。

メタボリックシンドローム診断基準

(1)に加え、(2)~(4)のうち2項目以上該当するとメタボリックシンドロームです。

メタボリックシンドローム診断基準表
1 腹囲(へそ周り) 男性85cm以上/女性90cm以上
2 中性脂肪
HDLコレステロール
150mg/dl以上
40mg/dl未満のいずれかまたは両方
3 最高(収縮期)血圧
最低(拡張期)血圧
130mmHg以上
85mmHg以上のいずれかまたは両方
4 空腹時血糖 110mg/dl以上

メタボリックシンドロームのイラスト

特定健康診査・特定保健指導(メタボ健診)

健診結果表のイラスト40~74歳のすべての人は、特定健康診査・特定保健指導の対象です。
平成20年4月から、各市町が実施していた基本健康診査(住民健診)に代わり「特定健康診査・特定保健指導」が行われています。

特定健康診査

特にメタボリックシンドロームに着目した健診です。
健診後、メタボリックシンドロームのリスクがあると判定された人には「特定保健指導」が行われます。

特定保健指導

専門家(医師・保健師・管理栄養士等)と一緒に「これならできる!」と思える生活習慣を改善する行動計画を立てます。コースにより、3か月や6か月間のサポートを受けることができます。
より健康的な毎日が過ごせるよう、少しだけ生活習慣を変えてみませんか。

情報提供(全員)

健診結果の通知と、生活習慣改善についての情報が提供されます。

動機付け支援(少しリスクの出始めた人)
初回面接 専門家(医師・保健師・管理栄養士等)との面接で、毎日の生活を振り返り、「これならできる!」という生活習慣改善目標を一緒に決定します。
6か月後 電話やメール等であなたの体調や生活習慣についてお伺いします。
積極的支援(リスクが複数みられる人)
初回面接 専門家(医師・保健師・管理栄養士等)との面接で、毎日の生活を振り返り、「これならできる!」という生活習慣改善目標を一緒に決定します。
3か月以上の
継続的支援
電話やメール、教室参加を通して生活習慣の改善をサポートします。
6か月後 電話やメール等であなたの体調や生活習慣についてお伺いします。

糖尿病の基礎知識

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