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公開日:2021年1月8日

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高齢者虐待の防止

高齢者虐待防止法


「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(平成17年法律第124号)[e-Gov法令検索](外部サイトへリンク)は、平成18年4月1日に施行されました。この法律には、虐待を受けた高齢者の保護と養護者の負担の軽減を図るなどの養護者に対する支援が明記されています。

高齢者虐待の種類

高齢者虐待とは、高齢者に対して行う次の行為とされています。

1. 養護者による高齢者虐待類型(例)

区分 具体的な例
A. 身体的虐待

(1) 暴力的行為で、痛みを与えたり、身体にあざや外傷を与える行為

  • 平手打ちをする。つねる。殴る。蹴る。やけど、打撲をさせる。
  • 刃物や器物で外傷を与える。 など
(2) 本人に向けられた危険な行為や身体に何らかの影響を与える行為
  • 本人に向けて物を壊したり、投げつけたりする。
  • 本人に向けて刃物を近づけたり、振り回したりする。 (※)など
(3) 本人の利益にならない強制による行為によって痛みを与えたり、代替方法があるにもかかわらず高齢者を乱暴に取り扱う行為
  • 医学的判断に基づかない痛みを伴うようなリハビリを強要する。
  • 移動させるときに無理に引きずる。無理やり食事を口に入れる。 など
(4) 外部との接触を意図的、継続的に遮断する行為
  • 身体を拘束し、自分で動くことを制限する(ベッドに縛り付ける。ベッドに柵を付ける。つなぎ服を着せる。意図的に薬を過剰に服用させて、動きを抑制する。など)。
  • 外から鍵をかけて閉じ込める。中から鍵をかけて長時間家の中に入れない。 など
B. 介護・世話の放棄・放任

(1) 意図的であるか、結果的であるかを問わず、介護や生活の世話を行っている者が、その提供を放棄又は放任し、高齢者の生活環境や、高齢者自身の身体・精神的状態を悪化させていること

  • 入浴しておらず異臭がする、髪や爪が伸び放題だったり、皮膚や衣服、寝具が汚れている。
  • 水分や食事を十分に与えられていないことで、空腹状態が長時間にわたって続いたり、脱水症状や栄養失調の状態にある。
  • 室内にごみを放置する、冷暖房を使わせないなど、劣悪な住環境の中で生活させる。 など
(2) 専門的診断や治療、ケアが必要にもかかわらず、高齢者が必要とする医療・介護保険サービスなどを、周囲が納得できる理由なく制限したり使わせない、放置する
  • 徘徊や病気の状態を放置する。
  • 虐待対応従事者が、医療機関への受診や専門的ケアが必要と説明しているにもかかわらず、無視する。
  • 本来は入院や治療が必要にもかかわらず、強引に病院や施設等から連れ帰る。 など
(3) 同居人等による高齢者虐待と同様の行為を放置する。
  • 孫が高齢者に対して行う暴力や暴言行為を放置する。 など
C. 心理的虐待
脅しや侮辱などの言語や威圧的な態度、無視、嫌がらせ等によって、精神的苦痛を与えること
  • 老化現象やそれに伴う言動などを嘲笑したり、それを人前で話すなどにより、高齢者に恥をかかせる(排泄の失敗、食べこぼしなど)。
  • 怒鳴る、ののしる、悪口を言う。
  • 侮蔑を込めて、子どものように扱う。
  • 排泄交換や片づけをしやすいという目的で、本人の尊厳を無視してトイレに行けるのにおむつをあてたり、食事の全介助をする。
  • 台所や洗濯機を使わせないなど、生活に必要な道具の使用を制限する。
  • 家族や親族、友人等との団らんから排除する。 など
D. 性的虐待
本人との間で合意が形成されていない、あらゆる形態の性的な行為又はその強要
  • 排泄の失敗に対して懲罰的に下半身を裸にして放置する。
  • 排泄や着替えの介助がしやすいという目的で、下半身を裸にしたり、下着のままで放置する。
  • 人前で排泄行為をさせる、オムツ交換をする。
  • 性器を写真に撮る、スケッチをする。
  • キス、性器への接触、セックスを強要する。
  • わいせつな映像や写真を見せる。
  • 自慰行為を見せる。 など
E. 経済的虐待 ※ 擁護しない親族による経済的虐待について「養護者による虐待」として設定する
本人の合意なしに財産や金銭を使用し、本人の希望する金銭の使用を 理由なく制限すること
  • 日常生活に必要な金銭を渡さない、使わせない。
  • 本人の自宅等を本人に無断で売却する。
  • 年金や預貯金を無断で使用する。
  • 入院や受診、介護保険サービスなどに必要な費用を支払わない。 など

(※)「暴行とは人に向かって不法なる物理的勢力を発揮することで、その物理的力が人の身体に接触することは必要でない。例えば、人に向かって石を投げ又は棒を打ち下せば、仮に石や棒が相手方の身体に触れないでも暴行罪は成立する」(東京高裁判決昭和25年6月10日)。

 

2. 養介護事業者等による高齢者虐待類型(例)

区分 具体的な例
A. 身体的虐待
(1) 暴力的行為※
  • 平手打ちをする。つねる。殴る。蹴る。
  • ぶつかって転ばせる。
  • 刃物や器物で外傷を与える。
  • 入浴時、熱い湯やシャワーをかけてやけどをさせる。
  • 本人に向けて物を投げつけたりする。 など
(2) 本人の利益にならない強制による行為、代替方法を検討せずに高齢者を乱暴に扱う行為
  • 医学的診断や介護サービス計画等に位置づけられておらず、身体的苦痛や病状悪化を招く行為を強要する。
  • 介護がしやすいように、職員の都合でベッド等へ抑えつける。
  • 車椅子やベッド等から移動させる際に、必要以上に身体を高く持ち上げる。
  • 食事の際に、職員の都合で、本人が拒否しているのに口に入れて食べさせる。 など
(3) 「緊急やむを得ない」場合以外の身体拘束・抑制  
B. 介護・世話の放棄・放任
(1) 必要とされる介護や世話を怠り、高齢者の生活環境・身体や精神状態を悪化させる行為
  • 入浴しておらず異臭がする、髪・ひげ・爪が伸び放題、汚れのひどい服や破れた服を着せている等、日常的に著しく不衛生な状態で生活させる。
  • 褥瘡(床ずれ)ができるなど、体位の調整や栄養管理を怠る。
  • おむつが汚れている状態を日常的に放置している。
  • 健康状態の悪化をきたすほどに水分や栄養補給を怠る。
  • 健康状態の悪化をきたすような環境(暑すぎる、寒すぎる等)に長時間置かせる。
  • 室内にごみが放置されている、鼠やゴキブリがいるなど劣悪な環境に置かせる。 など
(2) 高齢者の状態に応じた治療や介護を怠ったり、医学的診断を無視した行為
  • 医療が必要な状況にも関わらず、受診させない。あるいは救急対応を行わない。
  • 処方通りの服薬をさせない、副作用が生じているのに放置している、処方通りの治療食を食べさせない。 など
(3) 必要な用具の使用を限定し、高齢者の要望や行動を制限させる行為
  • ナースコール等を使用させない、手の届かないところに置く。
  • 必要なめがね、義歯、補聴器等があっても使用させない。 など
(4) 高齢者の権利を無視した行為又はその行為の放置
  • 他の利用者に暴力を振るう高齢者に対して、何ら予防的手立てをしていない。 など
(5) その他職務上の義務を著しく怠ること  
C. 心理的虐待
(1) 威嚇的な発言、態度
  • 怒鳴る、罵る。
  • 「ここ(施設・居宅)にいられなくしてやる」「追い出すぞ」などと言い脅す。 など
(2) 侮辱的な発言、態度
  • 排せつの失敗や食べこぼしなど老化現象やそれに伴う言動等を嘲笑する。
  • 日常的にからかったり、「死ね」など侮蔑的なことを言う。
  • 排せつ介助の際、「臭い」「汚い」などと言う。
  • 子ども扱いするような呼称で呼ぶ。 など
(3) 高齢者や家族の存在や行為を否定、無視するような発言、態度
  • 「意味もなくコールを押さないで」「なんでこんなことができないの」などと言う。
  • 他の利用者に高齢者や家族の悪口等を言いふらす。
  • 話しかけ、ナースコール等を無視する。
  • 高齢者の大切にしているものを乱暴に扱う、壊す、捨てる。
  • 高齢者がしたくてもできないことを当てつけにやってみせる(他の利用者にやらせる)。 など
(4) 高齢者の意欲や自立心を低下させる行為
  • トイレを使用できるのに、職員の都合を優先し、本人の意思や状態を無視しておむつを使う。
  • 自分で食事ができるのに、職員の都合を優先し、本人の意思や状態を無視して食事の全介助をする。 など
(5) 心理的に高齢者を不当に孤立させる行為
  • 本人の家族に伝えてほしいという訴えを理由なく無視して伝えない。
  • 理由もなく住所録を取り上げるなど、外部との連絡を遮断する。
  • 面会者が訪れても、本人の意思や状態を無視して面会させない。 など
(6) その他
  • 車椅子での移動介助の際に、速いスピードで走らせ恐怖感を与える。
  • 自分の信仰している宗教に加入するよう強制する。
  • 入所者の顔に落書きをして、それをカメラ等で撮影し他の職員に見せる。
  • 本人の意思に反した異性介助を繰り返す。
  • 浴室脱衣所で、異性の利用者を一緒に着替えさせたりする。 など
D. 性的虐待
本人との間で合意が形成されていない、あらゆる形態の性的な行為又はその強要
  • 性器等に接触したり、キス、性的行為を強要する。
  • 性的な話しを強要する(無理やり聞かせる、無理やり話させる)。
  • わいせつな映像や写真をみせる。
  • 本人を裸にする、又はわいせつな行為をさせ、映像や写真に撮る。撮影したものを他人に見せる。
  • 排せつや着替えの介助がしやすいという目的で、下(上)半身を裸にしたり、下着のままで放置する。
  • 人前で排せつをさせたり、おむつ交換をしたりする。またその場面を見せないための配慮をしない。 など
E. 経済的虐待
本人の合意なしに財産や金銭を使用し、本人の希望する金銭の使用を理由なく制限すること
  • 事業所に金銭を寄付・贈与するよう強要する。
  • 金銭・財産等の着服・窃盗等(高齢者のお金を盗む、無断で使う、処分する、無断流用する、おつりを渡さない)。
  • 立場を利用して、「お金を貸してほしい」と頼み、借りる。
  • 日常的に使用するお金を不当に制限する、生活に必要なお金を渡さない。 など

身体的虐待における暴力的行為とは、刑法上の「暴行」と同様、高齢者の身体に接触しなくても、高齢者に向かって危険な行為や身体になんらかの影響を与える行為があれば、身体的虐待と判断することができます。
「暴行とは人に向かって不法なる物理的勢力を発揮することで、その物理的力が人の身体に接触することは必要でない。例えば、人に向かって石を投げ又は棒を打ち下せば、仮に石や棒が相手方の身体に触れないでも暴行罪は成立する」(東京高裁判決昭和25年6月10日)。

 

<引用>

 厚生労働省 老健局 平成30年3月
 「市町村・都道府県における高齢者虐待への対応と養護者支援について」、p5~9

高齢者虐待の相談窓口

高齢者虐待の市町相談窓口一覧(PDF:245KB)

虐待は、虐待をする側も受ける側も虐待を自覚していないことがあります。虐待を受けたと疑われる高齢者を発見した場合は、お近くの相談窓口に御連絡をお願いします。

香川県高齢者虐待防止・対応マニュアル

高齢者虐待防止法により、高齢者虐待の防止、高齢者虐待を受けた高齢者の迅速かつ適切な保護及び適切な養護者に対する支援を行うことが、国及び地方公共団体の責務として定められました。県では、市町や介護サービス従事者などを対象に、虐待の予防を図り、また、虐待が起きてしまった場合でも迅速かつ適切に対応できるよう、平成17年に「香川県高齢者虐待防止・対応マニュアル」を作成しました。

その後、国の各自治体に向けた高齢者虐待防止マニュアルである「市町村・都道府県における高齢者虐待への対応と養護者支援について」(以下「厚生労働省マニュアル」という。)が平成30年に改定されたことに伴い、厚生労働省マニュアル及び公益社団法人日本社会福祉士会作成の「市町村・地域包括支援センター・都道府県のための養護者による高齢者虐待対応の手引き」を参考に、令和3年3月、改訂しました。

[ 香川県高齢者虐待防止・対応マニュアル 令和3年3月改訂版 

 

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