ホーム > 組織から探す > 予算課 > 予算議案等 > 県議会知事議案説明要旨 > 令和6年2月県議会定例会提出議案 知事説明要旨について

ページID:45768

公開日:2024年2月16日

ここから本文です。

令和6年2月県議会定例会提出議案 知事説明要旨について

令和6年2月県議会定例会提出議案 知事説明要旨について

令和6年2月県議会定例会の開会に当たり、県政運営の所信及び令和6年度当初予算の概要と主要施策等について御説明し、議員各位、県民の皆様の御理解と御協力を賜りたいと思います。

1 県政運営の所信

3年余り続いたコロナ禍を乗り越え、我々の生活にも日常が戻ってきました。

感染状況には、引き続き注意を払う必要がありますが、我が国の経済に目を向けますと、大手企業においては30年ぶりの高水準の賃上げが行われ、今年に入って日経平均株価がバブル経済崩壊後の最高値を連日更新するなど、デフレからの完全な脱却に向けて、景気回復の動きが出てきております。

本県においては、物価高騰による県民生活や県内経済への影響について、今後も注視していく必要がありますが、国際航空路線の再開によるインバウンド需要の回復など、明るい兆しも見えてきており、今年、2024年は、本県の社会経済活動を本格的に回復させ、再び成長軌道に乗せていけるよう、飛躍の年にしたいと考えております。

その矢先、年始早々、能登半島を巨大地震が襲いました。各地の被害状況が判明するにつれて、今回の地震が想像をはるかに超える規模であったことが分かり、改めて、自然の脅威と災害への備えの大切さを痛感させられることになりました。

自然への畏敬の念を常に忘れることなく、いつ起こるか分からない自然災害に対して、常に備えを行い、被害が最小限に抑えられるよう、ハード・ソフト両面からの防災・減災対策、災害に強い県土づくりにしっかりと取り組んでまいりたいと思います。

さて、今年は辰年であります。陽気が動いて万物が振動し、草木もよく成長して形がととのう、これまで準備をしてきたことが形になり、大きく成長することができる縁起の良い年と言われています。

今年、2024年は、瀬戸内海国立公園指定90周年、そして、来年、2025年は、大阪・関西万博の開催が控え、県内では、瀬戸内国際芸術祭2025や現在建設中の県立アリーナの開館が予定されております。まさに本県にとって、大きく成長を遂げる好機を迎えようとしています。それだけに、この好機を最大限に活かせるよう、今年は、香川の将来を大きく発展させるための大事な一年となります。

本県は、先人のたゆみない努力と情熱により、県政発展の礎が築かれ、他県に負けない様々な地域資源・財産を有しています。世界の宝石と言われる瀬戸内海をはじめ、アートや文化的建築物、讃岐うどんなどの食、さらには、多彩な観光資源や高品質な農林水産物、地理的な利点を活かした産業基盤や都市機能など、優れたポテンシャルを有している県だと私は考えております。

それゆえ、こうした優位性を最大限に活かして、本県にとって又とない好機を捉え、本県が将来に亘って大きく飛躍できるよう、地域資源の更なる磨き上げや情報発信、将来の発展に向けた必要な投資を積極的に行い、香川の未来を次の世代につなげていけるよう取り組んでまいります。

県議会はもとより、県内の8市9町との緊密な連携のもと、全力で取り組んでまいりますので、引き続き、議員各位の格別の御理解と御協力を心からお願い申し上げます。

2 令和6年度当初予算の概要等

それでは、上程されました当初予算案について御説明いたします。

令和6年度当初予算は、昨年見直しを行いました総合計画の基本目標に掲げる「人生100年時代のフロンティア県」の実現に向け、3つの基本方針の下、17の重点政策に沿って編成を行い、特に重点的に取り組む分野については、財源を重点配分し、積極的に推進してまいりたいと考えております。

具体的には、私が就任当初から掲げております子育て支援・少子化対策をはじめ、企業誘致やスタートアップ支援などの産業振興、そして観光誘客・にぎわいづくり、特に来年度は瀬戸内海国立公園指定90周年を契機とした地域活性化や大阪・関西万博を見据えた観光誘客に加え、地域資源を活用したにぎわいづくりにも取り組んでまいります。また、担い手確保・人手不足への対応や健康寿命の延伸に向けた健康づくり、そして、南海トラフ地震等に備えた災害に強い県土づくりに、時機を逸することなく適切に対応してまいりたいと考えております。

一方で、財政の持続可能性を確保するため、昨年11月に策定した「財政運営ビジョン」に沿って、国庫補助・交付金を積極的に活用するとともに、あらゆる歳入確保策や歳出抑制策を講じることにより、必要な財源の確保に努めてまいります。

こうした方針の下、財政の持続可能性を確保しつつ、本県の発展を目指す新たな取組みにより、県内経済の着実な成長を図るとともに、税収増にもつなげ、「経済と財政の好循環」を生み出し、香川の未来を次の世代につなげていくための予算として編成を行ったところであります。

その結果、令和6年度一般会計の当初予算の規模は、4,866億円余、総額では前年度を17億円余下回っているものの、令和5年度の新型コロナウイルス感染症対策の予算を除けば、148億円余上回るものとなりました。

歳入面においては、国の定額減税の実施に伴い県税収入が減少する一方で、地方交付税や地方譲与税、定額減税影響分が補てんされる地方特例交付金が増加することなどから、一般財源総額は約5億円の増加、市町等への税収関連交付金を除く実質の一般財源総額は、約25億円の増加を見込んでおります。

また、財源対策用の基金残高については、前年度と同額程度を確保する見込みであり、引き続き、財政の持続可能性を確保しつつ、財政規模に応じた未来への投資を積極的に行ってまいりたいと考えております。

3 令和6年度の主要施策

それでは、以下、令和6年度の主要な施策について、申し上げます。

(1)県民100万人計画

第1は、「県民100万人計画」についてであります。

まず、「『子育て県かがわ』をつくる」については、若い世代が定住し、結婚の希望をかなえ、誰もが夢と仲間を持って、次代を担う子どもたちを安心して生み、健やかに育てることができる「子育て県かがわ」の実現に向けて、「経済的負担の軽減」、「子育て拠点の充実」、「みんなで子育て」を柱として、少子化局面の打開に取り組んでまいります。

まず、子育て家庭の「経済的負担の軽減」として、市町が行う子ども医療費支給事業に対する助成を引き続き実施するとともに、市町と協調し、第3子以降の児童生徒の給食費の負担を軽減する取組みを進めてまいります。

また、子どもを出産した産婦が安心して必要な健康管理のケアや育児サポート等を受けることができるよう、産後ケアに係る経済的負担の軽減を図る市町を支援します。

「子育て拠点の充実」については、子育てに関する相談支援や情報の提供が受けられ、子育て家庭同士の交流ができるなど、一定のサービスと定期的な開所日の設定などの要件を満たす子育て拠点を「かがわ子育てステーション」として登録し、所在地やサービス内容が容易に確認できるよう、情報発信の充実に取り組んでまいります。

「みんなで子育て」については、社会全体で仕事と家庭生活の両立を進めるため、男性育休の取得促進に向けた機運醸成のためのシンポジウムや家事育児実践講座の開催、企業における男性の育児休業の取得促進に向けた個別支援などに取り組んでまいります。

また、「かがわ縁結び支援センター」によるマッチング支援や情報発信の充実に取り組むほか、婚姻届を提出したカップルなどが、協賛店で優待サービスを利用できるパスポート事業を創設するなど、社会全体で結婚や子育てを応援する機運の醸成を図ってまいります。

次に、「教育の充実」については、教育委員会との緊密な連携のもとに各種の取組みを進めてまいります。

まず、小・中学校での35人学級や小学校高学年での教科担任制などの香川型指導体制を着実に推進するとともに、教員業務支援員や部活動指導員を配置する市町への支援のほか、育児休業を取得しやすい職場環境の整備や、初任者教員の指導の充実、副校長・教頭の負担軽減に向けた人材配置を行うなど、学校現場の教員を支える体制の充実・強化に取り組みます。

また、すべての学校へのスクールカウンセラーの派遣やスクールソーシャルワーカーの効果的な活用などを引き続き進めるとともに、不登校児童生徒支援協議会の開催や、モデル校での校内サポートルームの取組みの充実などにより、いじめ・不登校や高校中退等の課題に対応してまいります。

学校教育の情報化については、県立学校の普通教室への電子黒板の整備を進めるほか、基金を活用した小・中学校等における1人1台端末の着実な更新の促進、ICT活用の効果的な実践の研究など、昨年末に策定した香川県学校教育情報化推進計画に沿って、その取組みを加速してまいります。

また、高校教育に対するニーズが多様化するなかで、県立高校の存在意義や果たす役割などについて議論し、「魅力あふれる県立高校推進ビジョン」の後期計画策定の検討を行うとともに、全国からの生徒募集を行う「せとうち留学」の充実に向け、コーディネーターを配置し、受入態勢の整備や地域との効果的な連携に努めてまいります。

東讃地域に整備する統合高校については、令和12年4月開校に向け、用地取得や埋蔵文化財の発掘調査等を進めるとともに、県立高校の老朽化や特別支援学校の教室不足への対応についても、施設の整備を着実に進めてまいります。

次に、「女性や高齢者、障害者が活躍する社会づくり」については、引き続き、女性リーダーの養成講座やデジタルスキルを活用した「新しい働き方」を支援するとともに、女性の就労促進に向け、出産・子育て等でキャリアが中断した女性のための短期間研修の実施や人材採用コーディネーターの配置を行います。

また、県内2か所に設置しているかがわ女性・高齢者等就職支援センターにおいて、中高年齢者の採用に積極的な企業による説明会の実施など、高齢者等の新規就業支援を県内全域できめ細かく行うとともに、障害者の雇用に向けた個別支援を行うコーディネーターを関係機関に配置するなど、障害者の就労支援にも一層取り組んでまいります。

加えて、すべての県民が生涯において健康をより長く享受し、元気に活躍することのできる「人生100年時代のフロンティア県」の実現に向けて、県民一人ひとりの健康意識の醸成や主体的な健康行動の定着を図るため、ライフステージに応じた健康づくりに取り組んでまいります。

次に、「安心できる医療・介護体制を構築」については、医療ニーズが変化する中、病床機能の分化・連携や在宅医療の推進に積極的に取り組むとともに、今定例会に御提案しております「第八次香川県保健医療計画(案)」に基づき、地域において切れ目のない医療の提供を実現することにより、良質かつ適切な医療を持続可能な形で効率的に提供する体制の確保に努めてまいります。

また、令和4年度に運航を開始したドクターヘリを活用し、基地病院や消防機関などの関係機関との連携を図りながら、島嶼部や山間地域でのより迅速な救急医療の提供など、ドクターヘリの導入効果を最大限に活かした救急医療や災害医療の充実・強化に取り組んでまいります。

医療人材の確保につきましては、新たに地域枠学生・医師への教育・サポート体制の強化と総合診療医の育成・確保を目的とした香川大学医学部への寄附講座の設置など、医師確保対策に積極的に取り組むとともに、看護職を目指す学生への修学を支援するなど、看護職員の育成・確保にも引き続き努めてまいります。

介護人材の確保対策については、元気な高齢者向けに職場体験や説明会を開催し、介護の周辺業務を担う介護助手等の掘り起こしを行うとともに、介護ロボット、ICTを導入する介護サービス事業所への支援等により、介護現場の人材確保や負担軽減、効率性の向上を図ってまいります。

県立病院においては、引き続き、病院事業管理者のもと、「第4次県立病院中期経営目標」に基づき、より一層の経営改革に取り組み、県民の皆様から求められる医療を安定的、継続的に提供してまいります。

次に、「災害や渇水に強い県土をつくる」についてであります。

南海トラフ地震などの大規模災害から県民の命と安全な暮らしを守るためには、自助・共助・公助が一体となって防災・減災対策を進めていくことが重要であり、この度の能登半島地震の状況なども踏まえ、ハード・ソフト両面からの一層の対策を推進し、災害に強い県土づくりに取り組んでまいります。

まず、発災時の救命活動や物資の輸送を迅速に行うためには、道路の交通機能の確保が重要であることから、国道11号やさぬき浜街道の4車線化などの幹線道路の整備のほか、緊急輸送道路の橋梁の耐震化などに取り組むとともに、海岸堤防や河川堤防については、人家連担地域など、甚大な被害が想定される浸水域を対象にした地震・津波対策海岸堤防等整備計画の1期計画区間を、確実に完了させてまいります。

また、民間住宅をはじめ建築物の耐震化の更なる促進や、老朽化して危険な空き家の除却への支援などに、市町と連携しながら積極的に取り組んでいくとともに、新たにSNS上に開設する県公式防災アカウントを通じた防災行動を促す取組みなどにより、県民の皆様の防災意識の一層の向上を図ってまいります。さらに、家具類の転倒防止対策の促進や、円滑な避難・救助につながる自主防災組織の機能強化に取り組むほか、南海トラフ地震等における本県の被害想定について、最新の各種データを分析した上で見直しを行います。

加えて、耐震化ができておらず、老朽化が著しい、畜産試験場、水産試験場、本庁舎北館の3施設について、基本設計等の準備を進め、早期に建替えなどによる施設整備に取り組むとともに、高松合同庁舎については、令和9年度の高松市郷東町への移転整備に向けて、実施設計等を進めてまいります。

安定した水資源の確保と供給については、引き続き、ダムやため池の整備を推進するとともに、香川用水や県内水道の一層の安定供給に向け、県広域水道企業団をはじめ、国や独立行政法人水資源機構と連携しながら、施設の耐震化や老朽化対策に取り組んでまいります。

また、香川用水は、今年で通水開始から50周年を迎えることから、その恩恵に改めて感謝するための記念式典や関連イベントを関係機関と連携して開催してまいります。

次に、「交通事故や犯罪のない安全安心な社会をつくる」についてであります。

本県における昨年の交通事故死者数は、3年連続で前年を下回り、統計資料の残る昭和23年以降、2番目に少ない33人となりました。しかしながら、人口10万人当たりでは全国ワースト5位と依然として厳しい状況にあります。
交通事故死者数を何としてもゼロに近づけるため、引き続き、交通事故の特徴を踏まえた啓発や安全教育に取り組むとともに、新たに高校生の自転車通学生を対象にヘルメット購入費の補助を行い、重点的に交通安全意識の向上を図るなど、交通死亡事故の抑止に努めてまいります。

また、現在、五色台トンネル周辺の4車線化工事や坂出北インターチェンジのフルインター化工事が進められていますが、供用開始に伴い、さぬき浜街道における速度超過や交通集中が懸念されるため、効果的な対策を講じ、交通の安全と円滑化を図ってまいります。

犯罪防止に向けた取組みについては、悪質かつ巧妙化する特殊詐欺の被害を防止するため、被害が多い高齢者に重点を置いた予防活動や、関係機関・団体等と連携した水際対策に一層取り組むほか、サイバー犯罪に対しては、専門捜査官等を対象とする集合研修の実施や捜査用資機材の整備、広報啓発の強化などにより、検挙と抑止の両面から総合的な対策を推進してまいります。

次に、「人口100万人計画」についてであります。

移住・定住の促進に向けては、県内市町と連携して、本県の魅力の情報発信や仕事・住まいのマッチング、定住のサポートの3つの柱で施策を展開し、SNSを活用した県出身学生に対する就職情報等の発信や、東京圏から就職する学生への支援、東京や大阪における就職コーディネーターの配置などにも取り組み、本県へのUJIターンを促進します。

また、県内大学や経済団体、自治体等で組織する「大学・地域共創プラットフォーム香川」における産学官連携の取組みのほか、地域づくり団体の育成や、地域おこし協力隊のOB・OGネットワークの活動などを支援し、若者の県内定着を図ってまいります。

加えて、読書などを通して、子どもたちの豊かな感受性や創造性、読解力、瀬戸内への愛着心等を育むとともに、交流人口の拡大など地域活性化を図るため、株式会社安藤忠雄建築研究所から寄附の申し出のありました「こども図書館船(せん)(仮称)」について、香川ならではの魅力ある取組みとなるよう、運航開始に向けた準備を進めてまいります。

(2)デジタル田園都市100計画

第2は、「デジタル田園都市100計画」についてであります。

まず、「産業拠点香川へ」については、企業立地の促進に関して、「せとうち企業誘致100プラン」に基づき、中期的な視点に立った戦略的な企業誘致に取り組んでまいります。具体的には、新たに、国が進める大規模データセンターの地方分散の取組みに伴う立地や、物流における2024年問題に対応するための賃借型の物流拠点施設の整備に対する助成を行うとともに、番の州臨海工業団地において、水素等サプライチェーンの構築に向けた産業間連携を促進するため、関係企業や地元坂出市等と連携し、様々な可能性を検討してまいります。

スタートアップ等の創出については、これまでの取組みに加え、新たに、県内で起業を目指す方々や起業家などと、東京などのスタートアップ先進地で主に活動している起業支援関係者との相互交流の場を提供することで、コミュニティ・ネットワーク形成を図るほか、起業しようとする方が、自分に合った支援策を簡単に見つけられるよう、課題やニーズごとに情報を整理したWEBサイトを新たに構築することなどにより、起業機運の醸成から起業後の成長促進まで切れ目ない支援を展開し、県経済を牽引するような新たな企業や事業の創出を図ってまいります。

次に、「『四国の玄関口』として確かなインフラ整備を進める」についてであります。
香川県立アリーナの整備については、本年11月の竣工、来年3月の開設に向けて、建設工事や備品整備のほか、指定管理者と連携して、イベント誘致や広報活動、利用受付等の開館に向けた準備を引き続き着実に進めるとともに、より多くの皆様に体験していただけるよう、開館記念式典やオープニングイベントなど様々な企画を行ってまいります。

また、サンポート高松地区において、県立アリーナの開館に向けて、屋根付き歩道やプロムナード等を整備し、安全で快適な歩行者動線を確保するとともに、各エリアが一体となったにぎわい空間を創出してまいります。加えて、サンポート高松地区のにぎわいを波及させるため、プロムナード化の検討を高松中心市街地に広げるとともに、県立アリーナのイベント開催時にも円滑な交通が確保できるよう対策を実施してまいります。

さらに、大阪・関西万博や瀬戸内国際芸術祭を契機に、瀬戸内海を周遊する大型プレジャーボートの寄港を促進し、新たな観光需要の確保につなげるため、高松港において受入施設の整備を進めてまいります。

高松空港については、四国の拠点空港として発展するよう、高松空港株式会社等と連携し、既存航空路線の利用促進や利便性向上に努めるとともに、タイやベトナムなどの東南アジアを中心とした新規航空路線の誘致に取り組みます。

四国の新幹線については、引き続き、四国各県や経済界、事業者等と連携し、四国一丸となって国や関係機関への要望や機運醸成に取り組むとともに、地域公共交通ネットワークの充実・強化については、ことでんの安全な運行を確保するため、安全輸送設備や車両の着実な更新を支援してまいります。

次に、「農林水産業の先進県へ」についてであります。

まず、農業の担い手の確保・育成については、これまでの取組みのほか、作業受託や機械の共同利用を行う農業支援グループの育成を図るとともに、新たに、兼業農家等の多様な農業人材の積極的な営農展開を支援する認定制度を創設するなど、幅広い担い手の確保・育成を進めてまいります。

農産物の安定供給に向けては、地球温暖化など気候変動の影響に対応した品種育成や、「おいでまい」、「さぬきの夢」等の県オリジナル品種の品質向上に取り組み、高品質な農産物の生産拡大を推進するとともに、持続可能で環境への負荷に配慮した環境にやさしい農業の推進、耕畜連携による自給飼料の確保などに取り組みます。

需要拡大に向けては、「さぬき讃シリーズ」や本県オリーブをはじめ、新たにレモンのブランド力の強化を図るほか、畜産物については、海外でニーズの高いオリーブ牛について、東アジアやアメリカに加え、オーストラリアなどの新たな輸出先国への戦略的な販路開拓に取り組みます。水産物については、本県の海面養殖に適した県産サーモン種苗の開発や、ハマチ人工種苗による養殖試験を進めるほか、本年4月に本格販売となるオリーブサーモンをはじめ、オリーブ水産物について、トップセールスや関係団体と連携したPR活動などにより販路拡大を図ってまいります。

生産性を高める基盤整備については、農地の最適利用の実現に向け、市町における将来の農地利用の姿を明確化した地域計画の策定を支援するとともに、水田機能の維持や遊休農地の再生利用などの取組みを支援してまいります。

また、近年、海水温の上昇や海の貧栄養化等により、瀬戸内海の海域環境が大きく変化し、漁獲量が減少していることから、豊かな海を取り戻すために、年度内の策定に向けて作業を進めている香川県栄養塩類管理計画の取組みのほか、海域の環境変化による水産資源への影響の把握や環境改善に向けた取組みなどを総合的に進めてまいります。

森林整備については、担い手を育成・確保するため、新たに農業大学校に「林業・造園緑化コース」を開設するとともに、県と市町等で構成する「かがわ森林整備担い手対策協議会」により林業の担い手対策に対する更なる支援を行ってまいります。

次に、「県産品の販路拡大」については、観光客や県内外の消費者に向け、SNSなどのデジタルメディアの効果的な活用により、香川の「食」の魅力発信に取り組むほか、大阪・関西万博の開催に向けて、大阪で期間限定のアンテナショップの開設や、外資系ホテル等のレストランでの「香川県フェア」の実施、「かがわ物産館 栗林庵」のリニューアル等により、情報発信を強化し、販路開拓や拡大に努めます。

このほか、大消費地である首都圏の百貨店やレストラン等でのフェアや、食材のプロモーションを実施するほか、海外においては、民間事業者と緊密に連携しながら、県産品の販路拡大、ブランド力の強化を図ってまいります。

次に、「あらゆる世代・人材で香川の産業を支える」についてであります。

県内企業の人材確保に向け、「ワークサポートかがわ」において、きめ細かなマッチング支援を行うほか、学生や若者の興味・関心が高い業界の県内企業等を掲載した冊子を作成するなど、県内企業の情報や魅力を効果的に発信するとともに、就職支援サイト「ワクサポかがわ」を活用して、企業の採用活動を支援してまいります。

外国人材の受入れ支援につきましては、「ワークサポートかがわ」に専任のコーディネーターを配置し、高度外国人材等と県内企業とのマッチングを行うとともに、ベトナムのハノイ工科大学と連携し、日本での就職を希望する大学の学生を対象とした日本語教育及び本県や県内企業の魅力などの情報発信を行う講座を大学に開設するなど、県内企業の高度外国人材等の人材確保を支援します。さらに、デジタル人材の確保を図るため、デジタル分野に特化したマッチングイベントを開催するとともに、「ワクサポかがわ」のシステム改修を行い、デジタル人材を求める企業と求職者との効果的なマッチングを図ってまいります。

次に、「グリーン社会の実現」についてであります。

地球温暖化対策については、昨年策定した「香川県地域脱炭素ロードマップ」に沿って、各市町や企業、団体等と より一層の連携を図りながら、脱炭素社会に向けた取組みを着実に推進してまいります。

来年度は、ZEH(ゼッチ)(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に対する補助枠を拡充するとともに、新たに既築住宅の断熱改修に対する補助制度を創設するなど、補助制度の充実を図り、住宅の脱炭素化を促進してまいります。また、金融機関等と連携して事業者の脱炭素経営を引き続き支援するとともに、本庁舎や警察本部庁舎などの照明設備のLED化を図るなど、県有施設の脱炭素化を積極的に進めてまいります。

加えて、持続可能な循環型社会の形成に向けて、県民の皆様や事業者への3R(スリーアール)の普及啓発を行うとともに、特に、プラスチックごみのリサイクルを推進するため、事業者が先導的な事業を実施する際の経費助成や、市町等を対象としたセミナーの開催などに取り組んでまいります。

次に、「デジタル社会を形成する」についてであります。

本県が抱える課題を解決し、イノベーションの創出を図るためには、あらゆる分野においてデジタル技術とデータを効果的に活用するデジタル社会に変革させていく必要があります。

このため、県と市町、民間事業者による官民共創の場「かがわDX Lab(ラボ)」において、新たなサービスの企画、実証に積極的に取り組むとともに、デジタル技術を活かした県内企業のイノベーションを推進するため、「Setouchi-i-Base」において、新規事業の推進や革新的なテクノロジーについて学ぶ機会を提供してまいります。

また、行政サービスの向上や行政運営の効率化を図るため、職員のデジタルリテラシーの向上や、DXを主体的に推進することができるデジタル人材の育成を進めるとともに、生成AI等を活用し、庁内業務の効率化を図ってまいります。

(3)にぎわい100計画

第3は、「にぎわい100計画」についてであります。

まず、「観光客2割UPを目指して」については、今年3月に、瀬戸内海国立公園指定90周年を迎えるとともに、来年4月には大阪・関西万博の開催が控えていることから、こうしたタイミングを好機と捉え、「瀬戸内海」「アート」「遍路」等を中心とした旅行商品の造成やプロモーション活動等を進め、県内観光の一層の発展に取り組んでまいります。

情報発信については、瀬戸内海の島を舞台とした映画とタイアップした観光プロモーションや、県民・旅行者に県内の魅力や感動をSNSに投稿していただくキャンペーンなどにより、本県の認知度向上を図ってまいります。

誘客促進については、OTA事業者との連携による戦略的な観光プロモーションや大手旅行会社との連携による周遊・滞在型の商品造成・流通支援を行うほか、他県と連携し、四国及び瀬戸内全体とした効果的な情報発信や広域周遊型の商品造成を進めてまいります。また、本県を訪れるサイクリストに向けた休憩所のサイクルスタンド等の整備を進めるなど、一層の誘客促進に取り組んでまいります。

加えて、引き続き、民間事業者等が実施する観光客の継続的な来訪や長期滞在を促進するためのイベント、コンテンツ造成に対して支援するほか、島でのお手伝いやクルージングが体験できるキャンペーンを実施し、島を含め県内での滞在促進を図ってまいります。

外国人観光客については、引き続き、高松空港の定期路線就航先である台湾や韓国などを中心に誘客活動に取り組むとともに、将来の定期便化を見据え、タイやベトナムなど東南アジア地域からの誘客に向けて積極的に情報発信に努めます。また、大阪・関西万博などの国際的なイベントの開催を見据え、SNSや万博ポータルサイト等を活用し、欧米豪市場からのインバウンドに向けた継続的、戦略的な情報発信・誘客促進に取り組んでまいります。

次に、「まち全体の美化推進」については、県有の文化・交流施設等をはじめ、観光施設等のトイレ洋式化を一層進めるとともに、外国人観光客に安心して県内を観光していただくため、JR高松駅の新駅ビル内にリニューアル移転する多言語対応が可能な観光案内所の運営や、観光事業者等に対する多言語通訳サービスの提供など、旅行者目線に立った利便性の高い受入環境の整備、充実に努めてまいります。

また、本県の地域資源を活用したにぎわいづくりを進めるため、園芸総合センターを通称「さぬきフラワーガーデン」として、来園者が四季折々の花を楽しむことができる施設にリニューアルするとともに、公渕森林公園については、遊歩道「やすらぎの小径(こみち)」の整備や桜並木の更新整備などを、琴林公園については、多目的利用が可能で休憩所としても利用できるパークレットやドッグランの整備、キャンプエリアの設備整備などを行い、県内外から幅広い世代が集まり、楽しめるよう、地域資源の魅力向上・活性化に取り組んでまいります。

次に、「文化芸術、スポーツの振興による地域活性化」のうち、文化芸術の振興については、「アート県かがわ」の魅力をより一層高めるため、文化振興、観光振興、地域活性化の好循環を創出できるよう、文化観光を推進する中核拠点として県立ミュージアムの機能強化を図るとともに、四国遍路の世界遺産登録に向けて、四国4県や経済団体等と連携し、札所寺院や遍路道などの保護措置の充実と、より一層の機運醸成に取り組んでまいります。

また、瀬戸内国際芸術祭2025の開催に向けては、アート作品の制作やイベントの企画、交通対策や案内所などの受入れ態勢の整備を進めるとともに、国内外への広報活動を強化するなど、着実に準備を進めてまいります。

さらに、「香川県文化財保存活用基金条例」を新たに制定し、企業版ふるさと納税制度などを活用して指定文化財の保存・修理を支援することにより、文化財の保存と、地域活性化や観光等の分野への活用を推進してまいります。

次に、スポーツの振興については、国民スポーツ大会などの各種競技スポーツ大会で活躍している本県選手・団体の情報を積極的に発信する応援サイトを開設することで、競技スポーツへの関心を高めてまいります。また、本県で新たにフルマラソン大会を開催し、本県のスポーツ振興や競技力向上を図るとともに、地域資源の魅力を県内外に発信し、
にぎわいの創出や交流人口の拡大につなげるため、開催に向けて検討準備を進めてまいります。

このほか、瀬戸内海国立公園指定90周年を契機として、瀬戸内海のすばらしさを守り、広め、伝える各種の記念事業に取り組みます。

具体的には、記念シンポジウムによる瀬戸内海の環境保全意識の醸成に加え、記念花火大会や瀬戸内海を素材にしたコンサート、食、歴史や文化、アートなどのイベントによるにぎわいづくりなどを進めるとともに、県内各市町や岡山県の記念事業とも連携しながら、一体となって機運を盛り上げてまいります。

また、来年4月に開幕する大阪・関西万博については、本県の認知度向上や活性化につながる大きなチャンスと考えており、瀬戸内国際芸術祭2025の開催や県立アリーナの開館と相乗効果が発揮できるよう、情報発信と交流拡大の2つに力点を置いて準備を進めてまいります。

東京讃岐会館を含む三田小山町(みたこやまちょう)西地区の市街地再開発事業につきましては、県議会での御議論を踏まえながら、今年度実施したマーケットサウンディングによる民間事業者からの御意見なども参考にしつつ、引き続き、県が取得する権利床(けんりしょう)の運営等に関する検討を進めていきたいと考えております。

4 令和6年度当初予算額等

以上、御説明しました内容により編成した令和6年度当初予算案は、一般会計の総額で、4,866億700万円となり、特別会計は、国民健康保険事業など16の特別会計で、総額2,917億1,600万円余、病院事業会計は、収益的支出が309億1,100万円余、資本的支出が34億3,200万円余、流域下水道事業会計は、収益的支出が22億1,300万円余、資本的支出が16億1,200万円余となっています。

そのほか、予算外議案として御提案申し上げております議案は、文化財の計画的な保存活用を進めるための新たな基金の設置を定める「香川県文化財保存活用基金条例議案」の新規制定の条例が1議案、「香川県使用料、手数料条例の一部を改正する条例議案」など一部改正の条例が21議案、そのほか、「香川県行政経営指針-2024-の策定」などが21議案、合わせて43議案であります。

以上、令和6年度当初予算関係議案の概要等について御説明いたしましたが、議員の皆様方におかれましては、御審議の上、よろしく御議決賜りますようお願い申し上げまして、私の説明を終わります。

このページに関するお問い合わせ

政策部予算課

電話:087-832-3034

FAX:087-806-0234