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公開日:2020年12月10日

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堆肥について

堆肥のメリット
メリット 説明
1.使用者にとって取り扱い易い良質な有機質肥料資源 汚物感や悪臭をなくし、病原菌や寄生虫なども死滅させる
2.土壌や作物にとって良質な有機質肥料資源 有機物を十分に腐熟させ、有害物質や雑草の種子などを分解・死滅させ、肥料成分をほどよく含む有機質肥料
3.有機資源リサイクルによって資源循環型社会に貢献 省資源・省エネルギー
広く流通利用が可能

 

生ふんから堆肥への変化

堆肥化の基本条件

堆肥化の主役は好気性微生物であるから、その微生物の活動を活発にする適正な環境条件を整える必要がある。

堆肥化のポイント(藤原)
条件 目安
炭素率 材料の炭素率(炭素と窒素の混合比)が重要であり、30~40が最適。家畜糞は、炭素率が低いので、稲わら、麦稈など炭素率が高いものと併せて使用する。
水分 水分含量は、55~60%が最適であり、水分がやや高い時は、孔隙ができるようかるく堆積し、水分が低い時は、十分踏み込んで堆積する。また、水分を低下させるためには、おがくずなどの水分調節剤を用いるのも良い。
堆積場所 しぼり水が排水できるよう工夫し、空気の流通も配慮する。また、直射日光があたらないようにする。
堆積規模 5~6立方メートルていどがよい。これ以上の規模で堆積するときは、強制通気をするか麦稈やカヤのような孔隙の多い資材を使い空気の流通を良くする必要がある。
醗酵温度 70℃ていどが良く、均一な腐熱を進めるためにも切り返しにより、温度管理を行う。
その他 米ぬか、鶏糞や落ち葉を少量混合すると初期の微生物活性が盛んになる。また、完熟したたい肥を少量混合してやると優良な微生物の持ち込みに役立つ。なお、一次醗酵だけでなく、二次醗酵による後熟を行う。後熟は、1~2立方メートルていどの小さな規模が適しており、一度に畑に使う量を堆積しておけばよい。

堆きゅう肥の施用上の注意及び有機物施用のめやす

  1. 有機物の施用は、地力維持、農作物の生産安定に欠かせないものですが、家畜糞や堆きゅう肥は養分含量が高く、多肥すると多量の養分が施用されることとなり、養分が集積し、窒素、りん酸が過多となるので、注意が必要。
  2. たい肥は、その材料により、肥効が異なるため、施用にあたっては注意が必要。鶏糞は成分含量が高く、牛ふんは低い。また、鶏糞は、炭素率が5~9と低いため、比較的速効性ですが、土壌中に有機物があまり残りません。

これらのことから、たい肥等の施用にあたっては、施用する肥料の一部を代替できるものと考えて、肥効率に応じて施肥を減肥する必要が考えられます。また、有機物の効果についても、一作のみの施用効果をみて連用すると養分集積等になるので、連用効果を見込んで毎年施用する場合などは、土壌診断に基づいて適正に施用することが大切です。

連用を前提とした野菜に対する家畜糞尿の施用基準(湯村,1983)(t/10a)
野菜の
種類
牛糞 乾燥牛糞
*
おがくず
牛糞
堆肥
*
豚糞 乾燥
豚糞
*
おがくず
豚糞
堆肥
*
乾燥
鶏糞
*
おがくず
鶏糞
堆肥
*
少肥型 2.0~4.0 0.4~0.8 1.0~2.0 1.0~2.0 0.3~0.4 1.0~2.0 0.2~0.3 0.4~1.0
中肥型 3.0~5.0 0.6~1.2 1.3~2.5 1.3~2.5 0.4~0.6 1.2~2.5 0.3~0.4 0.6~1.5
多肥型 4.0~6.0 0.8~1.5 2.0~4.0 2.0~4.0 0.5~0.8 1.7~3.5 0.4~0.5 1.0~2.0
  • 注.(1)化学肥料施用量は基準量の30%減とする。ただし*の材質では多い側の量を施用するときには、K2Oを60%減とする。
  • (2)少肥型:ダイコン、サトイモ、ジャガイモ、ホウレンソウなど(N,K2O基準量20kg/10a以下の場合)
    中肥型:ショウガ、キャベツ、レタス、トマト、スイカなど(N,K2O基準量25kg/10a前後の場合)
    多肥型:ナス、ピーマン、キュウリなど(N,K2O基準量30~35kg/10aの場合)
  • (3)施設栽培では鶏糞類、豚糞類は上記の1/2、牛糞類は2/3とする。特に周年施設では土壌診断の結果等を参考にして、養分の均衡を保つよう化学肥料の減施、資材の種類変更などを行う。
家畜糞尿と処理物の肥料成分含有率(平均)(現物%)
糞尿の種類 水分 N P2O5 K2O CaO MgO
鶏糞
発酵
乾燥
65.4
61.5
12.5
1.66
1.40
3.78
2.92
2.58
4.59
1.79
1.15
2.03
5.60
2.55
8.30
0.87
0.24
1.29
豚糞
発酵
76.6
41.6
0.63
1.64
0.92
2.83
0.28
1.05
0.85
-
0.26
-
牛糞
発酵
乾燥
81.9
72.8
31.2
0.43
0.67
1.11
0.38
0.60
1.72
0.29
0.85
1.23
0.45
0.63
-
0.18
0.23
-
牛尿 - 0.47 0.14 1.32 - -
牛糞尿(混合) 90.0 0.36 0.19 0.44 0.23 0.12

(農林水産技術会議収集資料1974)

たい肥等有機物を施用して土づくりをすると!

有機物の施用が作物育成に及ぼす効果としては、有機物に含まれる養分の供給による直接的な効果と、土壌の性質を変えて間接的に植物の育成に寄与する効果の二つに大別されます。
土壌の物理性、化学性、生物性の改善に大きな効果があります。

  1. たい肥の養分は、徐々に分解され無機化されて植物に利用されます。とくに作物の生育後半にはこのような有機物から供給される養分の効果が大きいのです。
  2. たい肥などの施用により、土壌中に有機物が多くなると土壌は柔らかく耕起が楽になります。また土壌が団粒構造になるため、通気性や保水性が良くなります。
  3. たい肥などの有機物は、土壌中で微生物のエネルギーなどにもなるので、土壌中の微生物は増加します。

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