令和6年度県立病院事業の概要

1経営状況

（1）収益
令和6年度の病院事業全体の収益は27,710,114千円で、前年度と比較すると5,755千円増加（対前年度比+0.0％）しました。これは、中央病院において、効率的な病床運用を行ったことにより入院患者が増加したことや、かかりつけ医との機能分化が促進された結果、高度医療・先進的医療を必要とする患者の割合が相対的に増加したことにより入院診療単価が増加したことから、コロナ前の令和元年度決算を上回った令和5年度を超える医業収益となったものの、コロナ病床確保補助金がなくなったことにより医業外収益が減少したことから全体として微増となったものです。
（2）費用
令和6年度の病院事業全体の費用は30,355,736千円で、前年度と比較すると785,847千円増加（対前年度比+2.7％）しました。これは、人事委員会勧告などに伴う給与費の増加、物価高騰などに伴う材料費の増加、人件費上昇・物価高騰などに伴う委託料の増加などの要因により増加したものです。
（3）純損益
上記の結果、令和6年度は、病院事業全体で2,645,622千円の純損失が生じました。この結果、令和6年度末における累積欠損金は、5,755,984千円となりました。

2利用状況

入院患者は延199,894人（1日平均548人）、外来患者は延318,741人（1日平均1,311人）、合計518,635人で、前年度と比較すると入院患者は2,954人増加（対前年度比+1.5％）し、外来患者は3,026人減少（対前年度比△0.9％）しました。

3経営方針と主な取組み

今後も、人件費や物価の上昇のほか、中央病院の移転新築等に伴う企業債の償還や、中長期的な視点に立った医療器械の更新等整備による資金需要の増加など、経営を取り巻く環境は厳しい状況が続くことが予想されますが、引き続き、経営改善に取り組み、県民から求められる質の高い医療を安定的に提供できるよう努めてまいります。
令和6年度においては、次のようなことに取り組みました。

（1）良質な医療サービスの提供
中央病院において、患者サポートセンターを活用した地域医療連携の更なる充実など、医療サービスの向上に取り組みました。丸亀病院においては、送迎サービスの開始により、デイケアの充実を図るなど、医療サービスの向上に取り組みました。白鳥病院においては、地域包括ケア病床の積極的な運用に努める等、地域の特性に応じた医療サービスの提供に取り組みました。
（2）医療人材の確保・育成
医師の確保・育成のため、関連大学との連携強化や研修・研究の充実に努めるとともに、看護師の確保・育成のため、感染対策のための行動制限がある看護学生も参加できるよう、県立病院説明会をWebと対面の同時（ハイブリッド）開催とするなど利便性に配慮した採用活動を行いました。
また、勤務環境等の改善・充実のため、医師や看護師の補助者を適正に配置するなど、負担軽減に努めました。
（3）感染症・災害等への対応力の強化
中央病院においては、DMAT隊員の育成・研修を行い、災害急性期の機動的対応能力の強化に努めました。
また、新型コロナウイルス感染症の患者について、各病院において引き続き入院、転院等の対応を行いました。
（4）安定的な病院経営の確立
中央病院においては、引き続き診療材料の共同購入や後発医薬品の採用により、材料費の適正化及び節減に努めるとともに、病床運用・病床配分の見直しにより、病床稼働率の向上に伴う収益の増加を図りました。丸亀病院においては、引き続きデイケア、訪問看護の実施により、患者数の確保に努めました。白鳥病院においては、地域包括ケア病床の積極的な運用により、収益の確保に努めました。
また、病院局においては、病院事業管理者や各院長等からなる「経営会議」を四半期に1回開催し、経営状況を迅速に把握・分析し、機動的な対応に努めました。さらに、外部の有識者からなる県立病院経営評価委員会を開催し、経営改善の取組みの進捗状況等への外部評価を実施しました。

4施設の整備

中央病院においては、エスカレーター・エレベーター耐震改修工事を行いました。

5医療器械等の整備

高度医療・先進的医療の提供を推進するため、中央病院において、手術支援ロボット装置やハイブリッド手術装置等の整備、丸亀病院において、全自動錠剤分包機の整備、白鳥病院において、多目的血管撮影装置システム等を整備するなど、各県立病院の機能や特性に応じた医療器械等の整備を計画的に行いました。