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公開日:2023年12月14日

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森林・林業・木材産業施策の一層の推進を求める意見書

 森林・林業・木材産業を巡っては、人工林資源が本格的な利用期を迎える中、国産材の供給量が拡大し、林業産出額や林業従事者給与も増加するなど良い流れが生まれており、本県においても、ヒノキをはじめとした県産木材が柱材として利用できる時期を迎えている。
 一方、2050年カーボンニュートラル実現に向けて、我が国最大の吸収源として森林・木材の最大限の貢献が求められるとともに、近年、全国で大規模な山地災害が頻発している。
 また、一昨年来のいわゆるウッドショックによる影響や引き続く円安やロシアによるウクライナ侵攻など、木材需給の不透明さが一層増している状況下では、経済安全保障の観点からも海外情勢の影響を受けにくい木材の需給構造を早急に構築することが必要である。
 このような中、本県では、令和6年4月から森林環境譲与税を活用して、市町と連携した森林整備の担い手育成・確保に取り組むほか、常設の林業教育機関を開設することとしているが、森林環境譲与税については、現在、国において、私有林人工林面積による配分割合を高める方向で見直しが検討されており、県及び市町における森林整備等の今後の取組に、大きな影響が生じないか懸念されている。
 よって、国においては、次の措置を講じるよう強く求める。

1 間伐や主伐後の再造林の着実な実施、林道をはじめとする路網整備、病虫獣害対策等に必要な予算を十分に確保すること。また、荒廃山地の復旧対策はもとより、山腹崩壊・流木・土石流対策等の事前防災・減災対策を一層推進するため、治山対策の予算を十分に確保すること。

2 森林環境譲与税については、譲与基準の見直しが検討されているが、見直しに当たっては、森林整備をはじめとする必要な施策の推進につながるよう、慎重に検討すること。

3 森林経営管理制度による市町の森林整備を促進するため、市町林務職員の育成・確保を図る仕組みの確立、「地域林政アドバイザー制度」等の活用に係る市町の意向と人材のマッチング等、「森林経営管理法」、「森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律」に対する附帯決議の具体化を図るとともに、地方財政措置の拡充等必要な予算を確保すること。さらには、「2050年カーボンニュートラル」に係る森林分野での施策の拡充を図ること。

4 高性能林業機械、花粉の少ない苗木生産、森林資源情報など生産基盤の整備、木材加工流通施設の整備、製材やCLT等の木材利用の促進による国産材の需要拡大など、国産材の安定的かつ持続的な供給体制の強化に向け、採択要件の緩和や予算の増額など川上から川下までを通した総合的な対策を強力に推進すること。

5 伐採から再造林・保育に至る収支をプラス転換する「新しい林業」の実現に向け、エリートツリー等の生産拡大、レーザー計測等の活用による森林情報の精度向上・高度利用、林業機械の自動化・遠隔操作化技術や木質系新素材の開発・実証、さらには、地域一体となって林業活動にデジタル技術をフル活用する取組を支援するなど、林業のデジタル化とイノベーションを積極的に推進すること。

6 「緑の雇用」事業等による林業従事者の育成・確保や労働安全対策の強化等の取組を一層推進するとともに、造林に係る林業経営体の新規立ち上げへの支援や林業高校・林業大学校等における人材育成への支援など、多様な担い手の育成・確保の取組を推進すること。

 以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。

令和5年12月14日
香川県議会

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