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政府はこれまで、婚姻による改姓に伴う不都合や不便の解消を図るため、旧姓(婚姻前の姓)の通称使用の拡大に取り組んできた。その結果、現在では、住民票やマイナンバーカード、運転免許証、パスポート、不動産登記、商業・法人登記関係、特許庁関係手続など、あらゆる公的証明、手続きにおいて、旧姓の併記が可能となっている。
また、かねて指摘されていた銀行口座開設やクレジットカード作成、契約締結における改姓に伴う不都合や不便についても、企業努力を残すのみという状況である。
こうした中、改姓に伴う不都合や不便を理由とした選択的夫婦別姓制度の導入をめぐる世論は大きく変化している。
これまでの世論調査では、選択的夫婦別姓制度への賛否を問う2択の設問に対し賛成の回答が多かった。しかし、ここ最近の世論調査では、賛否に加えて「同氏制度を維持する
とともに通称使用をさらに拡大すること」という選択肢が設問に追加された結果、賛成を圧倒的に上回り、約7割の回答が「通称使用拡大」と「選択的夫婦別姓制度反対」となっている。
こうした世論の変化の背景には、選択的夫婦別姓制度により親子別姓・家族別姓が強制され子どもに好ましくない影響を及ぼすことへの懸念や、導入により生じる関連法案改正の立法コスト、経過措置期間における姓の選び直しがもたらす社会の混乱、全国民からの家族名消失、氏の決まらない子どもの家事事件増加、世界でも類を見ない戸籍制度の破壊につながる懸念等が、広く認識されるようになったことが挙げられる。
他方で、昨年6月18日に日本経済団体連合会が行った選択的夫婦別姓制度導入の提言内容では、制度導入の根拠として改姓によるトラブルが記載されていた。しかし、そのトラブルは、すでに通称使用の拡大によって解決済みであったことからもわかるように、政府による通称使用の拡大の取組は、いまだ国民に広く認識されているとは言い難い。
よって、国においては、旧姓の通称使用拡大推進に関する法律を制定し、官民におけるさらなる通称使用拡大を推進するとともに、国民へ周知徹底することを強く求める。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年3月19日
香川県議会
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