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市販薬をはじめとする医薬品について、所定の用法・用量を守らず過剰摂取する、いわゆるオーバードーズが若年層の間に急速に増加しており、重大な社会問題となりつつある。
令和4年の国立精神・神経医療研究センターの調査によると、全国の精神科医療施設で薬物依存症の治療を受けた10代の患者のうち、市販薬の使用が全体の65.2%を占め、平成24年の25%から急速に拡大しており、大麻や危険ドラッグよりもはるかに多く、極めて憂慮すべき状況となっている。
市販薬は違法薬物とは異なり、容易に入手でき、所持することは法令に抵触しないことから、濫用が発見されにくいという現実がある一方で、催幻覚作用、痙攣のような症状から、時には死に至るような不整脈を引き起こす可能性があり、健康被害は違法薬物よりも深刻になる場合もある。
よって、国においては、このような薬物依存による健康被害から若者を守るために、下記の事項について特段の取組を進めるよう強く要望する。
記
1 若者による濫用等のおそれのある医薬品の販売について、薬剤師等の専門家による情報提供を必須として、その含有成分に応じて販売する容量を適切に制限したり、対面かオンライン通話に限定するなどの対策を講じること。
2 濫用等のおそれのある医薬品の指定を的確に進め、身分証による氏名・年齢確認を行い、頻回購入による過剰摂取や転売を防止するために、販売記録等が確認できる環境の整備を検討すること。
3 若者がオーバードーズに陥る背景には、社会的孤立や生きづらさが指摘されており、若者の居場所づくりをはじめ、適切な相談窓口等を整備するための施策を推進すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年3月19日
香川県議会
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