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昨今、自然災害が激甚化・頻発化する中、多くの被災者が避難所での厳しい生活を長期間送るケースが増えている。避難所は、水や食料、トイレや冷暖房などの設置が不十分であったり、狭い空間での生活を強いられることなど、避難生活の質には課題が多いのが現状である。加えて、災害発生による精神的ショックやストレス、避難生活下での持病の悪化、感染症の蔓延、エコノミークラス症候群の発症などで死に至る災害関連死が多数発生している。
能登半島地震における直接死も含めた死者は616人(令和7年6月20日現在)。そのうち、災害関連死は388人となり、家屋倒壊などによる直接死の228人を上回っている。石川県内の自治体にはさらに240人余りの遺族から災害関連死と認定するよう申請が出されており、能登半島地震の死者は今後も増える可能性がある。
内閣府は、災害関連死を防ぐためには、避難所の環境改善は喫緊の課題であることから、昨年12月、被災者の権利保護と被災者支援の最低基準を定めた国際基準である「スフィア基準」等を踏まえ、トイレ数や一人当たりの生活空間面積などを示したガイドライン「避難生活における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」(以下「指針」という。)を改定した。
自治体には、指針に具体的な数値が盛り込まれたことにより、さらなる避難所の開設や、物資の備蓄等が求められるが、人員や予算などの事情により地域格差が生じる懸念がある。
よって、国においては、各自治体が新たな指針に沿った避難所が開設できるよう総点検した上で、環境改善を図るための必要な支援が行えるように、下記の事項に取り組むよう強く要望する。
記
1 自治体に対しては、指針に沿った避難所の開設や、トイレ、キッチン、ベッド等の避難所の生活環境に資する物資等の備蓄及び整備をはじめ、避難所となる学校等のバリアフリー化やトイレの洋式化を進めるための整備に対して支援すること。
2 これまでの大規模災害におけるトイレやシャワー等に関する事情を十分に踏まえ、衛生面に配慮した簡易トイレやマンホールトイレ等の整備及び普及に対して継続的に支援するとともに、災害時の水環境を考慮し、水循環式のシャワー等の導入に対する支援を行うこと。
3 一般避難所への避難が困難な方のための福祉避難所の充実に向けた資機材や福祉人材の確保などを推進する自治体の取組を支援すること。
4 「災害関連死」に対する迅速な審査ができるよう、審査会の設置に関する規定を定めた条例制定の推進に向けた自治体への助言を行うこと。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年7月8日
香川県議会
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