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令和6年度の介護報酬改定において、訪問介護の基本報酬が引き下げられた。東京商工リサーチによると、令和7年上半期の訪問介護事業者の倒産が45件、前年同期から12.5%増加し、2年連続で過去最多を更新したが、これまでの小規模・零細事業者に加え、中小・中堅事業者にも倒産が広がっており、状況は深刻化している。本県においても、倒産には至らないものの、休止や廃止となる事業所があり、報酬の引き下げ改定に加え、人材不足や昨今の物価高騰等の影響もあって、より厳しい経営を強いられている。
厚生労働省は、令和7年5月に中山間地域等に係る加算の取得要件の弾力化を行ったところであるが、その他の地域であっても、地方では過疎化が進み、点在する高齢者宅へサービスを提供するための移動に時間を要する状況となっている。
このままでは、高齢者の「介護が必要になっても、できる限り現在の住まいや地域に住み続けたい」という希望を叶えるために不可欠な訪問介護サービスを受けられなくなるおそれがある。介護は人間の尊厳を支える公共サービスであり、制度の後退は許されない。
「経済財政運営と改革の基本方針2025」において、物価高への対応や賃上げの実現、経営の安定、離職防止、人材確保を図るための、介護報酬等の公定価格の引き上げが明記されたことは一定評価でき、今後の予算編成において確実に実行されるよう強く要望するものであるが、同時に現下の窮状に対応する必要がある。
よって、国においては、以下の事項を速やかに実施するよう強く求める。
記
1 訪問介護の基本報酬引き下げによる影響等を調査し、必要な見直しを行うとともに、地域の実態を踏まえ、事業継続に向けた緊急的な財政支援を講じること。
2 報酬改定に当たっては、物価や賃金の上昇に応じて適切に介護報酬をスライドさせる恒常的な仕組みを導入すること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年10月14日
香川県議会
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