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医療機関や介護施設等は、最も重要な社会インフラの1つであり、近年の社会経済情勢の変化に対応して安定した運営を継続できることは、大変重要である。
ところが、これらの運営基盤は、民間企業と異なり、診療報酬や介護報酬などのいわゆる公定価格が収入のベースとなっており、医療機関や介護施設等では、価格転嫁による対応ができず、昨今の人件費や物価高騰により生じる急激な支出の増加については、施設等が負担せざるを得ない状況であり、令和7年11月に厚生労働省が公表した医療経済実態調査の結果においても、7割の病院が赤字経営を強いられている。
さらに、医療・介護の現場においては、高待遇の他職種に人材が流出するなど離職防止への対応が急務となっており、医療機関・介護施設等の経営は厳しさを増している。
医療・介護の業界における収支の改善が図られなければ、医療・介護資源の減少を招き、我が国が誇る国民皆保険制度や介護保険制度を維持することが難しくなることが懸念される。
また、重要な観点として、高いスキルをもって日夜県民の健康や生命を支えている医療従事者・介護従事者が不安なく日々の業務に精励できる環境が十分に維持されなければならない。
一方で、医療費の増加による現役世代の保険料負担が限界に達しているとの社会課題にも対応する必要がある。
県民が将来への不安を感じることなく、安心して住み慣れた地域で、良質な医療・介護サービス等が受けられる体制を持続していくには、医療機関・介護施設等が安定して運営されるよう、財源の確保を図ることが必要である。
よって、国においては、「賃上げこそが成長戦略の要」との方針の下、診療報酬・介護報酬の改定に当たり、保険料負担の抑制に配慮しながら、物価・賃金の上昇に適応する仕組みの導入、国による支援制度の拡充等、医療・介護関係従事者の適正な給与の引上げによる処遇改善と地域経済の底上げに向けた取組を強力に推進されるよう強く要望する。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
令和7年12月11日
香川県議会
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