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公開日:2016年1月19日

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平成28年1月19日 答申第517号(香川県情報公開審査会答申)

平成28年1月19日(答申第517号)

答申

第1 香川県情報公開審査会(以下「審査会」という。)の結論

香川県監査委員(以下「実施機関」という。)が行った非公開決定(以下「本件処分1」という。)は妥当である。
また、実施機関が一部公開決定(以下「本件処分2」という。)により非公開とした部分のうち、別表2の「公開すべき部分」に掲げる部分については、公開すべきである。

第2 異議申立てに至る経過

1 行政文書の公開請求

異議申立人は、平成27年5月12日付けで、香川県情報公開条例(平成12年香川県条例第54号。以下「条例」という。)第5条の規定により、実施機関に対し、次の内容の行政文書の公開請求(以下「本件公開請求」という。)を行った。

  • (1)香川県監査委員が地方自治法の規定に基づき平成27年5月12日に公表した香川県議会議員の政務活動費に関する住民監査請求についての監査結果報告書類の(a)起案文書、(b)報告書原本、(c)当該住民監査請求書及びそれに添付された事実証明書の各全部
  • (2)上記(1)記載の住民監査請求に係る監査の実施のために取得し及び作成した一切の文書
  • (3)上記(1)記載の住民監査請求に関して、地方自治法に規定する公表以前に報道機関その他の者に平成27年5月11日に発表した際の一切の文書その他の資料及び当該発表のできる根拠の分かる一切の文書(平成27年5月12日付朝日新聞は「県監査委員事務局は、11日、(中略)発表した」としている)

2 実施機関の決定

実施機関は、公開請求のあった行政文書として、住民監査請求に係る調査について(平成27年2月17日付け県議会議員の政務活動費の返還請求を怠る事実に係る住民監査請求)(平成27年3月23日付け起案文書)、住民監査請求に対する監査結果~平成25年度政務活動費の支出に係る住民監査請求について、一部却下、一部棄却~(平成27年5月8日付け起案文書)を特定して公開決定を行い、平成27年6月25日付けで異議申立人に通知した。また、香川県監査委員が地方自治法の規定に基づき平成27年5月12日に公表した香川県議会議員の政務活動費に関する住民監査請求に対する監査結果について、地方自治法に規定する公表以前に報道機関その他の者に平成27年5月11日に発表したことに関し当該発表のできる根拠の分かる一切の文書(以下「本件行政文書1」という。)について、公開請求があった行政文書が不存在として本件処分1を行うとともに、次に掲げる行政文書を特定し、別表1の「公開しない部分」が「公開しない理由」に該当するとして本件処分2を行い、平成27年6月25日付けで異議申立人に通知した。

  • (1)住民監査請求に基づく監査結果について(平成27年2月17日提出政務活動費に係る住民監査請求)(平成27年5月7日付け起案文書)(以下「本件行政文書2」という。)
  • (2)住民監査請求書(平成27年2月17日付け及び平成27年3月17日付け)(以下「本件行政文書3」という。)
  • (3)住民監査請求書の補正について(平成27年2月17日付け県議会議員の政務活動費の返還請求を怠る事実)(平成27年2月24日付け起案文書)(以下「本件行政文書4」という。)
  • (4)住民監査請求に係る監査の実施及び請求人の証拠の提出及び陳述について(平成27年2月17日付け県議会議員の政務活動費の返還請求を怠る事実に係る住民監査請求)(平成27年3月20日付け起案文書)(以下「本件行政文書5」という。)
  • (5)住民監査請求に係る陳述の機会の出欠について(平成27年3月24日付け)(以下「本件行政文書6」という。)
  • (6)陳述の委任状(平成27年3月24日付け)(以下「本件行政文書7」という。)
  • (7)住民監査請求(平成27年2月17日付け)に係る調査について(平成27年3月30日付け26議会第659号香川県議会議長から香川県監査委員あて文書)(以下「本件行政文書8」という。)
  • (8)住民監査請求(平成27年2月17日付け)に係る調査について(平成27年3月30日付け26議会第659号議会事務局長から監査委員事務局長あて文書)(以下「本件行政文書9」という。)
  • (9)住民監査請求に係る陳述の聴取記録作成業務の委託について(平成27年4月3日付け起案文書)(以下「本件行政文書10」という。)
  • (10)陳述の聴取記録作成業務委託契約について(平成27年4月3日付け執行伺書)(以下「本件行政文書11」という。)
  • (11)住民監査請求に係る陳述の聴取記録作成について(平成27年4月13日付け起案文書)(以下「本件行政文書12」という。)
  • (12)陳述の聴取記録作成業務委託契約について(平成27年4月17日付け支出命令書)(以下「本件行政文書13」という。)
  • (13)平成25年度政務活動費収支報告書等修正届について(平成27年4月28日付け27議会第60号)(以下「本件行政文書14」という。)

3 異議申立て

異議申立人は、本件処分1及び2を不服として、平成27年7月2日付けで、行政不服審査法(昭和37年法律第160号)第6条の規定により実施機関に対して異議申立てを行った。

第3 異議申立ての内容

1 異議申立ての趣旨

「本件処分1及び2を取り消すとの決定を求める。」というものである。

2 異議申立ての理由

異議申立書において主張している理由は、次のとおりである。

  • (1)本件処分1及び2は、条例の解釈適用を誤った違法な処分であるから、当該処分を取り消し、全部を公開する必要がある。
  • (2)本件決定通知書記載の「公開しない理由」記載の主張は、誤りである。いずれも、条例に規定する非公開事由に該当しない。

第4 実施機関の説明の要旨

非公開理由等説明書による説明は次のとおりである。

1 非公開条項の該当性

  • (1)住民監査請求に対する監査結果の報道機関への資料提供については、法令に基づき行ったものではなく、本件行政文書1は、存在しない。
  • (2)本件行政文書2に記載された請求人の住所(県報により既に公開されている部分を除く。)は、個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができるものであり、条例第7条第1号本文に該当し、同号ただし書のいずれにも該当しない。
  • (3)本件行政文書3の非公開条項の該当性は、次のとおりである。
    • ア 請求人の住所(公開する部分を除く。)、印影及び職業は、上記(2)と同じ理由により、条例第7条第1号本文に該当し、同号ただし書のいずれにも該当しない。
    • イ 事実証明書1、事実証明書2及び事実証明書3のうち、情報提供元が記載された部分は、当該情報提供元が公表されるということになれば、将来の監査請求人への情報提供者によっては、不安・不快の念を抱き、あるいは監査対象者、当該監査請求により不利益を受ける者等関係者からの批判、非難をおそれるなどにより、監査請求人への情報提供について萎縮的効果をもたらし、ひいては監査請求人の情報収集に支障をきたし、監査請求を妨げるおそれがあり、監査に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれその他監査事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものであり、条例第7条第4号に該当する。
  • (4)本件行政文書4の要件審査表(案)並びに通知文書(案)のうち補正を求める内容及び確認内容が記載された部分は、内部における審議、検討に関する情報であって、途中の未成熟な情報を公開することで、率直な意見の交換又は意思決定の中立性が損なわれるおそれや、誤解や憶測により県民の間に混乱を生じさせるおそれがあるものであり、条例第7条第3号に該当する。また、これらは、監査事務に関する情報であって、公にすることにより、事務の性質上、適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものでもあり、条例第7条第4号にも該当する。
  • (5)本件行政文書5の要件審査表(案)は、上記(4)と同じ理由により、条例第7条第3号及び第4号に該当する。
  • (6)本件行政文書6に記載された請求人の住所(公開する部分を除く。)及び印影は、上記(2)と同じ理由により、条例第7条第1号本文に該当し、同号ただし書のいずれにも該当しない。
  • (7)本件行政文書7に記載された請求人の住所(公開する部分を除く。)及び印影並びに受任者(請求人代理人)の住所及び氏名は、上記(2)と同じ理由により、条例第7条第1号本文に該当し、同号ただし書のいずれにも該当しない。
  • (8)本件行政文書8の非公開条項の該当性は、次のとおりである。
    • ア 調査事項のうち、議員から聴取した説明内容及び議員から入手した参考資料の内容が記載された部分は、調査対象機関が、関係議員から任意の協力の下に、監査委員限りで活用されるものと信頼して提供された情報を記載したものであり、当該内容を公開すれば、今後、調査への協力を一律に控えるなどの対応をすることも想定され、将来の監査に係る事務に関し、正確な事実の把握や違法又は不当な行為の発見を困難にするなど、その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものであり、条例第7条第4号に該当する。
    • イ 「県外・海外出張期間と重複する意見交換会に関する調書」のうち、意見交換会欄の「日時」「場所」「出席者」「内容」及び議員欄の「当日の行動」「出席者」が記載された部分並びに領収書欄の「領収日付」のうち注釈が記載された部分は、上記アと同じ理由により、条例第7条第4号に該当する。
    • ウ 「○○議員に係る意見交換会に関する調書」のうち、意見交換会欄の「日時」「場所」「出席者」「内容」及び議員欄の「当日の行動」「出席者」が記載された部分は、上記アと同じ理由により、条例第7条第4号に該当する。
    • エ 「県外・海外出張期間と重複する意見交換会に関する調書」の領収書欄の「領収者」のうち、個人の氏名(公開する部分を除く。)は、上記(2)と同じ理由により、条例第7条第1号本文に該当し、同号ただし書のいずれにも該当しない。
    • オ 「○○議員に係る意見交換会に関する調書」のうち、領収書欄の「領収者」のうち、個人の氏名は、上記(2)と同じ理由により、条例第7条第1号本文に該当し、同号ただし書のいずれにも該当しない。
    • カ 領収書等添付票のうち、個人の「住所、氏名、印影」(公開する部分を除く。)及び「口座情報」は、上記(2)と同じ理由により、条例第7条第1号本文に該当し、同号ただし書のいずれにも該当しない。
    • キ 「政務活動費の運用に係る考え方(未定稿)」(平成25年2月全国都道府県議会議長会事務局)は、調査対象機関が全国都道府県議会議長会事務局から得た未定稿の情報を公開すれば、今後、調査対象機関から調査に対し円滑な協力が得られ難くなることが予想され、将来の監査に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするなど、その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものであり、条例第7条第4号に該当する。
    • ク 領収書等添付票のうち、法人その他の団体及び事業を営む個人の印影(公開する部分を除く。)及び口座情報は、法人その他の団体及び事業を営む個人の事業に関する内部管理情報であり、公にすることにより、当該法人その他の団体及び事業を営む個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるものであり、条例第7条第2号本文に該当し、同号ただし書に該当しない。
    • ケ 賃貸借契約書の写しは、調査対象機関が、関係議員から任意の協力の下に、監査委員限りで活用されるものと信頼して提供された資料であり、当該内容を公開すれば、今後、調査への協力を一律に控えるなどの対応をすることも想定され、将来の監査に係る事務に関し、正確な事実の把握や違法又は不当な行為の発見を困難にするなど、その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるものであり、条例第7条第4号に該当する。
    • コ 県政レポートに係るポスティング配布表は、上記ケと同じ理由により、条例第7条第4号に該当する。
  • (9)本件行政文書9の非公開条項の該当性は、次のとおりである。
    • ア 支出命令書のうち、個人の口座情報は、上記(2)と同じ理由により、条例第7条第1号本文に該当し、同号ただし書のいずれにも該当しない。
    • イ 支出命令書のうち、団体の口座情報は、上記(8)のクと同じ理由により、条例第7条第2号本文に該当し、同号ただし書に該当しない。
  • (10)本件行政文書10の非公開条項の該当性は、次のとおりである。
    • ア 見積書の担当営業の氏名は、上記(2)と同じ理由により、条例第7条第1号本文に該当し、同号ただし書のいずれにも該当しない。
    • イ 見積書の法人の印影は、上記(8)のクと同じ理由により、条例第7条第2号本文に該当し、同号ただし書に該当しない。
  • (11)本件行政文書11の非公開条項の該当性は、次のとおりである。
    • ア 見積書の担当営業の氏名は、上記(2)と同じ理由により、条例第7条第1号本文に該当し、同号ただし書のいずれにも該当しない。
    • イ 見積書の法人の印影は、上記(8)のクと同じ理由により、条例第7条第2号本文に該当し、同号ただし書に該当しない。
    • ウ 契約において提供したCD-R(音声データ)は、監査請求人の陳述の内容が公表されるということになれば、監査請求人によっては、不安・不快の念を抱き、あるいは監査対象者、当該監査請求により不利益を受ける者等関係者からの批判、非難をおそれるなど、住民の今後の監査請求の機能の行使に対して委縮的効果をもたらし、将来の監査事務に支障を及ぼすおそれがあるものであり、条例第7条第4号に該当する。
  • (12)本件行政文書12の非公開条項の該当性は、次のとおりである。
    • ア 請求人の陳述要旨のうち、請求人代理人の氏名は、上記(2)と同じ理由により、条例第7条第1号本文に該当し、同号ただし書のいずれにも該当しない。
    • イ 請求人の陳述要旨のうち、陳述内容(要旨)が記載された部分は、上記(11)のウと同じ理由により、条例第7条第4号に該当する。
  • (13)本件行政文書13の非公開条項の該当性は、次のとおりである。
    • ア 支出命令書のうち、法人の口座情報及び印影は、上記(8)のクと同じ理由により、条例第7条第2号本文に該当し、同号ただし書に該当しない。
    • イ 成果品(印刷物)のうち、担当者及び請求人代理人の氏名は、上記(2)と同じ理由により、条例第7条第1号本文に該当し、同号ただし書のいずれにも該当しない。
    • ウ 成果品(印刷物)のうち、陳述内容(要旨)が記載された部分は、上記(11)のウと同じ理由により、条例第7条第4号に該当する。
    • エ 成果品(電子データ)のうち、陳述内容(要旨)が記載された部分は、上記(11)のウと同じ理由により、条例第7条第4号に該当する。
  • (14)本件行政文書14の非公開条項の該当性は、次のとおりである。
    • ア 領収書等添付票のうち、個人の「住所、氏名、印影」(公開する部分を除く。)及び口座情報は、上記(2)と同じ理由により、第7条第1号本文に該当し、同号ただし書のいずれにも該当しない。
    • イ 領収書等添付票のうち、法人その他の団体及び事業を営む個人の印影は、上記(8)のクと同じ理由により、条例第7条第2号本文に該当し、同号ただし書に該当しない。
    • ウ 賃貸借契約書の写しは、上記(8)のケと同じ理由により、条例第7条第4号に該当する。
    • エ 雇用契約書の写しは、上記(8)のケと同じ理由により、条例第7条第4号に該当する。

2 補足

非公開条項の該当性に関し補足すると、香川県議会議長又は香川県議会事務局長から監査委員に提出された文書は、政務活動費に係る具体的な内容等を任意に回答したものであり、監査委員限りで当該情報が活用されるものと信頼し、監査委員においても、そのような保障の下にこれを入手したものである。
仮に、そのような保障がなく、政務活動に関し具体的に回答したところが情報公開の対象になり得るとすれば、議会議員等において、直接的又は間接的に監査委員にその回答をすることについて、慎重になり、あるいは協力を一律に控えるなどの対応も想定されるところである。
そのような事態になれば、今後同様の住民監査請求があった場合、監査委員として正確な事実の把握が困難になるとともに、違法又は不当な行為の発見も困難になり、議員等の任意の協力の下に上記情報を入手して監査を実施した場合と比較して、監査事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあることは明らかである。
最高裁平成20年(行ヒ)第386号平成21年12月17日判決に照らしても、これら情報は、条例第7条第4号アに該当する非公開情報に当たるものである。

第5 審査会の判断理由

1 判断における基本的な考え方について

条例は、その第1条にあるように、県民の行政文書の公開を求める権利を具体的に明らかにするとともに、行政文書の公開に関し必要な事項を定めることにより、県の保有する情報の一層の公開を図り、県政に関し県民に説明する責務が全うされるようにし、県政に対する県民の理解と信頼を深め、もって地方自治の本旨に即した県政の発展に寄与することを目的として制定されたものであり、審査に当たっては、これらの趣旨を十分に尊重し、関係条項を解釈し、判断するものである。
なお、非公開情報の該当性の判断に当たって、非公開理由のうちのいずれかに該当すると判断した情報については、他の非公開理由の該当性についての判断は行わないものである。

2 本件処分1について

本件請求対象文書の存否について

地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第242条第1項による住民監査請求は、普通地方公共団体の職員等について違法又は不当な財務会計行為があると認めるときに、監査委員に対し監査を求め、必要な措置を講じることを請求する制度であり、監査委員が当該請求を受理して監査を行い、棄却、勧告の決定が行われた場合、同条第4項の規定に基づき、その結果は公表されることになっている。また、香川県監査委員条例第10条の規定により、当該公表は県公報にこれを登載して行うこととされている。本件公開請求において対象とされた住民監査請求についても、平成27年5月12日発行の香川県報にその監査結果が登載され、公表されていることが確認された。
一方、実施機関は、同月11日に、報道機関に対し本件住民監査請求に対する監査結果を資料提供している。本件公開請求(3)は、かかる資料提供について、県報登載以前にそれをなしうる根拠が分かる文書の公開を求めたものである。これに対する実施機関の主張は、本件資料提供については、法令に基づき行ったものではなく、請求に係る行政文書が存在しないというものであった。実施機関が県報登載以前に行った監査結果に関する資料提供は、県報の発行日が週2回に限られている中で、より効果的に報道機関に情報提供を行う観点からなされたものであり、法令に基づき行ったものではなく、請求に係る行政文書が存在しないという実施機関の主張は是認できる。

3 本件処分2について

  • (1)本件行政文書の内容等について
    本件行政文書2は、法第242条第1項の規定に基づく住民監査請求に対して、監査結果を決定し、監査請求人、知事及び県議会議長に通知するとともに、その結果を県報に登載して公表することとした起案文書である。
    本件行政文書3は、平成27年2月17日に提出された住民監査請求書及び同年3月17日付けで補正された住民監査請求書である。
    本件行政文書4は、平成27年2月17日に提出された住民監査請求書について、監査請求人に対しその補正を求めることとした起案文書である。
    本件行政文書5は、住民監査請求を受理し、法第242条第6項の規定に基づき監査請求人に証拠の提出及び陳述の機会を与える旨を通知し、知事及び県議会議長に対し監査を実施する旨を通知することとした起案文書である。
    本件行政文書6は、住民監査請求に係る陳述の機会の出欠について、監査請求人から提出された回答文書である。
    本件行政文書7は、住民監査請求に係る陳述について、監査請求人から代理人への委任状である。
    本件行政文書8は、住民監査請求に係る調査に対し、香川県議会議長から提出された回答文書である。
    本件行政文書9は、住民監査請求に係る調査に対し、香川県議会事務局長から提出された回答文書である。
    本件行政文書10は、住民監査請求に係る監査請求人の陳述内容について、反訳作業の委託先、委託内容、契約内容を決定した起案文書である。
    本件行政文書11は、住民監査請求に係る監査請求人の陳述聴取記録作成業務の委託について、株式会社Aと契約を締結することとした執行伺である。
    本件行政文書12は、住民監査請求に係る監査請求人の陳述の聴取記録を作成することとした起案文書である。
    本件行政文書13は、陳述聴取記録作成業務に係る費用の支出を決定した支出命令書である。
    本件行政文書14は、住民監査請求に係る調査に対し、香川県議会議長から提出された平成25年度政務活動費の収支報告書等修正届(写)である。
  • (2)非公開情報該当性について
    次に掲げる各非公開条項についての基本的な考え方に基づき、別表2のとおり判断する。
    • ア 条例第7条第1号の該当性について
      本号は、個人の尊厳及び基本的人権の尊重の立場から、個人のプライバシーを最大限に保護するために定められたものであるが、プライバシーの具体的な内容が法的にも社会通念上も必ずしも明確ではなく、その内容や範囲は事項ごと、各個人によって異なり得ることから、本条例は、プライバシーであるか否か不明確な情報も含めて、特定の個人が識別され得る情報を包括的に非公開として保護することとした上で、さらに、個人を識別することはできないが、公にすることにより、なお個人の権利利益を害するおそれがあるものについても、非公開とすることを定めたものである。
      しかし、これらの個人に関する情報には、個人の権利利益を侵害しないと考えられ非公開とする必要のない情報及び公益上の必要があると認められる情報も含まれているので、これらの情報を本号ただし書で規定し、公開することを定めたものと解される。
    • イ 条例第7条第2号の該当性について
      本号は、法人等又は事業を営む個人の正当な利益を害することを防止する観点から、その事業活動の自由を保障し、公正な競争秩序を維持するため、公にすることにより当該法人等又は事業を営む個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれのある情報を非公開とすることとした上で、それらに該当する情報であっても、人の生命、健康、生活又は財産を保護するため、公にすることが必要であると認められる情報については、公開することを定めたものであると解される。
    • ウ 条例第7条第3号の該当性について
      本号は、県の機関等における内部的な審議、検討、協議が円滑に行われることを確保する観点から、内部又は相互の間の審議、検討又は協議に関する情報で、公になると、外部からの圧力や干渉等の影響を受けることなどにより、率直な意見の交換又は意思決定の中立性が損なわれるおそれがあるもの、また、未成熟な情報や公にするには時機尚早な情報で、公開されると、誤解や憶測により不当に県民の間に混乱を生じさせたり、特定の者に不当に利益を与え、若しくは不利益を及ぼしたりするおそれがある情報については、非公開とすることを定めたものである。
    • エ 条例第7条第4号の該当性について
      本号は、県の機関等が行う事務又は事業の目的達成又は適正な執行の確保の観点から、当該事務又は事業に関する情報の中で、当該事務又は事業の性質、目的等からみて、公開することにより、将来の当該事務又は事業の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある情報については、非公開とすることを定めたものであると解される。
      よって、当審査会は、「第1 審査会の結論」のとおり判断する。

第6 審査会の審査経過

当審査会は、本件諮問事件について、次のとおり審査を行った。
(省略)

別表1

(1)本件行政文書2
公開しない部分 公開しない理由
請求人の住所(公開する部分を除く。) 特定の個人が識別され得る個人に関する情報に該当するため。(条例第7条第1号本文該当)
(2)本件行政文書3
公開しない部分 公開しない理由
請求人の住所(公開する部分を除く。)、印影及び職業 特定の個人が識別され得る個人に関する情報に該当するため。(条例第7条第1号本文該当)
事実証明書1、事実証明書2及び事実証明書3のうち、情報提供元が記載された部分 事実証明書の情報提供元が公表されるということになれば、将来の監査請求人への情報提供者によっては、不安・不快の念を抱き、あるいは監査対象者、当該監査請求により不利益を受ける者等関係者からの批判、非難をおそれるなどにより、監査請求人への情報提供について萎縮的効果をもたらし、ひいては監査請求人の情報収集に支障をきたし、監査請求を妨げるおそれがあり、監査に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれその他監査事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため。(条例第7条第4号該当)
(3)本件行政文書4
公開しない部分 公開しない理由
要件審査表(案) 内部における審議、検討に関する情報であって、途中の未成熟な情報を公開することで、率直な意見の交換又は意思決定の中立性が損なわれるおそれや、誤解や憶測により県民の間に混乱を生じさせるおそれがあるため。(条例第7条第3号該当)
監査事務に関する情報であって、公にすることにより、事務の性質上、適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため。(条例第7条第4号該当)
通知文書(案)のうち、補正を求める内容及び確認内容が記載された部分
(4)本件行政文書5
公開しない部分 公開しない理由
請要件審査表(案) 内部における審議、検討に関する情報であって、途中の未成熟な情報を公開することで、率直な意見の交換又は意思決定の中立性が損なわれるおそれや、誤解や憶測により県民の間に混乱を生じさせるおそれがあるため。(条例第7条第3号該当)
監査事務に関する情報であって、公にすることにより、事務の性質上、適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため。(条例第7条第4号該当)
(5)本件行政文書6
公開しない部分 公開しない理由
請求人の住所(公開する部分を除く。)及び印影 特定の個人が識別され得る個人に関する情報に該当するため。(条例第7条第1号本文該当)
(6)本件行政文書7
公開しない部分 公開しない理由
請求人の住所(公開する部分を除く。)及び印影 特定の個人が識別され得る個人に関する情報に該当するため。(条例第7条第1号本文該当)
受任者(請求人代理人)の住所及び氏名
(7)本件行政文書8
公開しない部分 公開しない理由
調査事項のうち、議員から聴取した説明内容及び議員から入手した参考資料の内容が記載された部分 調査対象機関が、関係議員から任意の協力の下に、監査委員限りで活用されるものと信頼して提供された情報を記載したものであり、当該内容を公開すれば、今後、調査への協力を一律に控えるなどの対応をすることも想定され、将来の監査に係る事務に関し、正確な事実の把握や違法又は不当な行為の発見を困難にするなど、その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため。(条例第7条第4号該当)
「県外・海外出張期間と重複する意見交換会に関する調書」のうち、意見交換会欄の「日時」「場所」「出席者」「内容」及び議員欄の「当日の行動」「出席者」が記載された部分並びに領収書欄の「領収日付」のうち注釈が記載された部分
「○○議員に係る意見交換会に関する調書」のうち、意見交換会欄の「日時」「場所」「出席者」「内容」及び議員欄の「当日の行動」「出席者」が記載された部分
「県外・海外出張期間と重複する意見交換会に関する調書」の領収書欄の「領収者」のうち、個人の氏名(公開する部分を除く。) 特定の個人が識別され得る個人に関する情報に該当するため。(条例第7条第1号本文該当)
「○○議員に係る意見交換会に関する調書」の領収書欄の「領収者」のうち、個人の氏名
領収書等添付票のうち、個人の「住所、氏名、印影」(公開する部分を除く。)及び「口座情報」
「政務活動費の運用に係る考え方(未定稿)」(平成25年2月全国都道府県議会議長会事務局) 調査対象機関が全国都道府県議会議長会事務局から得た未定稿の情報を公開すれば、今後、調査対象機関から調査に対し円滑な協力が得られ難くなることが予想され、将来の監査に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするなど、その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため。(条例第7条第4号該当)
領収書等添付票のうち、法人その他の団体及び事業を営む個人の印影(公開する部分を除く。)及び口座情報 法人その他の団体及び事業を営む個人の事業に関する内部管理情報であり、公にすることにより、当該法人その他の団体及び事業を営む個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。(条例第7条第2号本文該当)
賃貸借契約書の写し 調査対象機関が、関係議員から任意の協力の下に、監査委員限りで活用されるものと信頼して提供された資料であり、当該内容を公開すれば、今後、調査への協力を一律に控えるなどの対応をすることも想定され、将来の監査に係る事務に関し、正確な事実の把握や違法又は不当な行為の発見を困難にするなど、その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため。(条例第7条第4号該当)
県政レポートに係るポスティング配布表
(8)本件行政文書9
タイトル タイトル
支出命令書のうち、個人の口座情報 特定の個人が識別され得る個人に関する情報に該当するため。(条例第7条第1号本文該当)
支出命令書のうち、団体の口座情報 団体の事業に関する内部管理情報であり、公にすることにより、当該団体の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。(条例第7条第2号本文該当)
(9)本件行政文書10
公開しない部分 公開しない理由
見積書の担当営業の氏名 特定の個人が識別され得る個人に関する情報に該当するため。(条例第7条第1号本文該当)
見積書の法人の印影 法人の事業に関する内部管理情報であり、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。(条例第7条第2号本文該当)
(10)本件行政文書11
公開しない部分 公開しない理由
見積書の担当営業の氏名 特定の個人が識別され得る個人に関する情報に該当するため。(条例第7条第1号本文該当)
見積書の法人の印影 法人の事業に関する内部管理情報であり、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。(条例第7条第2号本文該当)
契約において提供したCD-R(音声データ) 監査請求人の陳述の内容が公表されるということになれば、将来の監査請求人によっては、不安・不快の念を抱き、あるいは監査対象者、当該監査請求により不利益を受ける者等関係者からの批判、非難をおそれるなど、住民の今後の監査請求の機能の行使に対して委縮的効果をもたらし、将来の監査事務に支障を及ぼすおそれがあるため。(条例第7条第4号該当)
(11)本件行政文書12
公開しない部分 公開しない理由
見請求人の陳述要旨のうち、請求人代理人の氏名 特定の個人が識別され得る個人に関する情報に該当するため。(条例第7条第1号本文該当)
請求人の陳述要旨のうち、陳述内容(要旨)が記載された部分 監査請求人の陳述の内容が公表されるということになれば、将来の監査請求人によっては、不安・不快の念を抱き、あるいは監査対象者、当該監査請求により不利益を受ける者等関係者からの批判、非難をおそれるなど、住民の今後の監査請求の機能の行使に対して委縮的効果をもたらし、将来の監査事務に支障を及ぼすおそれがあるため。(条例第7条第4号該当)
(12)本件行政文書13
公開しない部分 公開しない理由
支払命令書のうち、法人の口座情報及び印影 法人の事業に関する内部管理情報であり、公にすることにより、当該法人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。(条例第7条第2号本文該当)
成果品(印刷物)のうち、担当者及び請求人代理人の氏名 特定の個人が識別され得る個人に関する情報に該当するため。(条例第7条第1号本文該当)
成果品(印刷物)のうち、陳述内容(要旨)が記載された部分 監査請求人の陳述の内容が公表されるということになれば、将来の監査請求人によっては、不安・不快の念を抱き、あるいは監査対象者、当該監査請求により不利益を受ける者等関係者からの批判、非難をおそれるなど、住民の今後の監査請求の機能の行使に対して委縮的効果をもたらし、将来の監査事務に支障を及ぼすおそれがあるため。(条例第7条第4号該当)
成成果品(電子データ)のうち、陳述内容(要旨)が記載された部分
(13)本件行政文書14
公開しない部分 公開しない理由
領収書等添付票のうち、個人の「住所、氏名、印影」(公開する部分を除く。)及び口座情報 特定の個人が識別され得る個人に関する情報に該当するため。(条例第7条第1号本文該当)
領収書等添付票のうち、法人その他の団体及び事業を営む個人の印影 法人その他の団体及び事業を営む個人の事業に関する内部管理情報であり、公にすることにより、当該法人その他の団体及び事業を営む個人の権利、競争上の地位その他正当な利益を害するおそれがあるため。(条例第7条第2号本文該当)
賃貸借契約書の写し 調査対象機関が、関係議員から任意の協力の下に、監査委員限りで活用されるものと信頼して提供された資料であり、当該内容を公開すれば、今後、調査への協力を一律に控えるなどの対応をすることも想定され、将来の監査に係る事務に関し、正確な事実の把握や違法又は不当な行為の発見を困難にするなど、その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるため。(条例第7条第4号該当)
成雇用契約書の写し

別表2

(1)本件行政文書2
公開しない部分 審査会の判断 公開すべき部分
請求人の住所(公開する部分を除く。) 個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができる情報であることから、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。  
(2)本件行政文書3
公開しない部分 審査会の判断 公開すべき部分
請求人の住所(公開する部分を除く。)、印影及び職業 個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができる情報であることから、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。  
要件審査表(案) 事実証明書は、住民監査請求の請求人が、住民監査請求書の中で問題とされている行為や事実の存在あるいはその違法性や不当性を明らかにするために請求書に添付する文書である。上述のとおり、住民監査請求について、監査委員が当該請求を受理して監査を行い、棄却、勧告等の決定が行われた場合には、法第242条第4項によりその監査結果が公表されることとなっており、事実証明書についても、その要旨は公表されているが、事実証明書それ自体は同項による公表の対象とされていない。事実証明書の情報提供元についても公表の対象とはされておらず、一般的には、監査請求人への情報提供者は、事実証明書の情報提供元が公表されることは想定していないと考えられる。
にもかかわらず、かかる情報提供元が公開されると、将来の監査請求人への情報提供者によっては、不安・不快の念を抱き、あるいは監査対象者、当該監査請求により不利益を受ける者等関係者からの批判、非難をおそれるなどにより、監査請求人への情報提供について萎縮的効果をもたらし、ひいては監査請求人の情報収集に支障をきたし、監査請求を妨げるおそれがあるといえる。そうであるとすれば、それにより、監査に係る事務に関し、正確な事実の把握を困難にするおそれその他監査事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるという実施機関の主張は是認できる。
したがって、事実証明書1、事実証明書2及び事実証明書3のうち、情報提供元が記載された部分については、条例第7条第4号に該当すると判断される。
(3)本件行政文書4
公開しない部分 審査会の判断 公開すべき部分
要件審査表(案)
  • 1 条例第7条第3号該当性について
    • (1)行政機関における意思決定過程の情報の中には、それが意思形成過程の一場面にすぎないため、行政機関内部で十分な検討、協議がなされていない未成熟な情報や、精度の検討がされていない検討材料としての情報などが含まれており、これらの情報が公開されると、住民に無用な誤解や混乱を与えたり、行政機関内部の自由率直な意見交換が妨げられたり、また、内部検討のための資料の作成にも支障を生ずるおそれがあると考えられる。
      本件で非公開とされた要件審査表(案)は、住民監査請求について、要件を具備しているかどうか監査委員が審査を行うための文書であり、審査項目や審査内容、その判定結果等が記載されている。住民監査請求では、請求人による監査請求書の提出、その補正、証拠の提出、陳述等の過程を経ながら、それぞれの段階に応じて審議、検討の熟度が深まっていくものであるところ、要件審査表(案)は、様々な過程を経ながら最終的な判断に至るまでの一場面の情報にあたると考えられる。
      住民監査請求における監査が監査委員の合議によって行われるものであるところ、要件審査表(案)のような意思形成過程の一場面の情報が公開されてしまうと、監査委員内部の自由率直な意見交換が妨げられ、審議、検討を円滑に行うことができなくなるおそれがあるという実施機関の主張は是認できる。
      もっとも、要件審査表(案)のうち、「区分」欄及び「要件審査項目」欄については、いずれも法242条の規定等により必要とされることが明らかな住民監査請求の要件等を列記したものであり、「請求内容」欄、「審査期限」欄、「受付」欄、「請求人」欄については、本件住民監査請求書の記載から項目ごとに引用したものであって、その内容も監査結果として公表された内容と概ね一致していることが確認された。また、項目名を記載したにとどまる欄については、何らかの判断が記載されたものではないといえる。
      そうであるとすれば、これらの情報については、監査結果に至る意思形成過程の一場面の情報であったとしても、公開することで今後の監査委員の自由率直な意見交換が妨げられるおそれがあるとは認め難く、仮に認められるとしてもそのおそれは軽微なものにとどまると解するのが相当である。
    • (2)また、実施機関は上記主張に加え、要件審査表(案)について、そこに記載された区分、要件審査項目、主張事実等、適否などは、それらが一体となって意味をなすものであり、それ自体が全体として一体的な情報であることから、これをさらに細分化して公開・非公開に分けることは適当でなく、全体を非公開とせざるを得ないと主張している。以下、実施機関のかかる主張について検討する。
      条例は、第8条において、公開請求に係る行政文書の一部に非公開情報が記録されている場合において、非公開情報が記録されている部分を容易に区分して除くことができるときは、当該部分を除いた部分に有意の情報が記録されていないと認められるときを除いて、請求者に対し、当該部分を除いた部分につき公開しなければならない旨規定している。これは、情報公開制度における原則公開の精神が反映されたものであり、かかる規定の趣旨に照らせば、記載された情報それ自体は非公開情報には当たらないことが明確であるにもかかわらず、「一体としての(より包括的な)情報の部分」を構成するに過ぎないことを理由に、それが記載された文書の部分が公開義務の対象から外れているとすることはできないと考えられる。
      本件要件審査表(案)についてこれをみると、たしかに要件審査表(案)は、それにより住民監査請求が要件を満たすといえるか否かを審査するための文書であることから、そこに記載された要件審査項目や主張事実等が、一体となって意味をなすものであるという点は否定できない。しかし、1つ1つの項目それ自体は、相互に関連しながらも独立していると考えられ、また、それぞれを区分することも容易であると解されることから、それらが全体として一体的な情報であることをもって部分的に公開することはできないという実施機関の主張は認められない。したがって、要件審査表(案)のうち、個別に検討して非公開情報にあたらない部分については、これを公開すべきと考える。
    • (3)以上より、要件審査表(案)のうち、公開することで今後の監査委員の自由率直な意見交換が妨げられるおそれがあるとは認め難いと考えられる、「区分」欄、「要件審査項目」欄、「請求内容」欄、「審査期限」欄、「受付」欄、「請求人」欄、「受理・不受理の決定」欄・「主張事実等」欄・「適否」欄・「請求の適格性」欄のうち項目名を記載した欄(以下「要件審査項目欄等」という。)については、条例第7条第3号に該当しないと判断される。
  • 2 条例第7条第4号該当性について
    実施機関は、要件審査表(案)について、監査事務に関する情報であって、公にすることにより、事務の性質上、適正な遂行に支障を及ぼすおそれがある旨主張している。そこで、条例第7条第3号に該当しないと判断された上記要件審査項目欄等が、条例第7条第4号に該当しないか、以下検討する。
    住民監査請求は、住民訴訟の前審的性格が強く、住民監査請求に係る監査委員の監査は準司法的機能を有すると解されるところ、住民監査請求のかかる性質を併せ考慮すると、要件審査表(案)が、公にすることにより、事務の性質上、適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるという側面を有していることは否定できない。
    もっとも、法令の規定等により必要とされることが明らかな住民監査請求の要件等を列記した「要件審査項目」欄や、本件住民監査請求書の記載を引用したにとどまる「請求内容」欄、項目名を記載したにとどまる欄等については、監査事務に関する情報ではあるが、何らかの判断が記載されたものでなく、公にしたとしても、事務の性質上、事務の適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあるとは認め難いと考えられる。
    したがって、要件審査項目欄等については、条例第7条第4号に該当しないと判断される。
  • 3 条例第7条第1号該当性について
    以上により公開すべき情報のうち、「請求人」欄には、請求人の住所及び氏名が記載されている。かかる情報は、個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができる情報であることから、条例第7条第1号本文に該当するといえる。もっとも、住所の一部及び氏名は、県報に登載され、すでに公にされている情報にあたることから、同号ただし書アに該当する。
    したがって、「請求人」欄の住所のうち公開する部分を除く部分は、条例第7条第1号本文に該当すると判断される。
  • 4 結論
    以上より、本件要件審査表(案)のうち、「請求内容」欄、「審査期限」欄、「受付」欄、「請求人」欄(個人情報に該当し非公開となる部分を除く)、「区分」欄、「要件審査項目」欄、「受理・不受理の決定」欄・「主張事実等」欄・「適否」欄・「請求の適格性」欄のうち項目名を記載した欄については、これを公開すべきである。
要件審査表(案)のうち、 要件審査表(案)のうち、
・「請求内容」欄
・「審査期限」欄
・「受付」欄
・「受理・不受理の決定」欄のうち項目名を記載した欄
・「請求人」欄(個人情報に該当し非公開となる部分を除く)
・「区分」欄
・「要件審査項目」欄
・「主張事実等」欄のうち項目名を記載した欄
・「適否」欄のうち項目名を記載した欄
・「請求の適格性」欄のうち項目名を記載した欄
通知文書(案)のうち、補正を求める内容及び確認内容が記載された部分 本件で非公開とされた部分には、補正を求める内容及び確認内容が記載されており、そこには住民監査請求における監査の意思形成過程の一場面としての情報が含まれているといえる。
上述のとおり、このような未成熟な情報が公開されてしまうと、監査委員内部の自由率直な意見交換が妨げられ、審議、検討を円滑に行うことができなくなるおそれがあると考えられる。
したがって、本件において非公開とされた部分は条例第7条第3号に該当すると判断される。
 
(4)本件行政文書5
公開しない部分 審査会の判断 公開すべき部分
要件審査表(案) 上述のとおり、要件審査表(案)のうち、「区分」欄及び「要件審査項目」欄については、いずれも法242条の規定等により必要とされることが明らかな住民監査請求の要件等を列記したものであり、また、「請求内容」欄、「審査期限」欄、「受付」欄、「請求人」欄(個人情報に該当し非公開となる部分を除く)、「個別外部監査の請求」欄については、本件住民監査請求書の記載から項目ごとに引用したものであって、その内容も監査結果として公表された内容と概ね一致していることから、これらの情報については、条例第7条第3号及び同条第4号に該当せず、これを公開すべきである。また、「受理・不受理の決定」欄・「主張事実等」欄・「適否」欄・「請求の適格性」欄・「個別外部監査実施の必要性」欄のうち項目名を記載した欄についても、項目名を記載したにとどまり、何らかの判断が記載されたものでないことから、条例第7条第3号及び同条第4号に該当せず、これを公開すべきである。 要件審査表(案)のうち、
・「請求内容」欄
・「審査期限」欄
・「受付」欄
・「受理・不受理の決定」欄のうち項目名を記載した欄
・「請求人」欄(個人情報に該当し非公開となる部分を除く)
・「区分」欄
・「要件審査項目」欄
・「主張事実等」欄のうち項目名を記載した欄
・「適否」欄のうち項目名を記載した欄
・「請求の適格性」欄のうち項目名を記載した欄
・「個別外部監査の請求」欄
・「個別外部監査実施の必要性」欄のうち項目名を記載した欄
(5)本件行政文書6
公開しない部分 審査会の判断 公開すべき部分
請求人の住所(公開する部分を除く。)及び印影 個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができる情報であることから、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。  
(6)本件行政文書7
公開しない部分 公開しない理由 公開すべき部分
請求人の住所(公開する部分を除く。)及び印影 個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができる情報であることから、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。  
通受任者(請求人代理人)の住所及び氏名
(7)本件行政文書8
公開しない部分 公開しない理由 公開すべき部分
調査事項のうち、議員から聴取した説明内容及び議員から入手した参考資料の内容が記載された部分 法242条に基づき住民監査請求が行われ、監査を実施するにあたっては、監査委員は、調査対象機関から関係書類等の提出を受け、その調査を行うことになる。
本件行政文書8は、当該住民監査請求に係る調査に対して香川県議会議長から提出された回答文書であり、調査対象機関が、関係議員から任意の協力の下に、監査委員限りで活用されるものと信頼して提供された政務活動費に係る具体的な情報が記載されている。
にもかかわらず、かかる情報がすべて公開されてしまうと、議会議員等においては、直接的又は間接的に監査委員に情報提供をすることについて慎重になり、あるいは調査への協力を一律に控えるなどの対応をすることも想定される。このような事態になれば、今後同様の住民監査請求があった場合、監査委員として正確な事実の把握が困難になるとともに、違法又は不当な行為の発見も困難になることから、将来の監査に係る事務に関し、その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると考えられる。
したがって、本件で非公開とされた情報は、条例第7条第4号に該当すると判断される。
 
「県外・海外出張期間と重複する意見交換会に関する調書」のうち、意見交換会欄の「日時」「場所」「出席者」「内容」及び議員欄の「当日の行動」「出席者」が記載された部分並びに領収書欄の「領収日付」のうち注釈が記載された部分
「○○議員に係る意見交換会に関する調書」のうち、意見交換会欄の「日時」「場所」「出席者」「内容」及び議員欄の「当日の行動」「出席者」が記載された部分
県外・海外出張期間と重複する意見交換会に関する調書」の領収書欄の「領収者」のうち、個人の氏名(公開する部分を除く。) 個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができる情報であることから、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。
「○○議員に係る意見交換会に関する調書」の領収書欄の「領収者」のうち、個人の氏名
領収書等添付票のうち、個人の「住所、氏名、印影」(公開する部分を除く。)及び「口座情報」
「政務活動費の運用に係る考え方(未定稿)」(平成25年2月全国都道府県議会議長会事務局) 本件で非公開とされたのは、住民監査請求に係る調査に対して香川県議会議長から提出された回答文書のうち、調査対象機関が全国都道府県議会議長会事務局から得た未定稿の情報である。かかる情報は監査委員限りで活用されるものと信用して提供されたものであるところ、このような情報がすべて公開されてしまうと、今後、調査対象機関から調査に対し円滑な協力が得られ難くなるおそれがあると考えられる。
上述のとおり、このような事態になれば、今後同様の住民監査請求があった場合、監査委員として正確な事実の把握が困難になるとともに、違法又は不当な行為の発見も困難になることから、将来の監査に係る事務に関し、その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると考えられる。
したがって、本件で非公開とされた情報は、条例第7条第4号に該当すると判断される。
領収書等添付票のうち、法人その他の団体及び事業を営む個人の印影(公開する部分を除く。)及び口座情報 印影及び口座情報は、一般的に、法人その他の団体及び事業を営む個人(以下「法人等」という。)が事業活動を行う上での重要な内部管理に属する情報であり、このような情報を外部に対して明らかにするかどうかは、本来、法人等が自らの業務の関わりの中で自主的に決定すべきことであり、法人等は、公開すべき相手方を限定する利益を有しているというべきである。そうであるとすれば、当該法人等が、自らそのような情報が広く知られる状態に置いてあるなど、内部管理情報として管理していないことが客観的に明らかといえるような特段の事情がある場合を除き、これらの情報を当該法人等の事業活動にかかわりなく、本条例により広く一般に公開することは、当該法人等の正当な意思、期待に反し、その正当な利益を害するおそれがあるものと考えられる。
本件についてこれをみると、当該非公開部分の印影は、香川県議会議員が受領した領収書等に押印されたものである。領収書は、代金の受取人が支払者に対して、金銭を受け取ったことを証明するために発行する書類であることから、その交付の相手方は、当該法人等に何らかの対価として金銭を支払った者に限られるといえる。
また、本件非公開部分の口座情報は、金融機関の振込みの利用明細等に記載されたものであるところ、かかる口座情報は、当該法人等が決済の便宜のため顧客に限り提供したものと考えられる。
そうであるとすれば、本件印影及び口座情報は、当該法人等の内部管理情報として管理されているものと考えられ、このような情報を当該法人等の事業活動に関わりなく、本条例により広く一般に公開することは、当該法人等の正当な意思、期待に反し、その正当な利益を害するおそれがあると認められる。
したがって、領収書等添付票のうち、法人等の印影及び口座情報は、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。
賃貸借契約書の写し 本件で非公開とされたのは、住民監査請求に係る調査に対して香川県議会議長から提出された回答文書のうち、賃貸借契約の写し及び県政レポートに係るポスティング配布票である。これらは、調査対象機関が、関係議員から任意の協力の下に、監査委員限りで活用されるものと信頼して提供された政務活動費に係る具体的な情報といえる。
かかる情報がすべて公開されてしまうと、議会議員等においては、直接的又は間接的に監査委員に情報提供をすることについて慎重になり、あるいは調査への協力を一律に控えるなどの対応をすることも想定される。上述のとおり、このような事態になれば、今後同様の住民監査請求があった場合、監査委員として正確な事実の把握が困難になるとともに、違法又は不当な行為の発見も困難になることから、将来の監査に係る事務に関し、その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると考えられる。
したがって、本件で非公開とされた情報は、条例第7条第4号に該当すると判断される。
県政レポートに係るポスティング配布表
(8)本件行政文書9
公開しない部分 公開しない理由 公開すべき部分
支出命令書のうち、個人の口座情報 個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができる情報であることから、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。  
支出命令書のうち、団体の口座情報 上述のとおり、一般に、口座情報は団体が事業活動を行う上での重要な内部管理に属する情報であり、団体がそれを内部管理情報として管理していないことが客観的に明らかといえるような特段の事情がある場合を除き、かかる情報を当該団体の事業活動にかかわりなく本条例により広く一般に公開することは、当該団体の正当な意思、期待に反し、その正当な利益を害するおそれがあるものと考えられる。
本件についてこれをみると、本件口座情報は、政務活動費の受領について議員から委任を受けた団体の口座情報であり、県議会議員が政務活動費を請求するため、知事に対し提出する「政務活動費請求書」等に振込先として記載されたものである。このことから、当該団体は、政務活動費の振込先として指定する目的で、知事に対してのみかかる口座情報を提供したものと考えられる。
そうであるとすれば、本件口座情報は、当該団体の内部管理情報として管理されているものと考えられ、このような情報を当該団体の事業活動に関わりなく、本条例により広く一般に公開することは、当該団体の正当な意思、期待に反し、その正当な利益を害するおそれがあると認められる。
したがって、支出命令書のうち団体の口座情報は、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。
(9)本件行政文書10
公開しない部分 公開しない理由 公開すべき部分
見積書の担当営業の氏名 個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができる情報であることから、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。  
見積書の法人の印影 上述のとおり、一般に、印影は法人が事業活動を行う上での重要な内部管理に属する情報であり、法人がそれを内部管理情報として管理していないことが客観的に明らかといえるような特段の事情がある場合を除き、かかる情報を当該法人の事業活動にかかわりなく本条例により広く一般に公開することは、当該法人の正当な意思、期待に反し、その正当な利益を害するおそれがあるものと考えられる。
本件についてこれをみると、本件印影は、住民監査請求に係る陳述の聴取記録作成業務を委託するに際して、法人から提出を受けた見積書に押印されたものである。見積書は、仕事の内容や金額等を前もって概算した文書であり、見積もりを依頼した相手方に対して提出されるものであることから、法人は相手方である実施機関に限り当該法人の印影を公開したものと考えられる。
そうであるとすれば、本件印影は、当該法人の内部管理情報として管理されているものと考えられ、このような情報を当該法人の事業活動に関わりなく、本条例により広く一般に公開することは、当該法人の正当な意思、期待に反し、その正当な利益を害するおそれがあると認められる。
したがって、見積書の法人の印影は、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。
(10)本件行政文書11
公開しない部分 公開しない理由 公開すべき部分
見積書の担当営業の氏名 個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができる情報であることから、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。  
見積書の法人の印影 本件印影は、住民監査請求に係る陳述の聴取記録作成業務を委託するに際して、法人から提出を受けた見積書に押印されたものであり、上述のとおり、当該法人の内部管理情報として管理されているものと考えられる。そのため、このような情報を当該法人の事業活動に関わりなく、本条例により広く一般に公開することは、当該法人の正当な意思、期待に反し、その正当な利益を害するおそれがあると認められる。
したがって、本件印影は、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。
契約において提供したCD-R(音声データ) 本件において非公開とされたCD-R(音声データ)には、法第242条第6項の規定に基づき実施された、住民監査請求に係る監査請求人の陳述が記録されている。
上述のとおり、住民監査請求について、監査委員が当該請求を受理して監査を行い、棄却、勧告等の決定が行われた場合には、法第242条第4項によりその監査結果が公表されることとなっており、監査請求人の陳述についても、その要旨が簡潔に公表されているが、陳述の内容のすべてが公表されるものではない。
にもかかわらず、監査請求人の陳述の内容がすべて公開されるということになれば、将来の監査請求人によっては、不安・不快の念を抱き、あるいは監査対象者、当該監査請求により不利益を受ける者等関係者からの批判、非難をおそれるなど、住民の今後の監査請求の権能の行使に対して委縮的効果をもたらし、将来の監査事務に支障を及ぼすおそれがあると考えられる。
したがって、本件において非公開とされたCD-R(音声データ)は、条例第7条第4号に該当すると判断される。
(11)本件行政文書12
公開しない部分 公開しない理由 公開すべき部分
請求人の陳述要旨のうち、請求人代理人の氏名 個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができる情報であることから、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。  
請求人の陳述要旨のうち、陳述内容(要旨)が記載された部分 本件において非公開とされたのは、法第242条第6項の規定に基づき実施された、住民監査請求に係る監査請求人の陳述の聴取記録のうち、陳述内容(要旨)が記録された部分である。審査会で見分したところ、当該非公開部分には、当日のやり取りが細かく記録されており、その内容は、公表された監査結果に記載された陳述要旨に比べるとかなり詳細なものであることが確認された。
監査請求人の陳述について、このように詳細な内容が公開されてしまうと、上述のとおり、将来の監査請求人によっては、不安・不快の念を抱き、あるいは監査対象者、当該監査請求により不利益を受ける者等関係者からの批判、非難をおそれるなど、住民の今後の監査請求の権能の行使に対して委縮的効果をもたらし、将来の監査事務に支障を及ぼすおそれがあると考えられる。
したがって、本件において非公開とされた監査請求人の陳述内容(要旨)が記録された部分は、条例第7条第4号に該当すると判断される。
(12)本件行政文書13
公開しない部分 公開しない理由 公開すべき部分
支出命令書のうち、法人の口座情報及び印影 本件口座情報は、住民監査請求に係る陳述の聴取記録作成業務の委託を受けた法人から提出された請求書等に振込先として記載されたものである。また、本件印影は、同請求書や、当該業務委託契約の契約書に押印された法人の印影である。
これらの書類はその性質上、契約の相手方である実施機関のみが保有する書類であることから、法人は本件口座情報や印影を実施機関に限り公開したものと考えられる。
そうであるとすれば、本件口座情報及び印影は、当該法人の内部管理情報として管理されているものと考えられ、このような情報を当該法人の事業活動に関わりなく、本条例により広く一般に公開することは、当該法人の正当な意思、期待に反し、その正当な利益を害するおそれがあると認められる。
したがって、本件口座情報及び印影は、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。
 
成果品(印刷物)のうち、担当者及び請求人代理人の氏名 個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができる情報であることから、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。
成果品(印刷物)のうち、陳述内容(要旨)が記載された部分 本件において非公開とされたのは、法第242条第6項の規定に基づき実施された、住民監査請求に係る監査請求人の陳述について、陳述の聴取記録作成業務を委託した業者から提出された成果品に記載された、陳述内容の要旨である。
審査会で見分したところ、当該非公開部分には、当日のやり取りが細かく記録されており、その内容は、公表された監査結果に記載された陳述要旨に比べるとかなり詳細なものであることが確認された。
上述のとおり、監査請求人の陳述について、このように詳細な内容が公開されてしまうと、将来の監査請求人によっては、不安・不快の念を抱き、あるいは監査対象者、当該監査請求により不利益を受ける者等関係者からの批判、非難をおそれるなど、住民の今後の監査請求の権能の行使に対して委縮的効果をもたらし、将来の監査事務に支障を及ぼすおそれがあると考えられる。
したがって、本件において非公開とされた監査請求人の陳述内容(要旨)が記録された部分は、条例第7条第4号に該当すると判断される。
成果品(電子データ)のうち、陳述内容(要旨)が記載された部分
(13)本件行政文書14
公開しない部分 公開しない理由 公開すべき部分
領収書等添付票のうち、個人の「住所、氏名、印影」(公開する部分を除く。)及び口座情報 個人に関する情報であって、特定の個人を識別することができる情報であることから、条例第7条第1号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。  
領収書等添付票のうち、法人その他の団体及び事業を営む個人の印影 本件印影は、香川県議会議員が受領した領収書等に押印されたものである。
上述のとおり、本件印影は、法人等の内部管理情報として管理されているものと考えられ、このような情報を当該法人等の事業活動に関わりなく、本条例により広く一般に公開することは、当該法人等の正当な意思、期待に反し、その正当な利益を害するおそれがあると認められる。
したがって、領収書等添付票のうち、法人等の印影は、条例第7条第2号本文に該当し、ただし書に該当しないと判断される。
賃貸借契約書の写し 本件で非公開とされた部分は、調査対象機関が、関係議員から任意の協力の下に、監査委員限りで活用されるものと信頼して提供された政務活動費に係る具体的な情報である。
上述のとおり、かかる情報がすべて公開されてしまうと、議会議員等においては、直接的又は間接的に監査委員に情報提供をすることについて慎重になり、あるいは調査への協力を一律に控えるなどの対応をすることも想定される。このような事態になれば、今後同様の住民監査請求があった場合、監査委員として正確な事実の把握が困難になるとともに、違法又は不当な行為の発見も困難になることから、将来の監査に係る事務に関し、その適正な遂行に支障を及ぼすおそれがあると考えられる。
したがって、本件で非公開とされた情報は、条例第7条第4号に該当すると判断される。
雇用契約書の写し

401号~450号 451号~500号 501号~

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