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オリーブオイルは、オリーブ樹の果実から化学的な処理を行わず、物理的・機械的方法のみでオイルを採ったものです。
そのため、オリーブの品種や果実の熟度、採油方法、生産環境によって味や香りの特性が異なります。これら特性の違いは、化学検査で判断できないため、実際に人の感覚(五感)を使って判断・評価します。この評価方法を「官能評価」といいます。
官能評価は、さまざまな製品の製造過程でも行われています。食品工場では出荷前の品質検査(味や香り、色など)、機械工場では製品の検査(傷の有無や塗装の状態、音質等)を、人の五感を使って行っています。
香川県では、県独自で定めた品質評価基準に適合した製品であることを表示することにより、香川県産オリーブオイルに対する消費者の信頼を高めることを目的とした「かがわオリーブオイル品質表示制度(かがわオリーブオイル品質評価・適合表示制度)」を設けています。制度に定められた品質評価のうち、官能評価については小豆オリーブ研究所で平成28年度から行っています。
なお、オリーブオイルの定義などについては、下記のページをご覧ください。
香川県で行われている官能評価はIOC※の基準に基づいて行われています。このため、小豆オリーブ研究所には、IOC基準を満たした官能評価室を整備しています。室内は官能評価員の緊張をほぐし、落ち着いて評価ができるような色合いにしており、温度や明るさは常時、一定に設定しています。
※IOC(International Olive Council)…
オリーブオイル・テーブルオリーブスに関する国際協定(条約・国際商品協定)に基づく世界唯一の政府間国際機関
官能評価は、官能評価員が集中して官能評価ができるよう、個別に仕切られたブースで行います。
また、一定の温度でオリーブオイルを評価するため、加温器を備えています。口や手を濯ぐ際に利用できるよう、蛇口のある流しもあり、全てIOCの設置基準を満たした作りとなっています。
オリーブオイルの官能評価は、8〜12人のテイスターで構成する「パネル」により行われます。
これは、人間の感覚という不確かなもので評価し、しかも特定の人間が評価することから、化学的に再現性を持てるよう、複数名で行います。また、テイスターの選抜やトレーニング方法もIOCにおいて定められています。
香川県のテイスターは、これらの訓練や選抜試験をクリアした者で構成されており、知事から官能評価員の委嘱を受けています。(令和4年4月1日現在25名)
本県の「パネル」は、IOCが行った2018年の認定試験を合格し、2018〜2019年の公式パネルとして認定されました。これは国内初であり、東アジアで唯一の認定となりました(図1)。その後もIOCの試験を経て、継続認定されています。
「パネル」を組織し運営する中心的な存在を「パネルリーダー」といいます。
「パネルリーダー」はテイスターの選抜・訓練・管理や、官能評価の成績・評価及び記録の保存など、官能評価業務の一連の作業において責任を持ちます。
オリーブオイルの評価は、パネルのテイスター間でバラツキがなく、同等の評価ができるよう訓練を行います。評価方法はIOCの方法に基づき、全テイスターの評価した値の中央値を採用します。
パネルリーダーは、テイスターの評価に大きなバラツキがないか、統計処理により確認します。
オリーブオイルは、IOCによりさまざまな属性に対する用語が示され、国際的に統一された表現を確立しています。
※なお、これより述べる官能評価に関しては、「バージン・オリーブオイル」とその鑑別にのみ適用できるものです。
オリーブオイルの規格については、こちらのページをご覧ください。…小豆オリーブ研究所:オリーブオイル規格・官能評価
オリーブオイルの属性には「ネガティブな属性」と「ポジティブな属性」があげられます。
他にも、Heated or burnt(加熱臭又は焦げ臭)やMetallic(金属臭)など、さまざまな属性の表現があります。
官能評価を行うときは、これらの属性の強度について「官能評価プロファイルシート(JPG:41KB)(記載例:JPEG形式154KB)」へ記入します。
香川県ではIOCのシートを使用しています。それぞれの属性の横に10cmの線があります。官能評価を行ったときに感じた属性の強さを、感覚により縦線で記入します。
なお、ネガティブな属性については感じられた時のみ記載し、ポジティブな属性については必ず記載することになっています。
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