ページID:18565

公開日:2020年12月10日

ここから本文です。

愛媛県の農家民宿

令和元年9月28日(土曜日)~29日(日曜日)に愛媛県内子町に赴き、農林漁家民宿等を経営されている3人の方にお話を伺いました。

ログ立山

農林漁家民宿を始めたきっかけはなんですか?

元は専業農家で、米・椎茸を栽培しており、リンゴの観光農園もしていました。うちはご覧のとおりログハウスで営業しています。このログハウスは民宿をするために建てたのではなく、子供が結婚したので、母屋に子供が住み、私たちが暮らす家として建てたものです。
平成16年に内子町と大洲市、宇和島市、八幡浜市など南予一円で「えひめ町並博」というものを開催することになりました。その際のお客さんの宿泊場所としてやってみないかというお話をいただき、開業することになりました。開業にあたっては、大分県安心院にある農家民宿の視察を行い、2軒(うち1軒は大分県安心院にある中山ミヤ子氏の“舟板昔ばなしの家”)に泊まりました。視察をして、これなら私でもなんとか出来ると考えて開業することにしました。


手作りのログハウス

開業にあたっての苦労は?

手続きについては、愛媛県庁の方が手伝ってくれました。浄化槽の大きさの問題ですこし手間取りましたが、なんとか開業できました。安心院の中山さんのお話の中で、設備投資はなるべくしないようにとお聞きしていたので、開業するにあたり、特別お金をかけるようなことはしていません。
実は、妻に相談せず一人で勝手に開業すると決めていたので、妻を説得するのが一番苦労した事かもしれませんね。


参加者に説明する山本さん夫妻

開業して良かった点、悪かった点は?

本当にいいお客さんばかりで、知らない土地の方が来ていただけ、自分も知らないことを教えてもらえました。何年も手紙を送っていただき、心配してくれる人もいます。
私たちは外国語を話せないですが、外国の方も来られます。でも、身振り手振りでなんとかなるものですよ。9年前にベルギーから新婚旅行で来られた方が、つい先日来てくれました。何年も経って、またうちに来てくれるのはとても嬉しいことです。
(奥様)私は元々料理をするのが苦痛でした。先程のお話にもありましたが、主人が勝手に決めてきたので、料理は誰が作るのかと聞くと私と言うのですね。私は嫌でしたが、ご飯を出さないわけにはいきませんから、料理教室に通ったりして腕を磨きました。今では料理が全然苦にならないようになりましたから、そういう意味では良かったと思います。
困ったことはほとんどないのですが、何度も予約をしては、キャンセル料が発生する日の前日になるとキャンセルをするという方がいましたね。その方は何度も繰り返されていたので、もうお断りすることにしました。それ以外に困ったことはないですね。


山本さん手作りのピザ窯でのピザ焼きが人気

開業を検討されている方に一言お願いします。

いざ始めてみると、お客さんをもてなし、お話したりすることは楽しいですよ。これから開業しようという人は情熱を持って、いろんな民宿を見てまわると良いと思いますね。私たちでも出来たので、みなさんもぜひ開業してみてください。

石畳の宿

農林漁家民宿を始めたきっかけはなんですか?

この施設は元々、内子町内の空き家を移築したもので、平成6年から町営の農村体験宿泊施設としてスタートしました。平成22年からは「さくらの会」が内子町との間に管理委託契約を結び運営しています。「さくらの会」は農家の嫁を中心に構成されており、現在は11名で運営しています。女性メンバーは料理やお部屋の掃除、経理等を行っています。男性メンバーには外の草刈りなどの力仕事をお願いしています。


築100年の古民家を活かした宿

どのようにPRされていますか?

初めは電話予約のみの受付でした。そのうちに、雑誌などにも取り上げていただくこともあり、徐々にお客さんが増えていったと思います。平成22年からは、楽天トラベルとじゃらんに登録しました。現在は、そちらから予約されるお客さんも増えています。客層としては、関西、関東等からも来ていただいておりますし、海外からも来られます。家族連れのお客さんもいるし、年輩のご夫婦なども来られますね。


和室でのんびりと過ごせます

運営にあたり工夫していることはありますか?

宿をするにあたり、どのような料理を出そうかと皆で話し合いました。お肉やお刺身はどこに行っても食べられますので、そういったものはお出ししていません。ほかのお宿では食べられないようなものをと考えて提供させていただいています。野菜等は、自分たちで育てたものをそれぞれ持ち寄って使っています。農家ですから、自分がどのように栽培したか全てわかっていますよね。農薬等も使っていない地元の野菜・山菜等、安心・安全な食材だけを提供するように心がけています。
料理については、2~3人で行うため、調理する人によって味が変わらないように統一できるように努力しています。昔は葬式を家で行ったり、親戚が盆や正月に集まったりと料理を振る舞うことがあったので、料理の機会もあり学ぶことが出来ていましたが、近年はそういう機会も減ってきています。メンバーも歳をとっていくので、同じ味を若い人に伝えていけるよう努力をしています。
営業については、皆に無理が生じないよう、盆と正月は休み、用事があって外せないときは他の方にお願いし、地域の行事等で何人もが出られないときは宿の営業をお休みするようにしています。


夕食の天ぷらには様々な地元食材が並ぶ!

開業を検討されている方に一言お願いします。

お客様は、遠いところからはるばる、山奥の何もないところにも関わらず、わざわざ来ていただいています。本当にありがたいことですよ。私たちが民宿を始めたあとに、町内でも民宿が増えていきました。皆さんが開業することで、周りでも増えたらとてもうれしいですよね。
「さくらの会」のメンバーたちは、みんな楽しんでやれているので、ここまで続いているのだと思います。皆さんもどうか楽しみをもって取り組んでくださいね。

ファーム・イン RAUM 古久里来

農林漁家民宿を始めたきっかけはなんですか?

私は、元々、内子町役場に勤めておりました。開業の5年くらい前に、(財)日本地域開発センター主催によるヨーロッパのグリーンツーリズム視察(ドイツ、オーストリア、スイス、フランス)に同行しました。農家の女性たちが輝いて見えました。私は、これを参考にしたいと思い、家内にスライドを見せて、農家の主婦の活躍を話しました。家内も農家民宿をやってみようと、25年前に開業しました。くしくも「農山漁村滞在型余暇活動のための基盤整備の促進に関する法律」の施行と同時になりました。私はまだ務めていましたので、農家の主婦である家内が一人でやれる範囲の宿を造ることを大前提としました。従って、お客様は最大でも8人以下にしなければ、サービスが行き届かなくなります。コンセプトをしっかり考え、企画書にまとめて、建築士に形にしてもらいました。私は、62歳で役場を退職し、その後JAの役員として勤めましたが、今は、宿の番頭として、オーナーの家内と共に運営しております。
私は、ここを地域のインフォメーションセンター(宿泊者に対し内子町の情報を提供すると共に、地域とお客様を繫ぐ役割)、コミュニティセンター(地域の交流の場)としても活用してゆくように考えています。現在は、朗読会や演奏会、観月会なども開催しています。
地域の方が農作業の合間にちょっと一息つける、地下足袋のまま寄っていただけるような場所を作りたかったんです。
今は、地域の方はもちろん、それを目当てに遠方から来ていただける方も出てきています。

開業にあたっての苦労は?

その頃は消防法、食品衛生法等、とても厳しかったのを覚えています。本当にいろいろと厳しい指導が入りましたね。香川県は、県庁がお手伝いしてくれると聞いていますから、助かると思いますよ。その他の苦労としては、私の場合は居住している家の空き部屋ではなく、宿泊棟を新しく建てました。宿のコンセプトを考え、建築士さんと何度も協議しましたし、自分の思ったように建設すると費用も掛かりましたから、そういう意味での苦労はありました。


参加者に説明を行う森長さん

開業して良かった点、悪かった点は?

「また来ます」と言われるのがうれしいですね。リピーターになっていただけるのは本当に嬉しいことです。これまでで、悪い思い出はないです。開業にあたり、地域の人は「あの人は何をするのか」という反応でしたが、今では暖かく接していただいています。お客さんが来られている時には、お客さんに差し上げてと土地の物を持ってきていただけますし、地域でのおもてなしが出来ています。


薪を使ったピザ焼きや炊飯も人気

開業を検討されている方に一言お願いします。

自分の宿のコンセプトをしっかり決めることは大事だと思います。どのような客層を対象とするのかを考えておくと良いと思います。
そうすることによって、自分の立ち位置が決まります。それから、すべてを自分の宿で賄わないことだと思います。食材や体験も含め、地域全体で運営することを考えると、地域が輝きます。女性が輝きます。
みなさんも是非、開業してみてください。

このページに関するお問い合わせ

農政水産部農村整備課

電話:087-832-3449

FAX:087-806-0205