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公開日:2020年12月10日

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徳島県の農家民宿

平成30年11月1日(木曜日)~2日(金曜日)に農林漁家民宿の先進地である徳島県吉野川市に赴き、農林漁家民宿を経営されている3人の方にお話を伺いました。

農家民宿&レストラン きのこの里

農林漁家民宿を始めたきっかけはなんですか?

元々は梅と椎茸の専業農家でした。ある時、美郷商工会から農家レストランをやってみないかというお話をいただき、農家レストランを始めました。こんな田舎に誰が来るのかという思いもありましたが、やってみると東京等、遠方からも来ていただける。非常に驚きでした。
その後、商工会主催の視察会に誘われて、大分県安心院にある農家民宿の視察を行いました。どんな家で民宿をしているのかという施設面での不安がありましたが、視察した民宿が私たちと同じ普通の家でしていることがわかり、これなら自分たちの家でも出来ると思い平成20年に開業しました。


参加者に説明する川村さん

開業にあたっての苦労は?

元々息子が住めるようにと部屋をきれいにはしていました。また、失敗しても良いくらいのつもりで、いつ辞めてもいいように、投資はなるべく抑えました。最近は中古の設備もたくさん売っているので、利用するとよいと思います。初めて見た農家民宿が普通の民家だったこともあり、あまり投資せずに始めようと思いました。開業にあたっては、保健所などへの申請が必要でしたが、商工会の人が書類の作成を行ってくれたのであまり苦労はありませんでした。


家民宿&レストラン「きのこの里」宿泊室

宿泊者へのPRはどのようにされていますか?

親戚の甥にホームページを作ってもらいました。ほとんど初めにつくったものから更新はしていません。その代わりに、ブログは頻繁に更新しています。たまたまテレビの取材が入り、急激にお客が増えました。2年目には半年で800人超のお客さんが来て、体調を崩してしまったほどです。お客様との触れ合いを大事にするのであれば、特にPRはせずとも、徐々に口コミでお客さんは増えると思います。
清潔感には気を付けています。良い口コミよりも、悪い口コミはすぐに広がるからです。
肉や化学調味料を使わない美郷流マクロビ料理を提供していますが、それを目当てに遠方からお客様が来られます。ただ美味しいものや、肉料理等はどこでも食べられるので、ここでしか食べられないものを提供するように心がけています。

大人気の美郷流マクロビ料理

開業して良かった点、悪かった点は?

見知らぬ土地・国の人との触れ合いにより、自分も知らないことを教えてもらえました。外国語は何も話せないのですが、何とかなります。身振りで何とかなるし、最近はスマホアプリでの翻訳も発達しているので、そこまで苦労することはありません。
流しそうめんの体験などでは、竹でお箸とお椀を自分で作ってもらうんです。都会からくるお若い親御さんたちは、のこぎりや小刀等を使ったことがない人もたくさんいます。そういった人が子供達より一生懸命になって作業し、楽しかったと言ってもらえると、子供だけでなく、大人の教育の場になっていると思いますね。
料理などで非常に疲れることもありますが、お客さんから年賀状やお手紙をいただいたり、今年の豪雨の時には東京から心配で電話してくれたりということもあり、そういう時にはやっていてよかったと思います。悪いことは特にないですよ。

開業を検討されている方に一言お願いします。

みなさんを見ると私たちよりまだまだお若いと思います。無理なく始められるので、ぜひ開業してみてください。開業したら、ぜひ皆さんのお宿にも泊まってみたいと思います。

木の夢 ととり

農林漁家民宿を始めたきっかけはなんですか?

元々は原木椎茸と梅の専業農家でした。美郷商工会からのお誘いで大分県安心院の農家民宿の視察を行いました。「きのこの里」の川村さんとも話をして、これなら出来るということで平成20年に開業しました。こんな山奥で人が来てくれるのかとても不安でしたが、主人の理解も得られたので始めました。極力、自家製の野菜等を使うほか、猪肉が手に入ればそれを出したりします。特別な料理を作ったりはしていません。

手作りの看板でお出迎え

宿泊者へのPRはどのようにされていますか

ホームページを作成しています。お客さんは、テレビや雑誌をみてくる人が多かったのですが、現在は口コミ等が多いと思います。テレビなどに出ると、放送中から電話がかかってくるのですが、そういう方はほとんど田舎暮らし体験がしたいというよりも、テレビに出ていたので行ってみたいという方が多いと思います。その後に、来られるお客さんたちは、田舎が好きな人たちなので、繰り返し来てくれることが多いです。

客層は?

関西、関東など遠方にもかかわらず来ていただけます。海外の方も多いと思います。関西国際空港等から来られるほか、最近は高松空港に来られた台湾や韓国のお客さんが来られます。

お客さんはどのように過ごしていますか?

私たちは母屋、お客さんとは別棟で寝ていますので、呼ばれない限りは基本的にお客さんの部屋には行きません。のんびりとお部屋でくつろぐ方、窓からの景色、特に山に沈みゆく夕日を眺める方が多いかと思います。体験メニューをするときには娘も手伝い、お客さんと会話しながら楽しく活動しています。


参加者に説明する楮山さん

開業の手続きはいかがでしたか?

美郷商工会の方がお手伝いくださいましたが、徳島県で最初だったので、いろいろな手続きに苦労しました。この頃はだいぶ簡素になってきているそうです。

開業して良かった点、悪かった点は?

いろんな人との触れ合いにより、知らない情報や知っている事を教え合ったりできます。元気でいられることが良いことですね。主人は亡くなってしまいましたが、お客さんが来てくれることで、さみしさも半減していると思います。歳を重ね、梅の木の管理は段々と出来なくなってきましたが、民宿はまだ続けられるので頑張りたいと思います。
たまに、都会のホテル感覚で泊まりに来られ、農家民宿がどういったものかを理解せずに来られるお客様はいます。そういうお客様の大半はもう来られることはないのですが、あまり気にしていません。今はこういう所と理解して来てくださる人たちばかりです。
お客様の中にはアレルギーを持たれた方もいます。食事を出す際には、アレルギーの有無についてきちんと確認し、十分気を付けてください。


人気のこんにゃく作り

開業を検討されている方に一言お願いします。

今まで、美郷ほたる館まではお客さんが来ていましたが、そこまでで帰る方が多かったと思います。農家民宿をはじめて、さらに山奥まで来てくれるようになりました。みなさんが1日でも早く開業されることを楽しみにしております。

体験型農家民宿 レストラン どこも山

農林漁家民宿を始めたきっかけはなんですか?

私はきのこの里の川村さんや木の夢ととりの楮山さんからは遅れて開業しています。元々路線バスの運転手をしており、退職したら私もやってみようと思い、いろんな所にいって食事をしたり、体験メニューを考えていました。うどん打ち体験も出来るように、香川県のうどん屋さんもいくつか回りました。


井上さん手作りのミニかずら橋

開業までの苦労は?

退職後、家を建て始めることにしましたが、費用を抑えるため、木材は間伐材を利用し、製材はユニックをリースし、自分で運搬し製材してもらいました。同様に電気や設備等は個別に頼んで費用を抑えました。とにかく投資はなるべく抑えるようにしました。
申請にあたっては、町村合併により美郷商工会が無くなってしまい、戸惑う所もありました。合併後、新しく吉野川市商工会ができ、ご支援を受けながら書類を提出することになり、とても大変でした。聞くところによると香川県は県庁さんが書類作成のお手伝いをしてくれるというので非常に楽だと思います。

開業して良かった点、悪かった点は?

いろんな人が来てくれるのが本当にうれしいです。また、ありがたいことに、リピーターもできています。初めて来たときには、お母さんに抱っこされていた赤ちゃんが、久しぶりに来たらすごく大きくなっているようなこともあり、遠くの孫が増えたようでとてもうれしいですね。お客さんに喜んでもらえるとやっていてよかったと思います。
苦労というか、失敗談としては、ダブルブッキングをしてしまった事です。予約の電話を取る人が同じであればよいのですが、妻であったり、母であったりしたときに発生してしまいました。そんな時はお客さんに正直にお話ししてお断りしています。過去には、お断りの電話をすると、もう鳴門まで来ているというので、川村さんに事情を説明して、きのこの里にお泊りいただいたこともあります。


手作りのピザ窯でピザ焼き体験

開業にあたり困ったことはありますか?

旅館業法等の法律の手続きについては、役場の方やその他にもたくさんの人に手伝っていただきました。消防法の関係だと、消防署の職員に来てもらいました。保健所関係の許可は、ここから1時間くらいの役所に出向いて手続きを教えていただきました。
私たちが一番困ったのは、金額の設定です。特に食事については、いくらお金をいただいたらよいのか全然分からないので、いろんなお店へ行きました。これがいくら、これがいくらって参考になるよう確認しながら設定していきました。


かわいいヤギとの触れ合いも人気

ご家族やご近所の方の反応はどうでしたか?

妻との約束で、2年してダメであれば廃業して、老後の生活をする家にしようということで始めました。みなさんも家族の協力は、頑張って得るようにしてください。

開業を検討されている方に一言お願いします。

民宿というのは、退職後でも出来ることです。無理をせずに、しかし丁寧な対応をしていると、必ずお客さんは来てくれると思います。ぜひ頑張ってみてください。

このページに関するお問い合わせ

農政水産部農村整備課

電話:087-832-3449

FAX:087-806-0205