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公開日:2020年12月10日

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農林漁家民宿開業支援セミナー 農林漁家民宿で始めよう~魅力ある暮らしと地域おこし~

農林漁家民宿で始めよう~魅力ある暮らしと地域おこし~

平成29年11月22日に開催した農林漁家民宿開業支援セミナーでは、石川県の能登半島で、農家民宿を起点として地域活性化に取り組む「一般社団法人春蘭の里」の代表理事 多田喜一郎さんにお越しいただき、「農家民宿を起点に取り組む地域おこし」と題してご講演いただきました。

行政に頼らない地域づくりだけど行政が応援したくなるような地域づくり、これを皆さんやってください。

「俺はもう歳だから若い者に任せるよ。」ってなってしまったらダメなんです。「俺は馬鹿者だけれどもやるよ。」っていう人が出てこないと。じゃあ、どうすれば馬鹿者になれるのか。今まで地域のおじいちゃんやおばあちゃんに、そして元気な地域に育てられてここまで来たと思えば、プラス思考に物事を考えて、自分の残りの人生を地域に返そうと考えるようになる。そうなれば「俺はやるぞ。」って思えるし、地域のために楽しくお金を使うことができるようになると思うんです。

そんな考えを持って私は、21年前の平成8年、7人のメンバーで集まって「春蘭の里実行委員会」を設立しました。設立までには紆余曲折あって、地域のみんなをまとめるべきか、それとも意見に賛同する人だけで集まってやればいいかと、5年間話し合い、結果、賛同する人だけでやろうということになりました。やっぱり、みんなと一緒でも、低い志で進むのであれば、良いものはできないのではないでしょうか。人数が少なくても高い志を持って進んだ時こそ立派なものができる。立派な志を持って、意見に賛同する人が3人集まったら、行政に頼らない地域づくりだけど行政が応援をしたくなるような地域づくり、これを皆さんやってください。
でも、最初は農家民宿ではなくて、農産物の販売で1億円稼ぎ、地域の活性化を図ろうとしていました。だけど1年やって、無理だと気付いたんです。色々経費もかさむし、これでは野菜や山菜を売っても儲からんなって。じゃあどうせやるなら、人に来てもらって、不ぞろいの物でもきちっと加工すれば一緒じゃない?となり、農家民宿をはじめたんです。
今では賛同者も徐々に増え、農家民宿が47軒、加工所や直売所、廃校になった小学校を利用した宿泊交流施設「こぶし」もできて、活動は2市2町にまで広がってきました。入込客数も16,000人を数え、一般のお客さんだけでなく、修学旅行生や外国の方も来てくれる地域になってきました。


宿泊交流施設「こぶし」

地域の再生 その可能性を秘めているのが農家民宿だと思います。

そんな私たちには、今追いかけている夢があります。それは、若者が戻ってきて、赤ん坊の泣き声が聞こえる地域を作ろうということです。地域の再生というのは、若い者がいて、今までそこにある家がそのまま残って、学校も店も存続しないといけません。そのためには、人を呼び込まなくてはダメなんです。農業だけをやるんじゃなくて、コーヒー屋やパン屋、うどん屋、農家民宿ができて、たまに遊びに来てくれる人がいて、今ある家を残していかなきゃならない。それが地域の再生だと思うんです。その可能性を秘めているのが農家民宿だと思います。農家民宿で一月40万円の収入を得ることができれば、この夢も叶うと思うんです。後ろを向いたって何にも楽しくない。いかにして前を見つめるべきか考えて進むことが、地域づくりにとって大切なんです。


農家民宿「春蘭の宿」

何ら恥じることはない。自分たちの地域で採れたものを自信を持って出せるか出せないかだけ。

今、私たちの地域には日本人も外国人もたくさんの方が来てくれます。外国人にしてみれば、「ホテルで泊まると、ニューヨークもロンドンもパリも東京もみんな同じ。だから、日本に来て、日本の文化を感じられる田舎に一晩は泊まってみたい。」って言います。じゃあ、日本人はというと、「有名なところは行ってしまったから、ひっそりと魅力を感じるところに泊まってみたい。そして、スーパーに売っていないものを食べてみたい。」って言うんです。だから、何ら恥じることはない。自分たちの地域で採れたものを自信を持って出せるか出せないかだけ。地域の誇れるものを地域の器で食べさせてあげられれば、たくあんでも良いし、立派なうどんでも良いんだと思います。
だから、私たちのところは、日本人でも外国人でも、手作りの箸を作ってもらって、輪島塗の赤い御膳と器で、山菜と野菜と川魚だけ提供するんです。これでもお客さんが来てくれます。だから、皆さんも自分たちの地域で採れたものを自信を持って出して、しっかりお金を稼いで地域を再生すればいいと思います。安く提供することも大事だと思いますが、それで、エネルギーをみんなつぎ込んで、疲れてしまっては最後には何も残らないと思うんです。
お客さんが来るようになってくると商売も面白いんですよ。稼いだお金は孫に使えば良いし、地域のお宮をきちんと直すのに使えば良いし、日本一きれいな地域にする活動に使っても良いじゃないですか。
前向きになるってすごいことなんですよね。私たちの地域で18軒いっぺんに農家民宿を始めたことがあって、そうしたらね、農家民宿を始めた家のおじいちゃんおばあちゃんがきれいになるんですよね。女性はお化粧だってするし、男性は清潔な服装に着替えて、汚れた仕事着でいることはまずない。家はきれいに片付けていますしね。それになんだか明るくなる。だから、人間前向きになったら違うのかなって私は思うんですよね。それに、農家民宿をすれば人と接しなきゃいけないから地域のボケ防止対策にもなる。人と話して、少しでもお金を稼いで、年金プラスアルファで頑張ってやっていると、いつまでも元気でいられるんだと思います。


春蘭の里で提供する料理

まずはやってみる。そういうのが私は一番大事だと思います。

私は今69歳ですけど、まだ引退できないんです。春蘭の里を良いものにするまで。だから、今年の正月、俺は100歳まで現役でやるよって神様に誓いを立てました。ダメかどうかは別として、100歳まで一生懸命にやっていこうと思います。
でも、私たちの代で終わってはいけないから、青年部を立ち上げて、40代の会長とその協力者として30代の8人に頑張ってもらうことも始めています。青年部を鍛えるのには、私たちも本当に汗をかかなきゃいけないし、忍耐も必要ですが、夢を繋ぐためには必要なことだと思います。彼ら以外にも、台湾や韓国からきてくれている方や横浜からきて農家民宿をやってくれている方、汗をかいて頑張ってくれている方がいっぱいいます。そのほかにも、春蘭の里から1時間半程のところにある金沢市には、私たちの地域から出た人100人くらいが集まって、地域の高齢者があれだけ頑張っているなら、金沢に出た自分達が応援しない訳にはいけないということで、「春蘭の里金沢会」というのを作って、私たちを応援してくれています。そうやって、地域内外、また日本人か外国人かを問わず、色々な人の賛同を得ることで、ここまで大きくなって、いずれは小学校も復活できるんじゃないかって思っています。
私は今でも夢に向かって進んでいて、外国人が好む文化財になるような古民家を再生するため、何か良い制度は無いかなとか、クラウドファンディングでもしようかなとか、色々考えています。やれば何でもできるんです。男性女性問わず、80歳になっても90歳になっても、「俺はやるぞ。」というやる気が無くならない限り。そして、まずはやってみる。そういうのが私は一番大事だと思います。
今回の講演で、ここにいる皆さんが前向きになって、石川県の能登に泊まったお客さんに「香川県のあの地域に行ってよ、素晴らしいところだから。」と言えるようになれば良いなと思います。皆さん頑張ってください。

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農政水産部農村整備課

電話:087-832-3449

FAX:087-806-0205