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公開日:2020年12月10日

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農林漁家民宿開業支援セミナー あなたのお家で農林漁家民宿~出会いが作る地域のにぎわい~

あなたのお家で農林漁家民宿~出会いが作る地域のにぎわい~

平成30年9月11日に開催した農林漁家民宿開業支援セミナーでは、熊本県のあさぎり町で、農泊を中心に人材育成に取り組む「食・農・人 総合研究所 リュウキンカの郷」の代表 本田 節さんにお越しいただき、「食で繋げる、ひと・まち・くらし」と題してご講演いただきました。

地域が抱える条件不利を条件有利に変えていくのがグリーン・ツーリズム

「ピンピンいきてころりと死ぬ」これこそが私たちの目指すところ。地域が抱える条件不利を条件有利に変えていくのがグリーン・ツーリズム。今、時代の変革の中で地方が生き残る、生きていくかを地元、市町村、民間、みんなで考えていくことが必要です。今までは「行政が何もしてくれないから何もできない」という行政依存が大きかったが、お互いを助け合う共助の取組が必要で、その取組の一つが農泊です。地域全体で取り組み、みんなで地域を盛り上げていく。高齢者、女性、もうすこし若かったらなぁ、なんてとんでもない!!生涯現役、還暦から10年、20年、30年と頑張れます。人材も地域資源、これを生かしていかないといけないですよ。女性も高齢者もみんなが地域の担い手であることを認識してもらいたい、もちろんお父さんたちの支えも大切ですよ。

地域のおかあさんの手料理こそがこれからの時代の地域資源

熊本県人吉市、日本三大急流のひとつである球磨川のほとりで農家レストラン「ひまわり亭」をはじめて21年が経ちました。元々は地元の婦人会、JA女性部、生活改善グループの集まりである地域のボランティアグループ「ひまわりグループ」が始まりでした。地域コミュニティで料理教室をしたのがはじまりです。ある時、メンバーの女性が定年を迎え、「待っていました定年退職」「60歳新入社員」「生涯現役」なんてことをいいだしました。長寿社会日本において、この考えが地域活性化の原動力になるのではと考え、みんなでいろんな講演会に参加して勉強しました。まずは情報、きっかけを知ることが大切と考えました。そのうち、みんなの意識も高まり、なにかしようと考え始め、まずは、公民館で独居老人への宅配弁当を始めました。地域の食材、家庭菜園の野菜を持ち寄れば50人分くらいはすぐにできる。地域のおかあさんの手料理こそがこれからの時代の地域資源と考えました。
私たちは、先人たちの「もったいない」という考えを大切にしています。地域の食材を食べない、地域のお母さんたちの腕・技術、これらをそのままにしておくのはもったいない。ということでこれらを生かす取り組みが農家レストランです。建物も古民家を移築、古民家をつぶすのはもったいないという考えで、球磨川のほとりに移築しました。
資金はほぼ全て借金、金融機関に頭をさげて借りました。これが行政の補助、公設民営ではおそらく10年持たなかったと思います。借金をしたから続いたと思います。
始めたときは、「こんな田舎のおばさんが作るものを食べに来るはずがない」「1年もたない」なんてことをよく言われました。しかし、その批判が自分達のやる気と、足を引っ張られると俄然頑張ろうという気になりました。


ひまわり亭での作業風景
農家レストラン「ひまわり亭」

持続可能な地域づくりをしないと、いくら理想を求めても続かない

みなさん色々な夢を見ますが、経済を考えないといけない。左手に“ロマン”をもっても、右手には“そろばん”を持たないといけないのです。持続可能な地域づくりをしないと、いくら理想を求めても続かない。どうやって経済を回そうかと考えたときに、地域のおばちゃんが作る郷土料理、手仕事、これこそが日本の誇る文化であり、これなら田舎でもできることだと考えました。五穀豊穣を願う祈り、季節の料理、これこそが世界に打って出る文化だと考えた。ひなまつりの時には、人吉のいたるところでひな人形を出してもらう、その時にちらしずしを出す。こういった懐かしい故郷の文化を提供できる店があってもいいのではないかと考えました。
グリーン・ツーリズムをはじめて、地域に「なにもない」といっていた人が「あるもの」を探し始めるようになったんです。今まで、全く気にもとめなかった風景や故郷の美しさを褒められたときに、私はなんて幸せな生き方をしているのかと気付けました。それはグリーン・ツーリズム活動をしているからこそだと思います。
農家民宿を始めてみない?と言っても、みなさん「農業が忙しい」「そんなは時間ない」なんて言っていました。そこで、無理やり講演会などに連れていき、とにかく話を聞いてもらいました。数年前、農家のお母さんをヨーロッパに連れていき、豊かな農業・農村を見せているうちに、「農業をやっていてよかった」といいだしました。まさに、グリーン・ツーリズムの醍醐味を学ぶことができ、農家民宿をやってみたいと考えるようになったのです。旦那さんは反対だったそうですが、長年苦労を掛けた奥さんのため開業を決断してくれました。今ではお父さんも農家民宿がとても楽しいと言っておられます。
また、別のお父さんは「知らない人が泊まりに来るのは嫌だ」なんてことを言っていましたが、若い方が泊まられ「お父さんがつくるお米は美味しい」なんて言われているうちに、お父さんのやる気も出て、積極的に運営してくれています。娘夫婦のために、兼業農家でも持続できるような「農業+農家民宿」をしようと考え、農家民宿を始めた方もいます。そういった考えにより農家が廃れることなく続いています。


農家レストラン「ひまわり亭」店内

地域全体で泊まり、食事をし、買い物をしてもらう、地域全体が経済を作っていくということが大切

農泊というのはよくある観光業ではありません。大型バスでやってきて、泊まるのも、ご飯を食べるのも、お土産を買うのも1ヶ所で囲い込む、そういう観光ではない。地域全体で泊まり、食事をし、買い物をしてもらう、地域全体が経済を作っていくということが大切なことだと思います。一方で、農泊は増えてきつつありますが、安かろう・悪かろうでは海外の目の肥えたお客さんは来てくれません。しっかりと「おもてなし」を提供すれば泊まりに来てくれます。素泊まり1泊6500円でもそこに3500円の立派な料理を出したら1泊1万円をとるなんていうことも可能です。週末2日の営業をすれば、月収40万ということも可能です。ただの宿泊所を作るのではなく、農山村振興というテーマのもと、国をあげて農泊を推進しているのです。
田舎では仕事が無いなんて言われるがとんでもない。地方では人手が足りない、1次産業+農家民宿で十分やっていける。だから農泊を推し進めているのです。


ひまわり御膳

私たちの活動は、持続可能な農山漁村の活性化へ繋げていくことが最終目標

昨年の7月にあさぎり町の古民家を改修し、食・農・人総合研究所リュウキンカの郷という拠点をつくりました。リュウキンカはあさぎり町の町花、まちの基本計画が「健康と幸福」ということで、私たちの基本計画と合致するのでリュウキンカの郷と命名しました。(花言葉:必ず来る幸福)
今やっているのは、「人材育成」、新しい農泊の取組として頑張っています。人材育成学びの拠点です。かまどでご飯を炊く、それだけで子供にとっては十分な体験です。ピザ窯もあります。農家民宿のおかあさんたちを集めて料理教室、学び直しを行っています。講演を聞いてもらい、料理体験をしてみんなで食事し、そのまま泊まってもらうという宿泊型研修を行っています。田舎の農家民宿とはいえ、おもてなしは大切ですよ。清潔さはもちろんのこと、アメニティもきちんとすることが大事!子供の修学旅行が来ることもありますが、子供だといって手を抜かないことが大切ですよ。
農家民宿、地域の飲食店、フットバス、直売所、観光業、6次産業、自然学校そういうものが繋がっていくようにすること、コミュニティを向上させ、持続可能なヒトづくり、モノづくり、カネづくりをしていかないといけないと私は言い続けています。私たちの活動は、持続可能な農山漁村の活性化へ繋げていくことが最終目標であると考えています。
農林漁家民宿だけではなく、地域、行政、中間管理施設等が協力してやっていかないといけない。そうじゃないと成功しないという認識を、是非みなさんに持っていただきたいと思います。


食・農・人総合研究所リュウキンカの郷 外観
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電話:087-832-3449

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