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公開日:2020年12月10日

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香川用水計画について

香川用水計画の経緯

吉野川総合開発計画の一環としての香川用水計画の始動は、昭和27年4月、四国4県の吉野川総合開発調査の開始からです。この調査は、昭和28年1月吉野川流域として正式に指定されました。昭和29年4月「吉野川総合開発促進協議会」が発足し、総合開発計画5案の調整、さらには、「調整試案」の策定作業に取り掛かりました。
このころから、香川用水導水の予備調査が推進され始まりました。

当時の香川県の用水事情と導水の必要性

  • 農業用水香川県の農業は、温暖な気候を背景に、全国平均をはるかに上回る農業県として成長し、単位面積当たりの生産額は、全国有数の地位を占めるに至っていました。しかし、降雨の寡少性と水源地の貧弱さは、歴史的に、農業生産の著しい障害となっており、用水不足の解決は、もはや、県内では望み得ない状態におかれているところから、吉野川からの導水の必要性がありました。
  • 工業用水農業用水で述べた香川県の用水不足は、工業用水も例外でなく、工業立地条件の一大あい路であり、全国的位置づけを著しく低位に置く原因となっていました。工業立地条件の最大の障害となっている工業用水の不足については、吉野川からの水に大きな期待を寄せていました。
  • 水道用水後発である水道用水は、農業用水などの既得水利権によって著しく制約を受け、水源のほとんどを供給不安定な浅井戸に依存していました。将来への給水人口の増加と、使用量の増大に対応するには、吉野川からの導水に期待する以外に方法がないと考えられていました。

分水方式と幹線水路の予備計画

分水方式の構想は、吉野川総合開発計画の5試案の比較に際して、それぞれ、全体計画から考えられたものと、香川用水から想定したものであり、5つの方式が検討されました。
香川県の分水と一体となる幹線水路は、起点及び延長こそ違え、水路の経由地点の変化は少ないものとなりました。幹線水路は、農業、工業、水道の共同導水を目的とする多目的水路であり、幹線水路建設における農業部門の経済効果、計画通水量及び事業費負担は他の2部門と比較してかなり大きいものであり、従って、幹線水路計画は、農業用水の導水を重点的対象とし、予備計画の策定にあたっては、水路の位置及び延長を、農業用水の不足する地域に対して補給が広範囲にわたるものとともに、事業費を少なくする方針をもとにし、次の諸条件を考慮して想定しました。

  1. 全線にわたり自然流下の方法をとる。
  2. 導水した水と県内水源との一元化による用水利用の一元化を図る。
  3. 路線の選定は、技術上・安全上の考慮を払う。
  4. 水路敷は、可能な限り耕地、家屋を避ける。
  5. 水路の計画通水量を検討し、建設費の低減を図る。

こうして計画された、幹線水路の予定路線は、昭和33年4月、香川県企画室によって「香川用水計画概要」として公表され、水源となる大容量のダムは別として、吉野川上流に計画されているダム群の最下流に位置する池田ダムを対象に、ダム地点の近傍に取水工を設けて取水し、県境猪鼻峠下の分水トンネルによって、香川県南部の山麓地帯を自然流下によって東西に導水する計画としました。東部幹線においては、三豊市財田町から、琴平町、綾川町、高松市を経てさぬき市長尾までとし、西部幹線は、三豊市財田町から観音寺市大野原町まで計画していました。農業用水は、用水補給の対象を2万5,000ha、畑を4,000haとしており、総給水量は、1億222m³の計画でした。

香川用水計画の成立

こうした中、昭和38年に建設省(現在は国土交通省)は、早明浦ダムの実施計画調査に着手しました。そして、最終的な試案として、昭和41年6月の吉野川総合開発部会及び審議会に提出しました。一方、香川県では、香川用水計画を農林省(現在は農林水産省)に「大規模調査地区」として採択するよう準備を始め、昭和41年4月、農林省は、国営土地改良事業調査地区として採択し、事業計画の取りまとめを開始しました。
昭和42年4月には、水源の早明浦ダム建設事業が、水資源開発公団(現在は水資源機構)に移管され、県でも、「香川用水調査事務所」を設置し活動を開始しました。
同10月には、農林省は、香川用水計画の全体実施計画に着手し、わずか2年半の43年9月には、全体実施設計を完了しました。

香川用水計画の概要

香川用水計画は、吉野川水系の水資源利用の高度化を目指す吉野川総合開発の一環として、吉野川の水を香川県に導入し、香川県の用水不足を全面的に解消して、産業基盤を強化するとともに、生活環境の整備を図ることを目的とするものです。
そのために、吉野川上流に建設された早明浦ダムによって新たに開発された水量年間8億6,300万m³のうち、2億4,700万m³を池田ダムに取水施設を設けて、かんがい期平均毎秒12.5m³、非かんがい期平均毎秒5.5m³を取水し、阿讃山脈を貫く8kmの導水トンネルで、本県の三豊市財田町に導き、ここから東西に延びる幹線水路によって、東部は、東かがわ市白鳥の宮奥池まで、西部は観音寺市豊浜町の姥ヶ懐池まで、また高瀬支線として三豊市高瀬町の満水池まで、総106キロの水路で農業用水・工業用水・水道用水に利用する計画です。

導水水量

当初は、農業用水として年間1億500万m³、工業用水として7,900万m³、水道用水として6,300万m³の合計2億4,700万m³の水量を、年間6パターンに分けて導水していました。
その後、工業用水と水道用水については、供給計画に併せて2回変更され、現在、工業用水については1,900万m³、水道用水については、1億2,210万m³となっています。

供給計画

当初は、農業用水は、3万700haの水田、畑地をかんがいし、水道用水は、当時5市16町を対象に、また工業用水は工業開発3地区に供給する計画で、特に水道・工業用水については、広域的な用水供給事業を行うものとします。
現在は、社会事情の変化により、次の供給計画となっています。

供給計画
  供給対象 供給水源
農業用水 水田:19,762ha
樹園地:3,908ha
合計:23,760ha
年間:1億500万m³
水道用水 8市5町 日量(平均)約33.4万m³
(年間1,2210万m³)
工業用水 坂出市・丸亀市
宇多津町の一部
日量(平均)約5.5万m³
(年間1,900万m³)

施設計画

香川用水の施設は、導水トンネル、幹線水路が主なものであり、幹線水路の総延長98kmのうち、三豊市財田町から高松市古川までの区間約35kmは多目的(農業・水道・工業)に使われます。また、幹線水路からの分水は183の地点で行われ、その下流は、各用水の専用施設などで配水します。幹線水路の建設に要した費用は、255.3億円(共用区間については148.1億円、農業専用区間については107.2億円)要しました。

農業用水計画(香川用水関連土地改良事業)

国営・公団営事業による香川用水幹線水路の建設に並行して、香川用水を末端受益地へ円滑に配水するための、支線水路の新設・改修を主体にした土地改良事業が、香川用水関連土地改良事業として実施されました。

国営畑地かんがい事業

箕浦地区(観音寺市)、仁尾地区、七宝山地区(三豊市)、および善通寺地区(善通寺市)の4地区について、事業費約20億円で実施されました。

国営附帯県営かんがい排水事業

香川用水事業に付帯する県営土地改良事業として、平成8年度に完了するまで27か年の長きにわたり、支線水路等県営用水施設の建設整備が行われました。当時の行政単位で高松市ほか4市22町、受益面積は水田面積12,174ha、畑2,112haにおよび、その関係農家数は約2万8000戸でした。香川用水受益地内において61施工区(主要工事は頭首工6か所、揚水機工ポンプ72台、用水路工196km)を事業費147.5億円で実施されました。

県営畑地かんがい事業

香川用水事業の着工に先立って、昭和40年度から昭和47年度まで、高室地区(観音寺市)と松山地区(坂出市)の2地区で、山麓急傾斜地の温州みかん園へのスプリンクラーかんがい施設の整備事業として、事業費約7.5億円で実施されました。

県営畑地帯総合土地改良事業

国営附帯県営かんがい排水事業の中で実施された畑地かんがい地区は、末端施設である支線管路網とスプリンクラーの据付けが事業の対象とならないことから、昭和45年に新しく制度化された本事業を上乗せすることによって、スプリンクラー施設と併せて農道網の整備も行うことが可能となり、昭和46年度から平成7年度まで、香川県西部の7地区で事業費約191.8億円で実施されました。

県営かんがい排水事業満濃東部地区

仲多度郡まんのう町において、平成2年度から平成12年度まで、事業費約25.3億円で実施されました。この地区は香川用水を直接受水することができない地区ですが、水利転換計画により受益地に取り入れられた地区です。

団体営土地改良事業

このほか、市町や土地改良区等が事業主体となって実施する団体営土地改良事業が実施されています。

現在の香川用水

香川用水は、昭和49年の通水以来、豊かな讃岐平野に農業用水を供給するとともに、水道用水と工業用水を供給してきました。しかし、香川用水の水路施設は年がたつにつれて老朽化がひどくなり、用水の安定供給に支障を来すようになってきました。
このようなことから、緊急時に改築の必要な水路施設の改修と、水道用水の安定供給を図るための水道用原水調整池(宝山湖)の建設を実施しました。
また、香川用水は、現在では、香川県の農業用水の約3割・工業用水の約2割・水道用水の約5割を占めており、香川県民の生活に欠かせないものとなっています。
グラフ
現在の、香川用水事業の概要(導入水量・供給計画等)につきましては、以下のページでご確認ください。
【香川用水の概要】

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