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公開日:2020年3月2日

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自然科学展示室の3つのおもしろトピックス

【ページ内リンク】県鳥ホトトギス サヌカイト(カンカン石)の石琴

「自然科学展示室って、なんか難しそう。」という印象を持つ方も少なくないかもしれません。そこで、思わず「へ~っ!」ってつぶやいてしまいそうな展示室の3つのおもしろトピックスを紹介します。

世界最古のナマズ科化石

ご存じない方が多いと思いますが、実は、世界最古のナマズ科化石が香川県内で発見されているのです。
発見された場所は、さぬき市大川町富田中の雨滝山化石層で、現在は、その化石層のすぐ前に、さぬき市立の雨滝自然科学館が建てられています。
自然科学展示室では、その化石のレプリカを展示しています。

ナマズ博士

ナマズ博士こと、森繁先生です。発見したのは、“ナマズ博士”こと森 繁先生(現:雨滝自然科学館長)。香川県で小学校の教員をされていた森先生は、小学生が地層観察をしやすい場所を探していたときに、雨滝山の道路工事現場にさしかかり、そこで化石が出る岩石を見つけ、世界最古のナマズ科化石発見(1985(昭和60年)10月)につながったそうです。

化石発見の苦労話

雨滝山で採集された岩石です。雨滝山の化石が出てくる岩石は、泥岩とよばれる堆積岩のなかまで、紙のようにうすい層が何重にも重なってできています。化石は、その紙のようなうすい泥岩の間にみつかるので、ナマズ博士は、そのような泥岩の層を、一枚一枚裁縫に使う針を使ってはがしていくという、気の遠くなるような作業が続いたそうです。

やっとの思いで貴重な化石を探しあてたときの感動は、今も忘れられないとおっしゃっています。そのような努力のかいがあり、ナマズ博士は、香川県内ではじめて魚の化石を発見したのです。発見した瞬間、ナマズ博士は「やったあ!」という満足感に手が震えたそうです。

本当にナマズの化石?

ナマズ科化石のレプリカです。ナマズ博士は、ナマズのような形だなあと思いながら、国立科学博物館に持ち込んで専門家の先生に調べてもらいました。しかし、当時は「ナマズのようにみえるが、雨滝山の地層ができたおよそ1500万年前には、日本にナマズはいなかったはずです。おそらくギギという魚のなかまでしょう」という回答しかもらえませんでした。

後に、国立科学博物館の先生方がナマズ博士のところまで尋ねてこられて、「あの化石は、もしかしたらナマズかもしれない。もう一度、調べさせてほしい」といわれて、持ち帰ったそうです。その後の調査の結果、この化石が世界最古のナマズだとわかり、学会に発表することになったそうです。発見されてから13年の月日が流れていました。世界最古のナマズ科化石発見のニュースは、新聞などで大々的に発表されました。左の写真は、自然科学展示室のナマズ科化石(レプリカ)です。

県鳥ホトトギス

各都道府県は、それぞれシンボルとして鳥獣や魚、木・花を指定しています。香川県の県鳥は、ホトトギスです。
ホトトギスは、よく知られた鳥で、県内に広く生息しています。夏の渡り鳥ですが、香川県でよく繁殖することから、県鳥に指定されたようです。自然科学展示室には、県鳥ホトトギスを紹介する展示コーナーもあります。

県鳥を指定した香川県の公告です。 ホトトギスの展示風景です。

ホトトギスは益鳥

ホトトギスは、好んで毛虫を食べます。鳥類は、昆虫やいも虫を食べますが、毛虫を食べる鳥はあまりいません。毛虫を餌にすることで、他の鳥との奪い合いを避けていると考えられますが、結果的に、人間にとって益鳥であると言えるでしょう。

ホトトギスの託卵

他の種類の鳥の巣に産卵し、その鳥にヒナを育ててもらう習性を「託卵(たくらん)と言います。ホトトギスは、主にウグイスの巣に産卵し、ウグイスにヒナを育ててもらいます。
ではホトトギスは、なぜウグイスに卵を託すのでしょうか。その答えは、展示室にあります。ぜひ見に来てください。

崇徳上皇の御製

崇徳上皇は、保元の乱(1156年)で、弟の後白河天皇との戦いに敗れ、讃岐に配流されました。その後、二度と都へ戻れぬまま、失意のうちに46歳で崩御されました。上皇は、都を恋しく思うあまり、次のような御製(ぎょせい、天皇が作る和歌)を詠まれました。

「啼けば聞く 聞けば都の恋しきに この里過ぎよ 山ほととぎす」
(ほととぎすが啼くのを聞くと、都が恋しくなるので、里の向こうに飛んで行ってくれ)

碑の横には、崇徳上皇の御製の立て札があります。上皇がこうした和歌を詠んだため、里の人々がほととぎすを殺したり、追っ払ったりしたという。後に、ほととぎすを供養するため、上皇の住まいのあった鼓岡神社(つづみがおかじんじゃ、坂出市府中町)に、「杜鵑塚(ほととぎすづか)」が建てられたと伝わっています。

サヌカイト(カンカン石)の石琴

サヌカイト(讃岐の岩という意味)は、約1000万年前に、瀬戸内地域に起こった火山活動によってマグマが地表に流出し,冷え固まってできた岩石です。
たたくと「カーン、カーン」という金属音を発し、心地よい余韻を残しながら響くので、「カンカン石」と呼ばれています。
1891(明治24)年、五色台のこの岩を研究したドイツの学者バインシェンクが、サヌカイトという学名をつけて広く世界に紹介しました。

なぜ五色台から産出されるの?

五色台の地質構造模型図です。五色台は、左の模式図に示しているような地質構造をしており、サヌカイトが一番上にあります。
火山活動などによって作られたこのような地層は、五色台と同様に県下に広がっているので、サヌカイトは、屋島や金山(かなやま、坂出市)などでも産出されます。

なぜ「カーン、カーン」って音が出るの?

サヌカイトの顕微鏡写真です。カンカン石の岩石薄片(厚さ約0.03mm)を作り、岩石用の顕微鏡でのぞいてみると、おもな組織はガラス質で、大きさのそろった小さな粒が並んでいるのが分かります。このようなつくりは、音が消えにくく、共鳴してよい音を響かせると言われています。

カンカン石で始業の合図?

戦前の小学校では、カンカン石を打って始業の合図をしていた学校もありました。
今では、木琴ならぬ石琴として、素晴らしい音質と音量を奏でてくれます。誰でも知っている楽しい歌の楽譜もありますので、展示室の石琴で楽しく演奏してみませんか。

サヌカイトで作った石琴です。 簡単に演奏できる楽譜ばかりです。

このページに関するお問い合わせ

教育委員会五色台少年自然センター

電話:087-881-4428

FAX:087-881-4484