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令和7年度県政知事トークの第1回目は、知事が善通寺市を訪問し、県民の皆さんと意見交換を行いました。皆さんからは、日々の生活や活動において感じられている課題や県政に対するご意見、ご要望等をいただき、非常に有意義な意見交換会となりました。
善通寺市から推薦された県民17名が参加
【知事】本意見交換会は、産業・観光、教育・文化・子育て、福祉・地域活動の3つのテーマごとに約30分ずつ意見交換を行い、その都度私がコメントをしながら進めます。ご発言は、テーマに限らず、専門分野やテーマ外の内容も歓迎します。まずは第1グループから意見をお願いします。
【参加者からのご意見】
1.善通寺商工会議所青年部では、50歳未満の新規会員が減少しており、特に20代・30代の若者が新たに商売を始めるケースが少ないため、メンバーの確保が困難な状況となっています。人口減少に伴い商売も難しくなっており、今後さらに新規参入者が減ることを危惧しています。
2.45年前に夫と起業し、家を担保にするほど覚悟を持って始めた経験から、最近の起業家は助成金などの支援が多い一方、心構えが甘いと感じています。助成金頼みで倒産する例もあり、起業には「後がない」という真剣な気持ちが必要だと考えています。応援しますが、真剣に取り組んでほしいと思います。
3.善通寺市は、お寺や自衛隊、大学など優れた資源を持つ一方で、港がなく海に面していないという弱点があります。そのため、国道11号や善通寺インターなど陸路の交通機能が重要です。特に国道11号は善通寺市内で片側1車線となり、物流企業が多い現状を考えると、全区間で片側2車線化が実現すれば、商工業のさらなる発展につながると考えられます。
4.善通寺市は国道から離れていてわかりづらく、観光資源である善通寺も十分に活かされていません。内陸部への注目度が低く、宿泊施設や公共交通機関も不足しています。特にタクシーが少ないため、無人運転タクシーの実証実験を行うことを市長とも相談しており、ぜひ支援をお願いしたいと思います。
5.農業は現在非常に厳しい状況で、10年後に農地を耕作する人がいるか不透明という声が多く、耕作放棄地も増えています。米価の下落や機械購入の初期投資負担、農地条件の悪さ、高齢化や担い手不足などが主な要因です。国の支援は大規模農家に偏り、兼業や小規模農家への支援が不足しています。今後は、地域に合った補助や個別の所得環境の見直しを行い、次世代が農業を続けられるような施策が必要だと思います。
【知事(第1グループ)】
・人口減少が続く中で、会員確保や地域活性化には高齢者、女性、障害者、外国人など多様な層の活躍が必要であり、青年部も従来の枠にとらわれず新しい層の参加を検討する必要があると考えます。
・企業マインドが慎重になりすぎている現状をふまえ、県としても設備投資への助成を続け、事業拡大や新しい挑戦を後押ししていきたいと思います。
・善通寺市の道路問題については、浜街道との連絡強化を優先しつつ、国道11号の4車線化も課題として認識しています。
・無人運転車両の導入は段階的に進め、市民の理解を得ながら移動手段の確保を急ぐ必要があると考えます。
・農業については、小規模農家が多い香川県の実情に合わせて、食料自給率向上のための公的支援や、兼業農家も含めた担い手確保策を市長と連携して進めていきます。
全体として、現状の課題を認識しつつ、多様な人材の活用や支援策の強化、インフラ整備などを通じて、地域の持続的な発展を目指していきたいと思います。
【参加者からのご意見】
4-2.無人運転タクシーの実証実験はぜひお願いします。
香川県は、やりやすい道路状況にあることは間違いないと思います。
【知事】
平場ですし、道路の区画がしっかりしているので、やりやすいと思います。
【参加者からのご意見】
5-2.善通寺市内の約2ヘクタールの土地は、かつてハローズの物流センター建設計画が反対運動で中断され、現在も活用されずに残っています。企業誘致も進んでいないため、県から後押しをお願いしたい。
【知事】
誘致は大事だと思いますので、市長とよく話をします。
それでは、第2グループの方に進ませていただきます。
【参加者からのご意見】
6.給食費の無償化について、無償化を理由に他地域が選ばれることが多いため、県の補助で全市町一律にしてほしいと思います。また、通学路の道が暗く自転車通学時の事故が心配されるため、照明などの整備を見直してほしい。さらに、県道の側溝の蓋やグレーチングがずれていたり網目が大きいことで自転車のタイヤが落ちる危険があるため、安心して走れる道の確保をお願いします。
7.少子化が進む中でも、善通寺の文化を後世に伝え残していくことが重要であり、その継承のために支援をお願いしたい。
8.主任児童委員として、子ども食堂やイベントなどを通じて、子どもや親が安心できる居場所づくりに取り組んでいます。学校や公共機関ではなく、地域の「おせっかいなおばちゃん」として信頼関係を築くことが重要であり、そうした立場の人たちへのサポートをお願いします。
9.善通寺市は子育て支援に早くから取り組んできた自治体であり、私たちもNPO法人として子育てひろばや子ども食堂、ひとり親家庭支援、不登校児の居場所づくりなど幅広く活動しています。近年は、不登校などの利用希望者が増加するとともに、複合的な課題を抱える家庭も増えていますが、市内、近隣自治体ともに地域資源が不足しています。また、行政と連携した支援が必要ですが、個人情報の取り扱いなどが課題になっています。
10.善通寺市民と外部者の両方の立場から、課題と提案を述べさせていただきます。
・道路状況が悪く自転車の走行が危険であり、改善が必要。
・香川県の若者は地元志向が強いが、地元に仕事が少ないため人口流出が止まらない。高松への機能集中を避け、中讃・西讃地域にも仕事や県の機能を分散させるべき。テレワークの普及により地方でも働ける環境が整いつつあり、仕事創出が重要。
・タクシーや公共交通が不足し、地域間の移動や交流が不便。交通網の充実が必要。
・香川県内の魅力ある地域資源がバラバラに見えるため、県全体で統一的なコンセプトや英語パンフレットなどの情報発信、観光案内の充実が求められる。
これらを通じて人口流出を防ぎ、地域の活性化を図るべきだと考えます。
【知事(第2グループ)】
・給食費無償化については、自治体ごとに差が出るのは望ましくなく、国の方針を注視しつつ、進まない場合は県としても対応を検討します。子育てにかかる費用の地域差解消に努めます。
・通学路の安全確保や道路の不具合については、定期的な点検と住民からの情報提供を活用し、改善を進めます。
・地域文化の継承活動は市や県が連携してサポートしていきます。
・地域社会全体で子どもを見守り、育てる活動は重要であり、こうした活動が広がり、継続できるよう、県や市も積極的に支援していきたいと思います。
・かがわ子育てステーションなどの充実とともに、その認知度向上に努めます。また、行政との連携に関する課題について、県や市へ相談していただければ対応します。
・地元で働きたい人と企業のミスマッチ解消に取り組み、個別対応で雇用促進を図っていかなければならないと考えています。
・交通の利便性向上や高松一極集中の是正に向け、県内全域で住みやすい環境づくりを目指します。
全体として、子育て・教育・交通・雇用・地域文化などの課題に対し、県や市が連携し、地域格差の解消や住みやすい環境づくりを進めていきたいと考えています。
それでは、第3グループお願いします。
【参加者からのご意見】
11.高齢化や課題の多様化が進む中で、善通寺市民児協は、複雑な福祉課題に対応するため、ワンストップ型の包括的支援窓口の設置を要望します。市も重層的支援体制整備事業への移行準備事業に昨年度から取り組んでいますが、全国での導入状況を教えていただきたい。今後、様々な課題に一元的に対応できる窓口の整備を強く要望します。
12.善通寺市には老朽化した空き家が多く、消防車両も入れず、救いに行けない状況となるため、早く解体してほしい。また、鳥坂周辺の国道は朝晩の渋滞が激しく、救急車の通行にも支障があるため、早急な4車線化をお願いします。
13.活動の中心が高齢世代であり、会員の高齢化・減少により今後の継続が不安です。若い世代の参加が必要と感じており、働き世代へのアプローチも課題です。行政の支援をお願いします。
14.市の健康推進員として活動していますが、地域の高齢化が進み、行事の継続が難しくなっています。若い世代の参加が少なく、地域活動の担い手が高齢者に偏っていることが課題であると感じています。また、田舎では子どもが減り、空き家や荒れた田畑が増えており、今後自分たちが動けなくなった時の地域や家・畑の将来に不安を感じています。
15.社会福祉協議会は、誰もが住み慣れた地域で暮らせるよう、見守りや居場所づくりなど住民主体の福祉活動を進めています。近年は複雑な課題を抱える人への重層的支援体制の整備にも取り組み、今後は多様な機関と協働した包括的支援体制が必要です。福祉人材の確保や災害対応、交通など広域的な課題にも対応するため、財政的支援や自治体間の連携強化をお願いします。
16.自治会の加入率が約6割にとどまり、担い手不足や役員の短期交代が続くなど、自治会の存続が危ぶまれています。行政からの業務依頼が多く負担が大きいため、市には業務の見直しと自治会への支援をお願いしたい。福祉や介護分野でも人材不足が深刻で、外国人労働者はなくてはならない存在となっているため、大切にしてほしいと思います。加えて、国道バイパスの道路計画の見直しを含めた検討や、善通寺を災害拠点として活用すること、かがわ総文祭2025のPR強化もお願いします。
17.老人クラブは公民館を拠点に活動していますが、公民館の設備やデジタルインフラの格差をなくすため、県が主導してデジタル田園都市にふさわしい整備を進めていただきたい。また、マイナンバーカードと運転免許証の一体化が進んでおらず、行政のデジタル化をもっと見える形で推進してほしいと感じています。さらに、一人暮らし高齢者の増加による孤独死対策として、高齢者向けの安否確認や緊急通報システムの導入を要望します。
【知事(第3グループ)】
・重層的支援体制整備事業や空き家解体については積極的に対応しており、重層的支援体制整備事業の全国での導入状況については、また、後からご説明します。
(※全国における実施状況は、R5年度189町村(11.0%)、R6年度346市町村(20.1%)、R7年度(予定)473市町村(27.5%)となっています。)
・老朽化した空き家については、解体のペースを上げられるよう解体に係る助成制度には、予算に限りをつけず取り組んでいるところです。国道11号の拡幅事業も順次進行中です。
・地域活動の高齢化や自治会の担い手不足については、若い世代の参加促進や活動の工夫が必要と考えており、県・市としても支援を継続していきます。広域的な取組みについては、ごみ処理だけでなく、福祉分野においても今後検討が必要であると感じました。
・外国人労働者については共生が重要と認識しています。
・行政のデジタル化やマイナンバーカードの活用も急いで進めています。孤独死対策や公民館のインフラ整備も課題として受け止め、今後検討していきます。
【参加者からのご意見】
9-2.女性の就労率が上昇し、育休や産休を活用しながら働く人が増えている一方、善通寺市には病児保育がなく、子どもが病気の際は丸亀市まで行く必要があります。子育て世代の支援のため、県や医師会が協力し、より身近な場所で病児保育を利用できる体制の整備をお願いします。
【知事】
病児保育の状況をよく見てみます。
【参加者からのご意見】
16-2.多度津高校では卒業生110人に対し求人が2000社からあり、特に県外企業が好待遇で求人を出しているため、若者が県外に流出してしまうおそれがあります。県内業者が人材確保できるよう、初任給や処遇の改善など、県による支援をお願いします。
【知事】
県庁内の部局と相談して、具体に当たっていこうと思います。ありがとうございます。
【善通寺市長】
少子高齢化が進む中、町や文化の継承が大きな課題となっています。就職など様々な問題もありますが、県と市の連携が重要であり、今後もこのような会を開いて対策を進めてほしいと思います。
【知事】
長時間にわたりご意見をいただきましてありがとうございました。
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