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公開日:2020年12月10日

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存清制作工程1

存清(ぞんせい)制作工程 香川宗石[昭和 30年制作]

漆芸作品は、素地・下地・塗り・加飾の各工程を経て完成します。
存清の制作工程のうち、1が素地工程で、漆芸作品の原型となる素地を成形する工程です。2~7(1)が下地工程で、下地をつけることにより、素地を堅固にして破損や変形を防ぎ、整形をするとともに、表面を平坦に整える工程です。7(2)~8が塗り工程で、漆を塗り重ねて漆膜を厚く仕上げ、表面を滑らかにする工程です。9~10が加飾工程で、存清の技法により表面を装飾する工程です。

網代素地【1網代素地
漆芸作品の原型を素地といい、表皮を取り除いた無節部分の竹ひごを蓋と身の木型に接着させ、網代に編み上げてつくります。素地の合口と身の底の糸尻は、トチ材でつくり網代に接合します。

  • 2(1)網代素地(右端)
    素地に漆刷毛で生漆を摺り込み、網代の編み目を接着させて固めるとともに、防水膜をつくります。
  • (2)素地固め(右から2番目)
    素地に漆刷毛で糊漆を薄く摺り込み、網代の編み目を接着させて固めるとともに、防水膜をつくります。
  • (3)刻苧付け荒抹香(1回目)(右から3番目)
    素地に箆で刻苧をつけ、編み目を埋めます。
  • (4)空研ぎ(1回目)(右から3番目)
    砥石等で空研ぎを行って刻苧肌の荒れを整え、2回目の刻苧付けを容易にします。
  • (5)刻苧付け荒抹香(2回目)、空研ぎ(2回目)(左端)
    (3)・(4)に同じ。
    • 漆刷毛は、女性の毛髪を漆で固め、ヒノキの薄板に挟んでつくります。
    • 糊漆は、生漆6に対し、糊4の割合で練り合わせてつくります。
    • 生漆は、漆の木から採取した漆を濾過して木屑等を取り除いた漆です。
    • 糊は、小麦粉を練ってつくります。
    • 箆は、ヒノキの柾目の薄板を削り出してつくります。
    • 糊漆は、小麦粉糊6に対し、生漆4の割合で練り合わせてつくります。
    • 刻苧は、篩(60目)にかけた荒抹香10に対し、生漆5、黒漆1.5、糊3の割合で練り合わせてつくります。
    • 抹香は、スギ・ヒノキの葉や皮を乾燥させて粉末にしたものです。
    • 黒漆は、生漆に鉄粉や水酸化鉄等を加えて黒変させた漆です。
    • 空研ぎとは、水を使わずに研ぐことをいいます。

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