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研究所で学んだことを振り返っての研究生の感想の一部です。(令和7年3月)
本当にあっという間の1年でした。工芸高校で一度は学んできた漆芸ですが、自分で自分の使う道具を作るところから学べたのは独り立ちするための重要な学びだと思います。ひとつの作品を作るのに、毎日進めていても半年ほどかかるので、一つ一つの作業が身に付くにはまだまだ学ぶ必要があると感じました。
2年生では、三技法を自分なりのデザインにして作品を作るのが大変でした。どういうコンセプトで作るのか、その作品にどのような意味を込めたいのか、と考えながら制作に取り組むことで漠然とした思いや意思を形にできたと感じています。来年はより多くの人にこの思いを伝えられる用に努力していきます。
ひとつ課題をクリアすると、またすぐに難所が現れる。そんな毎日でしたが、粘り強く向き合い、試行錯誤の末に完成させた作品を眺める時間は、大きな充実感を与えてくれます。三技法それぞれの良さと難しさを様々な観点から学んだ、とても楽しく有意義な1年となりました。
2年生になって限られた時間の中で自分の作品を仕上げていく大変さを知りました。図案を考え、表現手法を選択し、実際の作業工程を積み重ねる、その一つ一つにどれだけ真剣に向き合ったかが最後に表れるのだと思います。今回は想像通りではなかった部分が多いので、来年はイメージをより正確に作品化できるよう技術を習得していきたいです。
1年目で漆芸全般と三技法の基礎を学び、2年目で器物制作の各工程への学びを深めました。そして3年目の今年は専攻した蒟醤技法の中で自分のイメージに合う表現を色々と試すことができました。先生方から学びきったというには全く程遠いですが、それでも作品を作り続けていくことへの決心が固まり、今後につながる有意義な3年間でした。
作品に対してこだわりを持ちつつ、締め切りはきちんと守る。こだわりが強すぎるといつまでたっても仕上がらない、かと言って、妥協しすぎては見る人の心を打つ作品ができない。そういうところの塩梅がとても大事だと気付かされることが多かったです。
3年間は一瞬でしたが、入所する前の自分と今の自分を比べると少し成長できたことを実感します。漆という生き物を扱う感覚で、思うようには仕事が進まないことが多々ありました。上手くいくこと、いかないこと、全て含めて、漆の仕事はおもしろいと心底思いました。共に学んだ研究生、先生方への感謝・尊敬の気持ちを忘れずに努力を続けます。
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